2022年だけど2021年映画ベスト10を決めてみたよ!
2022年06月29日
おばんでやんす、アガサです。
というような書き出しをした場合、娘っこから「はい、おかあさんのブログよみますよ~ “おばんでやんす”」と家族の前で音読されるショッキングな事案が起きてしまうので、もう少しかしこそうな書き出しを思いつきたい今日この頃ですが、みなさまいかがおすごしでしょうか。
昨年に引き続き、年をまたいでのベスト10ご報告というていたらくまことに恐縮ですが、明日できることは明日やる、今日できることは明日にはやる、昨日やるはずだったこともさいあく明日で間に合うのでは、がモットーのわたしですので、そこいらへんはホントその、おおらかな気持ちで受け止めていただければさいわいです。
と、ここまで書いたのが何を隠そう今年の2月。
続きを書かないまま時は流れ、気がつけば現在6月。
年をまたいでどころか、2年越しのベスト10も視野に入り始めてしまったていたらく、まことにまことに恐縮なのですが、なんつうかほら、最近は感染症やなんやかんやで映画館から足が遠のいていらっしゃる方も多いでしょうし、一方、配信サービスの充実で比較的すみやかなる新作の自宅鑑賞が可能になっていたりましますし、去年おもしろかった作品をご紹介することが、みなさんの映画ライフのなんらかの参考になればこれさいわいと思う次第なのでございます。
では、きれいにまとまった感がうっすら残っているうちに2021年ベスト10行ってみますよ!
(ちょいちょいネタバレが混じっているのでご用心ください!)
1位 『プロミシング・ヤング・ウーマン』

暗殺術を得ているわけでもない、バックに巨大な組織がついているわけでもない、何重にもトラップを張り巡らせられるような専門知識をもっているわけでもない、どこにでもいるただひとりの、ほんのひとりの女性が、ただただ身体を張り大芝居をうち心を削りながら、目の前にいるクソ野郎に思い知らせてやろうとするお話。
観た直後から、ひたすら押し寄せるかなしみと虚しさとそれらを凌駕する圧倒的な怒りで体が爆発しそうになりました。
あまりに理不尽、あまりに非情、あまりにリアル。
昨年観た中でもっとも頭からはなれない問答無用のベスト1であり、同時にこの映画をダントツ1位にあげずにはいられない現実に嫌気がさします。
凄腕の暗殺者が物理的に殺しまくる映画なら、どんなによかったか。(※物騒発言)
主人公の人生は最愛の友人を亡くした時点で一度壊れ、初めて出会った「まとも」な男性との恋愛で前を向きかけたもののその正体を知ることとなり再度壊れた。
例え復讐を果たしたところで、人生の修復は不可能だったのかもしれない。
だからせめて、男たちに下した鉄槌と主人公の命が釣り合いのとれるほどのものならば、・・・いや、そうじゃない。社会的地位の喪失と命とは、どうやったって釣り合うわけがない。
成功しても失敗しても、到底「よかったね」なんて言えない結末しかない主人公の選択。
二度と戻ることのない、彼女やこの世に存在するたくさんの「彼女たち」が送れていたかもしれない輝かしい未来を思うと、救いようのない気持ちになります。
ゴミクズの見本市みたいな男たちと、それをよしとして守ってきた「ママ」たちの醜悪さにも息が詰まりそうになるので、精神的に余力がない時の鑑賞はダメージがでっかいかもしれません。
ただ、観て欲しい。
できるだけたくさんの人に観て欲しい、すごい作品でした。
2位 『最後の決闘裁判』

「リドスコ先生・魂の授業 女性の人権編」といった内容だっただけに、公開直後から賛否の声がふきあがったのも記憶に新しいところ。
特に、映画監督や映画評論家という「見る目」をもつはずの人たちが、信じがたいほどトンチンカンな解釈をご開帳し、えらいひとたちが言っているんだからと倣った人たちもそこに続いた結果、現代のツールであるはずのインターネット上がたくさんの「カルージュ」「ル・グリ」「ピエール伯」という中世アタマカチコチおじさん3人衆で埋め尽くされるという珍現象まで起きることに。
いや、珍現象でもないんですよね。
全く変わっていないメンタルがそこにあるっていうことなんですよ。
1位の『プロミシング・・・』といい本作と言い、長年にわたる不平等や無自覚な加害性や低く見積もられ続けた尊厳に異を唱える女性たちの映画には、老いも若きもが知るべきことがたくさん込められていると思います。
我々がぜひ向き合うべき良薬を、苦くてもなお飲み込む勇気をもってほしい。
リドスコ先生の授業はこわくないよ。
顔はいかついけど言葉はうつくしいし願いはやさしいものだよ。
俳優さんたちのすばらしすぎる名演も必見です。(すばらしすぎて憂鬱になります)
3位 『マリグナント』

みんなだいすき『SAWソウ』の生みの親であり、『インシディアス』に『死霊館』果ては『ワイスピ』からDCヒーロー『アクアマン』まで、なんでもおもしろく作っちゃう稀代の天才ジェームズ・ワン監督が誕生させたニュー・(ダーク)ヒーローの勇姿に刮目せよ!
これはもう、はちゃめちゃにいい作品でしたね!
ほう・・・いわくつきの病院か・・ なるほどなるほど、被験者ね・・・あるよね・・・・あるある・・ 特殊能力か・・そういうのもあるよね・・・ ほんで成長した患者が悪夢を見始めて、謎の連続殺人も起きるっていうね・・・はいはい・・そういうやつか・・・・ ・・・よし!読めた!!!
って、勝手に読んだ気になっていた展開が、そのあと想定の5倍ぐらいのやりすぎテンションで繰り広げられるもんだから、もうどうやったって愉快痛快ですよ。
ありがとう、ジェームズ・ワン監督! ありがとう、数々のホラー名作リスペクト!
ありそうでなかった殺人鬼の造形も超よかったですね。 動きがいいんだまた。
そして最後にたたみかけてくるきょうだい愛。
震えて笑って泣ける18禁ホラーエンターテイメント。 続編もおまちしております。
4位 『サイコ・ゴアマン』

とある事情で捨てられていたかわいそうな生き物と、それをひろって育てることなった少女。
ふたりのあいだに芽生える友情と、ひと夏の大冒険とは・・・。
という何万回も観たことあるような盤石なストーリーに、
ただし捨てられていたのは「残虐宇宙人」
ただし拾ったのは「サイコパス少女」
ただし育て方は「残虐宇宙人をコントロールできる謎の宝石による不条理な支配」
ただし少女の家族は「ダメ人間」
ただし少女は「実兄を虐待中」
ただし冒険とは「残虐宇宙人を抹殺しにきた正義の宇宙人・テンプル騎士団との闘い」
等々、たくさんのただし書きと惜しみないゴア表現がつけ足されたことによって、さいこうにてんやわんやでさいこうにあの頃(昭和)を思い起こさせる傑作SFが誕生してしまいました。
もはやよろこびしかない。
低予算だし不謹慎だしペット化される脳みそ(⁈)なんかも出てくるので、万人向けする作品でないことは確かなのですが、はまる人にはとことんはまるヤツなのではないでしょうか。 もちろんわたしは後者です。

(最強戦士パンドラがどうみてもアンジェリーナ・ジョリーさんだったんですけど、監督、えらいひとにおこられなかったのかな)
5位 『ザ・ライダー』

感想はこちら・・・2021年上半期ベスト
6位 『すばらしき世界』

感想はこちら・・・2021年上半期ベスト
7位 『べイビーわるきゅーれ』

かわいい女の子の日常脱力系映画と思って油断していたら、ゴリゴリに極められたアクションととてもまじめな会話劇(むずかしい話をするという意味ではなく、キャラクターに血肉が通っていることが感じられる)にノックアウトされました。
主演のおふたりがとにかくめちゃくちゃキュート。
社会だけでなく裏社会にまで馴染めなくなりそうになってるまひろちゃんが、だいすきなちさとちゃんだけにはきちんと向き合うとするところ、とてもグッとくる。
それをまっすぐ受け止めるちさとちゃんもすてき。
メイド喫茶の先輩ちゃんもかわいかったな~
ずっと続きを観ていたくなります。 まだ観ていない方はぜひ!!
8位 『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』

魅力的なキャラクターといい、うっとりするほどキマッている画といい、小気味いい裏切りといい、豪快に巻き散らかされる血肉といい、終盤のあつい展開といい、「あーおれ今ジェームズ・ガンの映画観てるなー」という多幸感に満ち満ちた作品。
カチコミをかけるシーンがどれも超かっこいい。
9位 『ゴジラvsコング』

コング兄貴のモーニングルーティーンで幕をあける本作。
無防備なあくび、屈託のない仕草、目覚めのシャワー、ルームメイトにおはようのあいさつ、ケツをポリポリ。もうこの時点で百点満点である。
雄々しいコング、全力疾走するゴジラ、表情豊かな両者からは、聞こえてこないはずの会話が聞こえてくる。
目は口ほどに物を言う、そうだろ?アニキ?
どつきあいの途中で脱臼した肩を壁に叩きつけてはめる、という強いキャラあるあるをコング兄貴にやらせるとかアダム・ウィンガード監督は天才か。
観たいもの、期待していたものはすべてみせてくれた大傑作ではなかろうか。
欲をいえば、人間パートは全カットでもよかったですね。モナークなんて完全に空気だったし、全部ゴジラとコングだけでいいのに。あと、メカゴジラ華奢すぎでは。
「ほぼ全編白目で、挙げ句感電死するだけのレン・セリザワとは一体何だったのか」問題は今後も胸にとどめておきたいところです。
10位 『モータルコンバット』

人間界と魔界との覇権をかけた10番勝負、その名もモータルコンバット。
冒頭、「人間界は次の大会で負けたら終わり」という字幕が流れるものの、その後魔界の親玉による「予言によると次の10試合目で我々は負ける」というぼやきがあるので、どうやら人間界に希望はあるらしい。
というか、10番勝負の9番まで負けてても最後の1試合で勝ったらゲームがひっくり返る仕組み、「最終問題だけ配点が5億点」みたいな不条理さがないか。だいじょうぶか。魔界の人たち心広すぎじゃないのか。
ただし、魔界のえらいひとも指をくわえて予言を成立させるつもりは毛頭なく、卑怯にも試合開催前に人間チームの主力選手を抹殺し、無効試合に持ち込もうという計画をくわだてるんですよね。
それを果敢に迎え撃つ人間界の戦士たち、ということで、最終試合を前に人間界と魔界の代表選手による死闘が繰り広げられるわけなんですがそれもう10試合目でええやろ。
真田広之さんの正しい使い方と四六時中目が光る浅野忠信さんだけでもお腹が満たされるのですが、個性がひかる伝説の戦士たちと魔界のみなさんが和気あいあい殺しあうさまも豪快のひとことで、湯気たててまろびでる臓物、瑞々しく砕け散る頭部、縦割りの為だけにとつぜん丸ノコと化すオシャレ帽子など見所も満載。
正直、これをベスト10に入れることに我ながら疑問が浮かばないこともないのですが、本作にはパワーがある。トンチキ映画においてはパワーこそ力、ということで堂々ランクインです。
以上、わたしが2021年に観た映画のベスト10でした。
ギリギリまで悩んだ作品としましては、山田杏奈さんと芋生悠さんの演技がすばらしかった『ひらいて』や、さえないおじさんが戦闘マシーンだった系映画のニューフェイス『Mr.ノーバディ』、細部までこだわりぬかれた造形の数々がたまらないストップモーションアニメの『JUNK HEAD』などがありました。
ていうか全部すき。
おれ、えいが、だいたいすき。
昨年の上半期にまとめた時には1位だった『すばらしき世界』がなぜか6位になっていたり、その時下位だった『ザ・ライダー』と入れ替わっていたり、好みの偏りがはげしかったりと、あまり参考にならないランキングになってしまった気もしますが、どれもおすすめですので未見の作品がありましたらぜひ・・・!
次回はランクに入らなかった・入れられなかった作品の下半期全鑑賞リストと、別の意味で心に残るベスト3をお届けしたいと思います。
ほんとだよ!絶対書くよ!(※おととし書かなかったことへの自戒の念)

