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『処刑軍団ザップ』

2012年04月16日
処刑軍団ザップ

あらすじ・・・
おねえちゃんとおじいちゃんの恨みはボクが晴らす・・・! 腐れ外道のヒッピーども・・地獄へ落ちろ・・!!

詳細・・・

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(腐れ外道のヒッピー軍団のリーダー、ホーレスさんです。 サタンの息子です。 見えそで見えないご本尊が so cool!)

ホーレスさん率いるヒッピー軍団は、多国籍なメンツで夜毎LSDでトリップしては邪悪な儀式に興じるという、とてもやっかいな集団でした。
地元の青年・アンディは、そんなホーレスさんになんとなく惹かれてしまい、興味半分で儀式に参加してしまいます。
その際、アンディから話を聞いていたガールフレンドのシルビアもまた、生半可な気持ちで儀式を覗き見してしまった為、荒くれ者に追い回された挙句、哀れヒッピーたちの手によって汚されてしまうのでした。

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(朝のホーレスさんです。 昨夜のギャランドゥな姿から一転、王道ヒッピースタイルです。 車が立ち往生してしまい途方に暮れています。 サタンの息子ですが、こういう時は無力です。)

人口40人程のとても小さな田舎町にやってきたヒッピー軍団は、使えなくなってしまった車に見切りをつけ、次の移動手段が思いつくまで、この町に滞在する事にしました。
町では今まさにダムの建設工事の真っ最中で、住人たちはほとんどよその町に引っ越してしまい、残るは工事業者とパン屋を営む数人のみ。
廃ホテルに腰を据えたヒッピーたちでしたが、意識を取り戻したシルビアから一行の悪事を聞き出した彼女の祖父の急襲に遭い、なんかもうすったもんだしてしまいます。

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(ライフルを持って脅しに行ったつもりが、一服盛られてヘロヘロになってしまったおじいちゃん。 鬼の変装をしようとしているのではありません。 たまたま食卓にあった塩とコショウを額にあててみただけです。)

すったもんだの末にヤクを盛られ、ほうほうのていで逃げ出したおじいちゃんは、腕っ節に自信があっただけにすっかり意気消沈してしまいます。
憤ったのは孫息子のピートくんです。
おねえちゃんは陵辱されるわ、おじいちゃんは辱められるわ、もうこうなったらアイツらのどてっ腹に鉛玉のひとつもお見舞いしなければテキサス魂がすたるというものです。(本作の舞台がテキサスなのかどうかわかりませんが、まぁ、そういう雰囲気だったのです)

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(マッドサイエンティストなふんいきを醸し出す小2男子)(←学年は推測)

一度はおじいちゃんのライフルを持って出かけたピートくんでしたが、廃ホテルに向かう山中、狂犬病にかかった野犬に遭遇してしまいます。
抜群の射撃センスを発揮し、華麗に野犬を撃ち殺すと、いそいそと自宅に戻るピートくん。
無駄な殺生をしてしまい、さすがに落ち込んでいるのかと思いきや、狂犬の血を利用する事を思いついてしまいました。
本業が獣医であるおじいちゃんの鞄から注射器を盗み出し、山に戻って採血すれば準備オーケーです。

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(こ・・こやつやりおったで!)

前日、ヒッピーたちがパン屋さんにミートパイを買いに来ていた事を知っていたピートくんは、採取してきた狂犬の血をパイに注入。
あとは野となれ山となれ戦法です。

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(そして感染しました。 キャラメルマキアートを飲んだ後の人みたいですが、泡です。 泡をふいているのです。)

朝からミートパイをがしがし食べてしまった肉食男女のヒッピー軍団は、まんまと狂犬病を発症してしまいました。
そして、町民の元に向かうのではなく、真っ先に仲間にロックオン。
比較的多く食べた男連中が、ちょんぼししか食べず発症が遅れている女性陣におおきく振りかぶって襲いかかります。

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(『28週後...』のオープニングシーンと見紛う大スペクタクルシーンではないでしょうか。 そんなことないですか。)

感染している事に気づかず、町まで逃げ果せた女性がヤリ○ンだった為、病気は雪ダルマ式に拡大して行きます。
そして広がる絶望の風景。
でもだいじょうぶ。
狂犬病はまたの名を恐水病とも言うので、水に逃げ込めば当面は安心なのです。

僅かな町民が犠牲となる中、シルビアとピート少年、そしてパン屋の女店主は、命からがら感染者の渦から脱出をはかります。

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(あれ?!噛まれたね?!噛まれましたよね?! パン屋さん噛まれちゃったよ!)

感染者を退けるため、ホースで水撒きを頑張っていたパン屋さんが、最後に車に乗り込もうとした瞬間、背後から忍び寄ったおっさんに噛まれてしまいました。
万事休す!

その後、パン屋さんの恋人であるダム工事の責任者・ロジャーの通報によって駆けつけた警官隊は、躊躇なく感染者たちを銃殺。
ひとり残らず殲滅し、一件落着です。
ピート少年とシルビアは警察に保護され、ロジャーは改めて狂犬病の恐ろしさを痛感するのでした。

【おしまい】

総括・・・

・ おい! パン屋さんどうなった!(※特典映像として、パン屋さんのその後がわかるバッドエンディング版が収められていました)
・ あからさまにマンソンファミリーリスペクトなヒッピー軍団がこわいというお話なのかと思っていたら、最後は狂犬病はコワイネーって終わった。不思議。
・ でも、一番こわいのはかわいい顔して病原菌入りパイを量産してしまうピートくんだと思う。 お ま え そ れ や っ ち ゃ ダ メ だ ろ 。
・ ヒッピー軍団に陵辱されて自失状態になってしまうシルビアさんなのですが、トラブルの原因であるアンディくんが「ごねんねー」って訪ねてきたら「なによ・・もう・・スキ・・!」と訳のわからない告白モードに突入してしまう。不思議。
・ 本作はもともと『Phobia』(恐怖症)というタイトルが付けられる筈だったのですが、広報担当者が冗談半分で口にした「お前の血を飲んでやる、でいいんじゃねえの」という一言が採用されてしまい『I Drink Your Blood』になったそうです。 そしてさらに日本に渡り、『処刑軍団ザップ』へと変貌を遂げようなどと、一体誰が想像したであろうか。  というか、最初の出発点からだいぶ遠いトコに来ちゃった感ハンパない。
・ 「誰も血なんか飲んでないのに!」と怒っていた監督さんは、「どこにもザップなんて出てこないのに!」と絶望しなかったのだろうか。
・ アガサはリアル殺生シーンが大の苦手なものですので、本作に出てくる「ニワトリの首を掻っ切るシーン」や「串刺しネズミのバーベキューシーン」「屠殺された山羊を引きずるシーン」でウエッとなってしまったのですが、監督さんによると「本作では動物は一切殺していない」のだそうです。 「ニワトリだけは確かに首を切っちゃったんだけど、その晩スタッフが美味しくいただきました!」と胸を張る監督。 なるほど、『食人族』スタイルなわけですね。
・ って言われても、やっぱりリアル殺生はヤだねー。
・ タイトルだけはずっと前から知っていたのですが、どこのレンタル店にも置いていなかった為、長年鑑賞する事が出来なかった本作。  ディスカス大明神のおかげで、やっとこさ夢が叶いました。 1970年製作ということで、過激描写にもストーリー展開にも物足りなさを感じなくはないものの、「過激なコトぜーんぶ詰め込んだよ!」という製作者の心意気がひしひしと伝わってくる、とても楽しい作品だったと思います。 
・ こういった「昔のホラー」は、再販されているものもありますが、その再販品も既に販売終了し、バカ高い中古品しか無かったり、DVD化すらされず手に入らないものも多いというのが現状なのではないでしょうか。 もっと気軽に「古典」と評されるホラーを鑑賞出来るようになるといいのになぁ・・と願わずにはいられません。誰かお金持ちの人、版権をわんさか買い込んで安価で再販しておくれ!  

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『ムカデ人間』

2011年09月30日
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(※ 完全にネタバレしていますのでご注意ください)



【ムカデ人間】あらため【雑仕上げ王選手権】まとめ

雑ポイント・その1 「計画が雑」

思い続けてきた夢を現実のものとしようと決めた時、あなたならどうしますか?
そうですね。 計画を立てますよね。 しかも綿密なね。
長年、優秀な外科医として、多くのシャム双生児の分離手術を成功させてきたヨーゼフ・ハイター博士もね、最初はそう思っていました。
自身が抱き続けた、「離すのではなくつなげる」という夢をいきなり人間で実現するのではなく、まずは愛犬で試してみるくらい、慎重に慎重を期した壮大な計画だったのです、最初は。
しかし、手術の成功に酔いしれたのも束の間、犬たちは泉下の犬となる。
この事で、一気に気持ちをかき乱されてしまった博士は、なんかもうウワァァっとなって、プシュルシュシュ~ってなって、とりあえずその辺に居たトラック運転手のおじさんを被験者にするべく麻酔銃を構えてしまうのでした・・・。


あのね、博士に一言いいたいのですけどね、これからやろうとしているコトの大きさを考えたら、もうちょっとほら、目撃者的な問題とかね、そういうのに注意しないとダメだと思うんですよね。 どこの世界に幹線道路の真横で白昼堂々麻酔銃を構える人さらいがいるというのですか。 雑そうに見えるソーヤー一家だって、もうちょっと色々考えてさらってますよ、たぶん。いや、そうでもないか。  あと、他の被験者とのつり合いとかね、そういう点も予め考えておく方がいいですね。 人さらいは計画的に!

雑ポイント・その2 「チョイスが雑」

トラック運転手のおじさんを自宅に連れて帰り、新たな被験者探しについて思案していた博士。
そんな時、抜群のタイミングで、道に迷ったアメリカ人観光客の女性2人組がハイター邸の門戸を叩きます。
質問の結果、彼女たちに血縁関係は無かったので少し躊躇したものの、新たに人をさらいに行く手間が省ける千載一遇のチャンスとばかりに、つい勢いで一服盛ってしまう博士なのでした・・・。


まぁね、これは判らなくもないのですけどね。 「人里はなれた一軒家を訪ねたら、そこはソーヤー一家だった!」なんてのは、田舎コワイ系のお話にはよくあるシチュエーションですし。  ただ、博士は自分が先にさらって来ていたのが、メタボ体型のおじさんだという事を失念してしまっているような気がして、そこはホントよく覚えておかないとダメじゃないのか、と。 ニューヨーク在住のナイスバディなチャンネーと、おなかたぷたぷのおじさんとを繋いだ時のイメージをね、一旦冷静に考えてみる必要があるのではないかと。  で、案の定、ビジュアル的な開きがありすぎる為、一度も繋がれる事無く殺処分されてしまうおじさん。 おい!勿体ないことするな!うっかり博士!

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(断末魔をあげるおじさん。 せめてギャルのおしりの穴くらいは・・見たかっ・・た・・ガクッ)

雑ポイント・その3 「くっつけ方が雑」

さて、女の子2人に、新たにさらってきた日本人青年を加え、いよいよ博士の壮大な人体実験のスタートです。
人生に突如舞い降りた真性のアレな人を前に泣き叫ぶ女の子たちと、ひたすら口汚く罵倒する青年を尻目に、博士の名調子は続きます。
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「つまりですね・・おしりとくちをこうね・・・くっつけてですね・・」
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「はがれないようにね・・・ ちょこっと切れ目をいれたりなんかしてね・・」


いや、言わんとする事は判るのですけどね、どう繋げてどう排泄されるのかはうっすら判るのですけども、くっつけ方雑すぎじゃね?!  いちおう、頬の皮膚の一部を剥して、そこにお尻の一部を縫い付けるみたいな工夫はしているようなのですが、なんかもういきなりマジックで「この辺かなぁ・・・ 大きさは・・これくらいでいっか・・」とフリーハンドペインティングを始めるとかね、おまえそんな目印で大丈夫か?! と。  稼動させる為にはお互いの体重を支えあう必要があるのですから、そんなあなた、皮膚をバチバチホッチキスで綴じたぐらいじゃあね・・。 ほんと、ヨーゼフはなんでそこ雑に済まそうとするかねぇ・・まったくもう・・。

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(で、やっぱり動き難くてあわあわなる始末。包帯くらいでサポートできるかー!ヨーゼフ!バカヨーゼフ!)

雑ポイント・その4 「術後のフォロ-が雑」

ついに、「人と人の繋がりを大切にした新種の生き物・通称ムカデ人間の製作」という悲願を達成した博士。
回復期もそこそこに、いきなり日常生活にトライさせるものの、繋がれた3人は現実を受け入れる事が出来ず、絶望に暮れ、博士の言葉にも耳を傾けようとしません。
とりあえず、脅したりすかしたりしながら、前から絶対やってみようと思っていた「新聞を持ってこさせる」にチャレンジするものの、先頭に配した日本人青年による凄まじいの抵抗に遭い、飼い犬ならぬ飼いムカデに脚をかまれる始末。
ならば餌付けにチャレンジとばかりに、青年に餌を与えるものの、その残りカスしか流れてこない後ろの2人に栄養が行き渡るはずもなく、特に最後尾のギャルは日に日に衰弱してゆくばかり・・・。


ホントにね、見れば見るほど、ヨーゼフは本当に医師免許を持っているのか疑問になってくるのですけどね、おまえ点滴の量少なすぎだろ!  ちょっと考えればわかることでしょ! ひとは、排泄物だけでは、生きてゆけませんよ! 小学生でもわかるくらいの問題ですよ。まぁ、小学生に聞こうとは思いませんけどね!! あと、傷の処置も相変わらず適当ですよね。 抗生剤、ちゃんと入れてあげていますか? 小屋生活なので衛生状態も悪そうだし・・・。 イラっとするわ!この博士マジうつけだわ! 

雑ポイント・その5 「おまわりさんの扱いが雑」

明らかに実験失敗の香りが濃厚になってきたある日、博士の家のチャイムが鳴り響きます。
来訪者は2人の刑事。
近隣地域で頻発する失踪事件と、ハイター邸から女性の悲鳴が聞こえたという通報を受け、博士に事情を聞くべくやってきたのです。
地下の実験室にムカデ人間を隠し、平常心を保ちつつ受け答えしようとする博士でしたが、大声で助けを求め続けているであろう先頭青年と、痛いトコロをツッコミ続ける刑事たちに苛立ちが抑えきれず、口角泡を飛ばし激昂した挙句、勢いで一服盛ってしまうのでした・・。


自分が法を犯してしまっている時、一番気をつけなければならないのは何かというと、ズバリ「職質」ですよね。 ここで冷静さを欠いてしまったが最後、どんなに緻密に練り上げた計画も無に帰してしまうのが世の習いってもんじゃないですか。まぁ、ヨーゼフはちっとも緻密じゃなかったけども!終始行き当たりばったりだったんだけども!  で、計画が雑なら対応も雑なのがヨーゼフ的ライフスタイルな訳で、こともあろうに、やってきた刑事をムカデのパーツに加えてしまおうと考えてしまうのですよね。 おい!ヨーゼフおい! 特技は「一服盛ること」ですか! ノーモア自転車操業!!
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(余裕綽々と見せかけて・・)
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(アバババー ってなっちゃうヨーゼフ。 情緒不安定か!)


雑ポイント・その6 「ツメの部分が雑」

博士の対応のあまりな不自然さに、正式な捜査令状を持って再訪問すべく、一旦家を後にする刑事たち。
自爆行為で一気に窮地に立たされた博士は、愛するペットを連れなんとか逃亡を計るべく地下室に駆け込みますが、そこで待っていたのは、今まさに反旗を翻そうとしていた荒ぶるムカデ人間。
博士が刑事の応対に追われていた間、先頭の青年の機転により凶器を手に入れた彼らは、一瞬の隙をつき博士の脚をメスで切り裂いて、さらに喉元の肉を食い千切って逃走します。
無理な運動で開きかけた傷からは血が滴り落ち、最後尾のギャルは今にも息絶えそうな極限状態ですが、残された最初で最後のチャンスに賭け、一心不乱に地上への階段を登る3人。
そしてついに、下界へと続く窓ガラスへと辿り着き、鈍器でガラスを打ち破ろうとしたその時、彼らの耳は、満身創痍となった博士が体を引きずりながら、愛するペットが自由になるのを阻止すべく、歩み寄ろうとする音を聞きつけるのでした・・・。


うん、そっかそっか、メスで脚に深手を負わせて、喉元のお肉を食い千切って、そんで、そのまま置いて来ちゃったのか、博士を。 目の前に「刺して下さい」と言わんばかりに、無防備に倒れているにも関わらず、とどめも差さずに背中を見せて逃げて来ちゃったのか。うん、なるほどね、なるほどなるほどってアホか―――!!
お人よしか!人情味溢るる下町生まれHIPHOP育ちか――!!
 
いやね、そりゃ多くは望みませんよ、大変な時ですから。 しかし、この状況でのこのツメの甘さはマジありえない。スーパーガッカリイリュージョンにも程があります。  ソーヤー一家だってここまで雑な仕上げ方はしませんよ。いや、するか。



【結論・今回の雑仕上げ王 日本人ヤクザのカツローさん】
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(悪そなヤツは大体トモダチのカツローさん。 女性陣を率いて奮闘しましたが、雑だったせいであと一歩及ばずの巻。)



と言う訳で、巷で話題騒然だった新世紀のカルト映画『ムカデ人間』を鑑賞しましたよ!
どこにだしても恥ずかしくないヘンタイの極みのような内容で、鑑賞後のお客さん同士が「うへぇ・・・」と心を一つにする事が出来る、貴重な映画だったと思います。
上記のあらすじ(というか雑ポイント)は、大体の方のお察しの通り、かなり茶化して書いておりますが、実際の作品は尋常でない緊張感に包まれ、登場する博士の“マジモン”じみた眼光と、恐れや不安や憤りや絶望をまくしたてるカツローの“生きた日本語”とが相まって、それはそれは“笑えない”作品となっておりました。
どう見てもやりすぎな部分や、あまりにもありえない展開に対し、最初は「バッカでぇ・・・」とクスクス笑いを漏らしていたものの、徐々に「あ・・ええと・・これ、笑ってもいいんだよね・・・」と心がざわざわしてしまう、そのバランス具合がすごくアレだなぁ、と思いました。なんというか、攻め上手だなぁ、と。
ソーヤー一家のお話(悪魔のいけにえ)で例えるならば、森の中をチェーンソーを持ったスーツ姿の大男が追いかけてくるというシーンにおける、耳元に迫るチェーンソーの轟音の恐ろしさと、そのへんてこな扮装のちぐはぐさ。
もしくは、頭がおかしい一族が勢ぞろいして食卓を囲むシーンに感じた、閉鎖された空間を満たす圧倒的な狂気と、よぼよぼのおじいちゃんがトンカチを持っては落とすというコントのようなやりとりの異様さのような、「怖さ」と「アホらしさ」の絶妙なバランス。
どちらかに傾いていない分、鑑賞中は気持ちがぐちゃぐちゃとかき乱され、「なんかもうとんでもないのを観てしまったよ・・・」という強い印象を植え付けられてしまうのですよね。
怖いだけの映画も、バカなだけの映画も沢山ありますが、こんな風に「弄ばれる」系の映画はホントたちが悪いと思います。 
お陰でまた、忘れられない映画が一本増えてしまったではないか・・。
しかも、メガフォンを撮ったトム・シックス監督によると、このシリーズは全3部作をもって完結する一大叙事詩になる予定とのことなのですよね。
な、なによ・・このヘンタイ! 続編なんて、ぜ、絶対に観てあげないんだからね!


てな具合に、なんだかんだいって大いに楽しく鑑賞させて頂いたアガサなのですが、ちょっとだけひっかかった所がありまして。
クライマックス、囚われの身だったムカデ人間の皆さんはハイター博士との死闘を経て、鍵のかかった邸内からの脱出をはかるのですが、あと僅かの所で深手を負った博士に追いつかれてしまいます。
ここで、先頭のヤクザ青年による最後の闘いが繰り広げられるのかと思いきや、なんと彼は、自ら死を選んでしまうのです。
背後の博士に向き直り、とうとうと思いの丈をぶちまけた後、「人間のままでありたい」と言い残しガラスの破片で喉元を掻き切る青年。
アガサには、この展開が物凄く唐突に感じられてしまったのですよね。

本編は、それからまたさらに刑事と博士がすったもんだやりあった後に、一人残された真ん中(ムカデパーツの)の女性が鏡に映った我が姿を見て、そのあまりのおぞましさに慟哭する画で幕を閉じます。
もしかしたらカツロー青年も、博士に向き直った瞬間、鏡を見てしまったのかもしれない。 そして、もはや人間とはいい難い形状になってしまった自分の、魂だけは人間のまま死にたくて命を絶ったのかも。
しかし、もしもそういう事だったのなら、そこに至るまでに彼らが自らの姿を見てしまうシーンが無い方がよかったのではないかなぁ・・と思ったのです。(※テンションの上がった博士によって、手術直後からバンバン鏡を見せられたり写真を撮られまくっておりました)
薄々気付いてはいたものの、具体的に自分たちがどうなってしまっているのかを知らないからこそ、必死になって生き残ろうとし、でも、そんな努力も虚しくなる程の現実を目にしてしまった為、尊厳を保ったまま命を絶つ。
そういう事だったら、カツロー青年が選んだ最期も、強い説得力を持って心に響くと思うのですよ。

あるいは、あの選択は、「ペットのままでは死なない」という、博士に対する最後の反抗でもあったのかもしれません。
そうだったとしても、彼らに追いついてきた博士のあの「堂々たる死にかけっぷり」を目にしてしまうと、「絶望するにはまだ早い!」と思わずにはいられないのですけどね・・。
なんかもうアレなのかな。 トムは「ジャパニーズ!サムライ!ハラキリ!」ってやりたかっただけなのかな・・と思ってしまったり。
いい意味で予想外の展開だっただけに、なんかちょっと残念でしたねぇ。

まぁね、全編にぎっしりと詰め込まれているツッコミポイントに比べれば、ちっちゃい問題ですけどね!そんなこたあ! 
そっか、気にしたら負けか! よし、忘れよう!

真人間のお友達や知り合いにはちょっぴり紹介し辛い、個性豊かな作品ですが、少々のことなら大らかな気持ちで見守れる、違いの判る大人の方にはどんどんお薦めして行きたいものですね。
あと、「ホラーなんかにメッセージ性もへったくれもあるもんか」とお怒りの皆様には、是非この作品をご覧頂き、「スペアタイヤのつけ方くらいは覚えとこうよ」という教訓を受け取って頂けたらと思います。
あのね、たぶん車の後ろの方に入ってるから。
ギコギコ持ち上げるヤツとクルクル回すヤツとセットで、まず大抵の場合入れてあるから。
「タイヤを替えるのは男性の仕事」などという甘い時代は終わった!
時代はDIYですよ奥さん!




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『インシディアス』

2011年09月16日
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よくね、「ホラー映画をカップルで観に行く」みたいな話を耳にするじゃないですか。「デートムービーに最適」みたいな。
10代の頃から、デートと名のつくシロモノとは一切縁がなかったアガサにとっては、そんな話全く現実味を帯びていない、いわばある種のファンタジーみたいなものでして、今日もひとりで映画館にいそいそと出掛けて行った訳なのですが、たまたま隣の席に座っていたのが、なんというか、センスのよさそうなメガネ青年でしてね。
で、映画本編も、コレが結構心臓破りの丘的な、ハートブレイクな刺激溢れるホラーだった為、お恥ずかしい話、所々「キャー」みたいな、「ビクン・・はうう・・」みたいな、思わず隣の席との間に位置する手すりに、先客があるのも忘れてしがみつきそうになってしまってですね。
鑑賞中はほとんど意識していなかったのですが、やっとこさエンドクレジットが終わり、場内に明かりが灯った瞬間、「ホウ・・」とためいきが漏れてしまって、しかもそれが隣の席の青年と同時だった為、思わずクスッと笑ってしまったら、その青年が「けっこう・・こわかったですね」と話しかけて来て、私も思わず「そうですね・・でも、おもしろかった!」と返したら「そうそう、後半の展開なんかすごく独創的でよかったですね」と会話が続いて、アレ?なんかこれって、すごく趣味が合いそうな人なんじゃね、みたいな、しかもメガネみたいな。 そんな風にドキドキしてしまって、目を上げられなかったのですが、「あのー、いつもここに観に来られてるんですか?」と聞かれたので、意を決して「あ、はい」と顔を上げたら、そのメガネ青年もすごく恥ずかしそうに笑っていたという夢をみました。  そうです。いわばある種のファンタジーです。

ホラー映画を観に来るカップルは、帰り道で双方ともガム踏め。


あらすじ・・・
夢のマイホームを手に入れ、幸せいっぱい夢いっぱいのジョシュとルネ夫婦。
しかし、引越しの荷物の紐を解ききらないうちに、彼らの幸せは打ち砕かれることに。
最初に起こったのは、ポルターガイスト。
誰も触れていないはずの本が床に落ちる。誰も居ないはずの場所から物音が聞こえる。
不審に思いながらも、深く追求しようとしなかったルネだったが、そんな矢先、屋根裏部屋を探検していた長男・ダルトンが梯子から転落し、昏睡状態に陥るという不幸な事故が起こってしまう。
精密検査を受けさせたものの、はっきりとした原因が特定されず、何の治療法も見つからないまま自宅でダルトンの介護を始めるルネ。
日に日に疲弊してゆくルネに追い討ちをかけるように、怪奇現象は激しさを増し、ついに一家は家を捨て居を移す事を決意するのだが・・・。
彼らを襲うモノの正体とは?
その本当の狙いとは一体?


というわけで、『SAW』の生みの親であるジェイムズ・ワン&リー・ワネル・コンビの最新作『インシディアス』を観て来ました。
ちなみに、本作にプロデューサーとして参加しているのは『パラノーマル・アクティビティ』のオーレン・ペリ。
ホラー映画史に燦然と輝く、「少ない元手でがっつり稼いだ映画」ツートップがタッグを組んでお送りする、夢の一大プロジェクトがここに・・・!

・・・
・・って、ここに『ブレアウィッチ・プロジェクト』のダニエル・マイリックさんとエドゥアルド・サンチェスさんが呼ばれなかった理由って何なのでしょうね・・・ なんだろう・・この「同窓会に一人だけ呼ばれなかった感」は・・・。 奥さん、シビアな世界でっせ!ショービズ界は!
ま、それはさておき、そんな旬なみなさんが「オレ流ポルターガイスト」を目指したであろう本作は、古典的なびっくらかし手法を使いつつもそのストーリー(※特に後半)は新鮮な驚きに満ちており、今までになかったオカルト映画に仕上がっていたのではないかと思います。

新しい家というのは、明るい未来を感じさせると共に、不安の象徴でもある。
住み慣れた家にはない緊張感と、新参者扱いされているという疎外感。
そんな「ちょっとした不安」を、子ども部屋に置いたベビーモニターから聞こえる謎の雑音や、2階の窓の外に浮かび上がる青白い男の顔、廊下の隅に佇むレトロな身なりの双子などのショックシーンで煽りたて、さらに「子どもを付けねらう邪悪な存在」によって絶望へと叩き込む一連の流れはとても素晴らしいと思いますし、その直後に「いや・・でも今の双子けっこう老けてたよなぁ・・」「どんだけノリノリに踊るおばけやねん」「ていうかおばけ出て来すぎだろ」と(心の中で)突っ込ませる事で「恐怖と笑い」のバランスをとっているのも見事だと思います。
いかにも曰く有りげな置時計や、ドアの陰で揺れる木馬、スケッチ用の木炭やレコードプレイヤーなどの小物の使い方が秀逸だった他、おどろおどろしく奏でられる弦楽器とピアノの不協和音も実に効果的で、「じんわりとヤな感じ」を上手に醸し出していたのではないでしょうか。
いや、オレは最初からわかってたよ! ワンとワネルはできる子だってさ!

物語はクライマックスへ進むにつれ、徐々に「恐怖映画」から「お祭り映画」に様変わりし始め、キーパーソン的おばけとして登場する“赤と黒に塗られた顔を持つ悪魔”は、頭はハゲ散らかしちゃってるわビジュアルはまんまダースモールだわ、主人公・ジョシュを幼少期に悩ませていた“老婆型おばけ”も、これまた周囲の皆さんが「老婆が・・老婆が・・」と呼んでいる割にはどう見てもおっさんにしか見えないわで、怖いのかオモロイのかわからなくなってしまいます。
どちらのおばけも、初登場シーンの超おっかない様相から一転、一気にお笑い方面へと堕ちてゆく様がなんとも味わい深いです。
その他のおばけも、コスプレの種類は違えどみな一様に老け顔で、若干ズレ気味のつけ睫毛と過剰に塗りたくったドーランが、中の人の実年齢と相まって、えげつない程グロテスク(醜悪)な美しさを生み出しているトコロがステキだと思いました。
みんなホント、いい表情(かお)しててさぁ・・ なんかもうそのままみんなでUSJのナイトパレードに繰り出したいような気分ですよ!


でね、ちょっとばかし話を戻しますけどね。 
要は、百歩譲ってホラーをカップルで観に来たとして、それで何がどうなるんだって事を、ぼくは言いたい訳なんですよ。(←かなり戻ってる)
ビックリさせるような過激なシーンがありました、はい、案の定ビックリしました、はい、隣の男子にしがみつきました。 「キャー」つって。 「やだー」つって。
おい!目を覚ませ! それでおまえは満足なのか! と。
本当の恐怖に出会った時、そばにいる男子に頼って、なんとかしてもらって、そうやってのらりくらりと過ごしてゆくだけの人生でいいのか? と。
だけじゃない。 だけじゃないよ、テイジン。
困難な時こそ、誰かに頼るのではなく、自分自身で解決方を見つけなければならないのではないか。
「あたしよわいんですう」と泣きべそを書くだけの人生でいいのか。 否!ノーだ!
究極の恐怖に直面した時、そばにいる男子にその豊満な乳を擦り付けても、そこには何も生まれない! いや、生理学的反応は生まれるけども!ニョッキン7!そうじゃなくて!
勝利は、自分のその手で掴みとらなければ、真の勝利とは呼べないのだよ!

実は、本作に登場するルネも、まさにこの「あたしよわいんですう」タイプでありまして、ポルターガイストが多発し、あまつさえモノホンの幽霊まで出現し始めた最中、彼女は夫のジョシュに「はやく帰ってきてよ!」とかえれコールを頻発。
子どもの傍から離れ、家の外でジョシュを待つという暴挙に出ます。
もうね、ちょっと待てと。
おばけがウロウロしているって非常事態時に、幼い子どもの傍から離れるんじゃないよこのゆるふわ主婦、と。
とりあえず、アガサだったら子どもを一部屋に集めて、そこをベースに防衛網を敷きますよね。そりゃもう徹底的にやってやりますよ、ぼくは。
まずは、ジャパニーズのトラディショナルな手法「塩」を撒きますよね。 そこに西洋の手法から「聖水・十字架・おまじない」を拝借。小学生の頃日曜学校に通っていた経験は伊達じゃないってトコを、おばけの連中に思い知らせてやりますよ。 まぁ、実際は献金用に母から貰ったお金を駄菓子屋に横流しする為に通っていたようなものなんですけどね。大事なのは気持ち!「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じぬく事」、それがいちばん大事!

あとはまぁ・・何か適当に・・お線香を焚くとか・・ほら、あの、お椀みたいな鉄のやつをチーンって・・織田無道みたいなジャラジャラを首にまいて・・「キッ」って・・精一杯がんばる方向で・・。
・・と、とにかく、男手に頼る前に、自分で抗戦しないとダメだった事をね、どうしてもお伝えしておきたかった。それだけなんですよ。  カップルでホラーを観に来ているという状況が妬ましいとかじゃない、断じてない。 あー1人でホラー観るの超たのしー。

と言う訳で、お母さん方の頑張りが圧倒的に足りない点がやや不満ではありましたが、二転三転するストーリーやグっとくるオチも含めてとても面白い作品だったと思いますので、機会がありましたら、是非。



― 追 記 ― (※オチバレ含む)


・ よくある「幽霊屋敷モノ」なのかと思いきや、物語の終盤、全ての凶事は少年の「幽体離脱体質」が招いたのだということが明らかになります。 
つまり、少年はもともと頻繁に観光気分で幽体離脱しており、その最中「この世とあの世の境」に迷い込んでしまった

魂がお留守で、空き部屋状態になった少年の体

その体を拝借して現実世界への復帰を果すべく、様々な幽霊が家に集まってきた

「ちょっとまて、そこわしが入居する!」とばかりに悪魔までやってきた ←イマココ
というコトなのですが、なにその賃貸物件感覚! 30年一括借上で安心か!託してみますか! みないよコンチキショウ!

・ で、まんまと老婆に借上されてしまったお父さん(同じく幽体離脱体質)。 

・ まぁね、でも、老婆といっても、限りなくおっさんに近いおばさんでしたし、ここは思い切って、しっかり話し合って仲良く暮らして行けるように頑張ってみてはいかがでしょうか。   

・ 幽体離脱といえば、昔アガサが読んだ本に「夜仰向けに寝転んで、うとうとして、深い眠りにおちる瞬間を見計らってガバアッって起き上がったら見事に魂だけが分離できますよ」というザックリとした幽体離脱法が載っていたのですが、どうしてもそのタイミングがわからないのと、なんだかんだいっても怖いのとで実践した事はありません。 もしよかったら、どなたか一度試してみてください。(←おっかないので丸投げ)

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『THE JOYUREI ~女優霊~』

2011年08月23日
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あらすじ・・・
エキセントリックなひらめきで、処女作をメガヒット作品へと導いた若手映画監督のマーカスは、病に伏す最愛の恋人が気がかりで仕事に身が入らない。
情緒不安定なままメガフォンをとった第2作は見事に失敗。
後がなくなったマーカスは、新たなひらめきを具現化すべく、プロデューサーのジョッシュを説き伏せルーマニアに向かう。
そこで彼が撮影しようとしていたのは、1928年に撮影されるも未完のままに終わった伝説の映画のリメイク版。
しかし、中世のルーマニアで実際に起こった「少女惨殺事件」をもとに製作されたその映画には、恐ろしい呪いがこめられていたのだった・・・。



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(※ エイセントリックな怪電波ひらめきを受信中のマーカスさん。 真性です。)

Jホラーブームの先駆けであり、伝説と呼ばれる最恐ホラー『女優霊』。
いまだに、多くの人の心の中にトラウマムービーとして深く刻み込まれているかの名作を、ハリウッドが満を持してリメイク!  ・・・という話は聞いていたのですが、なんとなく地雷臭がふんぷんと漂っていた為二の足を踏んでいたアガサ。
このたび、WOWOWさんによる「オリジナル版と連続上映」というナイスな抱き合わせ放送のお陰で、無事鑑賞の運びとなった訳なのですが、正直コレ、予想を裏切る出来でしたね! ええとね、ええとね、よくも悪くも予想外!

オリジナルからそのまま頂戴したのは、
・ 撮影中に起こる怪奇現象
・ 撮影済みのフィルムに映りこんだ昔の映像
・ 全力でバンザイしすぎてテンションおかしくなっちゃったみたいな例のポーズ(落下死体)
くらいで、後はほぼオリジナルストーリー。 
いやぁ、リメイクというからには、もうちょっと沿った内容だと思いましたよ。『リング』もそこそこ沿ってましたし。それなのに開始早々ルーマニアに移動するとか!チャレンジャーきたる!!!
ただ、その後の展開はというと、オリジナルと言っても初めて会った気がしない、いわゆる既視感満載のアレなんですけどね。ほら、悪魔が出てきたり悪魔の子が出てきたりって言うよくあるアレ。

冒頭、テロップにて「中世ルーマニア。シャビーという女性が悪魔と取引をして産んだとされるマーティアという少女が、恐怖にかられた村人の手により惨殺され、その後悪霊となった彼女は村に呪いを(ry 」という超ありがちな説明がなされた時点で、既に1本映画を観たような気持ちになってしまったアガサ。
まだだ・・ まだ始まってもいないんだ・・・! と自分に喝をいれ、片足スクワットをしながら鑑賞していたのですが、次から次へと飛び込んでくる情報を整理しきれなくなってしまい、途中からグルーヴ感だけで乗り切る羽目に。

ちなみに、その情報はどんなものなのかというと、
・ 主人公の恋人が不治の病っぽいんだけど、何か重大な秘密を隠しているっぽい
とか
・ 主人公は処女作に続く第2作目の撮影中に大失態をかましたっぽい
とか
・ 1928年にルーマニアで撮影された映画は5人くらいしかスタッフいなかったっぽい。ていうかそれ自主映画なんじゃねえの
とか
・ そもそも中世ルーマニアで血祭りにあげられた少女は濡れ衣ではなくマジモンで悪魔の子だったっぽい
などなど、ぽいぽいだらけの雰囲気番長状態なものですから、これがまた、病気ネタをひっぱりたいのか、主人公の電波っぷりに焦点をあてたいのか、はたまた悪魔方面に舵をきりたいのか、非常に理解し辛いのですよね。

観ている私たちは、一体何を怖がればいいのか。
主人公が災いの渦に巻き込まれていく様に恐怖すればいいのか。
悪魔の存在に恐れおののけばいいのか。
それとも、なんでこんな脚本がまかり通ってしまったのか、と、ハリウッドの常識というものに肌を粟立たせればいいのか。
こわい、こわいよ父さん。ぼくは「大人の事情」が心底こわいよ。


アガサがオリジナル版『女優霊』に感じたのは、「不確かなもの」と「得体の知れないもの」に対する恐怖でした。
自分の中にある「記憶」。 それは実在するものなのか、それとも幼い頃生み出した想像なのか。
オリジナル版『女優霊』の中で、主人公の映画監督は自分が幼少期に観た映画の1シーンの記憶に翻弄されてしまいます。
確かに観たはずなのに、それを証明する手立てがなく困惑する主人公。
実はアガサにも、5~6歳の頃テレビの深夜放送で「観たはず」の映画がありまして、その断片は今でもはっきりと覚えているものの、それが何の映画の1シーンだったのかは未だにわかりません。
その場に一緒にいたはずの母親に聞いても「そうだったかしらねぇ」というぼんやりとした答えしか得られず、思い出そうとすればするほど記憶は濁り、曖昧になるばかり。
そもそも、観たと思っている場所が正しいかもわからず、観たと思っている時期も不確かで、あれらは全て、自分の脳が作り出した想像なのかもしれない・・・と自信をなくした瞬間、では幼少期の自分の記憶はどこまでが事実でどこまでがそうでないのか、と無間地獄に落ちてしまいそうになる。
「記憶」に対する自信が不確かなものになった時に感じる不安。 
そういったものが、とても上手く描かれていたのが、オリジナル版だったと思うのですよね。
ちなみに「得体の知れないもの」は、その名の通り得体の知れない笑い上戸のオバケな! なんなのアレ!ホントこわいから!笑うの禁止にしようよマジで!

このリメイク版には、オリジナル版にあった「不穏な空気」も無く、「得体の知れない存在」も無く、「漠然とした不安」も無く、ただただ派手に飛び交う蝿の群れや死体の山を築く為だけに死んで行く登場人物があるのみなのですよね。
で、その代わりにとばかりに、オリジナル版の「謎を含めた終わり方」だけを再現すべく色々な「っぽい」ことを詰め込んで、「ホラーっぽいのが出来ましたよー」っつってお前はホラーというものが何もわかっちゃいない・・・! 
・・ホントにさぁ・・・なんていうか・・ おまえバカ!!!


と言う訳で、恐さもへったくれもなかった本作ではありましたが、塩コショーで焼いただけのでっかいステーキのような、大雑把だけど満腹感たっぷりな部分もありまして。
特にアガサが好きだったのは、呪いのパワーでパニック状態になった映画クルーが、「こんな仕事やってられっか!!」とばかりに機材を担いで現場から立ち去ろうとするシーン。
伝説の恐怖映画のリメイクを撮る、と海外まで呼び出されたはいいけれど、スタッフは次々死亡&失踪するわ、監督は撮影中にも関わらずエキセントリックに白目を剥くわで心底疲れ果て、ついに職場放棄に踏み切った撮影班一同。
さじを投げるだけならわかるのですが、なんかもう異様にてんてこまいになっておりまして、呆然とする監督を尻目にカメラは放り投げるわ、スタッフ同士で乱闘を始めるわ、刃物を持って監督に襲い掛かるわ、車を強奪すべく窓ガラスはかち割るわ、完全にヒャッハー状態なのですよね。 いや、自分の車に乗り込めばいいじゃん!鍵開けて乗り込めばいいじゃん!
そこに至るまでの雰囲気と全く異なるテンションで繰り広げられる世紀末撮影現場列伝に、思わず前のめりになってしまいました。 こういう予想外は大歓迎ですよ!

長い期間を経た後に、改めてリメイクを作る必要がどこにあったのか・・、と、素朴な疑問は尽きないのですが、オリジナル版にあった丁重さを全て取り除き、全編クライマックスみたいなトンデモホラーもどきに仕立て上げた点は逆に潔いような気もしますし、とにかく、先述のヒャッハー展開とクライマックスの大出産シーンは爆笑間違いなしの名シーンですので、スキモノの皆様は一度お試しになってみてはいかがでしょうか。強くおすすめはしませんが。


― 追 記―

・ 部屋の中に肥だめ!!!

・ この手のホラー(怨霊系)は、「不当な理由で殺された事による報復」なコトが多いのではないかと思うのですが、本作は「悪魔の子と疑われて殺された少女が本当に悪魔の子だった為、悪魔が全力で村に呪いをかける」という、要約すると「ものすごく気の毒な村のお話」なんですよね。 ええと、ええと、色々と不条理!

・ で、「その話をもとに映画を作ろうとするも、現場にも呪いがかかっていて製作が進まない現象」が1928年と今回の2回に渡って起きてしまうのですが、悪魔が実際のトコ何をしたかったのかさっぱりわからないという罠。

・映画に携わる関係者の中から悪魔の里親を選び出し、子を育てて貰うのが目的なんだったら、映画の撮影を邪魔する必要ないですし。  むしろ、悪魔的におもしろい映画に仕上げて、ロケ地めぐりとか活発にさせて、押し寄せた映画のファンの中から里親候補を選ぶ方が楽そうですしおすし。

・ ていうか、フィルムに映りこむの、女優霊じゃないよね。(ダミアン的な霊ですよね)

・ クライマックスに用意された一番のショックシーンは、主人公の前に勢ぞろいした悪魔関係者による里親要請シーン。
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「悪魔の子を肉腫の中で育ててください」

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「いやです」

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「わるいようにはしませんから」

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「ホントにいやです」

・ 『E.T』のヘンリー・トーマスが出ている事に早い段階で気付いていたのですが、心のどこかでそれを認めたくなくて、エンドクレジットまで「いや、でもそっくりさんって可能性もあるから・・」と自分に言い聞かせていた私の気持ち、どうかわかってください。

・ 原題は『Don’T LOOK UP』だったのですが、正直いまだに意味がわかりません。 2階に肥溜めの部屋があったから、そこを「見ちゃダメー」って事だったのか・・・ (でも数百年前に悪魔の子が殺された場所って、屋外だったみたいなんだけど・・) 

・ ガニ股の合間から生まれかけの赤ちゃんをブラブラさせた状態の怨霊が出てきて「ガオー」ってなった瞬間、「まけた・・・」と思いました。 この勝負、わしの完敗じゃ・・・!(何の勝負なんだよ)

・ 日本版のポスターの「それはけっしてみてはならないもの・・」という煽りを鑑賞後に見ると、なんというか、非常に感慨深いですな! なんや!自虐ネタか!!


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『ジェイソンZ』

2011年05月30日
マジンガーZ、Zガンダム、ドラゴンボールZ、ももいろクローバーZ・・・

歴史を彩る様々なヒーロー(ヒロイン)たちが集いしZの系譜に、新たな名前が刻まれた。

今、最終にして最強のダークヒーロー伝説がその幕を開ける。

その名は・・・

ジェイソン
殺(や)っても殺(や)っても殺(や)って来るんだってさ!! はいダジャレきたー!

あらすじ・・・
諸事情で閉鎖されたスキー場に勝手に入り込んだ若者たちが、世にもおっかない殺人鬼に追い掛け回されます。

もうねぇ、要するにいつものアレですよ!
「食べちゃう系」「売っちゃう系」「田舎コワイ系」「リア充憎い系」でいうトコロの4番目。もげろ!盛大にもげろ!というアレ。
主人公の青年は、沢尻エリカさん似のスーパービッチに弄ばれ中。 
そんな時、エリカさんのお父さんがとあるスキー場を買収することになり、どうせ買っちゃうんだったら事前にスノボしに行っちゃおうよ、とばかりにお友達一行を引き連れて山岳地帯へと繰り出すのですが、地域住民のみなさんはスノーボーダーに激しい拒絶反応を示しているらしく、行く先々で「スノボ族は帰れ」「悪いことは言わないから引き返せ」の大合唱。
で、もちろん田舎くさいカッペのご意見など右から左へと華麗に聞き流す一向ですので、辿り着いたスキー場で次々と血祭りにあげられる訳ですね。
いちゃついたらスコップで叩かれ、いちゃついてるのを覗いてたらアイスピックで刺され、いちゃつきかけたらスキーのストックで目ん玉をほじくり出され、あとは首が飛んだりくびがとんだりクビガトンダリしまくる。ただそれだけのお話です。

寒いところが舞台だから、なんとかこじつけてホッケーマスクが出てくるのかも・・。
そんな淡い期待は雪のように儚く溶け、予想通り、ナタも振り下ろされる事はありません。
ではなぜ、『ジェイソンZ』などというタイトルがつけられたのか。
不死身の殺人鬼もクリスタルレイクも出てこないこの茶番劇に、さも尤もらしいタイトルがつけられたのは、一体何故なのか。
そりゃあなた、登場人物にジェイソンさんがいるからに決まってるじゃないですか!
もうね、世界中で「ジェイソン」ってファーストネームを持つのがボーヒーズさんだけだなんて思ったら大間違いですよ!
ほら、ジェイソン・シュワルツマンさんでしょ、ジェイソン・ステイサムさんでしょ、ジェイソン・リーさんでしょ、ジェイソン・チャンさん、ジェイソン・チューさん、ジェイソン・チョンさん、ジェイソン・ツァンさん・・まあとにかく、ぎょうさんおるんですよ!(←興奮のあまり岡山弁)
それではここで、登場人物のお名前をチェックしてみたいと思います。


ジェイソン2
サラリーマンのコールさん。


ジェイソン8
全米で1、2を争う、トップ・スノーボーダーのカークさん。


ジェイソン4
映像作家志望のスカイラーさん


ジェイソン3
北欧から来ました・クリストフさん


ジェイソン6
セクハラだいすき保安官のトニーさん。


ジェイソン5
近所の酒屋のおやじ・バドさん。


ジェイソン7
スノボが大嫌いな除雪車の運転手さん。(脇役につき名前表記なし)

・・・

みんなー!「ジェイソン」いなかったよ!(だろうと思ったけど!)


まぁね、全く関係ないのに似たような名前なんてお話は、なにも今に始まったわけではなく、日の当たらない亜流ホラーに少しでも注目を集める為、苦肉の策として「パラノーマル」とか「オブザデッド」とかつけるのはお馴染みの手法ですものね。
本作にしても、本家の正当な続編『ジェイソンX』の隣にちょこんと置かれる事で、うっかり者の誰かさんのお宅にお邪魔できるかもしれませんし。
オレじゃない。オレはうっかり者じゃないよ。ほんとだよ。

特に際立つようなゴア描写がある訳ではなく、ストーリーにびっくり仰天するようなドンデン返しがある訳でもなく、粛々といつものアレが繰り広げられるだけの本作なのですが、とりあえず製作者の「スノボみたいなチャラついたモノやってる奴らは全員もげてしまえばいいんだ!」という強い情念だけは伝わってくると思いますので、ゲレンデで溶けるほど恋して痛い目に遭った事がある方々は、一度ご覧頂ければなんらかの溜飲が下がるのではないでしょうか。 

ジェイソン1
いちゃついて惨殺されてゆく登場人物の中、一人だけこれといった原因もなく勝手に自滅してしてしまったロビンさん。(画面後方)
このロビンさんのぶら下がり姿がなぜか執拗に映し出されるトコロに、製作者の底意地の悪さを感じたアガサだったのでした。 こういう性根の悪さ、きらいじゃないですよぼくは。


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