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『ワナオトコ』 『パーフェクト・トラップ』 2本立て

2013年10月24日
シリーズ第1弾『ワナオトコ』

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作品概要・・・
リフォーム【reform】
① 改正。改革。改良。改善。
② 作り直すこと。洋服の仕立て直し。また,建物の改築。
                            (※大辞林 第三版より)

工事一覧・・・
・ 玄関の鍵を交換
・ 勝手口の鍵を増設。
・ 階段の踏み板には忍び返しのレプリカ風クギをアクセントに・・。
・ 全ての窓に羽目板をセット。
・ 受話器の耳側に長めのクギをイン。
・ 玄関ホール(シャンデリアの蝋燭を包丁に変えトラッド感をアップ)
・ 居間①(ハサミと連動するワイヤーをクリエーション。巻き上げられた人間が壁一面打ち付けたクギに衝突するシステムです)
・ 居間②(床一面にトラバサミをレイアウト)
・ キッチン(ワイヤーつきの肉切り包丁をあえて見せる配置で)
・ 廊下(クギを打ち付けた板と足元に張ったワイヤーを連動させ、ちょんって当たったらバーンってなるようにコーディネート)
・ 部屋①(ゴルフバッグとワイヤーを連動させ、中のクラブを引っ張ると足元のワイヤーが締まり、そのまま天井から逆さに釣り下げられるシステムを設置。ちなみにワイヤーは3秒後に切断され落下するという遊び心も)
・ 部屋②(天井から釣り針のついたテグスを暖簾状に垂らしミニマムなオシャレ感をアピール)
・ 部屋③(縦横無尽に張り巡らせためちゃくちゃよく切れるワイヤーで、非日常感を演出)
・ 部屋④(フローリングを超強力接着剤でコーティング。ギロチンつきの窓枠で気分はロココ調)
・ 地下室(コンセプトはずばり拷問部屋。 重厚感溢れるアンティークチェアと最新鋭なPCを並べるというアンバランスなレイアウトが魅力です)

工期・・・
約6時間



・ 超仕事の早いおじさんが、たった数時間で豪邸の全部屋をリフォーム。 そんなこととは露知らず、物取り目的で不法侵入してきた内装業者を、見事返り討ちにするというお話です。まぁ、おじさんも不法侵入者なんだけども。

・ 物取り目的の内装業者さんは、色々と訳あって、今夜の夜中12時までに大金を用意しなければ女房子どもがひどい目に遭わされる運命にあります。 で、忍び込んだ先のおうちには、頭のアレなワナおじさんと純真無垢な女の子が・・・。 

・ ということで、愛する娘とその娘と同世代の女の子のどちらを優先するか、内装業者さんはおとこの瀬戸際に立たされてしまうのでありますな。 ここいらへんのせめぎ合いが実におもしろかったです。

・ リフォーム終了日の夜から旅行に出掛けようという、お金持ち一家の落ち着きの無さもさることながら、とにかく本作の見所はワナおじさんの匠の技に尽きるわけでして。 作業の終了を、まぁ一般的な目安から夕方5時としまして、ほんで作業員のみなさんが全員撤収したのを見計らって、一家を地下室に縛り上げリフォーム開始。 内装業者さんが忍び込むのが午後11時すぎなので、その間多めに見積もってもわずか6時間弱ですよ。 たったひとりで出来ますか。 出来るかっちゅうねん! でもやるんだよ!

・ 監督&脚本を担当しているのは、やけっぱちモンスター映画『フィースト』シリーズや、映画界のマルチ商法こと『ソウ』シリーズの後半を手がけたマーカス・ダンスタンさんとパトリック・メルトンさんだそうで、なるほど、使われなくなった動物園だの使われなくなった病院だのといった廃屋をどうやったのかさっぱりわからない謎工法で大幅リフォームしてきたジグソウおじさん(と、そのお弟子さんたち)の仕事っぷりを思えば納得の内容ですね。  つまり、そういうことですよ。

・ パトカーでやってくるおまわりさんは例によって例のごとく役に立たず、こうるさい女(しかも派手メイク)やおっぱい姉ちゃんなどの「定番人物」もきっちり登場。 イライラさせたりハラハラさせたりの緩急のつけかたが非常に優れており、惜しみないゴア具合にも大満足でしたよ。 撮影や編集もめっぽう凝っており、時折ハッとするような美しい風景なんかも飛び出したりして、物語にぐいぐい引き込まれてしまいました。

・ 劇中一切素顔を見せないワナおじさんも不気味で素敵でしたし、最後の最後にその正体が明かされた瞬間、思わずビデオを巻戻してもう一度最初から観たくなってしまうという仕掛けも、とても小憎たらしくてよかったですね。 今回久しぶりの鑑賞だったのですが、またもやまんまと巻戻してしまったわたしです。

・ いぬっころやにゃんこがすきな方には(悪い意味で)たまらない描写が出てきますので、くれぐれもご注意ください。

・ クライマックスは、お金持ちの女の子をなんとか救い出し、駆けつけた救急隊に保護された内装業者さんが、奥さんに「夜中までに宝石ゲットしたで!」と連絡をしようとした瞬間、再びワナおじさんにとっつかまって衣装ケースにねじ込まれた所で終了。という、悪く言えば続編を作る気マンマンな、よく言えば非常に興味をそそられるラストとなっております。 まぁ、このあたりも商売上手というかなんというか、さすがは映画界のマルチsh(略


シリーズ第2弾『パーフェクト・トラップ』

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(※おわかりいただけただろうか・・・)

作品概要・・・
リノベーション【renovation】
① 刷新。改革。
② 修理。改造。修復。
③ 既存建物を大規模に改装し,用途変更や機能の高度化を図り,建築物に新しい価値を加えること。
                           (※大辞林 第三版より)

工事一覧・・・
・ 秘密会員制クラブを大改造ビフォーアフター。
・ 空調から配管まで大胆に手を加えられたメインフロア。 どんな重機を使って搬入したのかさっぱりわからない巨大草刈マシーンが備え付けられた天井から、TPOに応じて血飛沫が降り注ぐアバンギャルドな設計です。
・ フロアから出口までの廊下には、壁と一体化した檻を完備。 ステンレス仕上げで錆びにくくなった圧縮機が、押し寄せた客を一気に数センチ程度まで押しつぶします。
・ 廃ホテルを新たなコンセプトのもと大胆改装。もちろん各部屋にワイヤーを基調とした仕掛けが満載。
・ 新たなコンセプト、それは「モノからヒトへ」。 無機質なクギやワイヤーだけではなく、さらってきた人間そのものを全面リフレッシュしてしまうという新発想。
・ 施工主がこだわりにこだわりぬいたという斬新なインテリアも必見です。

工期・・・
数ヶ月



・ 前回つかまった内装業者さんが、一旦逃げ出してもう一回つかまるお話です。

・ 内装業者さんは、冒頭シークエンスの舞台となる会員制クラブに餌として連れてこられます。 そして、おじさんの目論見通り草刈マシーンの起動に一役買うことになるのですが、その後辛くもクラブからの脱出に成功。 満身創痍になりながらもやっとこさ奥さんとの再会を果たしていると、謎の大富豪が現れて「きみのそのスキルを活かしてみないか」と打診され・・・  で、まぁ、あとはもう、なんというかほら、あなたの期待を裏切らないアレなわけですよ。

・ ただ、期待は裏切らないものの、良くも悪くも想定内といいますか、前作に感じた「すてきなサムシング」が見当たらなかった点が残念でしたね。 

・ あれだけ凝っていたカメラワークはすっかり無難なものになってしまっており、登場人物も増えたものの、その効能を感じられないうちにいともあっさり殺されてしまう有様。 何のために出てきたの? ていうか傭兵弱すぎだろ!

・ 幼い頃母を亡くした娘と、彼女のためなら法を犯すこともいとわない・・と心に誓った父親(とその信頼できる部下)。 彼らが醸し出そうとするドラマ性と、内装業者さんのそれとが全く噛み合いません。 というか、内装業者さん側は無いに等しい。 

・ 前作では、「自分の愛娘と同じくらいの年齢の純真な女の子」という重要ポイントがででーんと存在していたので、内装業者さんが命の危険を冒してまでワナおじさんに立ち向かう必然性がしっかり感じられたのですが、今回はそういう「強い動機」がありませんからねぇ。 クラブから逃げる際、目の前で見捨ててしまったという罪悪感だけで、あーんなことやこーんなことをされた場所に戻れるものなのか。 

・ そんなわけで、わたしには内装業者さんの行為が若干不自然に感じられたのですよね。 おもわず「ストックホルム症候群になってしまった内装業者さん、ついうっかりワナおじさんに弟子入りしちゃうの巻」なのかと勘ぐってしまった次第でして。 今回の黒幕は内装業者さんだったりして・・とかなんとか。 ええ、ソウの見過ぎです。 それはわかっている。

・ で、そんなどんでん返しがあるはずもなく、殺され要員はあれよあれよという間に串刺しとなり、マネキン色剥き出しな死体の山が映し出され、謎の人体アートや前衛的なビジュアルのゾンビ(拉致され改造された人たち)が大波小波のように寄せては返すうち、気づいたらエンディングを迎えていたという・・。 いや、悪かないよ・・悪かないんだけどさ・・・

・ トラップの量も死体の数も申し分ないのですが、なんかね、大味なのですよね。 前作で印象的だった「独特な美意識」や「雰囲気」が消え、代わりに「よくある拷問系ホラー」になってしまった。 鑑賞後、わたしの脳裏に浮かんだのは『ホステル3』でした。 (そういえばオチもよく似ている)

・ あまりによく出来ていた『ワナオトコ』を一度頭から追い出してしまえば、これはこれでおもしろかったと思いますので、いっそのこと別モノだということにしてしまってもいいのかもしれません。

・ まあね、というかワナおじさん別人ですもんね! 

・ まずは、上に貼り付けている2枚のポスターを見比べていただきたい。 ・・・おわかりいただけただろうか・・・使われている写真が酷似しているのでおわかりいただけないと思うが、今回なんと、ワナおじさんの毛根が息を吹き返しております!

・ もうね、超はえてっから。 ツルツルだったのが、ボーボーになってっから。 若干年齢も若くなってっから。 もはや別人になってっから、中も外も。 よかったね! なにがよかったのかわからないけど、とりあえずよかったね!

・ ついでに言うと、内装業者さんの奥さん役も別人になっておりました。 まあ、よくあることですよ。 マーティ・マクフライの恋人がいきなりエリザベス・シューさんになったりね、そういうことはこの世界ではよくあることです。 もう気にしない。 細かいことは気にしない。

・ だからみなさん、タイトルが『ワナオトコ』から『パーフェクト・トラップ』という全く関連性なさそうな邦題になっちゃってる点も気にしないでください。 配給が松竹からカルチュア・パブリッシャーズに変わっちゃったんですから、同じタイトルは使えないじゃないですか。 しょうがないですよ。 わかってつかあさいよ。

・ ということで、同じ人が作った正式な続編であるにも関わらず、作品のテイストもノリも随分と別モノくさい映画ではありますが、個々の単品として観ればなかなかゆかいなゴアホラーですので、邪悪なワクワクさんでも観るような気軽さでご覧いただければよいのではないでしょうか。 少し言及した『ホステル3』の5倍はおもしろいですよ。


    
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『REC/レック3 ジェネシス』

2013年06月11日
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(※正確にいうと、シェリー・デュヴァルたん系の女の子)

前作までのあらすじ
『REC』 (シリーズ1作目感想)
『REC/レック 2』 (シリーズ2作目感想)

あらすじ・・・
きょうはだいすきなクララおねえちゃんのけっこんしき!
だんなさまになるコルドさんはとってもやさしいナイスガイなので、おとうさんもおかあさんもあんしん!
あったことのあるしんせきはおねえちゃんたちをしゅくふくするために、あったことのないしんせきはタダめしをくらうために、やたらとノリのいいおともだちのみなさんは、あわよくばけっこんあいてをゲットしてやろうともくろんだりして、とにかくいっぱいおきゃくさんがきてくれて、えんもたけなわ!
おねえちゃんてば、コルドにいさん(キャっ!にいさんていっちゃった!)にはまだあのことこくはくしてないらしいけど、どのタイミングでいうつもりなんだろ!
もしかしたら、ひろうえんのさいごにつきものの「おなみだちょうだいコーナー」こと「りょうしんへのおてがみコーナー」で、なしくずしてきなかんじではっぴょうするつもりなのかしら!
ああ、それにしても、さっきからしんせきのおじさんがヘドロみたいなかおいろをしてゲボをはいてるのがきになるわ! よっぱらうにもほどがあるでしょ!
けさ「さっきいぬにてをかまれたんだけどたいしたことないよ!」っていきまいてたけど、ホントにだいじょうぶなのかなぁ!
ほらほら、そんなこというてるうちに、しんださかなのようなめつきになってきちゃって・・・
・・・しんださかな・・・
・・しんだ・・
・・・・ギョギョッ!? マジでしんでない?あれ!?


というわけで、スペイン生まれのPOVゾンビパニックムービー『REC』の第3弾、『レック3 ジェネシス』を観てみましたよ!
ポスターのビジュアルが非常に魅力的だった為、期待に胸を躍らせていたら全く違ったニュアンスの美女が出て来て戸惑ったりもしましたが、まぁ、とにかく観てみましたよ!

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(※ ポスターではこんな感じだったのが)
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(※ 蓋を開けてみるとこんなことに。)

まあね、まあね、ポスターと映画の本編が異なることなんて、そんなに珍しいことではないですからね!

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(※ トトロの初期ポスターなんてこの有様。さつきでもメイでない・・きさまッ・・・一体何者だッ!)


(※ 以下ネタバレ)


「とあるアパート」という限られた空間の中、ゾンビと一般人とSWAT隊員と神父さんが食うか食われるかの死闘を繰り広げ、その一部始終を偶然居合たカメラが撮りまくるという奇跡のシリーズ『REC』。
いや、ゾンビと書きましたが、実はその正体は過去2作において依然不明のままでありまして。
「感染者なのかゾンビなのか悪魔憑きなのか、って? ・・・それはですね・・・なんと言いますかね・・・つまりその・・・ ・・じゃあ逆に聞きますけど、どっちだと思うんですか?!え?!えぇ?!!」
という、理不尽なキレ方で終わってしまった過去2作品のオチは、今回バシッとついていたのでしょうか。
そんなこんなで、「アパートとは別の場所で起きた事件」という最低限の情報だけを頭に入れ鑑賞した本作は、オチこそついていないものの、ある意味期待どおりの、ある意味潔い、正統派ゾンビ映画だったのでした。

・ 潔さその1「POVじゃない」
「バッテリー問題」や「どうしてこんな状況下でまで撮影を?」などなど、何かとツッコミを受けやすいPOV方式を開始約20分で潔く放棄。 
導入部は今までどおりの家庭用ハンディカメラ目線ですし、POVをやめてからも突然ハンディカメラ映像になったりしますので、いちおう過去2作のニュアンスというか思い出は大切にしている、ということなのかもしれません。
まぁ、ややこしいだけだけどな!

・ 潔さその2「アンヘラたんじゃない」
過去2作のヒロイン・アンヘラたんがまさかの戦力外通告。
しかも前作のラストで悪魔っ子覚醒し、お客さんをドギー&マギーさせたにも関わらず。
どないやねん。
ただし、物語の中盤で、件のアパートがテレビで報道されているシーンがありましたので、アンヘラたんを投げっぱなしにしているのではなく、あくまで「あの一件と同時進行でこんなことも起きていたのですよ~」というテイなのですね。
まぁ、ややこしいだけだけどな!

・ 潔さその3「縦割り」
なにしろ、今回は「結婚式から一転、阿鼻叫喚の地獄絵図に」というシンプルストーリーですので、もっさりとした披露宴の最中におじさんがゾンビ化して以降は延々お肉の祭典状態な訳でして。
二手に分かれた花嫁チームと花婿チームが、式場の中、ゾンビをかいくぐりつつ再会目指して移動する。
そんな、今すぐXboxのソフトが出せそうな物語に華を添えようと、少なくない量のゴア表現が盛り込まれております。
チェーンソーを振り回す花嫁が、一度ならず2度までも気持ちのいい縦割りを披露してくれたことは、何かと締め付けの多いホラー映画に差し込む一筋の光のようで、私の心に活力を与えてくれたのでした。
まぁ、劇場公開時はどうだったのかしらないけどな!

・ 潔さその4「解決法が雑」
なんらかのウィルスに感染しているのか、はたまたピュアな悪魔憑きなのか、その真相は明らかとなっていないものの、ひとつだけ前作でハッキリしていたことがありました。
それは「やつらは聖書の一節を聞かされるとしおらしくなる」ということ。
正当な続編である本作でもその特徴はフルに活かされ、なんと式場の放送室から神父さんがありがたい説教を生ライブ! 即座にげっそりするゾンビ! まさに青菜に塩状態!
ちなみに前作の感想を読み返したトコロ、【いっそのこと、アパートの上空からゴスペルでも流してればいいんじゃねえの?】と書いていたので、わしの発想は間違ってなかった!ていうかそのまんまだった! やだーもー!パコ(パコ・プラサ監督)ったらー!うちのブログ見たでしょー!もー!

スピーカー完備の建物内はともかく、ほとんど音の聞こえてこない庭や駐車場のゾンビまでもがしょんぼりしているのですが、まあそこはご愛嬌ってことで! ささやく程度でいいんです! 要は気持ちの問題なんです! イワシの頭も信心からって言うじゃないですか!ちがうか!
まぁ、耳の遠いお年寄りゾンビには効果無いんだけどな!

・ 潔さその5「主人公も助からない」
最も潔いポイントは、主人公が迎える悲劇的な結末。
親切な友達を巻き添えにし、すべての招待客がゾンビ化する中、ミラクル連続で生き延びてきた新婚カップル。
何を隠そう、花嫁・クララのお腹には、授かったばかりの赤ん坊がいるのです。こんなトコロでくたばるわけにはいかんのです。
新婚かつ新米パパ&ママは大奮闘。
しかし、脱出途中で花嫁が感染してしまい、やっとたどり着いた玄関は政府によって完全封鎖されていました。
刻一刻と変化してゆく花嫁を前に、夫がとった行動は、観る者の胸を打つことでしょう。
「もしも愛する人がゾンビ化したら・・・」
『REC3』のラストは、そんな問いに対するひとつの答えであり、もちろん異論はあるでしょうが、わたしはだいすきですよ、この選択。
まぁ、ベタすぎるっちゃあベタすぎるんだけどな!
だが、そこがいい!


ということで、良質なゾンビ映画であり、尚且つ究極の純愛ドラマでもあった本作。
ところどころに散りばめられたスベり気味のギャグ(スポンジボブとか中世の騎士コスとか)に真顔になってしまった瞬間もありましたが、雨の中のシーンや宴会場に佇むゾンビ群など、ハッするほど美しい映像たちで、充分お釣りがくるのではないかと思いました。

あと、POVを放棄した為「もうREC(録画中)というタイトルの意味ないじゃん!」とツッコミたくなってしまったのですが、作中、結婚式の撮影をしているカメラマン(※プロの業者)さんが「どうも~!フィルマックス社です!」と自己紹介するくだりがあるのですよね。
そして、何を隠そう『REC』シリーズを制作している会社の名前はFilmax (フィルマックス)。
要するに今回の作品は、フィルマックスのいちカメラマンによって「REC」されたフッテージであるのだと。
「現実世界に存在しているフィルマックスと映画の中のフィルマックスは同じフィルマックスだと思う? あのシーンはあのフィルマックス社員だけど、このシーンはどのフィルマックス社員だと思う?全部こっちのフィルマックス社員だと思ってる?ねえ?ねえ?」という、虚構と現実がないまぜになったオチが隠されていたことに気づいて、ツッコもうと上げた右手をそっと下ろした私だったのでした。

まぁ、ややこしいだけだけどな!


なんでも、ホントのホントの続編である『REC4/アポカリプス』が来年公開予定だそうですよ。
今回は2作目のラストから後のお話になっているので、みんなだいすきアンヘラたんも再登板!
サブタイトルが、「ジェネシス」「アポカリプス」とめちゃくちゃバイオハザード寄りになってきている点が若干気がかりではありますが、無事日本公開されることを心より願っております。


(※ ほとんど前作までの映像です)






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『キャビン』

2013年03月18日
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(※さっそくですが、以下ネタバレ感想です。予備知識の無い状態でご覧いただくのがいちばんたのしいタイプの映画ですので、出来れば鑑賞後にお読みいただければ、と思います。)


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(※ 人には本来グラン・ギニョール的なモノに惹かれる性質が・・ っていうかストレスや鬱憤の解消・・ っていうか業界人のメシのタネ・・ っていうか、まぁ、ようするに「やあねー」って言われる類のアレですよ!オレらがだいすきなアレ!)

あらすじ・・・
真面目なデイナ、即席ブロンドのジュールス、脳筋アメフト部のカート、知的アメフト部のホールデン、そして共通の友人マーティの大学生5人組は、週末を開放的な気分で過ごすため、カートのいとこが保有しているという山荘へと向かう。 
道中、怪しいヒッチハイカーに呼び止め・・・ られはしなかったものの、胡散臭そうなガソリンスタンドで教えられた道はなんと間違い・・・ ってコトもなく、無事目的地へと到着した5人。
早速山荘に入ってみると、そこには謎の模様が刻印された立方体・・・ はなく、見知らぬ若者二人組が卵を借りに・・・ 来ることもなかったので、安心した一行は水着に着替え湖へ。
しかし、湖に飛び込んだ瞬間、おそろしい形状をした藻の塊のようなものがこちらへ・・・こなかったかわりに、水中からヒレのついた手が・・・ 伸びてくることもなく、楽しいひとときを満喫したのであった。
夜になり、山荘の中でおいしいお酒の時間をたのしむ一行。 
そんな彼らの姿を、暗闇の中から醜く歪んだミュータントの瞳があやしく見つめ・・・ ない。
マスクをつけた殺人鬼の魔の手がのび・・・ ない。
満月の光を浴びたカートの身体から獣の毛がのびはじめ・・・ ない。
まったりとした空気が流れたその時、突如地下室への扉が大きな音と共に跳ね上がる。
恐る恐る階段をおりたデイナの目に飛び込んできたのは、埃をかぶった一冊の本。
そう・・・!それこそは死者の書ことネクロノミコンだったので・・・ はなかったんだけど・・・ なんというか・・ある意味ネクロノミコンっていうか・・・ ・・ええと・・・まぁ、ぶっちゃけ女の子の日記だったんだけど・・ いちおう禍々しさではまけないっていうか・・ ・・・ラテン語も書いてあったし・・・ ・・うん・・
・・ おい! 本題はよ!



・ あとは延々本題です。

・ 上記にあるように、定石通りのストーリーがわかりやすくキャラ設定されたメンツと共に繰り広げられますが、一方その裏では「えー だってさー、ひとがやる事なのにどうしていっつもこっつも予定調和な世界なのー?ひゃくにんいればひゃくとおりになるんじゃないのー?おかしくね?」と冷静につっこんじゃうタイプの人も思わず心のガッテンボタンを連打したくなるような、「斬新な言い訳」が同時進行で描かれており、実はそちらが真のあらすじである、というからくりな訳で。

・ とは言っても、「実はすべては謎の組織が死後の世界の様子を知るためにセッティングした生き地獄だった」とか「実はリアリティ・ショーだった」とか「お金持ちクラブの賭けの対象だった」とか、そういう既視感あふれるアレではなく、もっと新鮮かつもっと大きな風呂敷が部屋いっぱいに広げられます。 

・ そう、実は「この『キャビン』という物語の世界には、人類を滅ぼすほどの巨大な力を持つかいぶつ(通称・古きものども)が存在しており、ソレを鎮めさせておく為、若者たちは定期的にホラー映画的なシチュエーション下で殺されてゆくなければならなかった」のです。

・ ね! でっかいでしょ!

・ ではここで、渦中のひと・【古きものども】さんのお話を伺ってみましょう。 
「うーん、そうねぇ、自分で殺したいってわけでもないんだよね。見せてくれさえすれば、もうそれだけでいいよ!って。オレはそう言ったんだ。」 「ただね、見せるならキチンとしたものを見せてくださいよ、って。 処女ばかりでもダメ、リア充ばかりでもダメ、邪悪な霊を成仏させちゃダメ、わるものを退治するのもダメ。 例外なく死ななきゃダメですよって。処女以外は。」  「でもさぁ、最近ちょっと死ににくくなったよね。知恵がついたっていうか慣れちゃったっていうか。ホント、オレはもうおかんむりなわけよ!」 「なんか意味のない拷問トラップとかさぁ!さあ・・ゲームをはじめよう・・!みたいなのとか・・・飽き飽きだよ!」 「ということで、今度希望が感じられる終わり方したら、もうゆるさないからね。全力で行くんでそこんトコよろしく!」

・ 「見るだけでオッケー!」って言っときながら「しくじったら人類皆殺しな!」とかさぁ! おおらかなのかせっかちなのかどっちかにしてよね!マジで! このお客さんはなかなかどうしてワガママな御仁やで!

・ という事で、世界を救うべく設立された秘密組織の職員さんたちは、日夜【古きものども】さんの逆鱗に触れないよう気をつけながら「人殺し」の仕事をセッティングし、世界各国で最高のショーを製作しているのでした。

・ 若者たちを定番ストーリーへと導くため、監視カメラで動向を注視する職員さん。 彼らがからくりに気づきそうになればクスリで朦朧とさせ、おっぱいを出すことを躊躇いそうならフェロモンを散布し、無事惨殺されれば歓喜の声をあげる。 人の死は彼らにとってメシのタネ。 日々の幸せを支える大事なお仕事。

・ で、まぁ、もう見たまんまなのですが、劇中の役割はそのまま現実にも当てはめることができまして、要するに職員さんは「映画製作者」で、その上にデデーンと存在しているおそろしい怪物の名は「おきゃくさま」なわけですよね。


・ ホラーすきなあなたにお尋ねしますが、「人が死ぬ映画を観て喜ぶなんて、わたしはどこかおかしいのではないだろうか」と思ったことはありませんか? 私は数え切れないほどあります。 

・ とにかく物心ついた頃からホラー映画がすきでした。 両親もきょうだいもホラー映画に関心はありません。 きっと、いえ、確実に、わたしはどこかがヘンなのでしょう。 「臓物がズロローン!ウェーイ!」なんていうわたしはおかしいのです。 「作り物だからいいんだよ」とか「だってホラー嫌いな人だってニュース番組で猟奇殺人扱ってたらつい関心もっちゃうでしょ。人間ってもともとそういうものなんだよ」とか色々取り繕ったトコロで、「臓物ウェーイ!」の言い訳にはならない。 だけど、うまく説明出来ないけれど、おかしくてもいいよね、と思うのですよ。

・ 倫理的にダメだし、すきで観ている割には不快な気持ちになることもあるし、時々真人間に戻ってハっとなることもあるけれど、やっぱりやめられない。 私にとってホラーは、ファンタジーを好む気持ちに近い「ここではない世界」という感覚で摂取してしまうものなのです。 あと、もしかしたら心のどこかで「いびつなホラーキャラクター」に共感してしまっている瞬間もあるもかもしれませんね。 彼らが持つ劣等感や孤独に惹かれ、気づいたら応援してしまっている・・・なんてことも多々ありますし。

・ ちょっと話が逸れましたが、ともかく『キャビン』の世界と同じように、この世の中には「なにはともあれ血飛沫とおっぱいがすき!」という私たちがいて、その欲求に応えるべく試行錯誤してくれる映画製作者の皆さんがいます。 彼らは私たちの「もっと!もっと!」という声や「ちょっと最近のホラーは違うんだよね・・なんかこう・・・ゲーム感覚でさぁ・・」という批判をドンと受け止め、さらに斜め上をゆく奇想天外なアイデアを生み出してくれます。 需要に応え続けなくてはならないという一念で。 「この世界」を守らないといけないという一心で。 

・ で、皮肉なことに、そこまでして必死に作り上げ守ってきた「(ホラー愛好者の)世界」なんて、しょせんこの大きな現実世界ではほんの一部にすぎなくて、しかもけっこうな確率で眉をひそめられるような存在だということなのですよね。 ホント、ちっちゃいもんですよ。 気になる方は一度レンタル屋さんのホラーコーナーを覗いてみてくださいよ。 日に日にスペース減少してますから。 

・ 『キャビン』の世界の秘密組織職員さんたちが世界の崩壊を阻止しようとふんばる姿を観れば観るほど、なんだかせつない気持ちになってしまいました。 あのね、その「世界」なんて、無くなったトコロでわたしたち以外のみんなはさほど困らないんだよ、と。 【古きものども】さんは困るだろうけど、それ以外のひとたちは困らないの。 もしかしたら、健全になってよかったね!って喜ばれるかもしれないぐらいで。

・ でも、だからこそ、わたしは踏みこたえたい。 このちっぽけな「世界」を愛したい。 いいじゃない、それっぽっちのたのしみぐらい。 「嬉々として作ってる製作者のモラルが問われる」? いいじゃない、虚構の世界なんだから。 オレたちの世界ぐらい、オレたちのすきなようにみせてくれよ!たのむから!

・ あのラストシーンは、そんな我々の心の叫びを代弁していたのではないか。(だから【古きものども】なのにタコでも鉤爪でもなかったのではないか) そんな気がして、ちょっと胸が熱くなってしまったアガサなのでした。 見よ!空高く突き上げられたあの拳は、オレたちの拳だ!

・ なにはともあれ、前半の定番ホラーシチュエーションから後半の大虐殺までさいこうに次ぐさいこうの連続でしたよ。 入れ子式な構造も、ド頭から打ち明けてしまっているにも関わらず、全く物語の緊張感を削ぐことなどなく、むしろ期待感を増加させる役割を果たしていたと思います。 クライマックスの「ワクワクいきもの図鑑」的な展開に於きましては、たのしすぎてあのエレベーターの「チン」という音をメールの着信音にしたいぐらいの気持ちになりました。 ありがとう・・・いい・・薬です・・・!(←特に意味はない)

・ あのセノバイトっぽいおっちゃんかっこよすぎだよ! ハリウッドのえらいひとはつぶれ甘食みたいだった『ヘルレイザー:レベレーション』なんかさっさとリブートしちゃえばいいと思うよ・・・ このおっちゃんを主役にしてさ!
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(※ ちょっと3作目に出てきたCDの人と被っちゃってるケド・・・ ま、問題ないか!)

・ 「いきもの地球紀行」(←名前にこだわりはない)の他のメンバーも、どこかでお会いしたことがあるような方ばかり・・・。 アガサが気づいたトコロでは、『死霊のはらわた』の木さんとか『it』のペニーワイズさんとか『シャイニング』の双子ちゃんとかアナコンダとか『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』のお面の人とか、あとは古き良きモンスターとか狼男とかゴブリンとかゾンビとか・・・。 嗚呼・・これはぜひ、DVDでコマ送りしながらひとりずつチェックしてみたいトコロですね。

・ あとね、これちょっと気になったのですけども、そもそも「『キャビン』の世界」にホラー映画は存在していたのでしょうかねぇ。 秘密組織がお膳立てしていた「いかにも」なシチュエーションは、【古きものども】さんから直々のお達しがあって練り上げられた内容なのか、それとも秘密組織のみんなのアイディアの賜物なのか、はたまた「ホラー映画」というものがあって、その設定を模倣して作られたのか・・・。 もしそうなのだったとしたら、「マリファナでいい気分な登場人物」に関する調査が全然足りてないよね! あいつらホラー映画で定番じゃん! マリファナの効果と薬に対する作用ぐらい確認しとこうよ!

・ いやね、あきらかに「二番煎じ」みたいなモンスターばかりでしたから、きっと「ホラー映画が存在する世界」なのだろうなぁ・・とは思うのですよ。 でも、でも、てことは【古きものども】さん用のなまいたショーは「虚構」の模倣なのか。 どっちが先なの? ホラーなの? 現実なの? モンスターは天然モノなの?養殖モノなの?現実にも存在するの?(という設定の世界なの?)

・ まぁ、ココはこだわらなくていいトコなんでしょうけどね。 ホントのトコロは、あの「『キャビン』の世界」では、どちらが先かはさておき常に「現実」と「虚構」が追いかけっこをしているような状態なのかもしれません。 「私たちの現実」がそうであるように。

・ あ、それと、日本の職員たちが仕組んだ「定番ホラー」がなんだかよくわからない少女の霊だった点もね、ぼくは声を大にして異議を唱えたいですね! ビジュアル的にはハリウッド版貞子(サマラちゃん)っぽかったので、『リング』をイメージしていたのかもしれませんが、そこはね、できれば『呪怨』で行って頂きたかったです!

・ 『呪怨』ならさー、家一軒セッティングすればいいだけだしさー、若者だって誘い放題だしさー、伽椰子たん、なかなか成仏しないタイプだしさー、絶対いいと思うんだよねー。秘密組織の側で考えたら。

・ 「どんぐりコロコロどんぶりこー」 で成仏しちゃったら、織田無道はおまんまの食い上げだよ~!(もうとっくに食い上げてるのか)

・ 以上、色々書きましたが 「映画製作者のみなさん、とてもおもしろい映画を作ってくれてありがとう!」とお礼の気持ちを記して感想を終わりにしたいと思います。 そしてこれからもよろしくおねがいします!



・ うっかり書き忘れてましたが、シガニー・ウィーバーさんはやっぱええ人やで!!(※ あの役はジェイミー・リー・カーティスさんでもおもしろかっただろうな・・)

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『ザ・ウーマン』

2013年03月13日
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あらすじ・・・
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山の中でひとりの女性が発見されます。

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連れ帰られた女性は、とある一家に飼われる事に。

ウーマン3_convert_20130311113840
懐くどころか、凶暴性を剥き出しにする女性。

ウーマン4_convert_20130311114142
教育が実を結び、ヒトの言葉を覚えはじめる女性。

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しかし結局、再び女性は解き放たれ、彼女の自由な生き方に憧れた文明人たちがあとに続くのであった。


【番外編】
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女性の生命力溢れる生き方に惹かれる男性(カウ)。

(※ 画像はすべてイメージです)

ウンバボー!(←合言葉)

ということで、昨年一部の劇場でひっそりと公開された最終鬼畜映画『ザ・ウーマン』がやっとこさDVD化されましたので早速鑑賞してみましたよ。
簡単に紹介すると、「邪悪なヒギンズ教授が野性味溢れる女性を調教しようと思ったんだけど、実は女性の主食は人肉だったもんだからさあ大変!」というお話です。
噂にたがわず素晴らしい仕上がりで、親父のゲスっぷり、おかあさんの思考停止っぷり、息子のクズっぷり、末妹ダーリンちゃんの天使っぷり、女子高生ペグの詰みっぷり、そしてウーマンさんの独立独歩っぷりが、魅力的な俳優陣によって見事に表現されておりました。
特筆すべきは、「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」の精神でひたすらに「生きて」ゆくウーマンさんの、神懸かり的な美しさ。
演じるポリアンナ・マッキントッシュさんは、本作の前日譚にあたる『襲撃者の夜 食人族The Final』でも同じ役に扮していたのですが、そちらでの精彩に欠く立ち回りがウソのような、実に活き活きとした生き様を披露してくれていました。
あるときは狼が棲む洞窟、またあるときは野蛮な文明人があつらえた監禁室。 暗闇の中浮かび上がるその三白眼は、鬼火のように妖しく燃え、アガサの心を魅了してやみませんでした。そしてきっと、ウーマンさんと同じく「とらえられて」いた女たちの心も。

物語の内容はほぼ原作小説の通りで(ケッチャムさんとラッキー・マッキー監督の共著なので当たり前といえば当たり前ですが)、とことん救いのない破滅の風景が情緒豊かにめくるめく展開します。
残酷なほど美しく切り取られた青春の日々。 
観ているだけで息が詰まりそうなスイートホーム。
そんな中、抑圧された「女」から定冠詞のついた「THE WOMAN」へと生まれ変わる、その第一歩を踏み出す女たち。
それは、ショッキングな出来事によってのみもたらされた変化ではなく、もともと彼女たちが持っていた強さ、生きる意志を取り戻した事による変化だったのではないかと思いました。
自分が長年支配し続けてきた女たちに、変化のきっかけとなるウーマンさんを与えてしまったのが、他ならぬゲス親父その人であった事はなんとも皮肉で、小気味いいばかりですね。

本作のもうひとりのキーパーソンとして、夫からの肉体的・精神的虐待を受け続けた結果自分の中の「良心」をシャットアウトせずには生きてゆけなくなってしまった妻がいるのですが、演じるアンジェラ・ベティスさんが放つ国宝級の薄幸オーラと相まって、「ただ立っているだけでかわいそう」「声をかけるのも躊躇われる」「ごはんが栄養になってなさそう」「暗闇で遭遇したら腰が抜けそう」との声が続出しました。(アガサの心から)
こういう「かわいそう」な主婦が、何らかのアクションを起こさない事を責めるのは簡単です。
責めるつもりはなくても、「さっさと離婚するなり、夫が居ない間に家を出るなり、なんとか出来た筈」などとつい思ってしまう人は多いでしょう。かくいう私もそうですが。
しかし、そんな「簡単」な事すら思いつけない程、彼女の心は空っぽになってしまっているのではないか。そうしないと、思考を留まらせず常に空っぽにしていないと生きてゆけないほど、疲弊してしまっているのではないでしょうか。
もちろん、彼女自身の事はさておき、子どもに与えられた暴力すら見てみぬフリをしてきた事は、到底許されることではありません。
ペグやウーマンさんに夫が向けた「愛欲」に対し、怒るどころか嫉妬してしまうトコロや、不幸な生まれ方をした娘を救おうとしなかったトコロも、女として妻として、そして母として、愚かとしか言いようがない。
でも。 だけれど。

最後の最後になり、やっと「THE WOMAN」として尊厳ある生き方を選ぼうとした彼女は、夫の暴力によって再度蹂躙され、監獄のようなスイートホームから抜け出す事が出来ませんでした。
そんな彼女が、解き放たれたウーマンさんによって生きたまま喰われ命を終わらせた事は、当然の報いであったと同時に、一種の弔いだったのかもしれません。 
夫ではなく、ウーマンさんによって(この世から)解放された事は。

純粋なダーリンちゃんが地下室のウーマンさんにラジオを聴かせるシーンや、青春を謳歌する同級生たちを見つめるペグちゃんが絶望の底へと沈んでゆくシーン、親父の暴走を制止しようとして逆に口汚く罵倒されてしまうペグちゃんの姿を、グルグルと取り囲み追い込んでゆくようなカメラワークで映し出したシーンなど、その画面が意味する恐ろしさとは裏腹にハっとする程魅力的なシーンが多々あり、ラッキー・マッキー監督の非凡な才能に大いに打ちのめされました。
同監督オリジナル作品の『MAY -メイ-』も素晴らしい作品でしたが、今後もうしばらくケッチャムさんとの蜜月が続き、あのおぞましい世界感を叙情的に描いて行って頂けたらなぁ・・と思わずにはいられません。
ホント、相性バツグンだと思うよ!



【関連記事】
原作小説「ザ・ウーマン」感想





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『デビル・インサイド』

2013年03月10日
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あらすじ・・・
悪魔がいるように感じるから悪魔祓いをするのか悪魔祓いをするから悪魔がいるように感じるのか、さあ!どっち!

・ 若く美しい娘、イザベラ。 彼女には悩みがありました。 それは20年前に母が起こした事件のこと。

・ 神父を含む3人の男性を冥土送りにした罪で引っ立てられた母・マリア。 解離性同一性障害と診断されたマリアは、釈放後イタリアの精神病院に強制入院させられました。 それ以来、一度も母と会うことなく成長したイザベラが、大人になって思うことはただひとつ。 母は本当に「精神障害」だったのか。 それとも「何か」に「憑かれて」いたのか。

・ そんなイザベラの疑問に救いの手を差し伸べてくれる人がいました。 ドキュメンタリー監督のマイケルです。 マイケルは当時の捜査資料を集めたり、イタリア調査旅行の同行など、ちょっとどうかと思うくらいの全面フォローを申し出てくれました。 いやぁ!やっぱかわいいは正義だわ!

・ ということで、あとはイタリアで悪魔祓いをしてギャーってなって終わりです。それ以上も、それ以下もない。いつものアレです。

・ 本作は、イザベラに同行したマイケルがフィルムに収めたあれやこれや。というていで進められてゆく、いわゆる「モキュメンタリー」方式の映画な訳ですが、「母の無実(?)を証明したい娘」の頼みだけでバチカンが協力してくれたり、病院が部外者であるカメラマンも招き入れてくれたり、あちらこちらへカメラを仕掛けることすら許可してくれたりと、「本気でモキュメンタリーにする気・・・あんの?」と言いたくなるような至れり尽くせりっぷり。

・ その反面、冒頭【バチカンは悪魔祓いを認めておらず、本作に関しても一切承認・援助はしていない】とテロップを出してみたりもするので、本当にね、どういう方向性に持って行きたいのかわかりづらいですよね。 ええとええと、じゃあ何ですか?バチカンでの「悪魔祓い講座」のシーンは隠し撮りだったってことですか? 講堂内も堂々と撮影してたみたいですけど。 ああもうなんかやだ!中途半端!ふんずけてやる!

・ まあね、この手のテロップはよくある手法ですし、いちいち目くじら立てるようなものではないと思うのですけどね、なまじ「真面目に作ってます」という姿勢が感じられるだけに・・ねぇ・・・。 【バチカンは認めていない】雰囲気でいくのならコソコソ撮影&バレて怒られるぐらいのシーンがあっていいと思いますし、【堂々と撮影したのちに揉めた】方向でゆくのならテロップは「バチカンはこれらのフィルムを認めていない」とかにする方がよかったような気がしましたねぇ。 ウソはおもしろいけど、つくんなら上手について欲しいっス。

・ あと、イザベラさんがお母さんの事件の真実に迫りたい、という気持ちは理解できるものの、なぜ病院を訪ねるよりも前に悪魔祓いの授業を受ける必要があるのかさっぱりわかりませんし、いざ再会した時、絶対知る筈のない自分の過去(数年前に堕胎した)をお母さんにデスヴォイスで囁かれたイザベラさんが、超常現象さ加減に心打たれてすんなり「悪魔憑きであること」を受け入れるのではなく、さらに悪魔憑きのなんたるかを知ろうと奔走する意味がわからない。 しかも、なんたるかを教わる相手は「無認可のエクソシスト」ですよ。 こないだバチカンの教室で知り合ったばっかの学生ですよ。 みんなチャレンジャー精神旺盛すぎるだろ!

・ ・・と、まぁ、ああだこうだ言いながらも、「悪魔祓い」映画を見かけるたびに借りてしまう私なのですけどね。 なぜかというと、それは「キリスト教を信じる」人たちの世界における「悪魔」という概念が興味深いからだと思います。

・ じぶん、仏教徒なんで。 ・・・というかどちらかというと無宗派ですし、「悪魔憑き」と言われても「どの世界の悪魔だよ!イスラム系か?仏教系か?それとも山羊爪系か?ヘイヘーイ!」と怖がるどころかおもしろがってしまいがちなのですが、じっさい問題「悪魔に憑かれた」人やその家族にとっては生死に関わる大問題なわけで。  恐ろしく曖昧で、しかしものすごい破壊力を持つ「悪魔」というものは、どこからやってきてどこに去ってゆくのか? 果たしてその正体は? 続きはwebで!(※続きません)

・ エクソシスト映画で時々見かける論法に、「悪魔がいるんだから神さまもいるんだよ」というものがありまして。 アガサはそれを初めて目にしたとき、「すごいなぁ」と感心してしまったのですよね。 「神さまが居るかどうかは証明出来ないけど、悪魔がいるんだから居るにちがいない」という。 「卵が先か鶏が先か?」みたいな歯切れの悪さでいいんだ~!へ~!、と。 

・ まぁ、感心すると同時に、ちょっとズルイんじゃないかとも思ってしまったのですが。 だって、「悪」がこの世の中から消え去るコトなんてないじゃないですか。そしたらもう、神さまも居るに決まっちゃうじゃないですか。「あー神さま居るわーごめん居たわー」ってなりますって。

・ ただ純粋に「悪意」だったり、何かを成立させる為に「必要悪」になったり・・。 いずれにせよ、この世界には、人の心の中には、常に色々なかたちの「悪」が潜んでいる。 まさしく「デビル・インサイド」なわけです。 しかし、それは「一部分」であって「人そのもの」ではない。 

・ 「悪魔」とは、「あなたはわるくない。わるいのは悪魔なのだ」という「救い」の為に生み出された存在なのかもしれませんね。 先に書いた「悪」以外にも、情緒的な不安定さからくる混乱や肉体的な苦痛や精神疾患も全部ひっくるめて、自分自身が、あるいは近しい人が、どうにも出来ないような「混乱」に陥った時、それを「悪魔」のせいにして乗り越えようとする、ひとつの知恵みたいなものなのかもしれないなぁ・・と思います。  もちろん、「わるくない」って言ってくれるのは「神さま」です!ハレルヤ!

・ ちょっと話が逸れてしまったような気もしますが、本作に関してまとめると、中途半端さはさておき「なんだか知らないけど豹変した人」とそれを無理やりねじふせようとする「キリスト教」の噛み合わなさや無力さはおもしろかったです。

・ くらべちゃいけませんけど、同じくバチカンのエクソシスト講座に関する描写が出てくる『ザ・ライト -エクソシストの真実-』の方が、色々と振り切れていて私はすきですねぇ。 そういえばあっちは「実話ベース」を売りにしていたような・・・バチカン・・怒らなかったのかなぁ。(まぁ本作のテロップもただのハッタリでしょうけどね)



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