『マリー、もうひとつの人生』
2014年12月31日

(※ ビノシュは ふしぎなおどりを おどった。 マチュー・カソヴィッツの MPが 8さがった!)
あらすじ・・・
フランス在住のマリーさんが、「26歳にして就職も決まりそうだし、その雇用主の息子ともいい雰囲気だし、今日はいい誕生日になったで・・・!」 ・・・とホクホクしていたんだけど、あくる朝目覚めたらなんとそこは15年後の未来で、就職どころか会社のナンバー2までのぼり詰めていて、世間のあだ名は「女帝で」、雇用主はいまや義理の父で、小学生になる息子もいて、いい雰囲気だったはずの彼氏(現・旦那さま)とは離婚間近になっていて/(^o^)\ナンテコッタイ!
どの作品に出ていても、「ザ・ビノシュ!」としか言いようのないような独自のオーラを漂わせているフランスの「女帝」、ジュリエット・ビノシュさんによる国内劇場未公開作品。
この回りくどい言い方でお気づきかもしれませんが、わたしはあまり好きじゃないです、ビノシュさん。
好きじゃなかったのですが、この作品はよかった。
ファンタジーのようでしっかり現実を映し出している、とても誠実な映画でした。
本作の主人公・マリーは、「自分は何も変わっていない」と自分自身に言い聞かせながら生きてきたのだと思います。
「変わったのは周りだ」と。
しかし、15年分の記憶を失い、夫となる人と初めて愛を交わした日の「マリー」に戻ったことで、はじめて客観的に「女帝・スペランスキー」と呼ばれる自分を見ることが出来た。
そして、思い知らされた。 その変化に、その残酷なほどの変わりように。
20代の頃の自分と、40代にさしかかった自分とは、きっと全くの別人といっていいほど違っているのだろうな、と、わたし自身も思います。
そしてそれは、別に悪いことではないのですよね。
15年分の喜び、15年分の哀しみ、15年分のストレス。
年月を経るということは、その分経験を積み重ねてゆくということ。
それらを吸収し少しずつ変化するからこそ、山も谷もある人生に対応できるのではないか。
自分自身の変化を受け入れ、たくさんの過ちと見過ごしてきた幸せに気付いたビノシュさんが翌朝目覚めたとき、今度はいったいどんな光景が待ち受けているのか。
決してハッピーエンドではないけれど、ほのかな希望を感じさせるラストもよかったです。


『恋人はセックス依存症
2014年12月31日

あらすじ・・・
セックス依存症に苦しむバナー博士の前で、黒いセクシー下着をまとったペッパーポッツが扇情的なダンスを踊ります。
と、ケロヨンが鬱陶しい女のようなあらすじを書いてしまいましたが、実際鬱陶しい女でした。
みんなー!ケロヨンの演技力凄いよー!リアルにうざったいよー!演技力だよー!あくまで演技だよー!
そのへっぽこ邦題のおかげで、どれだけのお客さんを逃したのだろう・・と切ない気持ちになってしまう程の良作。
実際に苦しんでいる患者さんも少なくない精神疾患であるにも関わらず、その言葉の響きから「浮気の言い訳」程度にしか受け取られない「性依存症」。
それを克服しようとがんばる3人の男性を軸にした、厳しさと優しさを併せ持ったストーリーがすばらしい。
原題の「THANKS FOR SHARING」があらわすように、困難を分かち合うことの尊さを描いたステキな映画でした。


『大人ドロップ』
2014年12月31日

(※ さあ、おひつの用意はいいですか!)
あらすじ・・・
高校最後の夏休みに突然学校を辞めた同級生を追って、2人の男子が小旅行します。
子ども目線で描かれた、子どもと大人の境界線上にあった夏を、子どもを卒業した目線でさらに見つめなおして描かれた『大人ドロップ』はどんな味か?! そんなもん、もうヤバいぐらいに甘酸っぱいに決まっとろうもん!!
プリントを配りながらおどけあう男子と女子。
秘密基地のような部室。
昼休みの音楽室から流れてくるピアノの調べ。
暇で忙しい放課後。
休日のドレスアップ。
誰もが経験したことのある、もしくは経験していなくても想像にたやすい青春の1ページにめまい動機息切れ必至! 誰か救心を!キューシン、キューシン!
池松さんの姿は、そこに立っているだけでなんともいえない色気とか儚さとかを感じさせて、ほんともう手を合わせて拝みたくなる程なのですが、それと同じぐらい、いや、それ以上に魅力的だったのが親友のハジメを演じていた前野朋哉さん! すきだ! けっこんしてくれ!! (←久しぶりに出た)
すっげーステキな人だなーと思っていたら、『桐島~』でも神木きゅんの親友を演じていた方じゃないですか!
もう邦画の親友役は全部前野さんで決まりだな! てな訳で、すきだ!けっこんしてくれ!
みっともなくてキラキラしている「あの年頃」だけが得られる美しい瞬間。 後から思い返した時の恥ずかしさと合わせて、とても誠実に再現されていたと思います。
ホントに美しいの!池松さんと前野さんの小旅行が!(おひつを取り出しながら)


『アメリカン・スウィートハート』
2014年12月31日

あらすじ・・・
ジョン・キューザックがグジグジして、ビリー・クリスタルがオタオタして、キャサリン・ゼタ=ジョーンズがキリキリして、ジュリア・ロバーツがムシャムシャします。
大スターの姉を甲斐甲斐しく世話する真面目な妹・キキ。
わがまま放題の姉が目下気にしているのは、下り気味のキャリアと元夫のエディ。
ふたりは以前、コンビでヒット作を連発し、その勢いで結婚までしていた人気俳優だったのですが、シリーズのマンネリ化と共に夫婦生活も破綻。
キャリア復活のためには再共演が不可欠なものの、いまだ未練たらたらなエディと色恋抜きで話を通すのはかなり困難。
姉のこともエディのことも好きなキキは間に挟まれて苦しい心境。
そんな中、こちらもヒット作を熱望していたスタジオから、ふたりの仲をとりなすよう懇願されたキキは・・・。
というのが主なストーリーなのですが、とにかくもう細かいことは一切抜き!
芸達者な俳優たちによるドタバタコメディに思う存分酔いしれるだけ!
今では考えられないようなオールスターキャストも目に楽しいですし、トゥッチたんとウォーケンさまのやりとりとかたまらんですよ!
ありがとう!キャスティングした人ありがとう!


『スノーピアサー』
2014年12月31日

(※ ティルダさまの独擅場)
あらすじ・・・
氷河期に突入してしまった地球の上をグルグル走る改造列車内で、虐げられた人たちが貧富の差に立ち向かいます。
「2031年。 温暖化がどうにもならないほど酷くなったので、逆転の発想とばかりに世界中の空に冷却材を撒いてみたら、なんと地球が凍りました」 というオープニングを観た瞬間、いろんなことを諦めようと思いました。
というか、これはあくまで比喩の映画なんですよね。
いちいち「その飼育方法はねーよ!」とか「循環に無理があるよ!」とか「これだけの人間どこから湧いてきたんだよ!」とかつっこまない。
無粋なことしない。 しない、しない、冬。
この世紀末感漂う地球上で、ひとはどう生きるべきなのか?という深い問いかけをSFの衣に包んでさっくり揚げた本作。
たいまつは「文明」のメタファー、寿司は「富」のメタファー、トンネルは「子宮」のメタファー、列車は「社会」のメタファーなどなど、ちょっとしたメタファー地獄となっております。
じゃあラストのシロクマはなんのメタファーなの? 「強さ」?それとも「希望」?

(※ いや、シロクマのメタファーといえばコレだ!)
バイオレンスでハートフルでサイキックでゴキブリもぐもぐシーンまで盛り込まれた、すごくヘンテコな映画でした。

