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『ピラニア 3D』

2011年09月14日
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抜けるような青空。 照りつける太陽。 ありあまる程のビール。 爆音で鳴り響くチャラいダンスミュージック。 ベンチの上で舌を絡ませあう恋人たち。 必要最小限の布切れだけを身にまとい、腰をくねらせる女の子。 ボートの上からそれを眺めて喝采をおくる男の子。 
ラブ。 
セックス。 
セックス。 
ラブ。

なんだよなんだよ!楽しそうにしやがってよ!オレはおっぱいねえちゃんなんて全然羨ましくないんだからな!そんなビッチには興味ないね!だいたいこの手のヤツらって、知能指数が低そうでヤだよね!なんつうの?バカ丸出しっつうの? 聴いてる音楽もさー、ドンツクドンツクうるせえんだよなー!ったくよー! なーにが春休みだよ!なーにが水着パーティだよ!こんなチャラついた連中は死ねばいいんだ!くそう!リア充は全員死ね!!
と思ったいたらホントに全員おっかない魚に食べられちゃって、楽しげな水辺は血の池地獄ですよ! というお話。 最高ですね!

ビックゲストをお招きしてのサプライズな殺生シーンで幕を開け、その後は間髪居れずにおおよそ思いつく限りの「リアルに充実している人たち」の姿をこれでもかとばかりにスクリーンに焼き付け、観る者のルサンチマン・カウンターの針を一気に跳ね上げるというスピーディな展開。
チャラい同級生にバカにされている非モテの主人公までもが、偶然の成り行きから「有名なポルノ監督の助手に任命される」というアメリカンドリームを手にし、片思い中の彼女やナイスバディな女優さんと女体酒盛りに勤しんでしまうという、隙の無さが素晴らしく、「主人公だろうがなんだろうが、もういいから全員もげてしまえ!」と心置きなく叫べるシステムとなっております。 ホント最高ですね!

と言う訳で、アガサの心のベスト10に入る名作『ハイテンション』と『ヒルズ・ハブ・アイズ』を世に送り出した総責任者・アレクサンドル・アジャさんの最新作『ピラニア3D』を、飛び出すメガネ持参で鑑賞してきたのですが、スクリーンというリングの上からリズミカルに繰り出される「エロ」と「グロ」のコンビネーションが小気味よく脇腹をくすぐる、とても素晴らしいバカ映画で、ぼくにはもう何も言う事はないですね。
アジャはあれですよね、ホントもう何回も書いてますけど、無駄に男前だわ作る映画はおもしろいわグロ方面に手加減しないわで、「地上に舞い降りた鮮血の貴公子」とかなんとかあだ名をつけちゃいたいくらい最高の監督さんですよね。 いっそひとおもいにけっこんしてくれ!

アガサ思うんですけどね、人間なんてものはね、どれだけキレイ事を言っていても、その心の奥底にはどろどろじめじめした本性が眠っているものだと思うんですよね、いや、アガサの性根が腐ってるだけだとかそういうんじゃなくてね。
所構わず乳繰り合っているカップルを見れば、
「ヒューヒュー!おしあわせに!」
ではなく
「チッッ!!!」
と舌打ちをしたくなるのが世の常ですし、超スタイルのいい美女を連れて高そうな車に乗って首からジャラジャラと貴金属をぶらさけて腰パンで闊歩しているイケメンを見れば、
「いやぁ、あやかりたいものですなぁ!」
ではなく
「しね!しね!いますぐ壮絶にしね!!」
と毒を吐きたくなるモノじゃないですか。たとえ自分がそこそこ幸せな人生を歩んでいたとしても。 
自分には甘く、他人には厳しい。 そういうものじゃないですか、人間なんて。
ただ、そういう本音を曝け出して生きていると、顰蹙もかうし猛烈に嫌われる。
だから、人の営みに寄り添うように、ずっとずっと昔から、「ほおら!たんと溜飲をお下げなさーい!」という映画が作られてきたのではないかと思うのですよ。 
思う存分「いやー、けしからんですな!もっとやれ!」と野次を飛ばす事の出来る、不謹慎極まりない映画が。

そして本作もまた、過去に作られてきた諸先輩方に負けじとばかりに、薄さの限界に挑戦したかのような薄っぺらいストーリーを、くどい程に繰り返される「パイ!オツ!パイ!オツ!」のコールアンドレスポンスと、えげつない程に食い散らかされた肉片で彩り、登場人物がいまわの際に漏らすのも「ぬ・・濡れ濡れTシャ・・ツが・・見・・たい・・(ガクッ)」という最高にくだらない言葉という、どこを切り取っても上品さの欠片も見当たらないような、超最低な映画に仕上がっておりまして、良識ある大人のみなさんから浴びせられるであろう罵倒がすべて賛辞に変わるという、奇跡のような逸品だったと思うのです。
つまり、「酷い」、「人間性を疑う」、「下品」、「3D映画の質を下げる低俗ムービー」という言葉が「バッキャロー!おまえさいこうだぜ!!」の一言に変わるというね。
それでいいと思うのですよ。 
思う存分眉をひそめられればいいのですよ。 だって、そういう映画なのだから。
目指しているのは「品行方正」とは無縁な、不真面目でお下劣な感情の捌け口なのだから。

それにしても、今までは(特に日本では)日陰の存在だったこの手の罪深き映画が、こうしてお天道様の下堂々と鑑賞出来る日が来ようとは・・・ 本当にありがたい事ですね。
これからももっともっと、えらい人から非難されるようなバカ映画が公開されるといいなぁ、と思います。
そして、もっともっと沢山の人たちが勇気を出してそれを観て、たまには自分の心の裏側に隠しているジメっとした感情を、スクリーンから射す光に当てて日向干しすればいいのになぁ、と。
きっとそれは、健全なことなんだと思うよ!

と言う訳で、未見の方は是非一度ご鑑賞ください!
そんで、「ちくしょう!リア充はしね!! ・・・あ・・いや・・ そこまでしなくても・・うん・・しねは言い過ぎた・・ごめん・・・」と思えたら、真人間まであと一歩ですよ! 
わたしですか? 
わたしはまだまだ遠い道のりになりそうです!ヒャッハー!!


― 追 記 ―

・ 『JAWS/ジョーズ』のリチャード・ドレイファスが『ジョーズ』と全く同じ役で登場。超ヘボいCG処理の上ミンチにされるという胸アツな役柄を嬉々として演じていました。 いいひとだなー。

・ 「スプラット・パック」仲間のイーライ・ロスことユダヤの熊が、“濡れ濡れTシャツコンテスト”の司会者として登場。 ノリノリでチャンネーのシャツに水をぶっかけるユダヤの熊。 大量発生したピラニア軍団から逃げる最中、ボートに挟まれて頭を飛ばされるユダヤの熊。 ピラニアの映画なのに、喰っても貰えなかったユダヤの熊。 扱いがおいしすぎだろ! どんだけ愛されてるんだよ!

・ 主人公のぼんくら青年の母を演じていたのはエリザベス・シュー。 そして、熱帯魚ショップのオーナー役を演じていたのはクリストファー・ロイド。 なんと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のジェニファー(2代目)とドクが奇跡の再会! もーホントにアジャは粋な事するよなぁ! け っ こ ん し て く れ !!

・ 水中人魚のシーンは最高でしたよね! 無駄に尺を使ってるのがまた最高! 超必要ないシーンじゃん! あと、このシーンがぼかし無しだったのも最高! あ、そうか、ヘアーが無いから規制にひっかからなかtt(モゴモゴ)

・ アジャは『ハイテンション』『ヒルハブ』『P2』(プロデュースのみ)と傑作が続いて、『ミラーズ』でちょっと躓いて、また今回の『ピラニア』でホームランを放った訳ですが、こうして見てみるとおもしろい作品は「は行」ばかりなんですよね。 次回作『コブラ』の成否やいかに。 思い切って『ヒ・コブラ』とかにタイトル変更してみるとか・・今ならまだ間に合うよ!

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『クライモリ デッド・リターン』(シリーズ3作目)

2011年09月06日
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あらすじ・・・
ある日、そんなに人里はなれたように見えない森の中、脱走した囚人と看守とおまわりさんと森ガールが、人喰いおじさんに出会った。
花咲く森の道、人喰いおじさんに、出会った。


近親相姦と産廃汚染の末に生まれた人喰い一家が森の木陰でどんじゃらホイ! でお馴染み『クライモリ』シリーズも、早いものでもう3作目。
「どうせ、いつものアレなんでしょ? リア充が田舎道走ってたらキチガイに捕まってわしわし食べられるっていう、いつものアレなんでしょ?」というお客さんの冷ややかな眼差しに負けず、2作目以降はがっつりビデオスルーというビジネスライクな関係にも負けず、雪にも、夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち、食欲以外なく、いつも静かに笑ってみせる人喰い一家の大黒柱、三本指おじさんが、今回も元気いっぱい野山を駆け回ります。

【三本指おじさん・思い出アルバム】
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(※ 第1作目の頃のおじさん)
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(※ 第2作目の頃の三本指おじさん。 ・・あれ?髪切った?)
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(※ 第3作目での三本指おじさん。 ・・ええと・・なんか色々と雑になってるよう・・な・・)

名脇役ジュリアン・リッチングスさん(判りやすい代表作『死ぬまでにしたい10のこと』のお医者さん役)が、見事な表現力で魅力あるキャラクターへと昇華させた、この三本指おじさん。
2作目以降は誰が中に入っているのか定かではありませんが、他の人喰い中年のみなさんが続々と脱落してゆく中、唯一レギュラー出演者として若者を狩り続けて行く姿は、人々に「あきらめない生き方」というものを教えてくれるのではないでしょうか。 

ストーリーは例によって例の如く、あるようでないような、非常にエアリー感溢れる内容となっているのですが、若干ひねってあるように見えなくもない点をあげるとするならば、「追う者と追われる者」だけではなく、そこにさらにもう一組の「追う者と追われる者」を加えたという所でしょうか。
「若いチャンネーVSおじさん」と、「囚人VS看守」、というね。 三つ巴ならぬ、四つ巴の戦い。
もちろん、途中でそのうちの二つがくっついて結局三つ巴になってしまう事は織り込み済みですよ。 イケメソとグラビアタレントっぽいのが出てきた時点で、そんな事だろうと思ってましたもん。世の中そんなものですもん。 まぁね、アガサとしましては、三つ巴だろうと四つ巴だろうと関係ないんですよ。要するに全員もげればいい。ちぎっては投げ、ちぎっては投げしてもらえばいい、と、そういう事なんですけどね。

で、アガサの意向はさておき、この三つ巴作戦がスタッフの目論み通り物語を盛り上げてくれたかというとあまり効果的だったとは言えず、敵同士がいがみ合ったり共闘したり、というせっかく楽しくなりそうな図はモッタリしすぎて緊張感に欠け、立ち上がるべき人がぼんやりしていたり、潜伏捜査官という超オモロイ肩書きを持った人は何をするでもなくもっぱら暮れなずんでいたり、ほうほうのていで人喰いおじさんから逃げてきた筈の森ガールもしょっちゅう「疲れたぜよ!」と休憩を要求してみたり、と、ひたすら間延びする要因にしかなっていなかったという。 返す返すも残念であります。

・・・

えーと、他に何かあったっけなぁ・・・(←これを書いている時点で鑑賞後10日ほど経過)(←実はもうほとんど内容覚えてない)

・・あ、そうだ、おっぱい! おっぱいの事忘れるトコだった!
この手の作品において、脱ぎっぷりのいいフェロモンねえちゃんの存在ほど必要不可欠なものはない訳ですが、本作も 「本編開始後4分でおっぱい解放、その1分後にはおっぱい串刺し」 という生き急ぐにも程があるスピード感で、パツキンのチャンネーがたわわなおっぱいを見せ付けてくれます。 
しかもそれ以降はノーオッパイという、これまたセミの一生に負けないくらいの見事な燃え尽きっぷり。  
さらば我が人生のおっぱい。  出来れば来世でまた会おう!

ええと、おっぱい以外ですと、第1作に登場した監視搭(焼却済み)が出てきたお陰で、この森があの森と同じである事がわかった、という点がとてもよかったですね。
なぜかというと、第2作は人喰い一家が大所帯になりすぎていて、なんだかとっても違和感があったもので・・。 とても同じ森の出来事とは思えない・・っていうかおまえらいつの間に繁殖したんだよ! と、問いかけたくて、でも問えなくて、唇を噛み締めた夜。
そっかそっか、アレ(※第2作)はやはり別世界の話だったのか。
いわゆるひとつのパラレルワールドだったんでしょうね。 
もしくは三本指おじさんが見た真昼の夢。
おじさんが目を覚ました時には、家族はそこに、いない。   ・・全米が泣いた!いや、オレが泣いた!!

原典回帰とばかりに狭い森の中を駆け巡り、2作目の冒頭で観客のハートを鷲づかみにした縦割りの夢ふたたび、とばかりにバージョンアップした縦割り(なんと今回は3枚おろし)をお見舞いし、「飛び出す目玉」「顔面スライス」「痛そうなワイヤーで巻かれて市中引き回しの刑」といったやる気溢れるゴア描写を盛り込み、なんとか「メシのタネ」を次に繋いだスタッフ陣。
多くのまっとうな人たちからは顰蹙を買い、少なくないホラーファンからは呆れ半分の眼差しを向けられつつも、この秋ついにシリーズ第4作をDVDリリースする彼らの姿は、人々に「あきらめない生き方」というものを教えてくれるのではないでしょうか。 

いや・・まぁ、なんだったらもうそろそろ、あきらめてくれてもいいんですけどね!

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『ミッドナイト・ミート・トレイン』

2011年07月21日
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あらすじ・・・
真夜中に、肉を、列車で、運ぶんですよ!


“血の本”という、見るからにおっかない名前を冠に掲げた小説シリーズの中の一遍、「ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車」を、『VERSUS ヴァーサス』『あずみ』でお馴染みの日本人監督・北村龍平が華麗に映像化。
目ん玉が飛び出たり、目ん玉がぶっこ抜かれたり、トンカチでポカーンと叩いたら生首が飛んだり、その生首の視点で画面が回転したり、列車の内と外とをカメラがぐるんぐるん回ったり、やたらと反射された世界の中の映像を使ったりと、なんかもう「趣向をこらしてみました!」という意気込みだけでおなかがいっぱいになりそうな、とても楽しい映画でしたよ。

主人公のフリーカメラマン・レオンは、自分が住むニューヨークの“心臓”を撮る事が夢なのですが、なかなか「コレ!」という一瞬を捉える事が出来ず、事故写真などで日銭を稼ぐ日々。
ある日同棲中の恋人が、有名画廊のオーナーとの面接を取り付けてくれて、意気揚々と今までに撮った自信作を携え出かけるレオン。
しかし、オーナーからは「これじゃあ上っ面を撫ぜただけだじゃねえかよこのへっぽこカメラマン!」(※要約)と厳しいダメ出しを食らい、もっと踏み込んだ写真を撮るべく、真夜中のダウンタウンへと繰り出すのであった・・・。
・・・
・・で、まぁ、真夜中の列車で肉と出会うんですけどね。(←雑なまとめ)
ニーチェの有名なアレ(深淵をのぞき込むとき、その深淵もこちらを見つめている)の通りの展開が繰り広げられる原作をそこそこ忠実になぞった本作。  
ただ、それだけだとあっという間に終わってしまう(※原作は短編小説)ので、レオンの恋人がすわファイナルガールか?!というような頑張りをみせたり、精肉工場でかくれんぼしたりといった肉付けがなされています。
他にも、日本人監督だからなのか、事件の発端となる女性が日本人モデルだったり、主人公がベジタリアンで豆腐好きだったり、BGMがちょっと日本チックだったりもしますので、日本のお客さんはプラスアルファの部分でも楽しめるかもしれませんね。

原作同様、物語のクライマックスで、“なぜ・公営の地下鉄で・堂々と・肉を・さばいているの・か”という5W1Hっぽい秘密が明らかとなるのですが、この部分がやや説明不足なので、原作を未読の方にはわかりづらかったのではないかと思います。

(※ 以下ネタバレ)



実はNYの地下には、人類が誕生するずっと前から存在している“父祖”が棲まっていてですね。
クトゥルフ神話でいうトコロの“旧支配者”のようなモノなのかもしれませんが、ニューヨーカーの中の一部の人々は、百年以上に渡ってこの“父祖”のお口に合うようなマイウーなシーメーを用意し続けていたという訳なのです。
なぜそんな田舎の旧家に嫁いだ嫁みたいな事をしなければならないのか。
それが“恐怖”なのか“畏怖”なのか“崇拝”なのかはわかりません。 
もしかしたら、ごはんをあげないと近所じゅうに「うちの嫁は食事の支度も満足に出来ない」と触れ回れられるからなのかも(※要約・NY市民を手当たり次第喰い散らかされるからなのかも)しれませんね。
ともかく、“父祖”の僕となった人間は、夜毎人気の無い地下鉄に乗り込み、乗り過ごした人やたまたま居合わせた人をトンカチでどつき倒し、“父祖”のみなさんが食べ易いよう、服を脱がせて歯を抜き髪を刈り目ん玉をほじくり出し、最後に逆さに吊るした状態にセッティングするという重労働を任される事と相成るのです。 
あのね、たぶんちょいちょいね、人間側にクレームがついてたんだろうと思うのですよね。 
「おまえが持ってくるメシさぁ、髪ついてんじゃん。アレあるとさぁ、飲み込む時ムグってなるから刈っといてよ」
とか
「目ん玉にはDHAが含まれてるってほんまでっかTVで言ってたから別のお皿によけといてよ」
とか
「歯は噛みにくいから予め抜いとくのが気配りってもんでしょ」
とかもうおまえらどんだけグルメやねん! 黙ってもしゃもしゃ食べといたらええねん!

ホント、めんどくさい父祖ですよね! そりゃストレスでイボも出来るわ!(※お食事係のおじさんは、なぜか体にイボイボが出来ていて、それを切り取って壜にコレクションしておくのが日課となっているのです。ま、そのエピソード自体はストーリーに全然絡んでこないんですけどね。)

地下鉄における謎の失踪&殺人事件に引き込まれてしまった主人公は、イボイボのおじさんをストーキングした挙句、この“父祖”の存在を目の当たりにし、恋人の心臓を生きたまま抉り出す程の圧倒的パワーに完全降伏してしまいます。
まあね、“街の心臓”を撮りたいって言ってたらほんまもんの心臓を見せられるとかね。 そりゃ「コレわアカン!」ってなりますよね。
ただ、完全降伏するだけならともかく、そのまま大いなる力の僕となってしまうのが、ちょっと唐突すぎたように感じました。
そこに至るまでに、“父祖その1”にスカウトされるくだりもあるのですが、もうちょっと“なぜ主人公が選ばれたのか”とか“恐怖に屈したのではなく魅入られた”みたいな描写があってもよかったのではないかなぁ・・と。

さて。そんな摩訶不思議な物語の出演キャストですが、『特攻野郎Aチーム』でフェイスマンになる前のブラッドリー・クーパーや、『X-MEN3』でジャガーノートになった後のヴィニー・ジョーンズ、『特攻野郎Aチーム』でコングになる前のランペイジ・ジャクソンや、『青い珊瑚礁』で珊瑚礁になる前のブルック・シールズなど、とても未公開映画とは思えない程の充実っぷり。 す み ま せ ん 、 珊 瑚 礁 は う そ で す 。

いかにも「殺される為だけにやって参りましたー!!」といった面持ちの中年男性が、主人公の知りあいの役で登場するのですが、「どこかで観た事あるなぁ・・」と思っていたら『プロデューサーズ』でゲイの演出家助手を演じていたロジャー・バートさんでした。 
ロジャーさん、たしか『ホステル2』でも散々な目に遭っていたのですよね・・  まぁ・・ね・・そういう日もありますよね!がんばれロジャーさん!
ちなみに、エンドクレジットをぼんやりと眺めていたら、“テッド・ライミ”の文字が流れてきましたので、どうやらサム・ライミさんの弟さんもどこかで殺されていたようですね。 顔と名前が一致していないのでアレなのですが、もしかしたら途中で目ん玉引っ張られてたサラリーマン・・だったのか・・も・・ うん・・マァ・・ね・・ そういう事もありますよね!がんばれライミさん! 

若干、観客を置いてきぼりな部分はあるものの、ザバーと流れる血糊や適度なグロは夏のお供に最適なのではないでしょうか。
ま、ざっくり言うと、カップルとかでイチャイチャしながら観りゃいいんじゃねえの。(←雑なまとめ・2)
“血の本”シリーズは他にも何作品が映像化されているようですので、また機会がありましたら観てみたいと思います。


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『悪魔のえじき2 デビルズ・マザー』

2011年05月02日
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誰がデビルズ・マザーなのか?

あらすじ・・・
ハンブルグに出没する連続殺人鬼について調査していた新聞記者・ポールは、犯行の手口が20年前にドイツを震撼させた、とある大量殺人に似ている事に着目。
関係者に話を聞くうちに、2つの事件の裏には恐ろしい真実が隠されている事を知るのだが・・・。



【鑑賞中にメモしていたこと】

・ 画用紙
・ 謎の中国人
・ 特殊効果もシュナース
・ 主題歌がオンチ
・ プリンセスプリンセス大人気
・ フリッツ・ホンカ
・ お腹からかんぴょう
・ 特訓シーンもあるのか
・ まだ40分しか経ってない!!!
・ えっ 銃? 今更?
・ またかんぴょう 


【解説】

マイスタ
(※ 本作の主人公・カールJrさん。 のちのマイスター。)

「画用紙」
パっと見、『悪魔のえじき ブルータル・デビル・プロジェクト』の続編のように感じられるタイトルがつけられた『悪魔のえじき2 デビルズ・マザー』なのですが、実は製作順でいうと『ブルータル』があとで『デビルズ・マザー』が前。 (※さらに言うと、本シリーズは『デビルズ・マザー』の前にもう1本存在しており、本国ドイツでは『Violent Shit Trilogy』として狭く浅く愛されているそうです)
つまり、とある監督のとある映画がヒットした為、その映画より前に作られた作品に「パート2」と名付けてなし崩しに売ってしまおう、という、『サスペリア』方式で世に送りだされたという訳ですね。
ま、売り込み方が似ているとは言っても、『サスペリア』と本作とでは「かいめんじょうしょう」と「かいめんたいぼうちょう」くらいの違いがあるんですけどね。 何?例えがわかりづらい? つまり似てるようで全然似てないって言う・・あ、もういいんですか?そうですか。
で、3作目(『ブルータル』)で特に印象的だったのが、「出てくる人がほとんどお面を被っている」というカオスな状態だった訳なのですが、本作でも冒頭登場する麻薬組織のメンバーが怪しいマスクを着用。
そのお面が黒画用紙を切り抜いただけのシロモノだったという。 
それだけの話なんですけどね。 

ここまで引っ張ってしまって、申し訳なかったと思っている。

「謎の中国人」
先述の麻薬組織のボスは、どうやら中国人マフィアのようなのですが、ブツの品質のことで登場早々揉め始め、カンフーを使った死闘を繰り広げます。 
そういえば、『ブルータル』でもカンフー青年が何人か出てきてゾンビと闘ってたなーと思ったんですよね。 
それだけの話なんですけどね。 
ちなみに、その死闘と本編とは全く関係ありませんでした。 お面のおじさんが「うおー」って出てきてカンフーの人を殺しておしまいでした。 だったらカンフーのシーンいらないじゃん、って思いますよね。 でもね、「オレ最近ヌンチャク覚えたんだ。だからやらせてよ。」って友達に頼まれたらね、イヤって言えないじゃないですか。 きっとそういうコトです。
あと、ここまで中国人キャスト重視なのは、当時つきあってた彼女がアジア系だったとか、そういうコトなんじゃないかと思います。 彼女想いのナイスガイ。 それがシュナース。

「特殊効果もシュナース」
タイトルバックで、「スペシャルエフェクツbyアンドレアス・シュナース」って出てきてビックリしました。 
ちなみに、あとで調べていたら、監督の他に、脚本、特殊効果、そして主演もシュナースさんだったようです。
何から何まで一人でやるシュナースさん。 さながらドイツのロドリゲスの如くやでー! 
ま、やっているコトが似てると言っても、ロドリゲスさんとシュナースさんでは「ゼンジー北京」と「前戯カンペキ」くらいの違いがあるんですけどね。 もう解説しなくてもいいですか?そうですか。
いやあ、それはともかく、ここまで「全部オレ」で行くんなら、いっそのこと公開規模も「オレんちのホームパーティ限定」とかにすればよかったのになぁ! すこぶる惜しい!

「主題歌がオンチ」
謎の中国人キャストによるカンフー合戦、そして突如現われたお面の男による「オレがカールJrだー!」という雄叫びの後、タイトルバックに雪崩れ込むのですが、そこでX JAPANの失敗作みたいな主題歌が延々流されるのですよね。 ああ、もう言っちゃいましたけどね。 失敗作なんですよ。 それ以上も、それ以下も、ない。 惜しくも、ない。 君が、泣くまで、殴るのをやめないッ!(←特に意味は無い)

「プリンセスプリンセス大人気」 
さて、お話は現在に戻り、事件に首っ丈の新聞記者ポールは、独自調査の末ひとりの情報提供者と密会するコトに成功します。
待ち合わせたラウンジで極秘ファイルを取り出す情報提供者。
「この写真なんだが・・」
「こ・・これは・・・!」
(こんなに遠くー はなーれたー 今もー♪)
「ま・・まさかそんな・・」
(すごーい日々はー 胸でかーがやくのー♪)
「いいか、この写真は絶対公表しないでくれ」
(熱ーく ウォウウォウウォーウ♪)

2人の会話はさておき、後ろでかかってる曲がプリンセス・プリンセスさんのSEVEN YEARS AFTERやないか!!(※歌詞を検索して特定しました)

ラウンジで語らう2人のバックに、聞きなれたハスキーボイスが流れ続けていて、誰かなーと思ったらプリプリでした。 正直、そっちの方が気になって、極秘情報が頭に入ってきませんでした。
音声同時収録(ハンディカムで撮ってるから)作品ですので、現地で丁度かかっていたものと思われます。
プリプリはドイツでも人気、と。 五朗は鼻高々だなオイ!(※岸谷五朗)

「フリッツ・ホンカ」
猟奇殺人鬼カール・バーガーの囚人仲間として、実在するドイツ出身の有名殺人鬼フリッツ・ホンカさんの名前が挙げられていました。
ググってみても、あまり武勇伝が出てこなかったのですが、このホンカさんとやらは沢山人を食べちゃった系のおじさんなんだそうで、現地ではチョーこえぇーwwって言われてるらしいですよ。(←プチ情報)
カールさんの方は言うまでもないですが、シュナースさんが考えた超こわい殺人鬼(非実在)です。 カールJrのお父さんです。
実在する人物の名前を出す事で、物語にリアリティを与えようと頑張るシュナースさんですが、それ以前の、もっと根本的な何かを蔑ろにし過ぎなのではないでしょうか。 
つまり何が言いたいのかというと、そここだわるトコじゃねえだろ

「お腹からかんぴょう」
お腹から引きずりだされる臓物が、細くて、長くて、平たくて、物凄くかんぴょうです。 おふくろの味です。
もっとほら、レバーっぽいのとか、細長いにしてもねじれてるのとか、そういうのを用意してくれる人は居なかったのでしょうか。 おふくろ以外に。

「特訓シーンもあるのか」
ホラー映画であまり見る機会のない、「殺人鬼が肉体を鍛えている」シーンを拝むことが出来ます。
とは言っても、醜いデブが上半身裸で山の中をウロウロしたり懸垂っぽいことをしたりしているだけですが。
まぁ、珍しいと言えば珍しいですよね。 きっとシュナース監督がどうしても描きたかったリアリティの部分なのだろうと思います。
先程も書きましたが、そここだわるトコじゃねえだろ

「まだ40分しか経ってない!!!」
このメモだけ、ビックリマークが3つも書いてありました。 よほどショックだったのでしょうね。
お面のカールJrさんが、エキストラの人たちを「やー!」って捌いたり、ワチャワチャと追いかけっこをしたり、「とりゃー!」って懸垂っぽいコトをしたりして、流石にそろそろ終盤だろう、と思ってビデオデッキのカウンターを見たら、経過時間はたったの40分。
今までの人生のうちで、この瞬間ほど早送りボタンを凝視したことは無かったと言います。

「えっ 銃? 今更?」
手斧とか包丁とか素手とかで甚振っていたカールJrなのですが、途中で突然銃を使い始めます。
いつも図書館で静かに本を読んでいたあの子が、夏休み明けにミニスカ茶髪ピアスで登校するのを見た時って、こんな気持ちになるんでしょうね・・ オレ、がっかりだよ・・シュナース・・・。
と、冗談はさておき、冷静に分析すると、たぶんかんぴょうが足りなくなったんだと思いますよ。 おふくろに電話だ!

「またかんぴょう」
電話をうけたおふくろが、新しくかんぴょうを炊いてくれました。
ボディカウントを銃殺で増やしている間に、すっかり茹で上がったかんぴょうをマネキンのお腹に詰め、ズルズルーっとゴア描写の復活です。 
最初見た時は、「もうちょっと他に臓物らしい小道具はなかったのか?」と思ったのですが、よく考えてみるとこれは「ゴアだけどハードゴアになりすぎない」為、「女性客に敬遠されないホラー」にする為、わざとリアルさを排除した臓物にしてくれたのではないでしょうか。おふくろが。


J( 'ー`)し  「アンドレアス、お腹に詰めるもの用意しといたからネ。ホラーだって、自信持って作ればいいんだよ。」


('A`)  カーチャン・・・・



【まとめ】
「デビルズ・マザー」とは、要するにシュナースのおかあさんの事だった。 

みんなもお母さんは大切にしよう!



-追記-
・ これだけを見てもわからないと思いますが、要するに、『ブルータル』に出てきたマイスターはカールJrで、マイスターJrはカールの孫であるという事です。

・ ドイツのキャンプ場で虐殺をしていたカールJrが、何故無人島で人を集めてカルト集団を作るに至ったのか、そこいら辺は100%謎のままです。 ま、そういう映画じゃないしな!そういう映画じゃないしな!(2回言っとこう)

・ 斬新なタイトルバック。 なんと言ったらいいか、とにかく斬新。 ポケモン騒動の教訓を思い出して、目線を時々逸らしてしまったくらい斬新。 なんと4分間もある。 デンジャラス!

・ ニヤニヤするエキストラ。 芝居に集中する気がさらさら無いなんて、さてはお前らシュナースさんと同じ大学の映研出身だな!

・ 日焼けマシーンに入ろうとする熟女のナニの部分が延々と映し出されるだけのシーンがありましたが、どうかあれがシュナースさんのおかあさんじゃありませんように・・。(※身内総動員で作ったっぽいから非常に心配です)

・ あまりに超低予算で、超ぐだぐだで、超どうしようもないストーリーだった為、鑑賞中「あれ・・もしかして『ブルータル・デビル・プロジェクト』って結構おもしろかったんじゃね・・?」という危険な錯覚に陥ってしまいました。 これも一種の吊り橋効果なのでしょうか。 ・・ま、すぐ目が覚めましたけどね!
みなさんも、ドイツ製のゴアフィルムを観る時は、身近に好きでもない異性がうろついていないかどうか、充分ご確認下さいませ。 あまりにヒドイ出来だと、その異性の方がマシだと思ってしまうかもしれませんよ!ご用心ご用心!

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『ソウ ザ・ファイナル 3D』

2010年10月31日
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1作目で度肝を抜かれ、2作目で魅力にはまり、3作目で散りばめられた謎に取り憑かれ、4作目で度重なる新メンバー投入に困惑し始め、5作目で4作目の登場人物を思い出せなくなり、6作目で4作目以降の流れを見失ってしまった『SAW』シリーズもいよいよクライマックス。
自称・完結篇となる7作目では、今までの物語からまたもや新たな新メンバーが発掘されるにちがいない。
そして、そうなったら、確実に思い出せる自信がない。
と言う事で、事前に完璧なおさらいをして挑んだアガサです。 こんにちは。

今まで「ジョンが重篤な病人のクセにアクティブすぎる」とか「ホフマンに華がなさすぎる」とか「スタローンに似てる人が多すぎる」とか「こんなに登場人物が増えてしまったら、またあだ名をつけざるを得ない。ずんだもちとか」なんて酷なコトを言ってきた私ですが、要するに『SAW』シリーズがだいすきなんです。 昨日気付きました。 すきです。あなたのことがだいすきです。あ、ホフマンはきらいですから今すぐ出て行ってください。
そんなだいすきな映画が有終の美を飾るトコロを見届けようと、初日の初回に馳せ参じました。

では、聞いてください。 私があいした『ソウ』の終わりのはじまりはじまりー。

あらすじ・・・(ネタバレしていません)
お仕置き殺人犯・ジグソウとして、世の中の自分勝手な人間たちに鉄槌を下していたジョンですが、末期ガンで余命幾許もないので弟子を取ることにしました。
一人目の弟子のアマンダは、ジョンの期待も虚しく、身勝手な気持ちを捨てることが出来ずに自滅してしまいました。(実際はホフマンに脅されていたのですが)
二人目のホフマンは、力持ちで血に強く、決断力もあり、何よりとても冷静なので、情にほだされる事無く仕事に励むと思われました。
しかし、そもそものリクルートのきっかけは、ホフマンが自分の私怨を晴らす為にジグソウの犯行を真似たコトが原因ですので、全然見誤っています。 ポンコツです。ジョンの洞察力はポンコツです。 キライじゃない、そんなトコもキライじゃないよ、ジョン。
しかし、ジョンはただのポンコツではありませんでした。
愛する妻に、いずれ自滅するであろうホフマンの後始末を頼んでおいたのです。 さっきはごめんね、ジョン。 やっぱジョンは出来る男。 やれば出来る、ひとつうえの男。
ところがところがホフマンもホフマンで、大人しく寝首をかかれるのを待つような男ではありませんでした。
ジルがジョンの遺言通り仕掛けた罠を、深手を負いつつも回避してしまったのです。 生意気なホフマンですね。

慌てたのはジルです。 
ジョンの言うとおりにやれば楽勝だと思っていたので、「ゲームオーヴァー」なんつって、(キリッ)なんつってかっこつけちゃったのに、生還したホフマンが「ふしゅるふすーふしゅるふすー」って言いながら追いかけてくるだなんて、完全に想定外です。 やっぱりジョンの先を見通す力はガラクタですね。 ポンコツのガラクタ。 でもすき。
なんとかホフマンの追跡をかわしたジルでしたが、また追いかけられるのは確実ですので、警察に助けを求めました。 それも、ただの警官ではなく、内務調査課の人です。おまわりどもは信用出来ませんからね。 ジルはホントにかしこい子だなぁ。
一方ホフマンは、ジルの居場所早々に突き止め、そこを襲撃する為の罠を張り巡らせはじめました。
まずは、警察署を空にする為、ど派手なゲームを仕掛けます。 
そこらへんのレイシストを被験者に選び、自動車解体所を血の海にしました。仕上がりは上々です。
そしてそれと同時に、前々から気になっていたペテン師を被験者にした、大規模なゲームを開始。
使われなくなった精神病院をまるごと一軒リフォームです。 匠です。 アンチバリアフリーの魔術師です。華がないです。でも力持ちです。

周到に用意されたゲームに参加させられた人々。
ホフマンに踊らされるばかりの警官たち。
このゲームの勝者となるのは一体・・・?
そして、ジョンが仕込んでいた最後の罠とは・・・?



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眠れる龍が目を覚ましましたよ!

初登場時からあまり大した活躍もせず、ジョンの跡継ぎにしては華がなく、「これやっといて」と渡されたファイルを黙々とこなすだけで、それ以外のコトに関してはとても大雑把で「おまえ絶対つかまるかんな!」と思われていたホフマンが、ついに真の実力を発揮。
なんでも一人でできるもん!とばかりに、大きな罠から小さな罠まで、完全オリジナルなゲームをこつこつ用意。
公衆の面前(広場に面したショーウィンドウ)に、ガタイのそこそこいい若者を3人も連れてきて、その真ん中に回転ノコギリを3台組み合わせて設置して、彼らが起きて周辺の人たちも異様な状況に気付くのを見計らって、腹話術人形がギコギコと動き出す様にセットするという、神業にも近いような罠なんてお茶の子さいさい。
車のエンジンがタイマーと連動して回転数を上げる、なんていう複雑極まりないセッティングも楽々こなし、他にも沢山の重そうな仕掛けを短期間で多数用意。
一体どれだけの溶接が必要だったんだろう。 どれだけのプロテインを飲み干したんだろう。 どれだけの夜をジルの家を盗撮しながらまんじりともせず過ごしたんだろう。 おい!へんたい!!

アガサはそんなへんたいのホフマンが、ちょっとだけキライではなくなりました。
過去3作品に於ける“体も態度もLサイズ”なキャラから、時にランボーっぽく自分の傷を縫い合わせ、時にジェイソンのように神出鬼没なキャラに姿を変えたホフマンが、なんだかとても大きく見えました。 あ、結局Lサイズなのか。

これまでのわだかまりを捨て、ホフマンの実力を素直にみとめるコトが出来たアガサは、大人の階段をまた一歩登ったような気がします。 たしかにもうすぐ38歳だし。 ちがう!そんな階段粉砕してやる!!

完結篇というコトで、前回意味ありげに映し出されていた“ジョンの遺品に入っていたビデオテープ”も“その届け先”の謎もきれいに消化。
これまでのシリーズで生き残ってきた皆さんが今どのように過ごしているのか、なんて面白そうなエピソードもちょっぴり散りばめ、もちろん我らがジグソウおじさんも回想シーンで元気に復活。
そのシーンにおけるおじさんの飄々とした表情は、まるで「わし、もうシリーズには関係ないもんねー」とどこか別次元から面白そうに眺めているような、気負いのない表情で、「ああ、ホントにこれで終わりなんだなぁ」とサッパリした気持ちになってしまいました。

ゲームの量も、その犠牲者も、閉店大処分市とばかりに大幅アップ。
殺しのギミックもシンプルかつ大胆にまとめられ、“いかにへんてこな死に方をするか”という、本作に求められる需要にきちんと応えた内容となっておりました。
今まで一本もシリーズ作品を観た事がない方には、カタルシスの全く感じられない結末ですが、少なくとも“全国一斉ロードショー作品”ではあまりお目にかかれない残酷殺人ショーを満喫することは出来ますし、PTAが眉をひそめまくるであろう本作を、“キュアサンシャイン”にちびっこが歓声をおくっている部屋の隣で観るという背徳感を味わってみるというのも、また一興かもしれません。 おい!へんたい!!

ただ、今回一番気になったのは、本作が“3D方式のみの公開”だという事。
言うまでもありませんが、3Dは料金が高いです。
アガサは割引き制度を使って鑑賞したのですが、それでも通常価格から200円引きの2000円でした。
正直言って、本作に2000円を払うのはあまりお薦めできません。
もちろん、何の映画にいくら出せるかは人それぞれで、アガサがえらそうに「2000円の価値なんてないね」だなんて言う権利も資格も何も無いのですが、単純に、一個人の意見として、この映画で2000円はキツイです。
キツイし、それよりなにより、勿体無いです。

この“勿体無い”は、映画に対する対価としての意味ではなく、3D特別料金というハードルによって鑑賞者が減ってしまうとしたら勿体無い、という意味です。
そもそも、映画の料金は決して安くありません。
割引きを使えば1200円(格安チケットを買えば中には破格の作品もあるらしいですが)、割引き制度が使える時間帯に行けない人は、1800円という大金を払うことになります。(これも主観になって申し訳ないのですが、アガサにとっては1800円は大金なのです)
謎をばら撒き、謎を紐解き、多くの人たちをやきもきさせてきた『SAW』シリーズに、ついに訪れる終わりの瞬間。
観てみたい、観てみようか、観てもいいかも、そんな人たちに2000円強というハードルは、あまりに優しくないのではないでしょうか。
アガサは、『SAW』シリーズのことがだいすきです。
だからこそ、沢山の人に劇場で楽しんで貰いたいし、結末を一緒に見届けたい。
もしもこの金額がその妨げになってしまったとしたら、そんな勿体無いことって無いと思うのです。

これは、『SAW』に限った話ではなく、最近の3Dブーム全体に対して感じている事でもあります。
そもそも、3D映画を求めている人ってどれくらい居るのでしょうか。
3D映画の魅力って、何なのでしょうか。
飛び出す事や奥行きがある事って、本当に映画に必要な事なのでしょうか。

本当に面白い映画は、昔も今も、観ていて自分がおかれている世界を忘れます。
夢中になってスクリーンの中の人たちに寄り添い、吐息を感じ、鼓動を聞く。 自然とそうなってしまうものだと思うのです。 何も彼らの体の一部が、実際に飛び出してこなくても。
脚本のおもしろさや、映像の奥深さや、俳優達の体温を味わうのに、重くて観づらいメガネは必要では無いのではないでしょうか。
3D作品が増えている現状には、色んな思惑が絡んでいるのだろうと思いますが、なんとかしてそろそろブームに終焉が訪れてくれないかと節に願うアガサです。
3Dで大ヒットした『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』『トイストーリー3』は、きっと2Dであったとしても、大ヒットしていたのではないかと思いますしね。


あ、金額で映画を観る観ないを決めるような貧乏人とは話があわねえな、という方は、全部聞き流してくださいね。
あと、『SAW』シリーズに関しては金額がいくらだろうが、観に行く人は行くし、行かない人ははなから行かない、というご意見も重々承知ですので。 そりゃもうでしょうよ。 実際わしも行ったしな。

ともかく、今回の『ソウ・ザ・ファイナル』が、3Dという縛りにも負けず、大いに賑わうことを願いつつ、今後も可能な限り劇場に足を運ぼうと思うアガサなのでした。


(長くなってしまったので、以下箇条書きでネタバレ)


・ 眠れる龍が目を覚ましましたよ! ゴードン先生、おかえりなさい!!

・ 1作目のラストで、自らの足をギコギコし、顔色が真っ白になりながらもバスルームを脱出したゴードン先生が、ジョンの秘蔵っ子としてカムバック!

・ 実は、ジョンが“ゲームの生還者”として持て囃し、ゴードン先生もうっかり洗脳させられてしまっていた模様。

・ というわけで、過去の医療行為を含むゲーム(目の中に鍵とかお腹の中に鍵とか目を縫い付けたりとか口を縫い付けたりとか)は、ゴードン先生が噛んでいたのでした! 信じてた!あたいゴードン先生の仕業だって信じてた!

・ ホフマンが勝手におしおきを始めたので、多分怒ってたんだと思うよ!ゴードン先生はソウシリーズの希望の光です!

・ だいたい、“魔性の女と、彼女に引っかかって違法行為までしちゃったバカ男ども”っていう被験者のチョイスはなんなんだ、と。 おまえのアンテナはなににひっかかってんだ、と。 “命を大切にしない”みたいなアレは完全スルーかと。 ホフマンを小一時間問い詰めたい。

・ ジルほんとにつかえねえな!

・ 予告にあった、“ジルがホフマンの罠にかかって死亡っぽい流れ”のくだりがまさかの夢オチ。

・ 前作までは(キリっ)とかしてたのに、極妻かよ、みたいな“やったんぞ感”を放っていたのに、キャーキャー逃げ回るだけのジル。 それでいいのかジル。 最愛の妻に危ない橋を渡らせるなよジョン。

・ ジグソウのゲームの生存者として登場するデイゲン。 誰だそれ。昨日のまとめにも出てこなかったぞ。 ・・と思っていたら、“自称・ゲームの生存者”というお話だった。 わかるかよ!!ばーか!

・ そんなデイゲンは、元々手に職もなく、バーでうだうだ酒飲んでるくらいしかしてなかったのが、“ジグソウのゲーム”をでっちあげて、その架空の体験談で一山当てた、超小ズルイ男なのですよ。そりゃあんた怒られるわ!(ジグソウおじさんに)

・ 元がへなちょこ野郎だったせいか、仕事仲間を巻き込まれたゲームでのデイゲンのヘタレっぷりが非常に愉快なことになっています。 ほとんどコントです。

・ 今回の仕掛けもエグイよ! “先っちょに鍵と釣り針のついた糸を飲み込まされてて、口から出ている端っこを引っ張って取り出さないと死にます。ただし、声を出さないようにしないと早く死にます” とか面白すぎる。 考えた人と友達になりたい。

・ 目ん玉をパイプでグッサリやられるゲームがあります(3Dの割りには大して迫ってきませんが) ので、先端恐怖症の方は絶対観に行っちゃダメ!

・ 目ん玉ぶっさしが大好きなフルチおじさんも、草葉の影で喜んでいることでしょう。

・ “生存者の会”が集会を開いているくだりがあるのですが、座っているメンツがほとんど思い出せず絶望。(観直したばっかりなのに) かろうじて、5作目の金持ちのぼんぼんと、6作目のアボット夫人とシモーネさんくらいは判ったけど、あとは全滅でした。 う、映ってた時間も短かったんだもん!ほんとだもん!

・ 今回の“いくらなんでもそれは”第2位! 「被験者を眠らせてる間に、奥歯に数字を刻んでおく。2本も。抜かないと見えない位置に」  ・・・ねえよ! 

・ 今回の“いくらなんでもそれは”栄光の第1位! 「巨大な焼却装置と、その上に自動で組み立てられるブタ型のでっかい(縦1m30cm、横2m、幅3mくらい)鉄の箱をひとりで作ったホフマン」  ・・・ねえよ! っていうか何でブタなのか小一時間。

・ ホフマンがレクター博士ばりの移送方法を披露。 ホフマンのくせになまいきだぞ。

・ ジルがあっさり殺されすぎて、なんだか気の毒になりました。(ちなみに、使われたのはアマンダがチャレンジさせられた顎マシーンでした)

・ ジョンはゴードン先生に技や精神論の全てを伝授していて、「もしもの時はジルを見守ってくれ」とも頼んでいたのですね。 って何人弟子とってたの? 三股なの? もっとなの? ジョン・・こわいこ!

・ それで、本当に「見守っていた」ゴードン先生。 ジルが殺されるのも「見守っていた」。 ・・ってそおぉぉぉぉおい!!!

・ 1作目のラストと同じシチュエーションで、「ゲームオーバー」の声と共に扉を閉めてみせたゴードン先生。 ここまで6年間、色々あったけれど、アガサはこのラストシーンで納得したし、とても満足しました。
もしかしたら、というか、やろうと思えばこの後もいくらでも作れる終わり方(ゴードン先生主導で新たなゲーム、とか、バスルームに足かせをつけられて閉じ込められたホフマンが死んだかどうかはわからない、とか)だったのですが、このまま新作がつくられないとすれば、いい幕引きだったと思います。

今までおつかれさまでした! 面白い映画をありがとう!!


・ ってキレイにまとめようかと思ったんですけど、もう一つだけ。 3Dに関してはホント意味なかったです。  奥行きを感じられる事で、過去のシリーズより面白いと思った点も無いし、肝心の飛び出し感もほぼ無し。 何箇所かで、肉片やら血やらがピョーンって迫ってくる程度で、思わず身をよじりたくなるような臨場感も無し。 ハッキリ断言しますが、完全に無駄です。 “2000円払う程ではない”という言葉には、そういう意味も含まれています。 これだったら、通常上映で通常価格にする方が断然いいと思います。 3Dに決めたやつバカ。 

・ あと、全7作を観てみて思ったんだけど、要するに本シリーズって、 “逆恨みで関係者に罠を仕掛けまくった末期ガン患者が、大勢の人を死に追いやりまくって、生き残った人にはヘンな価値観を植え付けまくって、さらに信奉者まで増やしまくって、自分が死んでからも災いの種が延々芽吹くようにお膳立てしておく” という、 “立つ鳥が跡を濁しまくる” お話だったのですよね。  おまえマジめいわく! 



-おまけ-

パンフレットに関して無駄にこだわっている事でもお馴染みの『SAW』シリーズ。
今回はその歴史をざっくりご紹介いたします。(すみませんが、アガサが劇場で鑑賞できたのは3作目からですので、それ以降のモノになります)

<パート3>
パンフ
一見なんの変哲も無い表紙ですが、ジグソーパズル加工がしてありますので、なんだったらバラバラに引き裂いて組み合わせて遊ぶことも可能です。  うん、気持ちはわかるけどね。たぶんしないよね。

<パート4>
パンフ2
なんとジグソウおじさんの頭の形に表紙をカット!  見辛ぇぇぇぇ!!

<パート5>
パンフ3
前回の成功(?)に味をしめたのか、今回も表紙をカット。 本編に出てくるカッターの形と同じにしてみました。
パンフ4
ちなみに裏表紙だってこの通り。 ジグソウおじさんの顔が、表紙の上からも確認できますよ! って無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!!!

<パート6>
パンフ5
前作の感想の時にもご紹介しましたが、パート6の表紙はいちばん手間隙かかっています。 なんと表紙についている回転椅子が、クルクル回せる仕様に! 出来ればその情熱は、もっと別のトコロに注いで頂きたかった!!

パンフ6
ちなみに3作目以降は、中がこんな感じにガチャガチャとしたレイアウトになっています。 縦書き横書き反対書きと、多種多様な方向から、目に優しくない極小フォントが攻め寄ってくるよ! この老眼泣かせ!!

<パート7>
パンフ7
で、今回の完結篇の表紙がこちら。 アレ・・?なんか・・・ふつう・・? 真人間に戻ったの・・?

パンフ8
中を開いてみると、一応“3Dメガネで覗いてみると、絵が飛び出して見える”という3Dスコープなるものがくっついておりますが、なんでしょうか、今までのバカっぷりがウソのような落ち着いた付録なのですよね。 いや、いいんだけどださぁ。

パンフ9
1ページをドーンとつかったジグソウおじさんの顔も至ってマトモ。

・・ん? ・・・おじさんの顔が・・・?

パンフレット
よく見てみると、おじさんの目に立体シールの目ん玉がくっつけてありました! ビニールの白目の中であっちゃこっちゃするおじさんのレッドアイ! アホや!やっぱこの人たちアホやったわ!! だけど、オレはおまえらの事、キライじゃないぜ! 

と言う事で、劇場に行かれた際は、是非アスミックエースさん入魂のパンフレットの方もお手にとって頂けたら、と思う次第でございます。

いやぁ、いいシリーズでした!

 
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