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『キングスパイダー』

2010年05月01日
creepies
驚きに満ちた88分間。


あらすじ・・・
アメリカの軍の中の一握りの偉い人が極秘に開発していた生物兵器グモがハリウッドに逃げ出して何の罪も無い一般市民を皆殺しにするの巻。


拝啓 ジェフ・リロイ様。

貴方が監督された『キングスパイダー』、拝見しました。
どうしてもこの気持ちをお伝えしたく、筆を執った次第です。

まず冒頭、新兵が勝手に倉庫に忍び込み、保管されていたクモを逃してしまうシーン。
あの導入部は興味深いですね。 
とてもじゃないですが、初めて観た映画とは思えないくらい、親近感が湧きました。
そして、その新兵が慌ててクモを探すシーン。
隠れていそうな棚をキョロキョロ見てみるのですが、その時、置いてある何かの箱を指で“ちょん”って突付くのが、物凄いリアルでしたね。
世界に誇るアメリカの軍の兵士が、クモを怖がって指で“ちょん”だなんて。 
なんというリアリズムでしょうか。
兵士だって人の子。 じゃあ聞くけど、入隊テストで「虫を触れますか?」って質問あるのか?って話ですよね。 とてもよくわかります。

その後、クモに襲われた新兵が後ずさるシーンで、メガネを落っことし、そのメガネを“ばりん”って踏んづけてしまう所も、とても興味深かったですね。
おおよそ映画に出てくるメガネというものは、誰かに踏まれて割られるものだと、相場が決まっています。
むしろ、ここで踏まれて“ばりん”ってならないのなら、メガネが出てくる必要性など無いと言っても過言ではない。
踏まれないメガネはとっとと帰れ。 郷(くに)に帰って家業を継げ。
そう言われてしまっても仕方ないと思います。

すみません、ついメガネの事になると熱くなってしまうもので。

さて、新兵のミスのせいで、機密ボックスから文字通り蜘蛛の子を散らすように逃げ出したクモたちは、“フットヒル兵器実験センター”という名の雑居ビルを占拠してしまいますが、このシーンも非常に興味深かったですね。
まさかCGが使われるだなんて!
てっきりミニチュアとソフビ人形だけを駆使して製作されたのだろう思っていたものですから、ここでモソモソとCGのクモが這い出る画を見た時の驚きたるや・・・。
『ジュラシックパーク』でブラキオサウルスが草を食むシーンを、初めて観た時の衝撃が蘇りましたね。
もう17年も前の映画なのに。
今高校生の子が、生まれたてほやほやだった頃に作られた映画なのに。 なのにあの完成度。
本物の恐竜だ! と思いましたものね。17年も前ですが。
あ、『キングスパイダー』は何年の製作でしたっけ?  2003年? あ、一応21世紀なんですね。 いやぁ、それにしても『ジュラシックパーク』はすごかったですよね。20世紀に作られた『ジュラシックパーク』は。
いえ、『キングスパイダー』も、CGと実写部分の境目の荒々しさが、カラオケのバックで流されているやっつけアニメーションを思い起こさせてくれて、なんだか感慨深かったですよ。

そして、ここからの展開がまた泣かせてくれるのですよね。
実は、5年前にも同じクモがシール・ビーチにあった基地を全滅させていた、という事実が判明。
その時の責任者が、今回も絡んでいた事が発覚。
さすがに2回目の失態なので、一人だけ出てくる軍部の偉い人はいきり立つものの、事件が起きたのがハリウッドだったので矛を収める、と言う。
開発担当者も、軍の責任者も、部下も、大統領も、みんな「ハリウッドかぁ、じゃ、しょうがないな!」で納得してしまうこの展開は、未だかつて味わった事の無い、特殊な感情を与えてくれました。
クモ退治の為に出動されるのが戦車一台というのも、なかなかどうして特殊でした。
ちなみにこのシーン、日本語字幕で「こちらサンダーバード少佐です・・」という、本編の台詞とは全く関係ない字幕があてられていたのですが、これは完全に日本の配給会社の悪ふざけですね。
いくらミニチュアの背景と紐で引っ張っている様な戦車だからと言って、「サンダーバード」は安直すぎます。
そもそも、サンダーバードに失礼です。
責任者に代わって、ジェリー・アンダーソン氏にお詫び申し上げたいと思います。

ここから怒涛の死闘が始まるのですが、ミニチュアで撮影された破壊シーンと、それに臨む兵士のシーンの質感も大きさの比率も全くバラバラなのが、ホームメイドな感じでアレな感じでしたね。
距離感が掴めないという事が、こんなに脳を刺激するだなんて、30数年間生きてきて初めて知りました。
役者さんを使って撮ったシーンだけではなく、実際に空を(たまたま何かの用事で)飛んでいたヘリコプターを、ハンディカムで撮った映像を間に挟みこむ所も、とても工夫してあるなぁ、と思いましたよ。
なんと言っても、本物のヘリコプターが本当に空を飛んでいる映像ですからね。
そしてそれを撮っているのが、実際に家庭で使われているようなハンディカム、という。
これ以上のリアリティがあるでしょうか。
去年撮ったうちの子供の運動会のムービーに匹敵するような臨場感だったと思います。

そういえば、巨大化したクモと闘うおじさん(あ、軍の責任者でしたね)のシークエンスと同時進行して、貸しスタジオに閉じ込められた若い男女の脱出劇も描かれていましたね。
ストーリーを平坦なものにしない、という貴方のこだわりには、胸が熱くなりました。
軍が開発した最強の生物兵器であるクモを、ナイフとたまたま手元にあった爆竹で退治する若者たち、という熱い展開。
なんか熱いですよね。
イラっとするくらい熱いですよね。
こだわりと言えば、本編のあちらこちらになかなかしっかりとしたゴア描写が挿入されていた所も印象的でした。
飛び散る体液、吹き飛ばされる脳髄、血糊をつけすぎて何がどうなっているのかわからない特殊メイク、どれも無いよりはましですものね。
他の部分はありものの映像を使っても、ゴアだけは出来うる限り手作業で、という貴方の熱い心意気・・・。
野菜炒めを作る時、もやしのヒゲを一本一本取り除くくらいのこだわりだと思いました。
なかなか出来る事じゃありませんよね。
ま、ヒゲがあろうと無かろうと、もやしの味そのものは変わらないのですけどね。

クモが大きくなってヘリコプターに飛び掛ったり、エミネムが爆発したり、スタジオの中から出られなかった筈の若者が終盤ですんなり屋上から脱出していたり、クモが喋ったり、クモ人間になったり、ブリーフケース型のノートパソコンを撃ったら核爆発が起きたり、予想を裏切る怒涛の展開が矢継ぎ早にぼんやりと目に映る88分。
そうですよね。 88分ですものね。
宇宙の歴史を1年としたら、141年続いた鎌倉幕府ですら0.33秒ほどの存在だそうですから、『キングスパイダー』を前に呆然と佇んでいた88分なんて、0.0000・・・・ ま、耳クソみたいなものですよ、耳クソ。
ほんと、宇宙は壮大ですよね。
で、『キングスパイダー』は耳クソ、と。
ほんとにね。

ホント、いっぺん宇宙に飛ばしてやろうか!この耳クソ野郎! ばーか!おまえばーか!!





よいこのみんなは、連休中ヒマでヒマで写経したくなるくらいヒマだったとしても、絶対借りちゃダメ!

アガサとの約束だよ!


参考資料:宇宙の歴史を1年であらわすと | オモコロ特集 ←ちょうおもしろいですよ!



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『シャーロック・ホームズ』

2010年03月19日
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もういい・・・皆まで云うな。


『シャーロック・ホームズ』著作権者が激怒!続編でホームズとワトソンの“ゲイ疑惑”に触れたら映画化の権利を剥奪 - シネマトゥデイ


数ヶ月前、このような記事を見かけました。
正直言って、著作権者のアンドレアたんが何をそんなにいきり立っているのかさっぱりわからない。

健全な男男が2人、一つ屋根の下で暮らす。 

・・・状況説明として、これ以上何が必要だというのか。

な、アンドレア。 お 前 に も わ か る な ?


あらすじ・・・
なんかロンドンで連続女性殺人事件が起きて、黒魔術みたいなのがあって、その犯人が捕まって、処刑されて、でも生き返ったっぽくて、そしたらまた関係者が殺され始めて、ドカーンボカーンってなって、ワトソンが「危なーい!」とかなって、ジャーってなって、チュイーンって迫ってきて、裸になって、ほんで『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいになって、おしまい。


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もうね、冒頭にも書いたのですが、ホームズとワトソンの関係がね。
いや、ヘンな意味じゃなくて、ホント、見たまんまな意味でね。
見たまんまな意味で、白飯三杯はいけちゃうよね。

大胆で聡明で色っぽくて繊細な、ロバート・ダウニー・Jrのホームズ。
誠実で色っぽくて包容力がある、ジュード・ロウのワトソン。
ぶつかりあう、2人の肌と肌。
絡み合う、視線と視線。
ダウニーさんの豊富な下まつげの一本一本から溢れ出す、ワトソンへの想い。
そして、婚約者との新生活の準備を進めながらも、危なげな相棒から目が離せないジュード・ロウ。

もういい。 皆まで云うな。
お前らの気持ち、しかと受け取ったぞ!!
(発信されていたかどうかは別として)

という事で、新生ホームズの冒険談は、アガサにとって夢のようなひとときで、まさしく夢のようだったのでした。 違う違う、寝てませんからね。 そういう“夢”じゃなくて。 いや、ホント寝てないって。 大人はヤだねー。すぐそう言ううがった見方をするもんマジで。


これはあくまでアガサの考え方なのですが、そもそもサー・アーサー・コナン・ドイルの原作自体、完全な“本格推理小説”とは言い難いのではないかなぁ、と。
もちろん、唸ってしまうようなトリック(「フランシス・カーファックス姫の失踪」や「ブルース・パーティントン設計書」の死体のトリックなど)や、現場に残された小さな物的証拠からその場の状況を導き出すホームズ先生の冴え渡る推理は楽しいのですが、半分くらいは「え?」みたいな話もありますからねぇ。
婚約した若いギャルに愛想をつかされない為に謎のクスリをオーバードーズして、サル化してしまう老教授のお話とか、
殺人事件の犯人がクラゲだったお話とか、
ヘビが牛乳で飼いならされちゃうお話とか、
痴話喧嘩がこじれる話とか、
痴話ケンカがこじれる話とか、
あとは痴話が刃傷沙汰になる話とか。

そういうチワチワとしたお話も面白く読めてしまうのは、ひとえにホームズ先生のスマートな立ち振る舞いと、ワトソンとのウィットに富んだ会話、ヴィクトリア朝時代の光と影が残酷なほど美しく対比する風景、そして、わかりやすく且つ斬新なストーリー展開にあるのでないかと思うのです。

で、それを踏まえて本編を観ると、なんだよ、全然いつものホームズじゃん!と、そうなる訳なのですよね。

むしろ、なんでみんなホームズに本格的な謎解きを求めるのか、と。
時代はビクトリアだよ、と。
もうねぇ、壁に「RACHE」って書いてあるの見て
「むむ!これははんにんが“レイチェル”ってかこうとしたにちがいない!」
って息巻いてたら、ホームズ先生に
「あのねぇ・・クスクス・・“RACHE”はドイツ語で ・・ブッ・・ “復讐”って意味ですよ・・ プークスクス・・」
って豆知識を披露されたレストレイド刑事の気持ちにもなってやれよ、と。(←「緋色の研究」より)
やたらと「謎の吹き矢」とか「謎の毒薬」とか「謎の秘密結社」が出てきてこそ、ぼくらが愛したホームズなのではないですか。

シルクハットと黒いスーツに身を包んだ紳士が、石畳を颯爽と闊歩する姿。
軽快な音を路地に響かせ走り抜ける馬車。
カメラがパンすると、そこに映し出される「ベーカー街221B」の文字。
それを大画面で観られただけで、充分満足してしまったアガサだったのでした。
で、しかもそこに、フェロモン過多なワトソンと、それをねっとりうっとりとした目つきで見つめるホームズがいる。
なんだよ! おまえらこれ以上なにが必要なんだよ!(※ゆがんでいる事はわかっているのでそおっとしておいてあげてください)

ただ、上記のとおり、設定や映像には概ね満足だったアガサなのですが、ちょっと物申したい点もいくつかありまして。

まず、上映時間が長すぎる。
魅力的なキャストを揃えたので、ねっとりと時間をかけたプレイ状況説明をしたいのはわかりますが、この話で2時間超はキツいです。
派手な爆発や破壊を盛り込んでいるにも関わらず、ものすごくテンポが悪く、間延びした印象を受けてしまうのは勿体無い。
テレビもブルーレイじゃないと勿体無い。(←とくに意味はない)
そう考えると、『ヤング・シャーロック』は1時間半超で上手にまとめてたなぁ、と。 似たようなトンデモ展開なのにな!


次に、悪い人役が地味。
誰かに似てるんだよなー・・誰だろなー・・・ホント、絶対誰かに似てるんだよ・・
と思ってたら、アンディ・ガルシアでした。って気付いた時には本編終わってました。 ちょう地味ーマジうけるー。

それから、まさかの「SAW」っぽい装置登場。
途中でヒロインがある装置に縛り付けられて危機一髪!みたいなくだりがあるのですが、その装置というのが、
「フックに吊るされたブタの死骸が一体ずつスライドさせられて、その先にある電動カッターで縦割りにされる」
という仕掛けで、もうめちゃくちゃジグソウっぽい。ていうか即座に『SAW3』を思い出した己が憎い。

そしてなにより、「あのひと」こと「アイリーネ・アドラー」に華が無い。

ちがうの。 キレイなの。 そりゃ女優さんだから、もちろんキレイなの。
でも、「アイリーネ・アドラー」はシャーロック・ホームズにとって特別なんですよ。
美しくて、頭の回転が速くて、賢くて、ユーモアのセンスもあって、男気もあって、儚いところもある。
だからこそ、並みの女には一ミクロンも関心を抱かないホームズも、彼女にだけは一目を置き、敬意を表するのです。

間違っても、こんな出来損ないの峰不二子みたいな女泥棒じゃないんですよ! “あのひと”は! (※峰不二子を侮辱する意味では決してない) 

もうここは、“原作厨乙”とか言われても構わない。
オレはどこまでも理想のアイリーネ・アドラーを追い続ける。
たとえそれが、荊の道であっても・・・。(←ごめん、オレちょっとウザい)


ということで、若干不満も残るのですが、ダウニーさんとM字ハゲという相性バツグンな黄金コンビの誕生は大いにめでたい事でもありますし、トンデモっぽいストーリーの脇で原作のニュアンスもきっちり残してあったり(壁に撃ち込まれたヴィクトリア女王のイニシャルや、ハドソン夫人との丁々発止なやりとり、結婚を控えてのワトソンとの微妙な距離感などなど)、続編に出る気まんまんのモリアーティ教授の存在も楽しみな事この上ないですので、製作されるであろう第2弾を色んな思惑を抱きつつ楽しみに待ちたいと思います。

その時は是非、ベイカー街遊撃隊(※)にもご登場頂けると、さらにアガサが興奮しますからね!
(※ ホームズ先生が手下に使っているストリートキッドたち)



最後に余談・その1
本編の最後に、とある人物の殺害を実行したのがモリアーティ教授だったという事が明かされ、ホームズが闘志を顕にするというシーンがあるのですが、これってもちかして「恐怖の谷」(※ホームズシリーズの長編小説)のエピローグに対するリスペクトなのだろうか。  こんなの見せられたらおばちゃんうふふってなっちゃうよ、うふふって。

余談・その2
ワトソンの婚約者としてメアリー・モースタン嬢が紹介されるシーンがあるのですが、ホームズが彼女を知らないなんておかしいでしょ! せっかくモースタン嬢を登場させたんだから、そこは繋げて欲しかったなぁ。 こんなの見せられたらおばちゃんわちゃーって言っちゃうよ。 わちゃーって。
(※原作に於いて、モースタン嬢とワトソンとの出会いのきっかけは、ホームズが手がけた「四人の署名」事件なのです)

余談・その3
今回、「ホームズが武闘派なのがおかしい」という声もちらほら聞こえますが、原作小説でもホームズは腕に覚えアリな人なのですよ。
有名な“バリツ”(※モリアーティ教授ともみ合いになって死にそうになった時、日本の格闘術・バリツを駆使して助かった、というくだりがある)はもちろん、鉄製の火かき棒を捻じ曲げたり(※「まだらの紐」)、ボクシングでごろつきをノックアウトしたり(※「あやしい自転車乗り」、拳でモノを語る事も無くはないのです。 と言う訳で、いいぞ! 次ももっとやれ!




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『ドゥームズデイ』

2010年02月16日
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タンクトップの姉ちゃんが出てくる映画に、まず間違いはない。

※ 少し前から、感想の★マークを中止しています。 というか、あまりにも参考になっていないという事実(ゼロ年代ベストも星の数と必ずしも比例していない)に気付きましたので、たぶんもうやめます。 めんごめんご!


あらすじ・・・
父の元を飛び出してから、もう何年経っただろうか。
理想の国作りを目指した父の影を追うように、ぼくもそれなりに頑張ってきたこの数年間。
いつか、その何もかもは崩れ落ちてしまうのだよ、と、あの日飛び出した僕に教えてあげたい。
あの壁と父は、ある意味正しかったんだよ、と。

僕が生まれた時からあったあの壁は、世界の端っこなのだと教えられてきた幼少時代。
最初に疑いを持ったのは15の頃。
僕の問いかけに対して父は頑なに、「壁の向こうには何も無い」と短い嘘を繋げた。
僕はそれを無視した。
忠実な息子の代わりなら捨てるほど居るなんて言ってたくせに、どうして今、父の横に誰一人いないのだろう。

独り善がりな愛情と抑圧された生活に別れを告げた僕もまた、気付くと父と同じ道を歩んでいた。
異議を唱えるものには死を。
愛を与えてくれたものには肉を。
壁の向こうに思いを馳せつつ、日々の衣食住を確保する事にただただ没頭。

何で大それた事が出来ると信じてたのだろう、僕は。
灰色の檻が立ち並ぶこの街には、鼻先をくすぐる牛舎の香りも、父も、クライド川もない。

念願かなって、壁の向こう側の存在が証明出来た今、父の忠告は“愛する人の死”として現実になった。
あこがれ続けた壁の向こう側には、世にも恐ろしい女が居た。ただそれだけだった。


と言う訳でお父さん、今更我が儘など言えた義理ではない事はわかっているけれど、いきり立った髪型を何とかするから、明日のグラスゴー駅に最後でも来て貰えないでしょうか?
妹も一緒に待ってます。

あなたの息子、ソルより。

ドゥーム
(追伸: 友達も一緒ですけど、いいですか?)


ちなみにソルくん、フェイバリットソングは林檎ちゃんの「幸福論(悦楽編)」なんだそうです。  もちろん冗談です。
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一度観たならば好きにならずにはいられない、超世紀末救世主伝説『ドゥームズデイ』。
アガサなんか、観る前から好きでしたもんね!
だって、モヒカンの群れに殴りこむ、タンクトップのチャンネーですよ?
キライになる要素が見当たらないじゃないですか! 
ヒャッハー!ここは通さねハズさねぇぜ!

「映画史を変えた名作」、「興行記録を塗りかえた傑作」(『アバター』とか『タイタニック』みたいな)と呼ばれる事はないでしょうし、「キネマ旬報ベストテン」みたいな格調高いランキングには絶対選ばれないでしょうが、アガサは本来“映画”が持つべき特性を“娯楽”だとするならば、本作ほど“映画”らしい映画はないのではないかと思うわけです。


改めて書くも、本編のストーリーはいたって簡単。
イギリスの北半分・スコットランドはグラスゴーに於いて、凶悪な感染力を持つウィルスが発生。
感染の拡大を恐れたイギリス政府はグラスゴーを隔離すべく、ぐるりととり囲む壁を築き、「あとは野となれ山となれ作戦」を決行。
しかしその十数年後、なんと再びウィルスがロンドンで復活。
時を同じくして、壊滅したと思っていたグラスゴーの人々が生き延びていた事を知った(知ってたけど放っておいた)政府高官が、ウィルスの特効薬を求めて、すご腕の女性特殊工作員をグラスゴーに派遣するのだが、なんとそこはヒャッハーな街と化していたのだ!

というお話。
とりあえず「ヒャッハーな街」で基本設定の9割が伝わってしまうところが素晴らしいですよね!(伝わってますよね?)

でね、先程からヒャッハー、ヒャッハーって何がヒャッハーなのかっつったら、要するに住民ほぼ全てがモヒカンな訳ですよ。
モヒカンて!
頭皮の70パーセントがネイキッドて!
もうねぇ、冬の頭頂部は寒くないのか、と。
何が君たちをそうさせたのか、と。
リーダーであるソル君の嗜好が影響しているのは間違いないと思うのですが、何も全員見習わなくてもいいではないか。
一人くらい、「兄貴ィ、自分モヒカンじゃなくて水嶋ヒロみたいなカーリーヘアの方がいいっス!」と切り出すツワモノが居てもよさそうなものではないもじゃか。
そうすれば、もしかしたらヒャッハーな街はイケメンパラダイスになっていたかもしれないもじゃ。
もじゃメンパラダイスのみんなは、奥さん想いのもじゃもじゃとしたナイスガイ揃いなんじゃもじゃ。


という事で、ここまで読んで頂いて薄々感づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、鑑賞してから1ヶ月近く経ってしまうと、書こうと思っていた事が霧散してしまうので、みんなも気をつけようね!(←霧のように消えてしまったらしい)


いや、違うんですよ。
面白かったんですよ。
ただ、頭に浮かんだ事を書いてたメモがどっか行っちゃった、と。 グッバイマイロンリネス、と。
もうこうなったら手の施しようがねえわな! そりゃ「もじゃメンパラダイス」とか書いてまうわ! まっことスマン!!

と言う訳で、この際メモの事はすっぱり忘れて、いまだ記憶に新しい点をいくつかピックアップしてみます。


・ ミディアムレアなこんがり肉
ヒャッハーな皆さんが日々の食事をどうしているのかというと、どうやら弱くなってきた人間を捕食している模様。
まぁ・・ね、政府からはとうの昔に見放されていますから、自分たちの蛋白源は己で確保するしかないですよね。
で、特命を帯びて潜入した特殊チームのメンバーも、当然おいしく料理される運命にある訳で、運悪く捕まった隊員が名コック・ソルさんの指示のもとミディアムレアに焼き上げられてしまいます。
ミディアムレアに・・・
ミディ・・

・・黒焦げじゃねえかYO!!(ノ`Д)ノ:・'∵:.┻┻


ウェルダン状態を全力で走り抜け、貴重な蛋白源はどう見ても炭。
とーこーろーがー、切り分けてみると、うっすらピンクな層も見えるという絶妙な焼き加減に仕上がっているではありませんか。
この辺が、ソルさんの料理人としての人気の秘訣なのかもしれませんね。
よっ! 美味しん坊主!

・ バランスが大事
そんな火加減の達人・ソルさんは、自分たちのコミュニティをひっちゃかめっちゃかにした女性工作員(ヒロイン)を追いかけて、街中を駆け回る事になるのですが、まぁとにかく持久力が無いのですよね。
乗り物に乗っていれば問題ないものの、全力疾走を強いられるとたちまち息があがるソルさん(と仲間たち)。
まったくもう! おまえら肉ばっか食ってるからそうなるんだよ! 
焼肉屋さんのたまねぎは、焦がす為だけにあるんじゃないんだかんね!
(※ピーマンも同じく)

・ 村長さんに、オレはなる!
地図上から抹殺されたグラスゴーで、以来10数年間、粛々と自分の使命を全うしていたウィルス研究家・ケイン博士。
その使命とは、生き残った人々をまとめあげる事。
とりあえず、荒廃した都心を離れ、みんなで田舎に引き上げて、おあつらえ向きの古城を拠点にした新しい村作りに奔走してきたケイン博士。
形から入るタイプなので、みんなの村民コスチュームも完璧です。
一番こだわったのは、処刑人のコス。 この縫製の立体感は、是非間近でじっくり見てもらいたい。

・・・え? 「信頼してた政府に見捨てられて、ホントは寂しかったんでしょ」?
ないない! んな訳ない! 見捨てられてって言うか、むしろこっちから見捨てたって感じ?
あの壁のお陰で、おれら全員快適夢空間!みたいな?

そんな風に、精一杯ヒロインに嘯くケイン博士の唇を、アガサはそっと塞ぐのであった。(←なんだこれ)

・ 目玉が不衛生
幼い頃の怪我がもとで、今は義眼を使用しているヒロイン。
高性能カメラが仕込んである目玉は、敵陣に転がして様子を探ったり、いざという時の証拠VTRを撮影したりと大活躍。
で、使い終わったら眼窩へGOなのですが、洗わないのですよね、目玉。
お姉さん! それさっき、床ゴロゴロしてたやつ!
洗わな! アイボンでジャバジャバせな!

そうそう、「セカイカメラでエアタグ貼り放題」って ア イ ホ ン !(←投げやりになっている訳ではない)

・ タトゥがかっこいい
タモさんゴメンナサーイ!   

・・じゃなくてこっちの方。
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(※ソルくんの恋人)
顔に彫るの痛かっただろうなぁ! 
どことなくオリエンタルな文様がステキすぎますね。

・ 黒の乗手あらわる
『マッドマックス』から『ロード・オブ・ザ・リング』へ。その振り幅が心地よい。

・ 車が早い
超はやい。

・ タンクトップ
着やせして見えますが、二の腕には細心の注意が必要です。


ちがうちがう。 全然投げやりじゃないから。


とまぁ、ざっと挙げればこんな感じなのですが、とにかく全編通して、シビれるような女体の神秘を堪能する事が出来る傑作アウトロー・ムービーですので、日々のストレスに押し潰されそうな方や、なんとなく気分が晴れない方は、是非一度ご覧頂ければと思います。
ここではほとんど触れていませんが、滅法強いヒロインの活躍もマジ見所?みたいな。
悲劇の生い立ちを抱えたヒロインが新世界の王になる(←オチなので反転)ラストは拍手喝さいモノですよ!

まぁ、多少のグロもなくはないのですが、見終わった頃にはきっとこの破天荒なワンダーランドに魅了されている事間違いなし。
あなたもアガサと一緒に、映画界に誕生していた新たなるヒロインを讃えようではありませんか。 SAY!ヒャッハー!


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『2012』

2010年01月18日
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★★★☆
破壊の満漢全席やで!


あらすじ・・・
2012年の12月21日に、地球は滅亡するんだってよ!

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と、いう事で、『アバター』が公開されるまでは割と話題を呼んでいた『2012』を、なんとか滑り込みで鑑賞してきました。
K子さん、本当にありがとうございました!ヾ(*´∀`*)ノ

結論から言うと、最高の映画でした!
映画館で観れてよかったなぁ!!
(逆に言うとDVDで見なくてよかった)


物語は2009年、インドの研究所でニュートリノの異常活動が観測されたトコロから始まります。
それを知ったホワイトハウス所属の地質学者・エイドリアンが、大統領補佐官に報告。
補佐官が大統領に報告。
大統領がG8で報告。
その後、先進国の偉いさんたちによって、人類保管計画がこっそり企てられるというお話なのですが、まぁ細けぇこたぁどうでもいいのですよ!
詳しく聞いたところでよくわかりませんしね!

だいたい、 「数十万年に一度しか起きない惑星直列」 によって 「太陽の活動が異常に活発化」 し、 「普段は地球をすり抜けるハズのニュートリノが滞留」 して 「地球のコアの部分をブクブク沸騰」 させ、 「緩んだコアと地表の間がグズグズ」 になって、結果 「地殻変動が起こる」 とか、科学や数学が天敵だったアガサでも気付くくらいの胡散臭さじゃないですか。
なんだよ、「ニュートリノでコアがブクブク」って。
エメリッヒさんはいい加減にしとかないと、小柴教授に踏んづけられちゃうよ!


とにかく、カラクリはさておき、本作の見所は完膚なきまでに叩きのめされるぼくらの地球と、意外と現実的な人類の行く末なのではないか、とアガサは思うわけなのです。

先ほども述べたように、地球の中心部がブクブクしてしまうので、当然次に待ち構えているのは大規模地震。
まだ、一般市民が何の疑問も抱かず日常を掛け流している時、その予兆がひそやかに訪れます。
いや、うそです。
結構派手に訪れます。

ロサンゼルスの道路上で、アガサのほうれい線の如く、容赦なき進行をみせる地割れ。
市民は驚くものの、テレビで専門家が「問題ないッスよ!」とコメントする為、気にしない事にします。
しかしその地割れは全く収まる事無く、どんどん規模を増していく。


ヒビ程度だった地割れが、建物を分断させるほどの規模になり、そのまま大地震へとスケールアップして街は崩壊。
で、地震ときたら、やっぱ次は火山の噴火ですよね!
勿論すぐには噴き出しませんよ?
鳥が一斉に飛び立ち、山の斜面がもこもこと持ち上がり、地鳴りのドラムロールを経て、やっと大噴火。 
しかも頂上からドカーンではなく、亀裂が入った地面のあちらこちらから泉のように大放出です。

そして、マグマの塊がドッカンドッカン飛び交った後は、当然の如く灰な訳ですよね。
破壊された街に降り注ぐ火山灰。
その灰は、破壊の中心地・ロサンゼルスから、大陸横断してワシントンDCまで到達。
見ているだけでゲフンゲフンなりそうな灰が積もったなら、その灰、洗い流してみせましょうぞ! とばかりに、次に襲い掛かるのは津波。
イエス! ジャパニーズTUNAMI!!(←特に意味は無い)

火責め、灰責め、水責めときたら、最後は雪。
熱いだけじゃつまらない。 ぬるま湯の生活もうんざりだ。 
時代は雪! 寒さこそ正義!
(←もうあんまり深く考えてない)

主人公一向を、灼熱のアメリカ本土から、極寒の雪山にダイブまでさせるエメリッヒ監督の、なんと貪欲なことでしょうか。
なんや、お前は欲張りOLか!
最近のマストなレストランは、ビュッフェスタイルか!


そして、破壊の満漢全席とも言える、この世紀のぶっ壊し作業から、奇跡を乱発しながら逃げ通す主人公一向の姿がまたもう、手に汗握る見せ場の連続なのですよね!
『天空の城ラピュタ』のトロッコ追走シーンみたいなテンションで、“間一髪”が二発も三発も繰り広げられるものですから、アガサ正直お腹がいっぱいです。

普通は、同じような破壊シーンが続くとダレるじゃないですか。
しかし、本作の破壊は細部までこってりとこだわり抜いて作られているので、よく観てみると 「分断されたビルの配線が剥き出しになった床に必死につかまっている人間」 だとか 「飛んでくる車に一人一人巻き込まれてゆく人間」 だとかが、悪趣味なほど細かく描き込まれているので、ぼんやりとしている暇などありません。
いやぁ、ほんとエメリッヒはいい趣味してんなぁ!

さて、破壊も申し分ないのですが、アガサがもうひとつ本作で気に入ったのは“現実的な選択”なのであります。


2009年の時点で「地球崩壊止むを得なし」と判断した先進国首脳は、秘密裏に“ノアの箱舟計画”を立てます。
つまり、“ほぼ死滅するのはしょうがないとして、なんとか後の世にいい遺伝子を残しましょう”と。
“急ピッチで建設された巨大な船に、ギリギリ定員いっぱいの約40万人を乗せ、崩壊したあとの地球でいちから再スタートさせちゃおうぜ”という計画です。

じゃあ、その40万人はどうやって選ぶのかというと、当然の事ながら「優秀な遺伝子」を持つ人や「一部の金持ち」や「政府関係者」な訳ですよね。

この選択は、確かに公平もへったくれも無いシロモノで、登場人物の中の一人が正義心を振りかざして
「こんなの不公平だ! クジで選ぶという方法だってあった筈じゃないか!」
と超ウザい事を言うのですが、そんなの所詮キレイ事じゃないですか。
仮にクジを引かせたトコロで、いざそれが未来に生き残るチケットだとわかれば、凄惨な奪い合いになることは目に見えている。
くじ引き以外の方法で、どうやって少ない人数を選び出すかと言うと、同じ残すなら「すごい才能の持ち主」なのかなぁと思いますし、「一部の金持ち」というのも巨大な船の制作費を捻り出すのに必要不可欠。「政府関係者」もコトをコッソリ進める以上必然というか当然の成り行きでしょう。

実はこの登場人物(地質学者・エイドリアン)は、全編通してやたらとこの様なキレイ事を連発し、やれ「地球の終わりを世界中に発表しろ」だの、やれ「人類には知る権利がある」だのと、まぁ鬱陶しい事この上無し。
「知る権利がある」だなんて、「既に知っている」人間だからこその無責任発言じゃないか? と。
本当に世界中の人間に「はい、残念ですけどあと2年で世界は終了ですよ! みなさん乙でした!」なんて発表して、それで残りの2年間どうやって生きて行けと言うのか? と。
どうやったって、人類全員は助からないし、むしろほぼ壊滅状態になる事態が避けられない。
だとしたら、こっそり一部の人間を選んで、残りの大多数には何も知らせず、いつものように小さな幸せを味わいながら過ごさせてあげるべきなのではないでしょうか。

だって、苦しむのなんて、長いより一瞬の方がいいに決まってる。
人は、希望があると思うから、なんとか生きてゆけるのだ。

ちょっと悲観的かもしれませんが、アガサはそう思うのですが・・・。


で、このエイドリアンくん、いざ箱舟に乗船する際にも、周りで作業している「明らかに乗船券を貰えていなさそうな造船所の作業員(貧乏な一般市民)」の姿を見ていたら、またぞろ正義の虫が騒ぎ出したのか、
「あの人たちは船に乗せてあげないのか? この人非人!」
とかなんとか言い始めるのですが、一緒に居た大統領補佐官に
「キレイ事言ってんじゃねえよ! そんなに言うならお前のチケットあいつらに譲ってやれよ!」
と一喝され、グウの音も出なかったのでした。

あー、やだやだ。 
こういう、人権派の弁護士みたいな無責任な正義漢って、ホント苦手です。
「犯罪者にも人権がある! 更生の余地がある!」って、じゃああなたが幼女に対する性犯罪者の保護責任者になってやればいいじゃない! 小さい娘がいるあなたがさぁ! みたいなね。

結局キレイ事を言う人というのは、すべてに於いて高みから見ている人なのだと思うのですよ。
下におりて、同じ目線で見る、考えるという事は、とてもツラいし残酷すぎるから、ちょっと離れた高みから見ているだけなのではないでしょうか。
ですので、アガサが一番本作で共感し、応援していたのは、誰よりも現実を直視し、誰よりも無情に計画を遂行しようとした大統領補佐官だったのでした。
みんなに嫌われても、自分の使命をひたすら果たそうとする補佐官は、かなり成人病予備軍な体型ですが、とっても男前だと思います。
ホントさぁ、補佐官くんはせっかく生き残って新たな人類のメンバーに入るんだから、もうちょっと健康に気を使ったほうがいいよ!

あ、それと、最初から「地球の破滅」を信じ、周りから電波扱いされようとも決して挫けず、唸り声を上げる地球の末期の叫びを全身に受けて、感涙のうちに死んでゆく陰謀マニアのウディ・ハレルソンも素敵でした。
やっぱ一本筋が通っている男性はカッコイイですね!


ということで、これでも最初は「今回は短い感想にしよう」と思っていた筈が、気付いたらいつも通りの長文になってしまった訳なのですが、最後にダメ押しで2~3突っ込ませて頂いて、『2012』の感想はおしまいにしたいと思います。


・ 先生! ジョン・キューザックのニコラス・ケイジ化が止まりません!(生え際も含めて)

・ 船の作業員をやっていたお兄ちゃんが、はんにゃの地味な方にクリソツ。
テンジン  はんにゃ
(ほら! クリソツだよ!)

・ 人類の行く末を握る“ノアの箱舟”を作るのは、なんと中国

・・・

・・

ノーモア! チャイナフリィィィィィィ!! 



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『イングロリアス・バスターズ』

2009年11月22日
inglourious_basterds.jpg
★★★★☆
鬼畜VS鬼畜。

あらすじ・・・
第1章「ナチ占領下のフランスで」
ナチス親衛隊のハンス・ランダ大佐は、今日もきびきび仕事をこなす。
今回訪れたのは、丘の上の一軒屋。 
酪農業を営むラパディットさん一家です。
「こんにちは~。 ちょっとお邪魔しますよ~」 「は、は、はい、ど、どうも」

・・・あやしい。
どう見てもあやしいですよね。
それもその筈、実はラパディットさん、フランス人のくせにユダヤ人を匿っているらしいんです。
しかし、優れた探偵としての才能をも持つランダ大佐には、すべてお見通しなのです。
という事で、あっという間にラパディットさんから自供を引き出し、軒下のユダヤ人は皆殺し。
少女を一人見逃してやりましたが、ま、それはランダ大佐の器の大きさって事で。
かっこいいですよね。 ランダ大佐。


第2章「名誉なき野郎ども」
圧倒的乱暴さで、ヨーロッパ全土を統治下に置こうとふんばるナチスドイツ。
しかし、最近とあるアメリカ人特殊部隊がそんなナチスに揺さぶりをかけてきているのです。
彼らの名は“バスターズ”。
ナチスのメンバーを人間と見なさず、ありとあらゆる残忍な手口で殺しまくる、非道な集団です。
なんでも殺しの締めとして、必ず頭の皮を剥ぐとか剥がないとか。
おっかないですね。 “バスターズ”って。

あ、ランダ大佐はたぶんどこかでユダヤ人を殺してます。 出てきませんけど、間違いないです。
ホントできる男ですよね。 ランダ大佐。


第3章「パリにおけるドイツの宵」
第1章でランダ大佐に見逃してもらっていた少女ですが、今ではすっかり大きくなって、パリで映画館を営んでいます。
なにもそんな目立つトコロで働かなくても、と思うのですが、ま、仕方ないですね。
どこに出しても恥ずかしくない身分証明書を持っていたお陰で、堂々と商売していた彼女なのですが、ある日映画好きの若き兵士に見初められてしまいます。
兵士はペーペーの下っ端だと思いきや、連合軍兵士を300人以上も殺した英雄でした。
おまけに空気の読めない童貞でした。
女心を知らない童貞兵士は、自分で主演したプロパガンダ映画のプレミア試写会を、彼女の劇場で行う事を上層部に掛け合っていました。 
喜ぶとでも思ったのでしょうか。 
さすがの童貞クオリティですね。
ユダヤ人の彼女にとっては迷惑千万な申し出だったものの、よく考えたら皆殺しにされた家族の復讐ができるいい機会なので受けることにしました。

もちろんラブラブな彼氏と相談の上ですよ。

あちゃー。 お気の毒ー。

そうそう、ランダ大佐ですが、ちゃっかりパリに戻ってきて、上層部の護衛を任されています。
さすがに彼女があの時の少女だと言う事までは気づきませんでしたが、そんなのわかりっこないですよ。 
いまや完全にメスですからね。
どんまいどんまい。 ランダ大佐。


第4章「プレミア作戦」
ナチスの上層部が大集合して、新作プロパガンダ映画の試写会を開く事は、連合軍にも知れ渡っていました。
もちろんこんな好機を逃すはずも無く、連合軍は“バスターズ”とドイツ人人気女優スパイを使って、映画館の爆破作戦を行う事に。
フランスの奥地で落ち合う段取りだったイギリス人中尉と“バスターズ”たちだったのですが、運悪く、待ち合わせのお店でナチスがパーティを開いていたからさあ大変。
あっという間に正体がばれ、激しい銃撃戦の末イギリス人中尉やドイツ系“バスターズ”は死亡。
なんとかドイツ人女優は生き残ったものの、プレミア上映会に同行出来るメンバーはドイツ語が話せない“バスターズ”のみ。

果たして“バスターズ”は無事任務を遂行することが出来るのでしょうか?!

・・え? ・・・ランダ大佐?
あー、えっとね、さすがは名探偵ランダだけあって、銃撃戦の跡からドイツ人女優が絡んでいる事を推理し、そこに“バスターズ”が噛んでいる事まで探り当ててしまいました。
マジ半端ないですよね。 ランダ大佐。
もうあれだ。 抱いてホールドオンミー。


第5章「巨大な顔の逆襲」
時は来る。
プレミア試写会の日が、ついにやってきたのです。
童貞兵士は、彼女をモノに出来る事を期待して。
ナチスの上層部は、ヒトラーに満足して貰える事を祈って。
“バスターズ”は暗殺作戦が成功する事を確信して。
彼女は復讐が果たされる事を願って。
ヒトラーは面白い映画が観れる事を楽しみにして。
そして、ランダ大佐は、ある思惑を胸に秘めて。

様々な想いが小さな映画館に集まった時、はたして歴史はどう変わるのでしょうか・・・。
そして、ランダ大佐の思惑とは・・・。


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早速で恐縮ですが、以下ネタバレです。





今まで、ナチスが題材の映画はそこそこ観てきたものの、鑑賞後にどこか煮え切らないというか、モヤモヤするというか、歯切れの悪さを感じていた。
その理由はきっと、
「どれだけ映画の中の登場人物が頑張っても、ヒトラーは暗殺されないし、戦争も簡単には終わらない」
という事実がわかってしまっているからだろうと思う。
そして、きっとタランティーノもそう感じたのだろうと思う。

で、「だったらヒトラーぶっ殺せばいいじゃん」と。

そうかぁ・・・

そうだよね!!(゚∀゚)ナットク!

と言う訳で、今までに無い爽快さを味わうことの出来る傑作映画 『イングロリアス・バスターズ』 を鑑賞して来ました。
悪いナチスのやつらが沢山ぶっころされて、とっても痛快な作品です。

地球の歴史上、ここまで問答無用に「殺されてもよさそうな人たち」はいないですよね。
あまりにむごい事を行った連中だから、あまりに人道に反した事を行った連中だから、みんな心置きなく叩くことが出来る。
もちろん映画の中の“バスターズ”たちも、そんな世論を背に受けやりたい放題し放題。
「ユダヤ」というだけで、人間扱いせずに虫けらのごとく抹殺したナチスと、
「ナチス」というだけで、老いも若きも上官も新人もなぶり殺しにする“バスターズ”。

ほんと、ここらへんのタランティ-ノの容赦ないさじ加減ときたら、安っぽい感情移入や同情心を台無しにしてくれて最高だと思います。
復讐も野望も無為な殺戮も、大きな爆発と共に塵となって吹き飛んでしまう儚いもの。
“暴力”は、マジでやるものじゃないんだよ、と。
シャレでやるもんでしょ、と。
タランティーノにそう笑われているようで、とても心地よかったです。


個性あふれるキャストも最高だった本作。

終始ウケグチで、無骨だったりぶこつだったり時にブコツなアメリカン中尉を演じたブラット・ピットが素晴らしい。
バカっぽいのは演技なんですよね。 ていうかなんでウケグチ? 
アンジェリーナさん、おたくの旦那さん、アゴ出てますよ、アゴ。
基本的に天邪鬼なアガサなのですが、このブラピは好きにならずにはいられませんね。
首に掻っ切られたあとがあったり、謎な過去を匂わしているのも魅力的。

みんな大好きイーライ兄貴も、自身の生い立ちを最大限に反映させた魂の演技を披露しています。
兄貴にヒトラーを蜂の巣にさせたのは、とても大きな意味がありますね。
タンランティーノの師弟愛(友情)も強く感じさせた、いいシーンだったと思います。
「ユダヤの熊」としてバット片手に登場するシーンの異常にテンションが高まる演出も、タランティーノなりの愛の表れだったのではないでしょうか。
ていうか引っ張りすぎじゃね?(※そこがいいんですけどね)

そして何より本作の一番の目玉はランダ大佐。
ちっちゃな体におっきな能力を兼ね備えているランダ大佐が、近年稀に見る好キャラクターなのです。
別に残忍な性格を持ち合わせているでもない、ユダヤが憎くてかなわないわけでもない、ヒトラーに心酔しているのでもない。
ただ自分の能力を信じ、その高さに酔っているだけのランダ大佐。
なので、ナチスが危うくなったら即座に鞍替えを決意するランダ大佐。
なんて潔いんだランダ大佐。
なんと連合軍に、ナチス上層部の暗殺を黙認する事と引き換えに、自分の命はもとより、地位の保証や年金の保証、終戦の立役者としての勲章、土地つき一軒家などなど、思いつく限りの安心材料を要求。

ちいさ!!(人としての器が)


いや、やろうとしている事(ナチスの壊滅)は大きいんですけどね。
スケールの大きい小ささとでも言うのでしょうか。 ようわからんな。

もう、このランダ大佐のキャラクターが完成した時点で、本作の成功は保障されたも同然だったのではないでしょうか。
それくらい面白くて、狭量で、非情で、有能なランダ大佐。
ティム・ロスが喜びそうなこの役を演じたのはクリストフ・ヴァルツさん。
まったく知らない俳優さんでしたが、今後はしっかり注意して観てゆこうと思います。


ということで、先にも書いたように、まったく史実には沿わない創作劇なのですが、悪いやつが情け容赦なく殺されて、最後は別の悪いやつが高笑いをするという、とても現実的な素晴らしい作品でした。

タランティーノはホント外さない人だなぁ。

最高の2時間32分を、ありがとうございました!( ´∀`)



追記:
そういえば、本作の予告でブロンドの女の人が頬に赤い線を引くシーンがあって、アガサはそれを見ててっきりゲリラ作戦か何かのペイントなんだと思っていたのですが、本編を見てみてたらその赤い線はのちに薄くぼかされてチークになったようです。
ていうか元の線引きすぎじゃね?(女子のみんなはこんなに引いてるの?チーク?)
やはり普段からお化粧しないと、疎くなってダメねぇ。 と、心にも無いつぶやきを漏らしつつ劇場をあとにしたアガサなのでした。
すっぴんばんざい。



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