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『告白』

2010年06月10日
告白
父さん、母さん、たかこは立派にやり遂げましたよ!

あらすじ・・・
人を殺してはいけません。 なぜか? なぜだと思いますか?

幼い頃から母親に過剰な期待を押し付けられて、誰からも認められず、誰の目にも止められず、自分の存在が何なのかわからなくなっていた? そうですか、それはつらかったですね。 つらかったら人を殺してもいいのですか?

自分は望まれて生まれて来た子供じゃなかった?母に捨てられ、父にも見放され、周りの同世代の子供たちは幼稚すぎて話し相手にもならなかった? とにかく母に振り向いて貰いたかった、その為なら何を犠牲にしても構わなかった? なるほど、それは気の毒な生い立ちでしたね。  気の毒な生い立ちならば、人を殺してもいいのですか?

愛する人と結ばれると思った矢先に、その人が不治の病に蝕まれている事を知った。 同時期に奇跡的に授かった子供だけは、命がけで守ろうと、愛し抜こうと思った。 その子供が、自分の不注意で亡くなってしまった。 今まで何も起こらなかったから、誰かが見ててくれてたから、安心だと思っていた。 まさかこんな幼い子供が、悪意の目で見つめられているとは思わなかった。 自分たちが犯した罪の深さに気付いていない彼らが憎い。 彼らの悪意に気付けなかった自分が憎い。

憎かったら人を殺してもいいのですか? いいえ、殺してはいけません。 
あなた方は、自分自身でその事に気付かなければいけません。
なぜ人を、殺してはいけないのか。
そして、人を殺したら、何が、どうなってしまうのか。


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“罪滅ぼし” という言葉がありますが、犯した罪を本当に滅ぼしてしまう事など出来るのでしょうか。
いいえ、出来るわけありません。
だって、壊れたものは、似たような形には直せても、壊れる前に戻す事など出来ないから。
せいぜい一生懸命贖罪の言葉を吐いて、後悔の涙を流して、なんだったらお金をせっせと支払って、自己満足に浸ればいいじゃないですか。

ただし、私は一生あなたを赦しませんけどね。


・・なんて、生気の無い顔をした松たか子に言われたら、オレはもう死ぬね。
「うはあ!ごめんなさい!」 っつって死ぬね。 その方が楽だもん。死んでしまえば、罪からも逃れられるし。

だけど、この作品は、逃げる事を許してくれない。
何の罪も無い幼子を死に至らしめた張本人たちの、大切な人は死んでゆくけれど、彼ら自身は死ぬ事も許されず、狂った世界の中で行き続ける事を強いられる。
それが、彼らが犯した罪に対して支払わなければならない代償だから。
「死んで償え」という言葉を時々耳にするけれど、死は時に解放という意味を持ってしまう。
松たか子演じる女教師は、我が子を死に至らしめる原因となった者たち(自分も含めて)を、決して解放などしない。
感情を押し殺し、薄笑いを貼り付けた唇のその裏で、奥歯をギリギリと噛み締めながら、彼らが“大切な人の死”という地獄へと転がり落ちるのを、ただただ見守るばかりなのです。

ものすごく怖いです。 ほんともう、たか子が優勝でいいよ。 勝てる気しないよマジで。


私たちは、“いけない事”をする時、無意識に、何かに責任を押し付けようとしてしまいます。
なぜなら、“いけない事”がホントは“いけない”と、心のどこかで判っているからです。
“責められても仕方ない”という事が、充分すぎるほど判っているから、「みんなが・・」「社会が・・」「学校が・・」「先生が・・」と、目に付くありとあらゆる事柄に責任転嫁しようとする。
罪悪感を打ち消すように、精一杯、自分を正当化しようとする。
でも、ホントは誰のせいでもないんですよね。
自分がやった事は、全て自分の責任なのです。
だからこそ、やるからには、結果地獄に堕ちるような事になっても甘んじて受け入れるくらいの覚悟が必要なのです。

自分たちが犯した罪を、どこまでも“他人”のせいにする少年Aに、
「お前がやったんだよ。 一から十までお前の責任なんだよ」
と残酷でまっとうな事実を告げるたか子の言葉は、同時に彼女自身にも向けられていたのだと思います。
我が子を危険な目に晒してしまったのも、無慈悲な復讐を選んだのも、まだ人生経験の浅い少年たちに生き地獄を与えてしまったのも、全部私がやった事。 復讐しない、という選択に耳を貸さず、悲劇を積み重ねてしまったのも、全部私がやった事。
偶然出会った教え子に、「(犯人たちが)殺されるか、自殺でもしてくれればよかったのに」と嘯いた後、一人激しく嗚咽するたか子。
自分の中に巣食う醜い部分を吐き出すように、自分の中に居座り続ける憎しみの塊を吐き出すように。
でも、喉に絡まった痰のように頑なに張り付いたままの澱んだ感情は、どんなに嗚咽しても体から出て行ってくれない。
諦めたように、いや、覚悟を新たにしたように、虚しい復讐への道を再び歩き出すたか子の姿は、気高くて、愚かで、悲惨で、でも私もきっとたか子の立場だったら同じ道に踏み出してしまうだろうと思い、体が震えました。

感情を押し殺せば押し殺すほど、その影で陽炎のようにゆらめいている情念が、観る者の全身に伝わってくる。
なんとすごい表現力を持った女優さんなのでしょうか。
やっぱりたか子はすごいよ。 向こう30年は、たか子の天下が続くと見たね。

最後の対決を終え、「なあんちゃって」とつぶやくたか子の本心は、自分がやり遂げた復讐のくだらなさ具合に対する自嘲だったのでしょうか。
それとも、大切な存在を失った(かもしれない)事でやっと罪の深さを実感した生徒Aに対する、解放宣言だったのでしょうか。
私は前者だったのではないかと思いました。
結局、この少年は“心の痛み”を知っただけで、反省をしている訳ではない。 
何より、一連の復讐は、やられた事をやり返しただけの話で、愛する我が子の存在は置いてきぼりになったままだ。
どこまで行っても、天国の扉は見えてこない。
永遠に続くのは孤独の世界。
馬鹿馬鹿しい。 
この少年も自分も、何もかも馬鹿馬鹿しい。

原作よりもさらに、真っ暗な絶望の淵が映し出されたラストカットと、そこに被された「なあんちゃって」の一言。
心底打ちのめされました。

人を殺していけません。
なぜだと思いますか。
もしアガサが我が子に説明する時がきたら、アガサはこう答えようと思います。
「人を殺す事は、自分や、自分の大切な人を殺す事と同じだから」
「誰かの命は、自分とは関係ないと思っている誰かの命は、必ずどこかで繋がっているから」
人を殺した後には、希望も救いもないのだという事を、ジットリとしたたか子の眼差しとこれ以上ない程の説得力で描いてくれた本作は、R15などにせず、若い子供たちにこそ観せるべき映画なのではないかと思いました。


たか子の事ばかりになってしまいましたが、本作における木村佳乃の演技もとても狂っていて素晴らしかったと思います。
佳乃と彼女のバカ息子のくだりは、原作と比べてかなり省略されておりますので、鑑賞後にでも原作の方も読まれる事をおすすめします。 アガサは鑑賞前に読んでしまっていたのですが、そのお陰でバカ息子の心理状態などがより想像し易かったですし、佳乃の狂いっぷりにもさらに納得がいくと思います。

それと、女優さんの狂気を盛りたてる演出もまた、とても素晴らしかったと思いました。
ブルーを貴重とした、生気の感じられない映像と、スローモーションを多用した演出は、憎しみや怒り絶望といった感情に見舞われた時に目に映る世界そのものだと思います。
重力が通常の何倍にも感じられ、楽しそうに笑う人の顔が歪んで見えるんですよね。狂気ギリギリの世界では。わかります。

沢山の才能が作り上げた、出口の無い生き地獄。


是非。

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『戦闘少女』

2010年05月25日
戦闘少女
闘わない女は、ただのメスブタだ!

あらすじ・・・
陰湿ないじめに挫けそうになりながらも、両親からの温かい愛情だけを心の支えに、日々を耐え忍んでいた女子高生・凛。
彼女の人生は、16回目の誕生日を境に急転する事となる。
異様に変形する右腕。 異常な身体能力を発揮する溌剌ボディ。 
不安な思いを打ち明けようとする彼女に、両親が告げた衝撃の事実。 
それは、
「彼らは実は、人間ではない」
という事・・・。


女の子には、3という数字がよく似合う。

もちろん男の子業界においても“御三家”と呼ばれる3人組がいない事は無いのだけれど、やはりトリオといえば女子である。
しかも、可愛いだけではない、強さも恋しさもせつなさも心強さも兼ね備えた少女にこそ、3という数字はよく似合うのだ。

と言う事で、古くは「チャーリーズ・エンジェル」(サブリナ、ジル、ケリー)に始まり、
カートゥーン業界からは「パワーパフガ-ルズ」(ブロッサム、バターカップ、バブルス)
戦闘アイドルの先駆けである「スケバン刑事」(サキ、お京、雪乃)
「花のあすか組」(あすか、ミコ、はるみ)
「セーラー服反逆同盟」(ユミ、ルリ、ケイ)(※本当は辻仁成夫人も入れて4人組なんだけど、辻夫人は時々思い出したように出てきてはバラをポイっと投げるだけなので除外)
などなど、古今東西問わず、実にさまざまな3人組が我々の目を楽しませてきたのでした。
そりゃもうね、女3人集まるっつうんだから、かしましいわ、文殊の知恵は出すわ、ヨーヨーは投げるわ、コインは投げるわ、袱紗は飛ばすわ、もうてんやわんやですよね。
ただし、良いてんやわんやっぷりですけどね。

そしてこの度、そんな3人組ジャンルに決定稿を突きつけるかのように公開された 『戦闘少女』は、まさに“3人組”に必要な全ての要素を取り揃えた、てんやわんやな傑作に仕上がっていたのでありました。

ギターの弦を変化させたような異形の右手を振りかざし、狂気に取り憑かれた人間どもを一刀両断に斬り捨てる、哀しきヒロイン役の杉本有美。
天真爛漫な微笑みを浮かべる口元を、深海からの使者の如き禍々しいタコ口に変えて、男どもに引導のくちづけを与える、可憐なミュータント役の森田涼花。
自らの絶望を表した様な堅い殻を身に纏い、敵の攻撃を諸共せずに躊躇無く血肉の山へと変えてみせる、孤高のミュータント役の高山侑子。
3人ともが残酷なまでに美しく、そして残酷なまでに孤独な少女。
ただただ惚けた顔をして見蕩れるしかない、3人の少女の華麗な切株絵巻は、独特のスメルを放つ“アイドル大好き男子”のみなさんから、3度の飯より残酷映画好きな“切株愛好者”のみなさま、果ては強い女性に踏みにじられる事こそ人生の至上の悦びという“ジェームズ・キャメロ・・・ゲフンゲフン、某大物映画監督”さんまできっと満足頂ける事と思います。

ここには、あなたの望む全てがある。
爽快なアクションも、可愛すぎるミュータントも、過剰な特殊効果も、適度な竹中直人も、そして男のファンタジー・パンチラも。
そう。 大事な事なのでもう一度言っておこう。
野郎どもよく聞け! パンチラもあるのだぞ!!

なんだか生活に張りが無い。 人生に潤いが足りない。 無性にむしゃくしゃするんだけど解消方法が見当たらない。 7年間ブログをやっているのだけどなかなかブクマが伸びない。という皆様。
もし機会がありましたら、是非劇場に足をお運び頂き、このひとときのパンチラ天国に身を委ねては如何でしょうか。
ちゃう。 パンチラだけちゃう。(それに多分本人じゃなくてスタントさんのだよ)(ま、オレはそれでも充分満足だけどね)(満足アカン)


・・で、ちょっと自慢みたいな感じになってしまうのですが、アガサが観に行ったのは初日の初回上映でして、幸運なことに井口監督その人による舞台挨拶を拝見できてしまったのですよね。ごめんなさいね、ほんと何か自慢みたいになっちゃって。
その際井口監督が「この作品は過去の東映作品にオマージュを捧げた内容となっていまして・・」と仰っていたのですが、お恥ずかしい事に、アガサはそんなに東映作品の知識が豊富な訳ではないのですよね。
ですので、鑑賞しながら「むむう・・・ もしかしたらココも何かのパロディなのかなぁ・・」と思う箇所もちらほらありまして、でもそれが判らないと言うもどかしさに苛まれたのでした。
いや、ホントもっともっと勉強しないといけませんねぇ。 精進精進!

そんな不勉強なアガサの中の、薄くて狭い引き出しから、無理やりこじつけつつ東映ネタと結びつけるとするならば、第1章でのワンカット15人斬りのシーンは、坂口監督つながりと言う事で 『あずみ』 のクライマックスの200人斬りみたいだなぁ・・と。(通路を過ぎりながら斬り捨ててゆくトコロがね・・)
だとするならば、坂口監督自身が演じられた如月は美女丸ことオダギリジョーではないか?
てことは、本作は「オダギリジョーがパワードスーツ(あれどうみてもパワードスーツですよね。性器型パワードスーツ。)に身を包んで可愛いJKを嬲り抜く」、と言う、ものすごくマニアックなクライマックスを用意していた、という事になりますね!  すてき!! 正直たまらん!!

あと、戦闘少女が鉄仮面を被せられるトコロからして明らかに「スケバン刑事」リスペクトな内容なのですが、その「スケバン刑事」の中でも第2部、つまり南野陽子のシリーズなトコロが素晴らしすぎますね。
斉藤由貴の第1部はもちろん大好きなのですが、「スケバン刑事」を伝説にしたのはやはり第2部、すなわち「少女鉄仮面伝説」なのではないかと!
あてえの・・あてえの頬に・・風が当たっちょる・・・ ですよ!

(こう言っちゃなんですけど、正直「風間三姉妹」のアレは無しの方向で。 麻宮サキがショートカットの山猿て! ないわー!)

3少女のキャラも、きっちり本家に揃えてきてますからねぇ。
孤独を内に秘め、真っ直ぐな心を武器に闘い続けるサキ(凛)と、
あどけない表情と温和そうな性格とは裏腹に、容赦ない攻撃を仕掛ける雪乃(佳恵)、
そして、キツそうなお京(玲)。 
ね! ピッタリ合致ですよ!
いや、全然無理やりじゃないですよ。 完全にシンクロしてますって。
ほんと、井口監督の「スケバン刑事」愛には頭が下がりますなぁ!

あと、凛の手がギターなのは「キカイダー」なのかなぁ・・とか、
首ちょんぱとか誕生日おめでとうとかは「デビルマン」なのかなぁ・・とか、まぁとにかく溢れんばかりの特撮愛に満ちた、とても楽しい作品だったと思います。

幸いな事に岡山でも公開が決まっているそうなので、是非もう一度観ておきたいトコロですね!
いや、なにせ井口監督ご本人に「岡山でも観に行きます!」って言っちゃいましたからね!
ご本人に直接ね!
あ、ごめんなさいね、ほんとまた何か自慢みたいになっちゃって! げへへ!!


(※引き合いに出した東映作品については、完全にアガサの狭い知識内でのこじ付けですので、もし間違っていても「プークスクス 知ったかぶり乙! プークスクス」というのは無しの方向でお願い致します。 自分、結構打たれ弱いです。 でも、元ネタは沢山知りたいので、こっそり教えて頂けると嬉しいです!)



※追記
あと、特筆しておくべきはやっぱり亜紗美さんなのですよね!
登場するだけで映像をピシっと引き締め、一声発するだけで観る者の尻子玉をむき出しにしてしまう亜紗美さんの、本作における壮絶な最期は、それだけでも一見の価値ありだと思います。
アガサはますます亜紗美さんのファンになってしまいました! 一度で言いから踏まれたい!!

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『誰も守ってくれない』

2009年12月14日
だれまも
★★☆
超わるい上司、佐野史郎参上! よし!けっこんしてくれ!!

時にTBSの申し子(「ずっとあなたがすきだった」「青い鳥」等)
時に日テレジェニック(「フードファイト」「ガラスの靴」「凍りつく夏」等)
時にテレ朝の秘蔵っ子(「PS羅生門」「必殺仕事人2007」等)
時にフジっ子(「沙粧妙子-最後の事件-」「WATER BOYS2」等)
そしてまた時に国家の犬(「独眼竜政宗」「あの歌がきこえる」「坂の上の雲」等)と、局をまたにかけた大活躍が目に眩しい佐野史郎。
当然のごとく、テレビ局が製作した映画にも多数出演している史郎なのですが、その中でも特に多いような気がするフジテレビモノを、なぜかWOWOWが放送してくれたので粛々と録画させて頂きました。

なんでも史郎は敏腕刑事役だそうなのですよね!
敏腕刑事て! なんならオレの心も逮捕してくれ!いや、とっくに拘留済みか!(←早くもよくわからないテンション)

一体史郎はどんなスゴ技で、かわいそうな民間人を守ってみせるのか?
佐藤浩市との胸躍る絡みはあるのか?

いざ鑑賞!


あらすじ・・・

(※ 観なくてもわかるように、全部書きました!)



・ 佐藤浩市は敏腕刑事。 渋谷のチンピラからも一目置かれた存在だ。

・ ある日、幼い姉妹を刺殺した容疑で18歳の少年が逮捕される。
・ 当然押しかけるであろうマスコミから、加害者家族を警護する事を指示される佐藤浩市。
指示したのはクールな上司の史郎。 さすがは敏腕!
・ 容疑者を家で職質している段階なのに、自宅を包囲して生中継し始めるマスコミ。
・ 少年は警察署に身柄を移され、残った警察関係者が家族を尋問。
リビングに入り切れないほどの警察関係者。 完全に残りすぎ。 平屋建ての借家だったらエライ事になるよ。
・ リビングに区役所のみなさん登場。
・ 「マスコミに追われるだろうから、加害者家族のみなさんには今すぐ離婚をして貰います」宣言。

ポカ―( ゚д゚)―ン。

・ 一度は断るお父さんだったが、「名前は変えたほうがいいって保護マニュアルにも書いてあります」という敏腕史郎の一声で離婚を承諾。
・ 名前と捺印だけで離婚成立。
・ 今度はお母さんの旧姓に変えるため再婚。
・ 名前と捺印だけd(略
・ 中学校に通う妹に関しては、特例措置で義務教育免除。
ゆとり教育、ここに極まれり!
・ 現場検証に立ち会わなければならない母から離されて、佐藤浩市とホテルに移動する事になる妹。
ここに至るまで、警察や両親から妹に対する事情の説明一切無し。

・ 事態が飲み込めず呆然とする妹ちゃん。
・ マスコミが山盛りの玄関を、妹ちゃんを連れて突破しようとする佐藤浩市。
なんと護衛は浩市ただひとり。
・ 当然のごとく揉みくちゃにされて、写真を取られまくる妹ちゃん・15歳。
容疑者でもない未成年の写真撮ってどうすんだよ。
・ ホテルへ向かう警察車両を激しく追うマスコミ車両。
・ 並走しつつ妹ちゃんの写真を撮りまくるマスコミ。
だから、容疑者でもない未成年の写真撮ってどうすんだよってば。
・ なんとなくカーチェイス。
・ ホテルに辿り着いた妹ちゃんを尋問する警察関係者。
・ 15歳の民間人相手に高度な言葉攻め。
ちなみに、女の子相手の尋問なのに婦人警官出席率ゼロ。
・ 5分も経たないうちにマスコミがホテル突撃。
・ 再び妹ちゃんを連れて正面突破の佐藤浩市。
やはり護衛は浩市ただひとり・・あ、松田龍平もいたので2人。 って、どっちにしても少ないわ!!

・ 妹ちゃんを親戚のうちで匿って貰うべく移動する佐藤浩市。
・ 親戚のおうちもマスコミでいっぱいだった。
確かにこういう光景はよく見るなぁ。ワイドショーとかで。
・ 上層部が妹ちゃんの潜伏場所を決めてくれない。
・ 「2人で適当に身を隠しといてくれ」宣言。
いくらなんでも適当すぎる。 ていうか未だに浩市ひとりなのかよ!
・ しょうがないので自宅に連れて帰る浩市。
・ 数時間前に会ったばかりの中年男の自室を前に固まる15歳の女子中学生。
・ 「どうした? 早く入れよ」宣言。
どうしたも何も、倫理的に無理。

・ 妹ちゃんが自宅に携帯を忘れたと言うので、取りに行く間、自分の主治医(精神科)を呼びつけて妹ちゃんを監視させる浩市。
民間人も公務員も守秘義務も、この際一切関係なし!
・ 謎の精神科医・木村佳乃、精神状態が不安定な15歳に「ノンノン」「ウィ」とエセフランス語を連発。
どう考えても余計に不安になる罠。
・ 加害者宅で携帯を発見する浩市。
・ 聴取をうけていた母がトイレで自殺。
ちなみにこの現場にも婦人警官の姿は無し。 やる気ねぇな!
・ 妹ちゃんの元に返った浩市、母親の自殺を伝える事が出来ないチキンハート。
・ あろうことか民間人(佳乃)に丸投げ。
・ さっきまで「ウィ」とか言っていたので、突然シリアスになったら余計に不自然な佳乃。
・ 佳乃がキャラの切り替えにモタモタしている間に、彼氏からの電話で母の死を知ってしまう妹ちゃん。
使えない大人ばっかだなおい。
・ 取り乱す未成年に無理やり薬を飲ませ、前後不覚にさせる刑事と精神科医。
普通の映画だったら、この後妹ちゃんがあんな格好やこんな格好をさせられて写真を撮られ、その写真をネタに悪い大人に強請られるパターン。

普通ってこたぁ無いか。


・ 翌日、再び上司に今後の相談に行く浩市。
上司って史郎ね。
・ 妹ちゃんから犯行の証拠になるような証言をとりつけ、それを土産に出生街道を歩もうというのが史郎のねらいだった。
・ と言う訳で、「他の刑事が妹ちゃんに接触できないよう、しばらく田舎に逃げといて」宣言。
・ 回りくどいのでイヤがる浩市。
・ 浩市の黒歴史をネタに、言う事を聞かせようとする悪い史郎。
ただ今史郎の本領発揮祭り開催中!
・ しぶしぶ承諾し、妹ちゃんと一緒に郊外へ向かう浩市。
・ パーキングエリアで休憩の巻。
・ たまたま食堂にあったテレビで、事件に関連付けて己の黒歴史まで取り上げられていた為、激しく動揺する浩市。
・ 事情が飲み込めずキョトンとする妹ちゃん。
・ 説明もせずに「何見てんだよ!」と逆ギレする浩市。
・ あろうことか、「もういい! 勝手に一人で逃げてろ!」と妹ちゃんを放り出して立ち去る浩市。
こういう大人にはなりたくないものですね。

・ さすがにマズいので、再び妹ちゃんを保護する浩市。
・ 海辺のペンションに身を隠す2人。
・ なんとそのペンションには室井管理官が!浩市の黒歴史の生き証人が!
・ 浩市は昔、上司の命令で街に放り出したジャンキーを尾行していてうっかり見失い、その隙にジャンキーが子供を殺すという痛ましい事件に関係していたのだ。
言うまでも無いが、その上司も史郎。 悪いおひと!!
・ ペンションを経営していたのは、その子供の両親なのだった。
・ つまり、同じように幼い命を奪った犯人の関係者を、被害者の関係者の家に連れてきた訳だ。
大人しそうな顔して、意外とえげつない浩市。
・ 相変わらず口を閉ざし、心も開こうとしない妹ちゃん。
・ 立場は違えど「突然家族を失った」者同士、あわよくばペンションのご主人に妹ちゃんを説得して貰おうという気まんまんの浩市。
かわいい顔して、意外と計算高い浩市。

・ 状況がどんなに変わろうと、頑として口を割らない妹ちゃん。
ていうか、そもそも妹ちゃんにまだ一度もまともに話しかけていない浩市。 コミュニケーションは会話からだよ!
・ 関係者しか知らないはずなのに、ネット上に妹ちゃんと浩市の居場所がリークされてしまう。
・ 続々と現れる2ちゃんねらー風やじ馬たち。
・ ここに至って、初めて浩市が連れてきたのが加害者の家族だと知ったペンションのご主人、激昂する。
至極当然の結果。
・ 追い出されそうになるものの、調子付いたやじ馬が投石を始めたので、ペンションに篭らざるを得ない浩市。
ていうか通報しろよ!
・ 妹ちゃんの口を割らせる為、新たな凄腕刑事がペンションに派遣されてくる。
・ 激しい尋問がスタート。
・ 変わらず知らぬ存ぜぬの妹ちゃん。
・ 突然妹の彼氏が押しかけてくる。
・ さっきまでと打って変わったように、饒舌になる妹ちゃん。
もしかしたら、もしかしちゃってるのかもよ!(大人の階段的な意味で)

・ 久しぶりの再会に、配慮しまくる大人たち。
・ 部屋で大はしゃぎの中学生カップル。
・ 階下で不貞寝を決め込む大人たち。
・ その間に窓から脱走する翔んだカップル。
・ 朝起きてビックリする浩市。
なんかもう、色んな意味でダメなんじゃないかと思う。

・ 彼氏が自分を売ったとも知らず、どこぞのホテルで盗撮され放題の妹ちゃん。
・ 単独で妹ちゃんを探す浩市。
やっぱひとりなのな!
・ 偶然妹ちゃんを見つけ出し、盗撮道具一式も発見するも、持ち主のキモオタに襲撃される浩市。
・ リュック、メガネ、ストーンウォッシュのジーパン、紙袋、といったステレオタイプのキモオタが、強そうな刑事である浩市をタコ殴り。

ね え よ ! (ていうかこの製作者は何をどうしたいんだ)

あと、クドイようだけれども通報しろよ!


・ 自分を守ってくれた浩市に、お兄ちゃん(犯人)に関する重要証言を始める妹ちゃん。
・ やっと心を開いた妹ちゃんに、「ま、それはさておき、これからはチミが家族を守りたまえよ」と宣言する浩市。
いやいやいや! 段階飛ばしすぎじゃね? ていうか重いよ! 15歳に背負わす内容じゃないよ! 
・ ペンションに戻り、改めて別の刑事の尋問を受ける妹ちゃん。
・ つらい証言を頑張って続ける妹ちゃんを尻目に、さっさと帰り支度を始める浩市。
・ ホントに帰っちゃう浩市。

下の下の浩市。


証言も得、やじ馬騒動も治まってきたので、東京に送り戻される事になった少女。
浩市と交わした約束を胸に、ペンションを後にする少女は、浩市にある包みを手渡す。
それは浩市が娘に買っておいたプレゼントだった。
自らの黒歴史や仕事の忙しさから崩壊寸前だった浩市の家族。
色んなものを失ったものの、再び家族の絆を取り戻す事を誓った少女と、同じ決意を固める浩市は、リボンのかかった包みを片手に歩き始める。
自分の、かけがえの無い家族のもとに・・・。

・・・

・・

あれ?

史郎は? ポカ-( ゜д゜)-ン



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容赦ない現実を映し出しながらも、「人生の途中でどんな致命的な傷を負っても、人はそれを乗り越え、再び立ち上がる事ができる」という希望を感じさせてくれる本作は、とても興味深い作品でしたし、やさしいラストにトゲついた心が癒されました。

が、そうなんですが、なんかモヤモヤしてしまったのですよねぇ・・・。
なんでだろう・・なんなんだろう、このモヤモヤは・・・と考えていたらアガサ気付いちゃいました!

後半以降、佐野史郎全然出て来てねえじゃねえかコノヤロー!!

『誰も守ってくれない』の「誰」って、どう考えても史郎の事だと思うのですよ。
だって他人の事なんか全く守ってなかったもん!ま、自分の立場はガンガン守っていましたけどね!
この「人をあてにしないで自分の身は自分で守れ」というのは、まんま本作が放つメッセージな訳ですよ。(←かなり意訳)
だからつまり「誰」の部分は史郎であると。
要するにタイトルロールな訳ですよ!史郎は!
「ハリポタ」でいうトコロの逆ギレ丸メガネ野郎にあたる部分が、総出演時間数分ってどう言う事だよ! 責任者ちょっと表でろ!!

まぁしかし、その数分で消そうにも消せない程の悪印象をバッチリ観客に与えてしまう所が、さすが我らの史郎なんですけどね。
よし、久しぶりに言っとくか! 史郎けっこんしてくれ!!


先日、逃亡の末逮捕された市橋容疑者の両親が自宅前で記者会見を開いた時、それを見たコメンテーターが「自分の息子なのに冷静すぎる」とか「他人事のような話ぶりはいかがなものか」などと苦言(笑)を呈していましたが、世の中には色んなタイプの人間がいるもので、みんながみんな感情を表に出すタイプとは限らないと思います。
全ての事を冷静にみてしまう人もいるだろうし、取り乱して泣き崩れる人もいるだろう。
カメラの前だからこそ感情を押し殺して淡々と語ろうという人もいるだろうし、土下座して一回りも二回りも小さくなってしまう人もいるだろう。

もちろん加害者の家族(親)に何の責任も無いとは思わないし、むしろそれは大きいと思うけれど、直接責める事の出来ない犯人の代わりに家族を攻撃するのは間違っているのではないでしょうか。
誰よりも苦しみ、傷つき、悩み、哀しむのは被害者とその家族であり、加害者の家族です。
加害者やその家族に対して「お前のその態度は許せない」「死んで償え」と声を上げていいのは被害者だけで、マスコミにも私たちにもその権利は無い。

しかし、マスコミは凄惨な事件も飯のタネとしか考えず、バカみたいに扇情的な取り上げ方をする。
沢山の「通りすがりさん」たちは、傍から見ているだけな為思い切り無責任で感情的な声を上げる。
事件とは無関係な一般市民は、犯罪者の家族にまでヒステリックな目を向ける。

この作品が観客に投げかけるテーマはとても重く、簡単に答えの出せるような問題でもなく、しかし私たちがもっと真剣に向き合わなければならない事だと思います。
“無関心”ほど残酷な態度は無いし、“他人事”がいつか自分の事となって降りかかる可能性も、常にあるのだから。

ただ、そんな「意義のある」テーマを手持ちカメラで臨場感あふれる映像と共に描いた本作なのですが、真面目なテーマとは裏腹に、突っ込みどころが多すぎるのですよね。
お陰であらすじもこの長さだよ! まったくもう!(←それはいつもの事か)

実際に日本の警察や行政がどこまで加害者の家族に関わっているのかは知りませんが、まだ立件もしていない段階で「強制離婚」て!
ねえよ!!(いくらなんでも)

それに、加害者の家族(しかも未成年)を過去に問題を起こしている刑事と二人きりにさせたり、まだ自供も証拠も揃っていないのに完全に犯人扱いだったり、尋問する相手(容疑者の妹)に何の説明もしなかったり、婦人警官が全く出てこなかったり、人権派の弁護士が聞いたらドえらい事になりますよ。
っていうか、どれだけ格好のネタ用意してんねん!

多少オーバーな設定で少女を囲い込む方が、話に引き込まれやすいし、観客の感情を動かしやすいのはわかりますが、それにしてもちょっとやり過ぎだと思います。

あと、「少女と刑事」に対する悪役として配された、マスコミやネットユーザーの描き方にもちょっとモヤモヤ。

確かに序盤はマスコミの過剰な報道手法を描いているのですが、中盤以降は悪意あるネットユーザーの暗躍が中心になってしまうのですよね。
掲示板を使った誹謗中傷は当たり前、加害者でもない妹の個人情報は張り付けまくるわ、誘拐(というか騙して軟禁)してライブ中継するわって!
ねえよ!!(全く無いとも言えないけれど、誘拐だけは無い)

マスコミの代表として登場する新聞記者の佐々木蔵之介も、一度ばかし突撃取材をしただけで、あとはただぼーっとネットを眺めるばかり。
しまいには、少女に粘着するのに飽きて次の事件で盛り上がる掲示板を見て、憂いの表情なんか浮かべちゃってますからね。
なにその傍観者っぽい冷めた目線・・・ていうか、とりあえずお前仕事しろよ!

完全に「諸悪の根源はネット」みたいな流れになっているのが、所詮テレビ局製作、という事なのかなんなのか・・・。
残念というか、チキンというか、とにかく無性に居心地が悪かったです。


加害者家族、被害者家族両方の気持ちを理解しようとする柳葉敏郎の存在と、複雑な状況に突き落とされて困惑するヒロイン・志田未来の眼差しは、とても強く心に残りました。
それだけに、ここまで荒唐無稽な設定にしなくても、充分メッセージは伝わった様な気がしてなりません。

ま、史郎の部分はどれだけムチャな設定にしてくれてもいいんですけどね!
だって史郎はどんな状況でも最高に輝くから!!(※むしろ悪ければ悪いほど)

かあさん、史郎によって確保されたぼくの心の拘置期限は、まだまだ終わりそうにありません:*:.。.:*(´∀`*)*:.。.:*: (←アホ)


あー・・・ やっぱ『アマルフィ』行っとけばよかったなぁ!


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『空気人形』

2009年10月11日
くうきよめ
★★★
空気なんて読めないよ! だって人形だもん!!




以下、ネタバレを含む感想になります。




あらすじ・・・
それはまさに奇跡だった。
意思を持たない人形に、“心”が芽生えた事は。

空っぽの体に秘められた“心”は、人形を日に日に成長させてゆく。
様々な事を学び、知恵をつけ、恋を知った人形は、その“心”の豊かさとは反比例して、どんどん汚れていった。
そして、無垢だった体と心に沢山の傷を負った時、人形はその運命を捨て、人間になる事を選ぶ。

その決意が、悲劇の幕開けとは知らずに・・・。



意思を持った人形・・・

その人形が引き起こす惨劇・・・


つまり、こういう事か。


チャッキー  (やあ! ぼくチャッキー!!)

グッドガイ人形を知らないおともだちは にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ オーバー30の親兄弟に聞いてみよう!



まさかの猟奇な結末に思わず、パペット界のスーパースターも飛び出してしまいましたが、まぁそれはさておき。


ポスターで目にしたペ・ドゥナのメイド姿があまりに完璧だった為、どうしても劇場で観たくなった本作。

「空気の入ったオレの嫁、すなわちダッチワイフが心を持ってしまったせいで巻き起こる珍騒動」くらいの先入観で挑んだのですが、珍騒動ではなく刃傷沙汰が起こって大層驚きました。
オサレな俳優がオサレな空間で織り成す大人のファンタジー、だと思って観たら大怪我しますね。コレ。
ファンタジーはファンタジーでも、夢も希望も無い残酷童話の方ではないかと思います。


40代・独身・アルバイト店員・非モテと、踏んではならない地雷の全てを集めたようなデンジャラス・ゾーン板尾創路の性欲処理道具として、日夜奮闘する空気人形のペ・ドゥナ。
ある朝彼女は自分の意思で動く事を覚え、そのままかび臭い家から光り輝く下界へと転がり出す。
しかし、素敵なものでいっぱいの様に見えた下界は、実は醜いものや汚れたものや危険なもので満ち溢れていたのだ。


本作から全力で繰り出されるメッセージはとても身も蓋もない、と思う。

他人を信用するな。
男を見たら変態と思え。
愛なんて所詮幻(まぼろし)。

身元の保証人も履歴書も一般常識もない(なぜなら人形だから)空気人形を、何も言わずに雇い入れてくれた親切な店長は、醜い嫉妬や蓄積された鬱憤の捌け口を彼女の体に求める。
彼女のスカートの下に並々ならぬ関心を抱いた青年は、彼女と同じメイド姿のフィギアをファインダー越しに眺め、自家発電に耽る。
彼女が恋心を抱いてしまった、陰のあるイケメン店員は、自分が昔愛した女性のヘルメットを彼女に被らせる。
ただの人形である彼女を大事に大事に愛してくれた買い主は、彼女が姿を隠した途端に新しい人形を買ってくる。 しかも、彼女と同じ旧型ではなく、新型の人形を。

自分があくまで、彼らの人生における“何か”の代用品である、と悟っていた彼女。
しかし、本気で恋をして、「代用品でもいいから愛されたい」と願った彼女は、わずかな希望にすがり、命綱である空気入れのポンプを捨てる事を選択した。

永遠に歳をとらない筈だった空気人形は、自ら飛び込んだ変態たちの世界で鬱積した“心”のヘドロをその身にぶつけられ、どんどん劣化(歳をとる)してゆき、しかも、彼女の秘密(中身が空気だと言うこと)や穢れを知ってもなお彼女を受け入れてくれたかのように思えたイケメン店員もまた、結局危険なセックスプレイを安心して試せる相手を求めていただけの変態だった事が判明してしまう。
束の間の一体感。
そして絶望。 

彼女が体に負った無数の傷から、シュウシュウと抜けてゆく空気は、感情という海の中をポコポコと漂う泡となり、空気ポンプと引き換えに「愛」を叶えようとした彼女は、同じく声と引き換えに愛を叶えようとして泡となった人魚姫どころではない、手痛いしっぺ返しを食らう事となる。


彼女の選択は間違いではなかったのだろうと思う。
彼女が心を持って生きた数週間には、後悔せずにいられるだけの美しさがあった筈だ。
だから、愛も希望も破れてゴミ捨て場に投げ出された彼女の姿は、なぜかとてもキレイだった。
ただ、とても寂しそうでもあったけれど。

願わくば、彼女が最後に吐いた空気が、人と人との心を繋ぐ風となりますように。
そうでなければ、この童話はあまりに酷すぎる。


人なんて結局、自分に都合のいい愛しか求めていないのではないだろうか。
都合のいい癒し、都合のいい抱擁、都合のいい愛撫。
その都合が合わなくなった時感じる居心地の悪さまでも、全部ひっくるめて愛してくれる人など、果たして存在するのだろうか。
都合のいい愛に振り回され、その命を全うした空気人形を眺めながら、そんな事を考えてしまった。

それ(ひっくるめて)が理想の愛なのだとしたら、今の殺伐とした世の中で見つけるには相当難しいのではないかと思う。
なぜならひっくるめるには、見返りを求めない心が必要だから。
こんな余裕の無い世界で、お互いを無償の愛で包みあうなんて大変すぎる。


違いますよ。 愛を信じていないのでも、「愛なんていらねえよ、夏」とか言ってるのでもないのですよ。
大変だからこそ、簡単には手に入らない。
手に入らない代わりに、なんとかその隙間を埋めようと努力するんです。
お互い気遣って、空気を読んで。

でも、何かの拍子にその「都合のよさ」が透けて見えた瞬間、愛は速やかに冷めて行ってしまう。

みんなも気をつけようね!

なんだこのグダグダ具合 。・゚・(つД`)・゚・。 (ごめんなさいホントごめんなさい)


ペ・ドゥナのメイド姿は期待を裏切らない完成度で、どのシーンも、そのまま切り取って「美少女図鑑」にしたいくらいの美しさでした。
もうひとつの見所である、板尾の痛々しい毒男描写なのですが、これまたダッチワイフ相手に誕生日祝いをしたり、公園デートをしたり、薀蓄を嬉々として披露したりと、リアルすぎて見ていられない完成度の高さでした。
ていうかキモい。 完全にキモい。 (←この場合褒め言葉)
最近のトレンドでいうと、このダッチワイフの部分がラブプラスなんでしょうね。
ていうかキモい。 ラブプラスに直接キスするとかマジキモい。 (←この場合素直な感想)

ただ、そんな板尾が住んでいる部屋ですが、何故か美大生のアパートみたいな凝った装飾がなされている点は納得がいきません。
これではまかり間違って「アレ? 板尾ってもしかしてオシャレな独身男性なんじゃ?」と思う人も出てくるかもしれないじゃないですか。
どうせやるなら、もっとティッシュの残骸やダンボール箱やオーパーツが散乱しているような、リアルさを追求した部屋にするべき。
こういうあたりが、なんか本作に於けるその他の「甘さ」分を表しているみたいで、ちょっと物足りなかったです。


透明感とドス黒さという、相反する要素を併せ持った不思議な残酷童話。
ポスターの小洒落たイメージに騙されて、沢山の森ガール(アガサのイメージの中でオサレ女子の代表)が迷い込んでくれたら面白いのになぁ、とSっ気を覗かせつつ、今回の感想はおしまいに。



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『ひとりかくれんぼ 劇場版』

2009年10月06日
ひとりかくれんぼ   したたり1

はい! トレース確定!!



あらすじ・・・
高校教師・涼子は、奇怪な噂を耳にした。
なんでも、今、巷では「ひとりかくれんぼ」なるオカルトゲームが流行っているらしいのだ。
涼子の教え子のりつ子もまた、そのゲームにはまっていると言う。

ま、それはさておき。

高校教師・涼子は、幼少期に遭遇した幼馴染の死に対し、未だに責任を感じており、たびたびその時の悪夢に悩まされていた。
授業の用意もせずに、職員室で寝おちする事など、彼女にとっては日常茶飯事だった。
しかも、その悪夢は、日に日にリアリティを増しており、夢と現実の境目があやふやに感じる事まであるのだった。

ま、それはいいとして。

高校教師・涼子のクラスでは今、一風変わった掃除方法が流行っていた。
床を雑巾掛けするのだが、バケツの水に浸した雑巾を一切絞ることなく、なんとそのまま床にこすりつけるのだ。
当然床は水浸しだ。

ま、それはおいおい話すとして。

高校教師・涼子の同僚教師は、放課後の資料室で不思議な体験をした。
誰もいないはずの部屋なのに物音がして、パソコンのモニターには「ひとりかくれんぼ」の文字が。
その文字をクリックすると、なんとどこかの部屋の押入れの盗撮風景が映し出されるではないか。
恐ろしくなり、慌ててその場を立ち去る同僚教師。
しかし、その後帰宅した彼女を待ち受けていたのは、赤い服を着た謎の女の霊だったのだ。

ま、それは気にしないとして。

高校教師・涼子は、教え子・りつ子が「ひとりかくれんぼ」の最中失踪してしまった件に心を悩ませていた。
警察の捜査は行われている筈なのだが、全く進展がない。
りつ子の部屋に、何かの手がかりがあるかと覗いてみると、引き出しの中に「ひとりかくれんぼ」の手順をプリントした紙が入っていた。
りつ子から聞いていた「ひとりかくれんぼ」の全容を、紙のお陰で初めて知った涼子。

ま、そこはググっとけよカス。

高校教師・涼子は、同僚教師が自宅マンションから姿を消した件に心を悩ませていた。
警察の捜査は行われている筈なのだが、・・・いや、もしかしたら行われていないのかもしれない。ていうか、誰か届けてるの? この事件。
同僚の部屋に、何かの手がかりがあるかと覗いてみると、なんと大きな姿見の中から、幼い頃水死した幼馴染の霊が現れ、涼子に襲い掛かってきた。

ま、それはまた別の話。

高校教師・涼子は、同僚のマンションで気絶してしまい、病院に担ぎ込まれる。
その頃、「ひとりかくれんぼ」の愛好家が集まるネット掲示板では、最後のゲームが行われようとしていた。
管理人が全国の仲間たちに最後のメッセージを送る。
「ひとりかくれんぼを一緒にいかがですか? 午前2時50分まで参加者を募集します。 ちなみにこの掲示板は、午前2時59分に閉鎖します」

ま、それはそ・・・  そ・・・ ・・・( ゚д゚)ハァ?

高校教師・涼子は、病室で再びあの悪夢に苦しめられていた。
眠れない涼子は、何者かの気配を感じ、そっとベッドから抜け出す。
病院の廊下を進むと、その先にあった浴室の中から、なんと水で膨れ上がった幼馴染の腐乱死体が襲い掛かってきた。
「モウ・・イイ・・カイ・・?」
恐怖で立ち上がれない涼子は、匍匐前進に次ぐ匍匐前進で必死に逃げ惑う。
しかし、ついにボイラールームに追い込まれ、逃げ場を失った涼子。
おまけに、怨念祭りの前兆を聞きつけた浮遊霊や地縛霊たちまで、ゾクゾクと集まってきた!
万事休す!

ま、それもこれも夢なんですけどね!!

ワチャー!!



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ビックリするほど評価が低い『ひとりかくれんぼ』を、ビックリするほどローテンションだったので景気付けに借りてきたのですが、ビックリするほどクソ出来の悪い作品でとってもビックリしました。

とにかくですね、全く怖くないのですよ。

駄目な感じのホラーに対し、常に協力的であれ! がモットーのアガサですので、今回も家中の電気はバッチリ消灯。
水分を過剰に摂取し、いつでもトイレが近くなるようにセッティング。(真っ暗闇の中階段を昇降する羽目になる)
そして出来うる限りの大音量で、背中はガラあき状態で、いざ鑑賞!

に、も、関わらず、鑑賞の間中周囲にまったりと流れるユルい空気。
そこには幾ばくの緊張感も無ければ、「やべえ!今なんか気配が!」的なファンタジーワールドも無い。
ただ、川村ゆきえのぷりっぷりな乳(※とらねこさん談)と、どこかで見たことあるような黒髪の幽霊たちの姿があるだけ。

「あたし、怖いの苦手なんだけど、Jホラーは一度観てみたいんですぅ~」
みたいな寂しがりやのうさぎちゃんたちは、迷う事無くコレを借りてみて欲しい。
伽耶子のごとく神出鬼没さと、貞子のごとく執念深さをにじませるものの、その実まったく怖くない、安心安全設計の怨霊が飛び出すJホラーが、まさに本作なのだ。

寂しがりやのうさぎちゃんて! (←いまさら自分ツッコミ)


とにかく、上に書いたあらすじがそのまま映像化されたような、まとまり無し、辻褄合わせ無し、抑揚無し、気の利いたオチも無しの本作。
いや、いちおうオチはあるのですよ。
あるのですが、それもまた、その他の部分と同じく過去のJホラーから引っ張ってきたようなオリジナリティの欠片もないオチですので、もう捻りが無さすぎて逆に新鮮?みたいな、 そういう事も無きにしも非ず?みたいな!

ってねえよ!!(`Д´#)ゴルア!!

気絶して病院に運ばれ、そのまま2日間眠ってた涼子が、目覚めたときには既にかわゆいパジャマ姿だったり、(普通病院着でしょうよ)
赤い服の幽霊に襲われる同僚の目の隈が、シーンによってはコントの域まで濃くなってたり、(でも次のカットでは薄くなっている)
そもそも同僚は、ひとりかくれんぼを始める儀式を何も行っていないのに、なんで祟られたの?とか、
どいつもこいつもなんで塩水使わねえの? バカなの? と呆れかえったりとか、
うまいこと言おうとして、盛大にスベった感のある脱力必至なラストナレーションとか、
つっこみどころが満載すぎてめんどくさくなるのですが、まぁ精一杯怯えた(つもりの)演技を披露する可愛いグラビアアイドルを愛でる事ができるので、それでいいのではないでしょうか。

ま、乳は出てきませんけどね!
出てきませんけどね、ほんの少しの乳も!
なんも言えねえ!!(←そんなに乳が見たかったのか)


最後に、アガサはこの「ひとりかくれんぼ」の元ネタになる実況スレを延々読んでしまって、夜寝られないどころかトイレに行くのも困難になった事がありますので、劇場版を見て物足りなかった方も、安易にまとめサイトなどを覗く事はお止め頂く様、一言申し上げておきますね。

あっちは本気で怖いですよ~((((;゚Д゚)))


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