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『冷たい熱帯魚』

2011年05月09日
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【こんなお父さんはイヤだ】

・ すぐ再婚する

私のお母さんは、いつも優しく、家族想いで、ご飯もおいしく、自慢のお母さんでした。 お父さんも同じ気持ちなんだろうと思っていました。口数は少ないけど、きっと同じ気持ちなんだろうって。
でも、お母さんが亡くなってしまった時、悲しみから立ち直れずにいた私を気遣いもせず、お父さんはさっさと若い女を連れてきて一言、「美津子、この人が新しいお母さんだよ」って言ったんです。
信じられません。 もうお母さんの事忘れちゃったの? お父さん、一体何を考えてるの? ほんとにショックです・・・。

・ 女を見る目が無い
「新しいお母さん」は最低だった。
私に遠慮してるんだろうけど、いつもおどおどして目を見て話そうとしない。
そのクセ家の中をキャミソール一枚でゴロゴロしてたりして・・・ おまけにタバコも吸うし・・。
お母さんとは正反対の継母。 絶対に好きになんてなれないし、「お母さん」だなんて呼ぶ気にもなれない。 「あの女」で充分だよ。
お父さんマジ最低!最低!サイテー!!

・ 叱ってくれない
あの女が家にいるだけでイライラするから、思いっきり蹴飛ばしてやった。 さっさと出て行けばいいのに。 
お腹蹴ってやったから、きっとお父さんすぐ気付くと思った。 でも、お父さん何も言わなかった。
え?なに? これって「多感な娘に気を遣ってる」つもりなの? イミわかんないんですけど。
もうホントむかつく事ばっかで、適当に彼氏作ってなるべく家にいないようにしようと思った。
なんかあの女も最近私に対するイヤミのつもりなのか、晩ご飯冷凍食品ばっかだったりして。
それなのにお父さん、何も言わないとか。 マジばっかじゃねーの。

・ 威厳がない
そんな事ばっかだったから、最近イラついた時はスーパーで化粧品とかパクってたの。 別にお金が無いとかじゃなく、ストレス解消? そーゆーの。
で、ちょっとしくじっちゃったもんだから、スーパーのえらい人がうちに電話しちゃって、お父さんがきたんだけどあの女も一緒でテンション超下がるって感じで。
お父さん、さすがに怒るかなーって思ったんだけど、やっぱ全然怒んないの。 スーパーの人にへこへこ頭下げるばっかで、ちょーかっこ悪くてムカついた。 もういらねーよ、こんな親父。

・ 流されやすい
そんな時、スーパーの人のトモダチっぽいおっさんが入ってきて、なんか知らないけど熱帯魚の話とかし出して、万引きの事チャラにしてくれた。 どうでもいいけど、おっさんちょっとテンション高すぎ。あとボディタッチ多すぎ。 親父なんか言えよ。
で、聞いてたら、このおっさんも熱帯魚のお店やってるらしくて、そのまま場の空気でおっさんのお店に行く事になって。
そのお店にはおっさんの奥さんって人もいて、なんかちょーエロいかっこの奥さんでウケるんですけど(笑)
とにかくむちゃくちゃ話のテンポが速くて、気がついたら私はそのお店に住み込みで働く事になってた。 「お嬢さんにもきっちり勤労させなきゃね!」っておっさん。 マジでー?聞いてないんだけど(笑)
っていうか、その流れの途中、親父一回も私の目見ないんでやんの。 「あーうー」言ってるだけで、完全におっさんのペース(笑) マジ情けないって言うか。 いいの?それで?みたいな。
で、もーいっか、って。 どうせ私も、あんな家いたくなかったし。 ここ結構楽しそうだし。 おっさんはオヤジギャグが若干サムいケド(笑)  でもまぁお金ももらえるんなら、フーゾクやるよりかマシだし。  とりあえず親父ウザいし。 ホントウザいから。

・ 子どもに関心がない
入社初日。 いちおう親父とあの女もついてきたんだけど、頼むからさっさと帰って?って感じ。
もうさー、私の事厄介払い出来てホッとしてるのが見え見えで萎えるんだけど。
「・・美津子・・? あの・・その・・」って、話しかけんなよ!ウザいから! ホントはどうでもいいクセに! 今更なに親父面してんの? バッカじゃねーの?
イラついたからガン無視してやった。 もしかしたら何かもっと話しかけてくるかなーと思って、だってほら、離れて暮らすようになるんだし。ここのおっさん、ちょいちょいテンションおかしーし。
なのに私がシカトしたら、そのまま「・・じゃあ・・」って。
あ、そうか、って。   
心配とか、やっぱ無いんだ、って。
私の問題には、もう関わりあいたくないんだ、って思った。  マジこいついっぺん死ねばいいのに。

・ 現実逃避する
ここのおっさん・・じゃなくって社長(笑)は相当ヤバい仕事してるらしく、こないだ明らかにヤー公らしき連中がぞろぞろやってきた。
なぜか親父も呼ばれてるらしく、私が仕事してるトコうろちょろしてたと思ったら事務所に引っ込んだりして、ほんとイミわかんないっつうの。
社長と自称顧問弁護士(笑)のいかつい中年が、ヤー公をなんとかなだめてお引取り願ってるのをこっそり見てたら、親父まで青い顔してついてきててウケた。
っていうか、親父なにやってんの? もしかして、社長に言いくるめられてヤバい商売に手をつけてたりして・・・ ウケる(笑) 
スタッフの女の子が、親父が駐車場で運転席に座ったまんま「地球は約46億年前に生まれ・・」ってブツブツ言ってたよーって教えてくれたんだけど、またあいつ、お得意の現実逃避でもしてんじゃねーの? 宇宙はいいよなー・・って。 あー、ウザい。 星と一緒に消えればいいのに(笑)

・ 突如逆ギレする
朝、お店に行ったら、奥さんと社長が来てなくって。 でも、スタッフの女の子に聞いたら「ま、よくある事だから」って普通にしてるから気にしなかったんだけど、そしたら昼ごろ突然親父が店に飛び込んできて。
あれ?もしかして親父、社長と一緒にいたんじゃないの?って思ったんだけど、まぁどうでもいっか、ってガン無視してたら、「美津子、一緒に家に帰ろう!」だって。
はあ? なに寝ぼけてんの?みたいな。 何ネゴト言ってんだよ。 今更あんな家、帰りたくもねーよ。
でも親父、いつもならゴニョゴニョ言って引き下がるのに、全然引かなくて、私の腕つかんで引っ張りまわしやがんの。 ふざけんなよ!
何があったのかしんないけど、今まで全然真面目に向き合ってもくれないわ、話も聞いてくれないわ、私の気持ちなんて考えてもくれなかったクセに、何いきなり暴力とかふるってんだよ!ざけんなよ!キモイんだよ!
えらそうにするのが「父親らしい姿」だって勘違いしちゃったとか? 
言ってわからないなら拳でわからせる、ってか? ふざけんじゃねーよ!
私はてめえなんか怖くないから。
もう家族だなんて思ってないから。 とっととくたばれクソじじい!


【モンスターは誰だ】
《若い後妻から愛想を尽かされ、年頃の娘には見下され、うだつのあがらない生活を送っていた中年男・社本は、「縁あって」同業者の村田と家族ぐるみの付き合いを始めるのだが、あれよあれよと言う間に村田のペースに巻き込まれ、のっぴきならない地獄へと両足を突っ込む事になる・・。》
という「巻き込まれ型犯罪」を描いた本作。
そう、村田は本当に恐ろしい。 
自分の都合で他人の命を奪うという事に、ひとかけらの良心の呵責も感じない。 当然、奪った命に対しても極めてぞんさいな態度。 
人間性、というものが想像力だとか思いやりだとかそういうもので構築されているとするならば、村田はもはや人間ではないのかもしれない。 人の皮を被ったけだものなのかもしれない。

しかし、そんな村田に目をつけられ、まんまと悪事の片棒を担がされる事になる社本が、か弱き子羊なのか、というとそんな事は全くなく、むしろヒドイ。超ヒドイ。ていうかこんなお父さんヤだ。

社本が胃をキリキリさせながら過ごす「冷え切った家庭」を作り上げたのは、ヤニ臭い後妻でも反抗的な娘でもなく、社本自身なのではないかと思うのですよね。
一番繊細な年頃である娘にろくに相談もせず、いきなり若い後妻を連れてきたり、
誰かどう考えても揉めそうな、女二人の仲を取り持とうともせず、
新しいお母さんを受け入れられず、荒れ狂う娘を見て見ぬふりし、
「まぁ・・いつかみんなわかってくれるよね・・」みたいな、後ろ向きなポジティブさを全開にして、家族の問題から目を背けてきた社本。 そりゃーこじれるわ!徹底的にこじれるわ!

「家族」は、簡単には出来上がらない。 
細い糸をより合わせるように、一人一人の想いがぶつかったり繋がったり跳ね返ったりしながら絡み合う事で、太い絆が生まれるんだと思います。
一緒にいるだけでは、「家族」にはならない。 なったとしても、形だけでしかない。すぐ切れるような、脆い絆でしかない。
そして、一度綻んだ「家族」は、簡単には元には戻らないものなのですよ。

社本は社本なりに、村田というモンスターから「家族」を守る為に悪夢を受け入れてきたのかもしれない。
「おとうさん、がんばるからね・・!」と歯を食いしばり耐えていたのかもしれない。
でも、それは哀しいかな、ただの空回り。
想いは、相手に伝えないと意味を為さない。 自己犠牲は、評価してくれる人がいないとただの自己満足でしかない。
この間まで「ヘラヘラ笑う事」を「愛情を持って見守る事」とはき違えていた人間が、ナニがあったのか知らないけれどいきなりDV男に変貌して家族相手にキレまくったかと思ったら「生きるってのはなぁ・・・ 痛いんだよぉ!!」とか。
そりゃ娘さんも「イタいのはお前だコンニャロー!!」って言いたくもなりますよ!
そこに至る前に、まずこってりと会話しないと。お嬢さんの本音を引き出してあげないと。 モアートークですよおとうさん!!モアーモアー!

娘にとって、不可解な愛情を押し付けてくる父親の存在は、モンスターみたいなものだったのかもしれない。(※) 
だから彼女は最後に、勝ちどきをあげた。
混乱しながらも、勝ちどきをあげずにはいられなかったのではないでしょうか。

痛々しい家族だなまったく!
(※ もちろん、だから犯罪に巻き込まれて地獄に堕ちても自業自得だ、なんて言いたいのではないですけどね。 あくまで、娘の立場から見れば、という意味で。)


【父親】
「娘を拒絶しない」けれど「受け入れもしなかった」せいで、こじれにこじれまくった社本一家。
そんな社本を「息子のように」支配しようとした村田もまた、これでもかとこじれた親子関係のもと育ったようで。
物語の終盤、社本の反撃を受けた村田は、朦朧とする意識の中で「おとうさん・・ごめんなさい・・もうしませんから・・」とつぶやき続けます。 「おかあさん・・とめてよ・・おかあさん・・」とも。

村田は、他人の言葉に逆らえず自分の力で立つ事が出来ない社本と自分の幼少期を重ね合わせ、その社本の上に立つ事で、かつての自分を乗り越えようとしたのではないでしょうか。
社本の「父親」になることで、自分を押さえつけていた「父」と同等になろうとした。 いや、「父」を越える事が出来ると思った。
そしてその半面、不可解な程社本を挑発し、自分に攻撃してくるように仕向けたのは、「子どもの頃の自分(社本)」が立ち上がる事を望んでいたからなのかもしれない。

いずれにしても、村田の支配欲は「父」に対する抵抗だったように思えてなりませんでした。
しかし、結局立場は逆転し、「父」に殺された村田は再びか弱い子どもに戻る。
「父」という存在に蹂躙され続けた村田の姿が、とにかくひたすら悲痛でした。
その瞬間、村田は恐ろしいモンスターでも邪悪な存在でもなんでもない、ただの子どもにしか見えなかった。かわいそうな子どもにしか。

なんというか、非 常 に し ん ど い わ !(弱い面を全く見せない悪人のままの方がよっぽどか楽でしたよ!やめてよねホントに!泣くぞ!)


【カタルシスの欠片もない宇宙の片隅で】
ホンモノの人生は、いつも残酷です。
冷徹で、無慈悲で、期待は裏切られ、希望は打ち砕かれる。
物語の主役は自分のハズなのに、知らない誰かの舞台の上で踊らされているような虚しさに襲われる日々。
ホンモノの世界に、ヒーローなんていない。
ホンモノの人生に、胸のすくようなカタルシスなんて待ち受けていない。 

園子温監督が「死んでもいいくらい落ち込んでいる時期」に作ったとされる本作は、これでもかという程救いが無く、体の芯から凍り付いてしまう程冷たい感情に溢れ、最後の最後まで胸のつかえが取れない、近年稀に見るイヤ~な映画でした。
被害者は加害者になり、加害者は被害者に。
空っぽな人々の世界で、「自分」の存在は益々透けて無くなってゆく。
生命力に溢れているのは、追従笑いばかりが響く店内に君臨する狂気の王様だけ。

鼻歌まじりの解体シーンも、上滑りするオヤジギャグも、狡猾さに満ちた処世術も、ちっとも面白くなんてない。
全編通して、真顔で冗談を言われているような緊張感が漂っていて、とてもじゃないけど笑えなかった。
茶化しても茶化しきれない程、狂気が日常的に満ち溢れすぎているのが、本当におそろしかったです。

この作品を好きかキライかと問われたら、私は「キライ」と答えるでしょう。
一生忘れる事の出来ない恐るべき作品だとは思うけれど、「好き」なんかじゃない。「好き」になれる訳がない。
怖すぎる。 
ワロエナイ。 
でも、鑑賞できてよかったと思う。
観て済んだらあっという間に消化されて、心からスコーンと抜けてゆくような作品が重宝がられる世の中で、しわくて噛み難くて胃に悪そうで胸焼けを起こしそうな本作が作られた事はとても素晴らしい事だと思います。
すごくイヤな気持ちになった、とても有意義な146分間でした。

ホンモノの世界に都合のいいハッピーエンドなんてない。
確かにそうかもしれない。
けれど、抗う事は出来ると思う。 
大きな宇宙の片隅で、もがいてもがいてぺシャリと潰れてしまった社本の姿にショックを受けながらも、「ええか、これはダメなパターンやで!」と胸に刻むことから、まずは始めたいものですね。


最後になってしまいましたが、恐怖の大王・でんでんさんを始め、社本役の吹越満さん、社本の妻役の神楽坂恵さんの破滅っぷりが最高でした。 「普通じゃなくなった」普通の人を自然に演じすぎていてすごい!
ここまでの演技を引き出した監督も素晴らしいですし、それに充分すぎるほど応えた俳優陣にも圧倒されました。
そして、そんな濃いキャストの中で一番印象に残ったのは、でんでんの奥さんを演じていた黒沢あすかさん。
怖くて、可愛くて、美しくて、愚かで、憐れで、エロくて、最高の女優さんだと思います。

「黒沢あすかに踏まれるツアー」があったら、オレは迷わず応募するね! 前泊も厭わないね!



※関連レビュー・・・弩級の快作「冷たい熱帯魚」 - 深町秋生のベテラン日記 弩級の快作「冷たい熱帯魚」 - 深町秋生のベテラン日記


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『おまえうまそうだな』

2010年10月24日
うまそう
うまそうなのはウマソウだけじゃなかったのだ!

あらすじ・・・
あるひ、きょうりゅうのおかあさんが、かわでロハスなきゅうじつをすごしていると、じょうりゅうからなにがしかのたまごがどんぶらこっことながれてきました。
「このままでは、かこくなせいぞんきょうそうのぎせいしゃになってしまう」。 そうおもったおかあさんは、たまごをうちにつれてかえりました。
おこったのはなかまのきょうりゅうたちです。
「どこのうまのほねともわからないたまごをひきとるだなんてしょうきのさたじゃない」「うまれてみたらはだのいろがちがってただなんて、あたしゃしんせきにあわすかおがないわよ」。 
なかまからのプレッシャーにしんけいをボロボロにされたおかあさんは、なくなくあかちゃんきょうりゅうをもりにすてにいきました。
しかし、いっしょうけんめいじぶんをよぶあかちゃんのなきごえは、おかあさんのぼせいをダイレクトにしげきし、なやんだおかあさんは、コミュニティとけつべつし、じぶんひとりでこどもたちをそだてることをけついするのでした。

つきひはながれ、ハートとなづけられたはだのいろのちがうちびっこきょうりゅうは、おかあさんのじっしであるライトとともに、すくすくとそだっていました。
ただ、おかあさんとライトがこのむ、ベジタリアニズムにもとづいたせいかつは、ハートにはすこしばかりものたりなさをかんじさせてしまうのでした。
どうしてじぶんは、ライトとまったくおなじしょくじではまんぞくできないのだろう・・・。
どうして、どうぶつせいタンパクしつをなめるだけで、こんなにこころがみたされるのだろう・・・。

そんなあるひ、ハートはみょうなむなさわぎをかんじてだいそうげんにかけだします。
そこではいままさに、するどいきばをもつ、がたいのいいおとなのきょうりゅうたちが、マクロビオティックなきょうりゅうにおそいかかって、はらわたをひきちぎろうとしているところでした。
はじめてみるこうけいに、ハートはこしがぬけてうごくことができません。
「なむさん・・・!」  ハートがそうおもったとき、とくにがたいのいいいっぴきのきょうりゅうがハートにはなしかけました。
「おまえ・・ひとりなのか?」
「ち・・ちがうもん! おかあさんとおにいちゃんといっしょだもん!」
「ならばいけ。 ここはおまえがくるようなところではない」
ぶじ、むざいほうめんとなったハートは、いのちからがらにげだしました。
が、しかし、そんなハートをびこうする、ふしんなかげが・・・。

かわでハートをさがしていたライトとごうりゅうしたハートは、どうようのあまりじゅんじょだててはなしをすることができません。
ライトはただひたすら、そんなハートをおちつかせようとつよくだきしめるばかり。
そのとき、かれらのうえをおおきなかげがおおいかくしました。
ハートをびこうしてきた、ひれつなきょうりゅう・ゴンザです。
「なんだ! きになってつけてきてみたら、おまえくさくいどもといっしょにせいかつしていたのか!」
なんのことかりかいできず、ふるえるハート。もえつきるほどひーと。
「おまえだよ、おまえ! にくくいのくせになんでくさくいにくいつかないんだ? いまはやりのスローライフってやつか? しゅみはデトックスりょうりか?」
「ぼ・・ぼくはにくくいじゃない! もりがーるがだいすきなそうしょくだんしだ!」
いかりにわれをわすれ、ゴンザにとびかかるハート。 
ちいさいながらもうちにひめるポテンシャルははかりしれないハートは、いきおいとパワーでゴンザをあっとうし、しっぽをかみきられたゴンザははんぶんになったしっぽをまいてにげだすのでした。
ぶじライトをまもったハート。
しかし、おのれののろわれたしゅくめいをしってしまったハートは、もはやおかあさんとライトとともに、ぬるまゆにつかったせいかつをおくることなどゆるされるはずもありません。
そのひいらい、ハートはおかあさんのもとにもどることはなかったのでした。

すうねんご、りっぱなにくくいきょうりゅうにせいちょうしたハートは、いつものように、よそのきょうりゅうのなわばりにちょっかいをだしながら、せつなてきなせいかつをおくっていました。
そんなあるひ、ハートのまえにちいさなたまごがおちていました。
なぜかデジャヴをかんじつつ、たまごをのぞきこんだハートのめのまえで、たまごはかわいたおととともにわれ、なかからちいさなきょうりゅうがとびだしてきました。
「おまえ、うまそうだな・・」
したなめずりをしながらはなしかけるハートのあしに、ちいさなきょうりゅうはうれしそうにしがみつき、こうさけぶのでした。
「おとうさん!」・・・と。


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親から子へ、伝えたい事。
その内容はとても多いが、伝えられる時間はとても少ない。
だから必死で、なにかを人生の蓄えにして欲しくて、親は子に話しかける。
いつかは誰しも、自分だけの力で生きて行く瞬間を必要とされるから。
自分だけの足で、地面に立つ事を求められるから。
その時、我が子が途方に暮れないように、我が子が凛々しく前を向いていられる様に、親は子に伝えようとする。
たとえ肌の色が違っても、時代が違っても、その気持ちは変わらない。

ツイッターで大絶賛されてた『おまえうまそうだな』を、せっかくなのでちびっこと堪能しようと、親子三人で鑑賞してきたのですが、噂にたがわぬ号泣必至映画で、ポップコーンが涙で塩味になるというハプニングまで起こる始末だったのでした。

草食恐竜のおかあさんから、肉食恐竜のこどもへ。
草食恐竜のおかあさんから、草食恐竜のこどもへ。
肉食恐竜のこどもから、草食恐竜のあかちゃんへ。
肉食恐竜のおとうさんから、肉食恐竜のこどもへ。
種類や住む世界は違えど、彼らが伝えようとする事はただ一つ。
生きること。   自分のちからで生きること。

親は、こどもを愛するがゆえに、時々伝え方を間違えることがあります。
“とにかく今は、守ることに集中しよう。伝えるのはその後でいい”
“こうやって愛していれば、こどもにもきっと伝わっていくはず”
そんな風に勝手に思い込んだり、やみくもに愛を押し付けたり、前を見るべき目に目隠ししたりする事も、まぁ、しょうがないと言えばしょうがない、というか大いに自分に思い当たるフシがあり過ぎて、今書いていて絶賛羞恥プレイ中のアガサなのですが、優しく抱きしめるだけではなく、やはり背中をドンと押す事も大切なのですよね。

だって、抱いてばかりいたら、こどもの目は塞がったままだから。

胸におしつけたこどもの顔をぐいっと前に向けさせて、涙を流していたら一緒に泣きながらそれでも心を鬼にして、厳しい現実に向き合う術を伝えていかなければ。
優しくするよりも、厳しくする方がもっと難しい。でも、やらねば。

本作には、一生懸命“生きるとはどういうことか”を伝えようとする親たちの三者三様の姿が登場して、それぞれが深く観る者の胸に響きます。
中でも、肉食恐竜のおとうさんがそうと名乗らぬまま、我が子に“愛するものを守るということ”を伝えるシーンが心に強く突き刺さったのですが、このおとうさんにしても、そして草食恐竜のおかあさんにしても、「なんだったら自分の命を犠牲にしても構わない」という覚悟をもって、子に伝えようとするのですよね。
弱ければ死んで喰われるしかない時代だからこそのストイックさなのかもしれませんが、今の時代でも“生きる”ということの本質は同じなのではないでしょうか。
だからこそ、親は強く、厳しく、愛情をもっていなければ。
子とぶつかる事も恐れず、伝えようとしていかなければ。

こども向けの絵本が原作だからと侮ることなかれ。 
とても真摯で、とても大きな愛に包まれた、素晴らしい作品でした。
もちろん、ちびっこも大満足でした。
ちなみに今は、恐竜になりきって家中をガオーと叫びながら走り回っています。
マネをしたくなるほど、おもしろい映画だったと言うコトですね! ただ、床が抜けるから階段から飛び降りるのだけはやめて頂きたい。かあちゃんからのお願い。

吹き替えは例によって例の如くタレントさんが担当しているのですが、主役を演じるのがプロの声優さんだった為、特に違和感もなく(いや、タレントさんもとても役にあっていたのですよ)、かわいらしいキャラからは想像もつかない、激しい殺陣を繰り広げられるので、ちょっとしたアクション映画のような興奮も味わえます。

そうそう、そのキャラなのですが、アガサが特に気になったのは、草食恐竜のおかあさんなのでして。
見ず知らずのたまご(肉食らしく毒々しい色あい)を引き取り、群れから孤立してしまう事になっても、一生懸命育て上げる、マザーテレサのようなおかあさん。
このおかあさんに育てられたからこそ、肉食のハートは、種類の違う弱い生き物を守るような、出来た息子に成長したのですよね。

で、自分の性(サガ)を知り、距離を置いて暮らす事を決めたハートが、おかあさんたちの群れが住む森の危機を知り、拒絶されることの恐怖に怯えながらもおかあさんの元へ駆けつけるシーン。
数年ぶりにやってきた群れの中には、お兄さんのライトはいるものの、肝心のおかあさんがいません。
ライト曰く、「おかあさんは朝から山奥に行って帰ってこない」。
慌てたハートは、舞い降りる火山灰を振り払い、おかあさんの居場所を探します。
そして、ついに再会を果たすおかあさんとハート。
ハートはおかあさんに、こんな危険を犯してまで、どうして山奥にいたのかと訊ねます。
そこで、木の洞から小さな恐竜を呼び出しながらおかあさんが言った、衝撃の一言とは・・・!

おかあさん 「ほら、みんな、おにいちゃんに挨拶なさい」

おかあさん、隠し子発覚キタ―――!

え、え、おかあさんって今何さ・・ていうか、群れを追い出されて、その後戻ったものの厄介者扱いされてた筈で、そんでもってそんでもって、ええと、ええと、いや、別に高齢出産でもぜんぜん問題ないんですけど、でも、なんつうか、いつの間に!っていうか、誰の子やねん!っていうか、そもそもハートの場合と違って草食の子なんだから森の奥に隠しておく意味がわからないっていうか、モテまくってますなぁ!っていうか、ええと、ええと・・・

おかあさん

おかあさんは・・・

おかあさん2

おかあさんは・・・・・

おかあさん3

おかあさんはヤリマ老いてなお現役です!

と言う事で、
「うまそうなのはウマソウだけではなく、熟しきったメスの魅力を存分にアピールしたおかあさんも、とってもうまそうだったでした」
という衝撃のダブル・ミーニングをみせつけた、とってもアダルティで楽しい映画だったのでした。
やったぜ! アニメ界にも熟女ブーム到来だ!!※他にどの界隈が熟女ブーム中なのかは判りませんが)


子を持つ人も、持たない人も、是非一度ご覧になって頂きたいです。
そして、秋の夜長におとうさんやおかあさんに電話をして、普段は言えない言葉をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。



-おまけ-

・ 血の色をした赤い実がとても印象的に使われていたのですが、あれは命を現していたのでしょうかねぇ。 おかあさんからハートへ与えられる赤い実。 ハートが育てる事になる草食恐竜のあかちゃんの尻尾にも赤いポッチ。 ハートの父親である肉食恐竜の赤い瞳。 受け継がれて行く命の色。 (←勝手な推測ですが) うまい表現だなぁ・・と思いました。

・ 生きるということが、きれい事の様に描かれていないのがとてもよかったです。 容赦なく生を奪い、その肉を喰らう恐竜たちは、ただいたずらに弱い者を脅かす存在なのではなく、同じ場所に共存する仲間なのではないでしょうか。 だから、不必要に殺生をしない。 喰われた方も、犠牲を無駄にしないように淡々と生きる。 彼らは自分達が定めたルールを守り、一生懸命暮らして行くのですね。 私たちには出来ない事なのではないかと思い、ちょっと恥ずかしくなりました。


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『シロメ』

2010年10月12日
まずはこれを観て頂きたい。



オーケイ、では本題に。

あらすじ・・・
「シロメさま、どうか願いを叶えてください・・・」

とある廃校の一室にあると言われる、黒い蝶々の影。 シロメさまと呼ばれるその影の前で3回願い事を唱えれば、願いは必ず叶えられるという。
ただし、からかい半分で訪れた者や、願いに邪な心が混じっている者は、地獄に引きずり込まれてしまうのだとも・・・。
人気急上昇中のアイドルグループ・ももいろクローバーに、そんな“シロメさま伝説”を体当たり取材せよ。との依頼が舞い込んだ。
怯えるメンバー。
しかし、彼女達にはどうしても叶えたい夢があった。
その願いを叶える為、恐怖心と闘いながら廃校を訪れるメンバー。
そこで彼女達が目にしたものとは・・?


『オカルト』『ノロイ』といったドキュメンタリー的フィクション映画で、観る者の度肝を大いに抜きまくった白石晃士監督が、またもや新たな恐怖を生み出した。
しかも、今回の主役はおっさんやフリーターではなく、日本が世界に誇るスーパーアイドル・ももいろクローバー(通称ももクロちゃん)なのである!

・・・

・・

って言っても、肝心のももクロちゃんをご存じない方には何のことやらさっぱりですよね。
そう思いましたので、冒頭に彼女達の魅力が溢れんばかりに詰まったPVを貼り付けてみました。
これでもう、存分に理解出来ますよね?
ももクロちゃんが問答無用にかわいいってコトは理解できますよね?
一日に10回以上PVリピートしてしまうって行動も理解できますよね?
気付いたら「ねらいうち」されててビクンビクンって状況も理解できますよね?
何?! 出来ない?! 諸君の股間についてるソレは飾り物か?!

・・なあんて冗談はさておき、そんな「いまいちピンとこない」あなたも大丈夫! 本作では、ももクロちゃんファンへの目配せはもとより、そうでない初心者の方でも、これさえ観れば完璧にももクロちゃんファンになってしまうという安心安全な作りになっているのですよお立会い!

ちなみにアガサは、現在新曲の「ピンキージョーンズ」の振り付けを練習する日々という、程よいももクロちゃんファンですので、名前も顔もばっちり覚えてますよ! 教えてあげましょうか! どうしてもって言うのなら、教えてあげてもいいですよ!
momo1_s.jpg
上段向かって左から 
あーりんのお肌はぷにっ!ぷに! ぷにっぷに? ピチッピチッでしょ!ピチッピチー!ももクロのアイドルことあーりんです! (※あーりんは声もかわいいんだよねー魅惑のハイトーンボイスだよねーとろけまくっちゃうよねー!)
ももクロのクールビューティことあかりんです! (※あかりんはオレの嫁!)
番長 
下段向かって左から 
しおりんのしー!しからないでー!しおりんのおー!おこらないでー!しおりんのりー!リズムに乗ってー!みんなの妹しおりんです! (※しおりんの可愛さは異常!)
茶畑のシンデレラ、百田かなこです! (※かなこたんは身体能力がグンバツなんだよ!かわいいわキレがあるわ、マジ天は二物も三物も与えちゃったよね!)
ずんだもち


ちなみに、かなこたんのもう一つのキャッチコピーは
えくぼは恋の落とし穴
です。

チキショオオオオオオオゥ!!! (※悶絶した)

オーケイ、本題に戻ろう。

「ケーブルテレビの仕事が入ったよ!」と少女達を喜ばせたかと思いきや、その内容は「過去に何人か亡くなってる場所で歌って踊って呪文を唱えてきやがれこんちきしょう!」というドSな企画なのだと伝えて、いたいけな彼女達を奈落の底に突き落とすシーンから始まる本作。
実はこの依頼のくだり、“映画の撮影”というコトは伏せられており、スクリーンの中の彼女達は真剣に“テレビのお仕事”だと信じ込んでいるのですよね。
と言う訳で、何も知らないももクロちゃんたちは、オドロオドロシイ怪談話でビビらされたり、不気味なおっさんに目の前でゲボされたり、レッスン部屋でお泊りさせられたり、廃校の中で肝試しさせられたり、女の子が首吊ったという部屋で前向きな曲を歌わされたりという、監督からのサディスティック且つなにがしかのフェティッシュな香り漂うオファーを、黙々とこなすコトに。

急なお泊り(しかもさっきおっさんがゲボしてた部屋)にドキドキしつつも、仲良しのメンバー同士でくっつきもっつきしながら寝間の準備をするももクロちゃん。
涙のあとを頬に光らせながらも、仕事の為に奮起しようとがんばるももクロちゃん。
合間合間に挟み込まれた自己アピールタイムが目に眩しいももクロちゃん。
この姿の、なんと健気でなんとポジチブでなんとかわいらしいことか!

自分達に課せられたドSな宿題と、有無を言わさず襲い掛かる怪しげな現象の数々(ラップ音やカメラを横切る謎の光体)に心も体も衰弱して行くももクロちゃんと、無邪気にメンバー同士で戯れるももクロちゃんの笑顔が渾然一体と化した本作は、まさに“観る吊り橋効果”と言えるのではないしょうか。
って、“観る吊り橋効果”てなんやねん。
わからん。 自分が何を言っているのかよくわからん。
まあとにかく、ドキドキビクビクしながら観ているうちに、いつしかももクロちゃんのコトが気になって仕方なくなると思うんだよ! おしえてあげようか!人はそれを「恋」と呼ぶのだよ!

白石監督が得意とする、ハッタリが効いた正統派脅し表現の数々は、今回も絶妙な匙加減で掌にイヤな汗を握らせてくれますので、恐怖映画としても充分楽しめるのではないしょうか。
明らかに作り物と判るエフェクツを使用しているにも関わらず、ふと気を抜いた瞬間に背後が気になってしまうと言いますか、画面の隅に忌まわしき姿が映り込むのではないかと不安になる、とでも言いましょうか。  暗闇がじわじわ怖いのですよね。 ホント上手いんだよなぁ。
怖すぎない怖さと、可愛すぎる美少女たちの眩しすぎる今がギュギュっと詰まった良作だと思います。
ももクロちゃんの虜になる覚悟があるあなたは、是非部屋を真っ暗にして臨むべし!


-追記-

・ “シロメさま”は、邪な願いをひどく嫌うという。 「紅白歌合戦に出たい」というビジネスの香りがぷんぷん漂う願いは邪じゃないのだろうか。 純粋な少女のたっての願いなので大目にみてもらえるのだろうか。 可愛いは正義!

・ ふざけた輩は地獄へ叩き込むという、ちょう恐ろしい武闘派神様・“シロメさま”。 そんなおっかない神様を「シロメってさぁ・・」「シロメにさぁ・・」とちょいちょい名呼びするももクロちゃん。 あのね、「様」つける方がいいと思うのね、リスペクト的な意味でね! コレおばちゃんからのアドバイス!

・ なんといっても、本作で白眉だったのは、「沢山の叫びと涙を流しながらも果敢に廃校を進むももクロちゃんを待ち受けていたのは、“シロメさま”のご本尊の下に大量に垂れ流されていた白濁して粘り気のある謎の液体だった・・・!」という驚愕のオチだったのでした。

白濁・・

ねばねば・・・

だらりとぶっかけられた液体・・・

へんたい

こ の か ん と く は さ い て い で す よ ー !(※おまえがな)


それにしても、ここまで「悪魔に魂を売ってでも紅白」とか「シロメさまのお陰で人気爆発」みたいな文言を散りばめた作品に出演させられてしまって、ももクロちゃんの双肩にかけられたプレッシャーたるや想像を絶するものがあるでしょうな。
汚い大人の思惑に負けず、これからも地道に活動して貰いたいものです。

がんばれ! 週末ヒロイン・ももいろクローバー!


(※ メンバーの名前に一部不適切なあだ名があったコトをお詫びいたします)(本当の名前はれにちゃんとももかちゃんです)(どっちがどっちなのかは各自ご確認下さい)

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『十三人の刺客』

2010年10月04日
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男の魂に火をつけて燃やして焼き尽くして灰になって土に返ってそこから小さな若葉が芽を出すような映画。


(※本編の終盤部分に言及する箇所が御座いますので、くれぐれも鑑賞前にうっかりご覧になられませんようご注意下さいませ)


あらすじ・・・
まっくん お初にお目にかかりまする。 手前、明石藩御用人千石・鬼頭半兵衛と申す者でござる。
明石藩に忠誠を誓い幾年月。 今は、明石藩の藩主であらせられる、徳川将軍家慶様の弟君・松平斉韶様にお仕えする毎日でござるが、これがなんとも一筋縄ではいかぬお方。 
生来よりの残忍なご性格で、粗相をした家来をお手討ちにされたり、お気に召した女子の四肢を撥ね弄ばれるは日常茶飯事。 先達てなどは、参勤交代中に立ち寄った木曾の陣屋で尾張藩士の嫁を手篭めにし、その様に狼狽していた藩士のご子息の首を掻っ斬るという鬼畜な立ち振る舞い。 
これには、いくら将軍様の腹違いの弟君といえど何らかのお咎めがあるに相違ない、と思われたものの、懐の広い殿は斉韶様の処分を見送り。 それどころか、ゆくゆくは江戸に呼び戻され、老中職をお与えになるとのお考えをお示しになられたのでござる。
この事態を重く見た明石藩江戸家老・間宮図書殿は、老中・土井様の門前で訴状を手に切腹。 この、命を賭した訴えには、さしもの老中の方々も胸を打たれた事と存知ます。
これで、将軍様より斉韶様に何らかのお咎めがある事は確実でござるな!
お、源四郎ではないか。 丁度よい処に、して、将軍様のお沙汰は?
けらい1 お咎め、無しでございます!

マ ジ で ご ざ る か !
あ、いや、失礼。 拙者としたことが、取り乱してしまったでござる。
それにしても、なんたる愚考・・いや、弟君に対する深い思いやり・・・。  将軍様の真意は、我々には図りかねますな。
しかし、このままではあっちもこっちも収まらんでござろう・・ と思っていたら、案の定殿のお部屋から何やら尋常でない悲鳴が・・!  
慌てて駆けつけると、そこでは殿が間宮殿の血筋の者たちを皆殺しにしている真っ只中。 
殿!それはダメでござる! 大人はまだしも、子供はアウトでござる! 好感度的に致命傷でござるよ!!
ゴローちゃん 野猿は死にさらせ! (バシュッ)

マ ジ う つ け で ご ざ る !!
え、なに?! なんなのこの殿! 拙者の言う事なんも聞いてないの?! アナタニホンゴワカリマスカー?!
しかも、さらに信じられない事に、この不祥事に対してもなお、将軍様は完全スルーを決め込んだのでござる。 もうなんも言えねえでござる。 秋のうつけ祭りでござる。
しかし、たとい天下の大うつけであろうと、日本国中を敵に回そうと、拙者には我が主君に仕えるという義務があり、明石藩にお命を捧げた亡き父上との約束を果たす為にも、全身全霊を懸けて殿をお守りするのでござるよ。
それにしても、気になるのは老中の土井様。 公平にして聡明な事で知られるあのお方が、この様な状態をただ手をこまねいて見ているとは思えないのだが・・・。
と思っていたら、やはり土井様は動いていたでござる。 ある人物を屋敷に呼び出し、“斉韶様暗殺”を秘密裏に事を進めようと画策していた事が、拙者の内偵で明らかに。
そしてその人物とは、拙者がかつて同門で腕を競い合った島田新左衛門氏。 なんたる数奇な巡り合わせ・・!
決して剣豪という訳でも、抜きん出た切れ者という訳でもござらんが、どの様な不利な立場になっても決して勝負を諦めないという、芯の強い男。 そして、最後には必ず僅差で勝利するという男、それが島田氏。 
これはかなり厳しい攻防戦になりそうでござるよ・・。
ていうか、なんでよりにもよって島田氏でござるか・・ 明石藩にも尾張藩にも何の縁の無いものを・・・ でしゃばりコージーめ・・・!  
あ、いや、広司ではなく島田氏でござったな、これは失敬。

それはさておき、折も折、斉韶様は参勤交代にて再び江戸明石に戻る事に。
この様な好機を、きゃつが逃す筈はない。 きっと道中で殿に謀反の刃を向ける腹積もりに相違ない。そう確信した拙者は、意を決して敵陣へと乗り込んだでござる。
やいやい!島田氏! 某は一体何人で我が主君をアタックするつもりでござるか?!
コージー 12人しか集まってないよ。

マ ジ 犬 死 じ ゃ ん か ! !
いやいやいや、まさかの12人でござるか! 勝つ気ナッシングでござるなぁ!
・・っていうか、アレ・・?・・もしかして手前ども舐められて・・る・・?
これはさすがの拙者も、殿が可哀想になってきたでござるよ。 なんかもう完全に「なんだかんだつってもー けっこー泰平の世の中だしー 暴君つってもー 戦とかマジ未経験な訳でー 強い者にはー ちょーチキンみたいなー」って思われてるイメージでござるもん。
殿を愚弄されるは明石藩を愚弄されるに等しき事。 ここは侍のプライドにかけて、あの小生意気な鼻っ柱をへし折ってやらねばなるまいぞ! 全力で!200人の家臣を引き連れた総力戦で! たといこの場が血で染まろうと、忠実な部下たちの手足が飛ぼうと、殿を守り、敵の首を一つ残らず掻き切ってやらねば!
そりゃうちの殿にも悪いトコはある。 それは認める。 随分な所業を重ねてきた。 
しかし、我が主君は天下の将軍家の正当なお血筋。 何も暗殺などと乱暴な手を使わずとも、この度の襲撃で多少なりとも痛みを実感なされば、老中という重職に就かれた暁には、きっと心を入れ替え、民の為に善き政を行って下さるに相違な・・
ゴローちゃん なあなあ、半兵衛。 戦の時って、こんな風に血飛沫舞いまくりの臓物こぼれまくりだったの?

ははっ、然様でございます! さすがは我が殿!早速何かを感じ取られたのでございますな! して、どの様なご感想を?!

ゴローちゃん マジでか! 戦ちょーおもしれーじゃん! オレ老中になったらガンガンいくさする!

ば か ! お ま え ば か !

もう嫌でござる。 色々申してはみたけれど実は全部建前でござる。根っこの部分はアンチ斉韶なのでござる。そりゃそうでござろう!女子供を手にかけ、色に溺れ、忠臣たちの想いを蔑ろにする。これのどこをリスペクトすればいいでござるか!いや、無い! そんな余地は無い!
そこで拙者は考えたでござるよ。
もうこうなったら、正しい剣の遣い手になるべく汗を流し合った島田氏と行動を共にし、この愚かなる殿の悪行に終止符を打つ事こそ、明石藩御用人が為すべき究極の御奉公なのではなかろうか・・と。
さよう、今こそ不肖・鬼頭半兵衛が、13人目の刺客になるべき時が来たのではなかろ・・
伊勢谷 こんにちは。 途中の山で島田さんにスカウトされた13人目の刺客・小弥太です。

ば か ! お ま え も ば か !!


そして、何もかも嫌になった鬼頭さんが にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  斬って斬って斬りまくるという映画なのであります。(うそです)
(※あらすじはアガサの妄想6割で、実際の半兵衛はとことん殿に尽くしますので。念の為)



はい、最高の映画出ましたよー!

噴き上がる血飛沫があり、ゴロゴロと転がる生首があり、義があり、小気味いい程の悪があり、と、人の心をたぎらせる、全ての要素が詰まっている本作。
おっぱいこそ殆ど無いものの、目に炎を燃やした男と男が視線を絡ませあったり、腕と腕と(もちろん剣の腕っていう意味ね)を交し合ったり、絶対の信頼を寄せ合ったり、頬を染めあったり、キャハハウフフし合ったりしてくれるのですから、もう他には何も必要ないのではないでしょうか。
帰れ帰れ! 女子供はさっさと帰れ! こっからは大人の時間だぜ!

勿論、気にならない箇所が全く無いと言えば嘘になります。
襲撃に備えるまでの時間経過が長いのか短いのか判りにくく、少し緊張感が緩んでしまうトコロや、各キャラの心の声をじゃんじゃんアテレコしてくるトコロなど、もうちょっとスムーズにして欲しかったなぁ・・と感じる部分も確かにありました。
しかし、クライマックスで待ち受けている圧倒的な戦闘シーンを前にすれば、それらの“ちょっともにゃもにゃ”な気持ちはいとも簡単に吹き飛ばされてしまう運命にあるに違いなく、事実、アガサもまた、たった13人の漢(おとこ)たちが数百人もの兵に立ち向かって行く姿に胸の奥のほうがジンジンと熱くなり、その生き様にひたすら涙したのでありました。 そう、死に様じゃなくて生き様に。

とんでもない迫力に満ちた殺し合いを彩る役者のみなさんがまた、もれなく全員素晴らしい。
13人もいると、中には“明らかに下っ端”臭が漂う役者さんが居てもおかしくないと思うのですが、それぞれに見所が用意されており、各人がそれにきっちり応えていますので、物足りなさは感じません。
そして、そんな中でも特に突出しているのが、“時代劇の大御所”松方弘樹さん。
正直アガサは「遠山の金さん」くらいしか知らなかった(逆に言うと、金さんのコトは知りすぎるくらい知っていた)のですが、もうこの弘樹の立ち振る舞いの安定感といったら奥さん!
 
腰!弘樹の腰を見てやって奥さん! 
堅苦しい侍言葉が飛び交う中で、一人、皆の緊張を解きほぐそうとべらんめえでフランクに語りかける弘樹の口元をみてやって奥さん! 
しかもその語りや助言が恐ろしく的を得ている様を目に焼き付けて奥さん!
戦闘シーンでのキレキレの殺陣を見てやって奥さん!
この勝負、弘樹無しではありえなかったと言っても過言ではない!ていうかもう、弘樹無しでは生きていけないよね! そうだよね奥さん!おくさぁぁぁぁぁぁぁあん!!!(どこの奥さんに訴えたかったのかよくわからなくなってきた)

もちろん、主演の役所広司さんや市村正親さん、尾張藩士役の松本幸四郎さんなど他のおじさま方も、もう渋いわ脂はのってるわ目力半端ないわと存在感をレーザービームの如く放出していたのですが、今回の主役は弘樹だったね。大切なものを容赦なく盗んでいったよね。 そう、あなた(みんな)の心をね!

そして大切なものを盗んでいったと言えば、既にあちこちで絶賛されている稲垣吾郎メンバー。
演技に関して感想をいう時に、“ジャニーズの割には”とか“ジャニーズなのに”という言葉をつけるのは、役者さん(として頑張っているゴローちゃん)に失礼な気もするのですが、それでもやはり、ジャニーズに所属しているタレントさんが演技を披露する時には、その看板なり戦略なりが大きく足を引っ張っているコトは間違いないと思うのですよね。 そもそも、今までのジャニーズの流れから言えば、本格的な汚れ役なんてちょっと有りえないコトだと思いますし。
かくいうゴローちゃん自身も、過去に「踊る大捜査線年末スペシャル」でジャンキーの殺人犯役をしたことがありましたが、狂気も凄みも悲壮感もほとんどなく、“頑張ってるなぁ”という印象は受けたものの、あくまで“悪そうな格好をしたゴローちゃん”でしかありませんでした。(※アガサの主観)

そんな中での“史上最悪の暴君・ゴローちゃん”。
なんということでしょう! この期待の斜め上を行く暴君っぷり!
怯える子供に弓を引く! 目についた女は既婚未婚問わず手篭めにする! ノーマルプレイに飽きたらダルマにして性奴隷にする! 忠実な家臣だろうと反逆者だろうと気分がノリ次第叩き斬る! なんか退屈なので犬食いしてみる!
普通の役者さんでも躊躇しそうな、超バイオレントな暴君を、堂々と演じきっているではありませんか!
“ジャニーズなのに”ここまでやりおったで! と感嘆の溜息をつかずにはいられません。
いや、たとえ“ジャニーズ”じゃなかったとしても、充分賞賛に値する演技だったと思います。
ほんと、よくやったよ! えらいよゴローちゃん! 
あと(蛆がうにょうにょする便器の傍で泥まみれになって転がったり、作り物とは言え、アイドルの生首が便器のふちを転がる事を許したり、なんかもうヤケクソになってるとしか思えない勇断っぷり)のジャニーズ事務所もえらいよ!

本作でゴローちゃんは、きっと誰かの心から何かを奪い、そして他の誰かに何かを植えつけて行くでしょう。
ま、要するに、女性ファンが減って男性ファンが増えると思うね!オレは!

殺伐とした殺し合いの果てに、人生の希望というか救いを感じさせてくれるラストも秀逸で、ホントもう、おなかいっぱいになったアガサだったのでした。
かなりハードな描写もありますので、観る人によっては気分が悪くなるかもしれませんが、自分が決めた道しか歩めない不器用で誠実な男たちの生き様、出来れば目を背けずに見届けて頂きたいものです。そして熱くなれ!



-余談-
本作の岸部一徳は『アウトレイジ』の石橋蓮司に匹敵する美味しい役どころだったと思いました。 「しもざ・・しもざ・・」のいっとく、超かわいい!
出来れば性開発された後のいっとくも観てみたかったです。
 
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『making of LOVE』

2010年08月11日
『making of LOVE』という映画を観ました。

「2010年5月。 
『オトシモノ』『ロスト☆マイウェイ』でなどの作品で知られる映画監督ふるさわたけしの新作がクランクインした。
しかし、主演をつとめた青年の謎めいた失踪によって撮影は中止を余儀なくされた。
これは未完成に終わった一本の映画の記録である。」


という、いきなりオチバレ(?)みたいなテロップから始まるその映画は、そこで説明されている通り、
・ とある(実在する)映画監督が出演して
・ 映画を製作する過程を描いた映画、というモキュメンタリーな作りで
・ 主演の男の子が途中でいなくなって
・ ついぞ映画は完成しない
というおはなしです。 
でも違うんです!
完成しないんですけどそれは映画中の映画の話であって、『making of LOVE』は完成します。映画は完成しないけど、愛は完成するんです!ってわかりにくいか!そっか!よしわかった、じゃあもうみんな観に行こう!そうだそうだそうしよう!!
古澤健監督の最新作『making of LOVE』は、8月29日(日)よりポレポレ東中野で公開予定です。 『THE LAST MESSAGE 海猿』を観に行こうと思ってた関東近辺のみなさんは、そのお金を持ってそのまま東中野へ行きましょう! そうでないみなさんもいいから行こう!! とにかく、面白い映画が観たいと思っているみなさんは迷わず行こう!行けばわかるさ!


・・と、ついフォントを弄ってしまいたくなる程、『making of LOVE』は誰かにおすすめしたくなる作品であり、独り占めするのが勿体無い作品なのでありました。

映画が出来上がるまでの苦難に満ちた道のり、愛を欲するがゆえにおさわり行為(セクハラ)に走るふるさわ監督の姿、現代的なファムファタルの登場、主人公の青年の不思議な過去、ヒロインにまつわる不可思議な現象、ストーキング・・・ストリーキング・・フェアリーテイル・・・スパースバンパイア・・・ん・・? スペースバイパイア・・?・・あぁ・・うん・・スペースバンパイアだよ・・・アハハ・・ウフフ・・。
てな具合に、観続けるごとに恋愛映画になったりSF映画になったりコメディ映画になったりファンタジー映画になったりオカルト映画になったり、くるくると万華鏡の様にその姿を変える、とっても不思議な作品なのですが、それらは決して、とりとめなく繰り広げられているのではなく、ラストに待ち受ける幸せな結末に向かってきちんと収束されて行くのですよね。 にくい。にくいなぁこんちきしょう!

人はみんな孤独だから、他の誰かを愛し、愛されたいと願う。
でも、愛の光が強まれば強まるほど、その裏に追いやられた“寂しさ”の影もまた、色を濃くする。
一緒になったハズなのに、一向に消えないどころかさらに激しさを増す孤独感。
特別ではない、誰の身にも芽生えうる、複雑な感情。
みんな不安で、みんな受け入れられたくて、迷走したり暴走したりしてしまうんですよね。
だって、自分が大切だから。 自分は傷付きたくないから。
でも、その孤独すらも受け入れられるような感情が生まれる瞬間がある。
なんの見返りも求めない、ただ、ひたすらに、変わらぬ想いを注ぎ続けようと決意する瞬間。
それは奇跡の瞬間だと思う。 
何ものにも代えがたい、奇跡の瞬間だと。

その瞬間を、大げさなBGMも大掛かりなセットも壮大な風景も使わず、ごくありふれた狭いベッドの上に映し出した古澤監督は只者ではないのではないでしょうか。 オレ、監督のサイン持ってるんだぜー いいだろー!えっへっへーだ!(思わず自慢)
否応もなく胸が熱くなり、「ああ・・、この映画がだいすきだ!」 と叫びたくなる名シーンだと思いました。

誰もが捜し求めている“運命の人への愛”と、尽きることの無い“映画への愛”が溢れんばかりに詰まった『making of LOVE』。
その「愛」が見事に成就する様を、是非劇場でご確認してみては如何でしょうか。

そうそう、言い忘れてた!
健全な男子のみんな、安心して!おっぱいもいっぱいあるからね!! やったね今夜はホームランだ!



鑑賞の機会を与えて頂けた事に、この場をお借りして心からお礼を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました!
もし岡山でも観れる機会がありましたら、絶対観に行きたいと思います!(もちろんDVDも含め)


おまけ

・ いちおう主人公はヒロインと彼女と運命的な出会いをする男の子、というコトになっているのですが、彼ら以上に存在感を発揮するふるさわ監督の演技力に打ちのめされました。 どうみてもヘンタイのストーカーにしか見えません。 なんという迫真の演技なのでしょうか。 演技なのでしょうね。 演技なのですよね。 後生だから演技だと言ってください。

・ 高橋ヨシキ所長のセリフ後のふるさわ監督のショットが最高でした。 夜中に一人でヒーヒー言いながら転げまわってしまいました。 ここは是非、劇場で大勢で観て、一緒に大爆笑したかったなぁ。

・ ヒロイン役の藤代さやさんが、どのシーンでもむちゃくちゃ可愛らしくて、自然体で、あたし女だけどけっこんしてくれ。 (特に終盤ベッドの上で見せる表情はあまりに神がかり的な美しさで、うっとりと見とれてしまいました)

・ そんな魅力的なヒロインと、壮絶なイチャイチャを繰り広げる主人公の青年。 キス&ハグ。 キス&ディープなハグ。 街中だろうが駅中だろうがキス&ハードなハグ。 ごめん、殴っていいか?

・ エンディングでまさかのボラット。



重ねて言いますが、『making of LOVE』は8月29日よりポレポレ東中野でレイトショー開始。
本当におすすめです。
場所がわからない人は今すぐググろう!
劇場に行く事が出来ない人は、地元の映画館に直訴しよう!
それも無理な人はDVDになるのをひたすら待とう!

必見。

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