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『パーフェクト・ストレンジャー』

2009年08月11日
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★★
ただし、美人(イケメン)に限る。


古今東西、沢山の「驚異のどんでん返し映画」が作られてきましたが、どうも 『シックス・センス』 以降は行き詰っている感じがしてなりません。

あれを超える“どんでん返し”をしないと、もはや誰も驚いてくれない・・・!

そんな焦燥感を漂わせながら、多くのビックリ作品が世に送り出されたものの、しかし結局、人々の失笑と突っ込みと「だと思った」という言葉で一刀両断されたのでした。
そしてここにまたひとつ、観客の度肝を抜かんが為に、新たな刺客が登場。

“ラスト7分11秒―「衝撃の事実」に、あなたは絶対騙される”
というキャッチコピーも鮮やかに現れた 『パーフェクト・ストレンジャー』 は、一体どんな「驚異のどんでん返し」を魅せてくれると言うのでしょうか!
期待に胸を膨らませつつ、いざ鑑賞!


あらすじ・・・※ 完全ネタバレです ※

バリバリの有能美人記者・ロウィーナは、今日も元気に上院議員の政治ゴシップを暴くものの、上からの圧力によって記事を握り潰されてしまう。
よし!わかった! その議員にロウィーナが狙われるんだな! 理由はゴシップの証拠隠滅。間違いない。

やさぐれ半分のロウィーナは、帰宅途中で久しぶりに会った幼馴染から、とある大手広告代理店社長と不倫しているとの告白を聞く。
そりゃそうだよ! 議員が絡んでくる訳ないよ! アホか!まだ始まったばっかやっちゅうねん!

しかし、その2週間後、幼馴染は無残な死体となって発見される。
来たね。 死体来た。 真犯人は・・・議員・・じゃない!だから議員は関係ないんだってば! 次行こう!

その幼馴染と社長との関係を立証する鍵は、2人が出会ったきっかけでもあるチャットにあると考えたロウィーナは、同僚で腕利きハッカーのマイルズと共に、社長のハンドルネームである「ADEX」との接触を計る。
なんだこれ!楽勝楽勝! 犯人は社長で決定! だって幼馴染と付き合ってたんでしょ? 超かんたん! プゲラwwwww!

直接社長の動向を探ろうと決めたロウィーナは、偽名を使ってその広告代理店に潜入。
一方、ロウィーナの私生活をこっそり覗き見るマイルズの姿も・・・。
あのねぇ、社長が犯人だなんて誰が言いました? だから最初から、私はマイルズが怪しいって言ってたじゃないですか! 覗きイクナイ!

ところでロウィーナの過去には、ある秘密が隠されており、彼女は夜ごと訪れる悪夢に苦しめられていたのだった。
・・・ははーん・・。 ロウィーナの隠された過去ね・・・。 読めてきた・・読めてきましたよ! いや、まだ言わないけどね!

噂好きのOLから、社長に関する様々なゴシップを入手して行くロウィーナと、意味深な眼差しでそれを見つめる社長の片腕・ジョージー。
だからね、ロウィーナのトラウマなんてのは、いわゆる一つのミスリードなんですってば。 犯人はジョージー! 8割がた間違いないと見た!

会社でのリサーチとは別に、例のチャットルームに潜入するロウィーナ。
その独自のエロ口調で、早速ADEXからチャットに誘われる。
そして、それと並行して、社内でもその抜群のプロポーションと美貌で社長の関心を得る事に成功。
一気に急接近して行く2人。
何が怪しいってね、社長の行動が非常に怪しい訳ですよ。 大企業の社長のクセに、社長室でエロチャットするか普通? 家でやれ! ていうか社長業なんてやめちまえ!

その頃、独自に調査を進めていたマイルズから連絡が入り、幼馴染の死因が明らかになる。
なんと彼女はベラドンナという薬物の点眼や注射によって、毒殺されていたのだった。
毒物と社長との接点に困惑するロウィーナ。
ADEXとエロチャットする事で、なんとか秘密を探ろうとするのだが、なんとADEXの名を騙りチャットでハアハアしていたのは、マイルズなのであった。
ほらね~! だから最初にマイルズが怪しいって言ったじゃないすか! 覗くわ騙るわ、もう最悪ですよコイツ! 

そうとは知らずに、ADEXに取り入る事に成功したと信じきっていたロウィーナ。
会社の方でも順調に社長と親密さを増して行くが、物陰からその光景を見つめる者がいた・・・社長の妻である!
旦那が不倫をしていました。 相手の女性は妊娠までしていました。 さあ、あなたならどうします? 殺しますよね! あったりまえじゃん! バカじゃね? と言う訳で、真犯人は奥さんです。 お疲れ様でした。

社長の寵愛を得るロウィーナでしたが、ある日「ADEX=社長」の確証を得る為社長室に忍び込んでいた際、その現場を社長に押さえられてしまいます。
ロウィーナをライバル社のスパイだと勘違いして、怒り心頭の社長。
絶体絶命のロウィーナだったが、なんとか色仕掛けでその場を収めることに成功する。
2人はオサレなバーで仲直りのキスに没頭するが、ロウィーナの携帯を覗いた社長がマイルズから送られてきたメールを見た事で再び激昂。
結局完全に信頼を失ってしまったロウィーナは、会社を解雇されてしまうのでした。
まあね! さっきは奥さんが犯人だなんて冗談を言ってしまいましたが、やっぱり浮気相手が殺されたとき一番疑われるのは相手の男な訳ですよ。 社長は「裏切り」と言うキーワードに非常に敏感ですから、きっと幼馴染みちゃんが社長を脅迫するような事をしたのが許せなかったんでしょうね。  いやぁ、火遊びするには程ほどにって事ですなぁ! くわばらくわばら!

ロウィーナのミッション失敗の原因が、自分からのメールにあったと知ったマイルズは、なんとか挽回しようと、社長のもとに単身乗り込む。
その頃、マイルズを訪ねて行ったロウィーナは、マイルズの部屋でとんでもない証拠を見つけてしまう。
なんとマイルズは長い間、ロウィーナをストーキングしていたのだ!
そして、その傍ら、殺された幼馴染とも深い関係を持っていたのだった!
だからあれ程マイルズだと!! ね!! 言ってたよね!! だってさぁ、もう見るからに変態じゃん! いかんともしがたい変態じゃん!  奥さんとか社長とか、んな訳ないない! 

誰も信じられなくなったロウィーナは、再びチャットでADEXを誘い出し、高級ホテルの一室で会う約束をとりつける。
そして、そこに現れた社長を駆けつけた警察が逮捕。
その後の捜査によって、あらゆる物的証拠が社長の身辺から発見される。
夫の浮気に気付いていたハズの妻は、法廷で知らぬ存ぜぬの証言をし、哀れ社長は有罪判決を受ける事に。
社長は嵌められてただけなんですよ。 それはもう、最初からわかってたんですよ。 じゃあ、一体誰がそんな罠を仕組んだのか? それはどう考えても奥さんな訳で。 マイルズ?誰それ?  きっとねぇ、奥さんは散々浮気に明け暮れてた夫に対し、堪忍袋の緒が切れちゃったんですね。 ある意味可哀想ちゃあ可哀想な人なんですよ、この嫁は。

全てが終わり、過去に決別をして歩き出すロウィーナと、それを見つめる社長婦人。
早くこの嫁、捕まえた方がいいですよ。 ほら、ロウィーナが狙われる可能性も大じゃないすか。

意味深な表情で佇むマイルズ。
と、みせかけて! 結局マイルズなんですってば! 最初のシーンでわかってましたってば! このド変態が!

洗面所でベラドンナの壜を手に摂り、排水溝に流しはじめる一人の女性。
その女性こそは・・・  ロウィーナだった!!!
奥さんっていうかマイルズっていうか、 ・・・え?! ロ??!!!

幼い頃、性的暴行を行っていた父親を殺害して埋めた、ロウィーナと母。
その姿を目撃した幼馴染は、長年に渡ってロウィーナを脅迫し続けてきたのだった。
我慢の限界を感じたロウィーナは、彼女を殺害しその罪を不倫中だという社長に擦り付ける事を計画。
社長に接近しつつ数々の裏工作を仕込み、見事完全犯罪を成立させたのだった。
そ、そうだと思ったんだぁ! ていうか、開始20秒で判ってましたけどね! なんていうか、初歩的ですよね! 何もかもが! 
初歩的で稚拙で短絡的でていうか無理やりすぎるわ――どアホ―――!! (ノ`Д)ノ:・'∵:.┻┻


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この手の「どんでん返し」作品鑑賞後に、あちらこちらで必ず見られる光景に

「オレは(アタシは)すぐ判ったけどね」

という“どんでん返し全否定”な態度の、映画好きな男子や女子の姿があるのですが、なんか大人気ないと思うのですよね。
明らかに「捻りも何にも無い」みたいな雑な作りの映画も多々あるのですが、製作者が無い知恵を絞って二転三転させたストーリーを、時には素直に受け止めようじゃないですか。
そして、「多分コイツが犯人だと思うんだ・・・と思ったんだけど実はコッチだったりして・・・みたいな事を思わせたいんだろうけど実は・・・」と、ああだこうだ踊らされながら観るのも楽しいと思うのですよ。
別にそれは恥でもなんでも無いし、「こんなオチも読めないの?バカじゃね?」なんて言う輩がいるとすれば、そいつの方こそ洒落の通じない野暮天なのではないかと。

ま、オレくらいのレベルになると、大抵のオチは読めちゃうんだけどな!(←まさしく野暮)


そもそも、語り部である主人公が犯人というトリック(?)は、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」(←ネタバレの為反転)とか、おフランス産スプラッター「ハイテンション」(←同じく反転)でもお馴染みなのですが、要はその真実が明らかになった時、どれだけ観客を唸らせられるかなのですよね。
アガサは前者も後者も作品としてだいすきなのですが、さすがに後者の方は辻褄が合わない点が多く、都合の悪いトコロは全て主人公(もしくはアジャ)の妄想てコトにでもしなければ、気になって夜も寝られない程です。

で、本作なのですが、やはり若干無理があったと言わざるを得ない仕上がりに。
幼馴染の殺害ありきで動き始めた主人公は、とにかくやっている事が全て回りくどい。
「社長の奥さんがベラドンナを使った写真撮影をしていると知ったから、幼馴染にベラドンナを盛る」とか、別にそこは盛らなくてもいいじゃない。
っていうか、普通にハドソン川に重石つけて沈めときゃいいじゃない。

なんというかねぇ、すべてにおいて、「ただし美人に限る」が大前提なトコロが、いちいちカチンと来るのですよねぇ。
社長と急接近するとか、
マイルズに自分の言葉を鵜呑みにさせるとか、
顔を伏せたチャットにも関わらず、ADEXをモノにするとか、
絶対普通の記者レベルじゃ成功しないじゃないですか。
でも、何もかも主人公の思惑通りに進む。
何故なら彼女が超エロい体のウルトラ美人だから。

もうねぇ、そんな記者いるかよ、と。
男顔負けで、バリバリと仕事をこなしている記者が、ちょっとドレスに着替えたくらいでフェロモンむんむんのプレイメイトに変身出来んのか、と。
ここは声を大にして叫びたい。
みんな騙されるな! アメリカのベテラン女性記者なんて、概ねこんな感じなんだかんね!

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(※ ホワイトハウスに詰めて48年。代表的女性記者のヘレン・トーマスさん。 まさにもののけ。)


という事で、
「ジャジャーン!真犯人は主人公でしたー! どう?ビックリした?ねえねえ、ビックリしたでしょ?」
というスタッフのハイテンションな製作姿勢だけは、想像すると若干楽しいのですが、なんでも美人なら上手くいくみたいな世の無常も如実に伝わってきて、アガサちょっぴり泣いちゃった。

まぁね・・・、そういうもんさね・・・現実だって似たようなもんさね・・。・゚・(つД`)・゚・。

若い女に目が無い社長を、必要以上にリアルに演じてみせたブルース・ウィリス。
結局ただの女好き、というか、無類の女好き、というか、根っからの女好k(略)
散々おちょくられ、罪を被せられる為だけに登場させられたブルースが、役柄としても個人としても、両方の意味で気の毒に思いました。
次は頑張れ! ええと、確か前に『ダイハード5』やるとかやりたいとか言ってたじゃん!そっちで頑張れ!

そして、もう一人のハゲ被害男性ことマイルズ。
演じていたジョヴァンニ・リビシのお陰で、多面性を持つマイルズのキャラクターがとても魅力的に描かれていた、と思います。(アガサは)
変態性とか、秘密主義とか、誰にでもある一面ですよね。
マイルズはただただ主人公が大好きで、でも高嶺の花で。
誠心誠意尽くせば振り向いて貰えるかもと思って、命令されれば全部従って、でもダメだったマイルズ。
最後のチャンスと思って、ちょっと姑息な手を使おうとしただけなのに・・・。
結局主人公に上手いこと利用されただけのマイルズが不憫でなりません。

もしマイルズが、もう少しほら、アレですよ、イケメン方面だったなら・・・

・・・

・・Σ(・д・)!! 
そうか・・・ただイケって事だったのか・・・



という事で、男女合わせて様々な人生の哀しみを見事に描ききった本作。
今の自分とは違う別の(ちやほやされるような)人格、すなわちパーフェクト・ストレンジャーとして歩んでみたい貴方にお薦めの一品です。

違うか。


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『天使と悪魔』

2009年05月16日
天使と悪魔
★★★
主演、ユアン・マクレガー。 おまけ、トム・ハンクス。


信仰心というのは、恋心に似ていると思う。

のめり込むと周りが見えなくなる。
それさえあれば、何でも出来そうな気持ちになる。
多少のアバタもえくぼに思えてしまう。
かなりのアバタもえくぼに思えてしまう。
弱った心の拠り所にしてしまう。
上手く生活に活かせば、毎日ハッピーに生きられる。

ただ、大概の場合、それは片道通行である。

・・・え?
・・違う?
大概の場合、片道通行じゃなくて両側通行?

リア充はもげてしまえ!!


この物語は、そんな非リア充だった一人の哀れな青年の物語である。

※ 以下ネタバレしていますので、未見の方は引き返して下さい。※








あらすじ・・・
神様って、いると思うんですよね。
ていうか、いるんですよね、確実に。
いないとか言うやつはアレですよ。 もうアレ。 絶対彼女とかいないやつですよ。
いや、僕もいないんですけどね、彼女。
違う違う、彼女の問題じゃなくて、神様の話ね。

僕って孤児だったんですよ。
で、ヴァチカンの枢機卿だった今の父に引き取られて、途中でお国の為に兵役で空軍に入隊したりしながら色々学んだりして。
今はまたヴァチカンに戻って、教皇に出世してた父のもとで秘書みたいなことやってるんですけどね。
要するにずっと男社会一本で頑張ってきたって事なんですよ。
だから彼女とかはいませんよね、必然的に。
いや、別に彼女とか必要じゃないし。 不必要とも言いませんけど。
違う違う、彼女とかどうでもいいんですよ。 神様の話ですよ。

父は結構ヴァチカンの中でも革新派っていうか、頭固くない方で、物事の見方に柔軟な姿勢を見せてたんですけど、僕はそれはどうなのかなぁって。
確かに、ガッチガチの保守派っていうのも、時代遅れかなぁと思いますけどね。
でも、そのせいで神様の存在を軽視するみたいなのは許せないっていうか。
彼女が一生出来ないって決め付けるのは如何なものかっていうか。
正直彼女は欲しいですよね。 出来れば巨乳の。
違う違う、だから彼女の話は関係ないんですってば。

そんな父が、スイスにある原子核研究所で反物質の研究をしてる神父から、なんか相談をされたみたいで。
その神父が言うには、万物の誕生のもととなる物質を作り出す事に成功したとかなんとか。
で、それを発表しますか、それともしないでおきますか、と。
そんなの発表しちゃったら、天地創造説はどうなるんだって話じゃないですか。
バカ言っちゃいけないよ、って。
この世界は神様が作ったんでしょ、って。
アダムとイヴがいて、そんで今日の僕らがいるんでしょ。
だから当然、いつの日にか僕にもかわいい彼女が出来るはずでしょ。 っていうか、出来ない訳がない。
ホント彼女欲しい。 見方を変えれば、貧乳っていうのも僕はアリだと思う。
違うんですってば。 神様の話なんですってば。

で、何を思ったのか、賛成しちゃったんですよ、父が。
その物質の発表に。
もうねぇ、ダメだと思いましたよね。
このオヤジはもうダメだ、って。
今まで僕を育ててくれた父なんで、こんな事言うのも気が引けるんですけど、マジお前ボケちゃったんじゃねえの、って。
ぼくは本気で神様を信じてるんですよ。
だから、その神様を否定するみたいな化学の進歩とか、ホントもう見てらんないっていうか。
そんな発表、見過ごすわけにはいかないっていうか。
神様はいますよ。
いつもぼくらを見てくれているんですよ。
だから僕にも絶対彼女が出来るんですよ。 これはガチ。
違うの。 聞いて。 もうちょっと聞いてみて。 神様の話に戻すから聞いて。

仕方ないから、僕は父を殺す事にしました。
ただ殺んじゃあ僕が罪人みたいなんで、その父の死を上手く利用しようかな、って。
最近ヴァチカンの枢機卿の間でも、ちょっと意識にバラつきがあって、ヘンな野心とか色気を出してくるご老体とかに辟易させられてたんで、父の死を皮切りに、大規模なドッキリを仕掛ける事にしたんです。
大昔にヴァチカンと敵対していた秘密組織があったみたいなんですよ。
イルミナティとか言う科学者の集団らしいんですけど、そいつらの残党が父の死の真犯人だったって事にして、ついでに何人かの枢機卿に殉教してもらって。
ヴァチカンに迫る狂った科学者の魔の手。みたいな構図にしたら、もうみんな焦りますよね。きっと。
今こそ信仰心を新たにして、神様を信じよう! みたいな。
絶対いるから、神様は! みたいな。
絶対出来るから、彼女も! みたいな。

彼女、出来るんだよ、絶対出来る。



彼女欲しい。

マジで彼女欲しい。


・・あ、ラングドン教授来ちゃった?
・・・じゃあまぁ、僕の計画を上手く進める駒として、せいぜい有効に活用させて頂くとしますか。


っていうか、ラングドン、女連れだし。


ラングドンもげてしまえ。



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前作の 『ダ・ヴィンチ・コード』 では、

衝撃! イエス・キリストに隠し子が!

という、仏教徒には限りなくどうでもいい真実を追っていた我らがラングドン教授。
そのどうでもいい真実のせいで、日本人のお客さんからは今ひとつ支持を得られなかったと聞きます。
しかも、真実を解き明かす過程が実に判り難い。
お前ら、ちょっとダヴィンチ先生に乗っかり過ぎなんじゃねえの? というくらいのダヴィンチ頼み。
この名画にも、この壁画にも、実はこんな暗号が・・・! って、どこまでも突き進む妄想伝。
ダヴィンチ先生もいい迷惑でしょうね。

で、そんな反省点を活かした本作は、いちおう 「今度はガリレオ先生が隠した暗号を解け!」 みたいな宣伝文句をあるものの、要は単純な犯人探しだったりします。

教皇を殺した真犯人は?
略奪した4人の枢機卿を次々血祭りにあげる犯人を、ラングドンは止めることが出来るのか?
18世紀に暗躍したイルミナティが、ローマの街に隠した“啓示の道”を、無事見つける事が出来るのか?

という謎解きを、美しい景観と共に駆け足で進める事で、ちょっとした観光気分も味わえて、なおかつハラハラドキドキのサスペンスも堪能できると言う、一粒で2度おいしい作品に仕上がっています。
勿論、その駆け足具合は前作とどっこいな部分もありますので、「う~っとえ~っと」と考え込む隙間は与えて貰えません。
ひたすら不自然な生え際をフル回転させるトム・ハンクスと、やたらとやる気のないヴァチカン警察(とスイス衛兵隊)の行動に翻弄されているうちに、物語は一気にクライマックスへとなだれ込むのです。

しかし、その暗号の仕組み(暗号にまつわる薀蓄話)を理解しきれなくても、犯人探しの楽しみは充分に味わえるでしょうし、派手な追いかけっこと地味ながら滅法腕のたつ殺し屋の仕事っぷりもなかなか見ごたえがあります。
また、ヴァチカンの中で見られる様々なコスプレもたまりません。
中世の絵画から抜け出してきたような衛兵の制服は可愛いし、ぽってりとした枢機卿の真っ赤なケープはおしゃれだし、カメルレンゴ(教皇の秘書長)の黒い聖職服もスマートでかっこいい。
こいつはまさにコスプレ天国。


本作の中で、たびたび信仰心(というかキリスト信者)はバカっぽい描かれ方をしています。
バカっぽいというのは失礼かもしれませんが。
例えば、ヴァチカンの内部に爆発物(街一個消滅するくらいの)が隠された為、避難するよう求められた枢機卿が 「大丈夫。 わしらには神様がついてるから」 って聞く耳もってくれなかったり、奇跡っぽい(実は科学がもたらした大惨事)光景を目の当たりにした群衆が 「神様からの贈りものだーハレルヤー!」 って集団催眠みたいになったりと、なんだかちょっとゾっとする瞬間がありました。
信仰心って怖いなぁ、と。
いや、信じる力は尊いですし、その力が人を強くしたり支えたりするのはわかるのですが、ちょっと冷静さを欠いてしまうというか・・・。

所詮、信仰心なんてものは片道通行でしかないと思うのですよね。
神様がいるかどうかは置いておいて、仮に居たとしても困った時に助けてはくれないし、人の命なんて1ミクロンも感心を示してくれない。
一生懸命願って、信じて、その気持ちが結果自分自身を助ける事に繋がる、いわば自家発電みたいなものなのではないかと。

で、なにせ前作でもキリスト教徒をキリキリ舞いさせたダン・ブラウンさんですから、今回もとことんキリスト教を皮肉って終わりなのかなぁ、などと考えながら観ていた訳なのですが、しかし、今回は前作と違ってヴァチカンが作品にああだこうだケチをつけていない。
撮影は許可してくれなかったらしいですが、態度は比較的穏やかだ。
なんでだ?
現ナマ作戦か?(←不謹慎)


と思って最後まで観ていましたら、ずっと頑なな保守的信仰心をみせていた枢機卿の中の偉いさんが、トム・ハンクスにいい事を言っていました。
「たしかに宗教にも欠点はある。 人にも必ず欠点があるように」
あんたいい事言ったよ! それすごく大事な事だよ!

人が作り上げた宗教だから、絶対欠点もあるのですよね。
その欠点を見ないフリしたり、認めなかったりするから揉めるのではないでしょうか。
他人を、違う考え方を認める事が出来たなら、その欠点が少しでも修正され、宗教は本当に人の心を救うだけの素晴らしい手助けになるのではないかと。 そんな事を思った今日この頃。

まぁ、ヴァチカンの公式談話じゃないですけどね。
ダン・ブラウンさんの談ですけどね。


信仰心が篤すぎた為に暴走してしまった哀れな青年(中年?)役のユアン・マクレガーが、とても魅力的でした。
あと、“悪そうな顔で実は悪くない”という役が定着しつつあるステラン・スカルスガルドも渋いわおっさんだわ渋いわで、もうドキがムネムネ状態。
トム・ハンクスはむしろ脇ですね、今回。
ていうか、もうどうでもいい。
あ、いたの? くらいの気持ちです。アガサとしては。
オヤジ、開いてる? くらいの。 暖簾を潜りながらの。 意味は判りませんが。


と言う訳で、前作よりは(キリスト隠し子?!とかどうでもいいもん。って)引かずに、純粋に楽しめる娯楽観光ミステリーだった本作。
つまり、大規模な土曜ワイド劇場って事ですね。
船越英一郎は出てきませんが、似たような生え際のトム・ハンクスが奮闘していますので、曜日を問わず劇場に足を運んでみては如何でしょうか。


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『1408号室』 

2009年04月12日
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★★★
ノーアウト 1408号室。

おひさしぶりです。 アガサです。

言葉には言い表せない感じの奇病に罹りまして、少しばかりご無沙汰致しております。
徐々に復調できればと思っておりますので、もうしばらくスローペースにお付き合い頂ければ幸いです。

と言う訳で、今回は手短に。

(エキサイト韓国語翻訳サイトにて「アガサ原文→韓国語」「韓国語→日本語」と再翻訳したバージョンの)あらすじ・・・

どんな理由を抱いて今は一人で住んでいるマイクは, 各地の幽霊スポットに泊まって, その模様を本に整理する事で大成功をおさめたベストセラー作家だ

マイクは幽霊を信じない.
信徒信じない.
何故ならばマイクは, それらを無意味な代用品に変えてしまう, 堪えにくい経験をしているから.

ある日そんなマイクのそばで, 一枚のポストカードが到着される.
そこには
「NY義ドルフィンホテルの 1408 号室には絶対ドルオがソンだめだ」
(わ)とだけ記録されていた.
興味をひかれたマイクは, 数年ぶりに NY義地に戻る.
その旅行には, マイクがずっと避けて来た過去と代置すると言う意味もあった.
しかし, ホテルに到着して, 憚るマネージャーから鍵を受けて, 部屋に入ったマイクに, 想像を超越する恐怖が飛びかかったからあった.
果してマイクは, ノーアウト 1408 号室から生還することができるのですか.


果たしてアガサは にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  応援の一押しとかお願いできるのですか

先日ニコニコ動画で再翻訳字幕ネタを見て、面白そうだったのでやってみました。
ちなみに英語でもやってみたのですが、やはり韓国語がダントツですね!
このキレ具合!
オレは今、韓流の波に乗っているっっ!!(←実は乗り遅れてる)
前半は意外と普通に翻訳されているのですが、後半のカオスっぷりが実にアガサ好みです。
「ドルオがソンだめだ」て! マジうける!!

皆さんも是非一度お試しアレ!


ええと、ここで終わるのも何なので、ちょっぴり内容にも触れましょうかねぇ。

スティーヴン・キングの短編小説を映画化した本作。
原作では
「幽霊も神様も信じていない故に全米の心霊スポットをレポートして荒稼ぎしていた男が、たまたま訪れたホテルでモノホンの悪霊に遭遇して黒コゲの刑」
と言う簡潔な自業自得物語でしたが、映画化にあたってこの主人公の人となりを大きく彩色。
ただの無心論者ではなく、愛する娘を病気で亡くした為霊現象や神を信じられなくなった哀れな男にした事で、この不思議な部屋が持つ攻撃力を更に高めています。

そもそもこのホテルの部屋は何だったのでしょうか?
「オーバールックホテル」の様に、過去の怨念がバウムクーヘン状に折り重なった怨霊ホテルなのか?
それとも、働き者の悪魔が仕込んだお仕置き部屋なのか?
過去に泊まった客が必ず死を遂げる、呪われた部屋。
サミュエル・L・ジャクソン兄貴扮する支配人が仰るには、「1時間もった人はいない」との事。
大きく出ましたねぇ! 兄貴!!

で、娘を亡くし、妻とも埋めがたい溝が出来てしまった主人公・マイクもまた、意気揚々と潜入した室内で、さまざまな粘着攻撃に苦しめられることに。

部屋のエアコンが壊れ、半そでになっても汗まみれなくらい暑くなったり、
かと思えば鼻水も凍る程、氷点を下回ったり、
過去に部屋で自殺した自縛霊っぽいのが、「オレ、どう?」的に自己アピールしてきたり、
コンセントを抜いているはずのラジオから、何回も何回も「We've Only Just Began~」ってカーペンターズの愛のプレリュードが無限のリピートされたり、
不仲だった父親がスーパーイリュージョンしてくれたり、
窓のサッシがバーンって降りてきて、指をベチーンって挟まれたり、
水道の水が、突然アチーってなったり、
壁に掛けられた絵が勝手に動き始めたり、
スーパー浮浪者が刃物を持って追いかけてきたり、
壁の亀裂から水が、ドリフ並みの勢いでドシャーって溢れ込んだり、
夢だけど、夢じゃなかったり
枚挙に暇が無い程浴びせられる、ボディに地味に利いて来る嫌がらせの数々。

これらの攻撃を一身に受けて、苦悶の表情を“やりすぎ境界線”ギリギリに演じるジョン・キューザック(ザっくん)は、ギリギリと言ったけど正直一線を越えた感もある熱演を披露。
その線は越えちゃいけないと、あれほど言ったのに・・・。
その線の先にあるのは、『ウィッカーマン』のニコラス刑事なんだよ、と、あれほど言ったのに・・・。

ていうか、もう肩を並べちゃいましたね。
「慌てれば慌てる程面白い」、ネクスト・ニコラス・レベルに到達してしまいましたね。
ようこそザっくん。 魅惑の摩訶不思議アドベンチャーワールドへ!
熱烈歓迎しつつ、演技派として地道に活動をしてきたザっくんの行く末を案じてみたりする私です。

下手するとコントすれすれの嫌がらせ攻撃に、正気と狂気の狭間を行ったりきたりのザっくんですが、それらの攻撃の中で最も耐えがたく、何とか保っていた自制心を破壊されてしまったのが、愛する娘に関する幻覚攻撃。

小児ガンに侵され亡くなってしまった娘。
親として、あらゆる手を尽くしたつもりだが、心の中は未だに後悔で埋め尽くされているザっくん。
その自責の念から、支えあって生きて行くべき妻から逃げてしまった弱い男。
不思議な悪意に満ちた部屋は、そんなザっくんに執拗に、娘の死を再生して見せるのです。
現実に助けられなかった命。
幻想の中でも助けられない命。
魂の底から搾り出した、救済を願う声をあざ笑うかの様に、目の前で一瞬にして崩れ去る娘の体。
こんな悪夢耐えられません。
この人でなし!
いや、部屋でなし!!


作品としては面白い(ギャグ的な意味で)部類に入ると思うのですが、この娘にまつわる悪夢のシーンのお陰で、心理的にもかなり堪える出来となっているのではないでしょうか。
捨て身の反撃に拠って、奇跡の生還を果たしたザっくんが、原作通りに恐ろしいトラウマを抱えて生きる羽目になっても面白かったのではないかと思いますが、娘の哀しい思い出を夫婦で乗り越えようと歩み寄るラストもそれはそれで希望に溢れてよかったですね。

ちなみにアガサのお気に入りシーンは、サミュエル兄貴が手乗りサイズになるお茶目でファンシーなシーンです。
小さくても兄貴。
ポケットサイズの兄貴。
叩いても増えません。


全国の兄貴ファンは必見のシーンです。 (※くどいようですが増えません)


ていうか、あんまり手短じゃなかった罠。
どうもすみません。
では皆様、ごきげんよう!



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『FRONTIER(S) フロンティア』 

2009年01月26日
フロ
使いも使ったり、その血量400ℓ。

はいどうも、アガサです。

先日ちょこっと皆様にお知恵を拝借していた、当ブログの移転の件ですが、諸事情により全て白紙に戻すことになりました。
その節にコメントを下さったみなさま、本当にありがとうございました。
なんかゴタゴタして申し訳ありませんでした(´・ω・`)

今までどおりFC2にて頑張って参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

という事で、はてなの方で書いていた 『フロンティア』 レビューを出戻り記載の巻。


あらすじ・・・
「よし、オランダに行こう!」と彼は言った。
と言う事で、先立つものが必要なので銀行を襲った。
二手に分かれて逃げる途中で、お兄ちゃんが撃たれた。
仲間を先に国境へ向かわせ、とりあえずお兄ちゃんを病院に運んだ。
お兄ちゃんが死んだ。
超泣けた。

その頃、先行していた仲間が辿り着いた辺境の宿は、にゃんとキチガイの宿だった。
キチガイから逃げ出した仲間たちだったが、崖から転落して巡りに巡って、結局またキチガイの総本山に迷い込んだ。
遅れること数時間、私たちも宿に到着した。
まさか仲間たちが襲撃されていたとは知る由もなかった私たちを、宿の主人が別宅へと招待してくれた。
そしたらどっこい別宅には、さらなるキチガイが待ち受けていた。
キチガイというか、ナチの親衛隊ね。
これはヤバいと逃げ出そうとしたけど、屈強な大男たちに阻まれてサックリ身柄を拘束された。
私たち(私と元カレのアレックス)は、ブタ小屋に鎖で繋がれ、どうにもこうにも殺される雰囲気たっぷりだった。
その時、私の妊娠がきっかけで喧嘩別れしていたアレックスが漢(おとこ)気を魅せた。
火事場のクソ力で私の鎖をザンパノ((エイヤーって引き千切る))して、逃がしてくれたのだ。
ヤダ・・・そんな事されたら・・あたし・・・あたし・・また、好きになっちゃうかも・・・*:.。.:*゜( n´∀`)n゜*:.。.:*
なんて悠長な事も言ってられないので、とりあえず逃げた。
でもすぐキチガイの仲間に捕まった。
腑抜けでどうもすみません。

逃亡を知って怒り心頭のファシストじじいが、アレックスに銃を突きつけた。
アレックスは最後の根性を振り絞って「クソじじい死ね!」と罵ったが、言葉だけでは銃に勝てるはずもなく、あっさり射殺された。
一方、じじいは私の妊娠を知ると態度を一変させた。
どうもこのじじいは、家族を増やす事に重きを置いているらしいのだ。
「純粋な血族こそ国家の宝!」とかなんとか素晴らしくキ印な発言を繰り返しているが、この子移民の子なんだけど。
そんな事見りゃわかんだろ!じじい!ボケてんのかよ!バーカバーカ!

しかしどうやら、じじいにとっては本当の遺伝子など大した問題ではなく、とにかく若い母親が必要だっただけなのだ。 
「ボケてんのか」とか言ってゴメン。 つまり形振り構わずって事だったのね。失敬失敬。
鎖を解かれ、じじいの長男の嫁としてキチガイ家族に迎えられる事となった私は、一時は抵抗する気力も無くし「どうにでもなれ」と思っていたのだが、加齢臭のキツイ長男に唇を奪われた事で怒りに火がついた。
ただキスされただけでもキモいのに、キスしたあと口をベローンとかもう! (`Д´*)ノ゙ エロおやじ!! エロいんだよてめぇ!
そこで、手元に置いてあったナイフを手にじじいを人質にとり、
お前ら! 撃てるもんなら撃ってみろ! じじいの喉元掻っ捌いてブタみたいにギャーギャー叫ばしてやんぜ!
って言ってみたら、ホントに撃ったバカがいた。
じじいポックリ。
こりゃビックリ。

一家の長であり、総統でもあるじじいを失った一家は我を失い私に襲い掛かってきた。
いやいやいや、じじいを撃ったの私じゃないんだけど。(´д`;)
しかし、私も私で相当な怒りを身に纏っていた。
仲間はみんな殺されたし、その一部なんか食卓に出されちゃたし、アレックスもせっかく仲直りしかけたのに死んじゃったし、おなか痛いし、お兄ちゃんも死んだし、もう誰も居ないじゃない! 信じらんないっつーの! 文字通りシングルマザー確定だっつーの!
かくして、キチガイ一家と私の壮絶なサバイバルゲームが幕を切って落とされた。
勝つのは私か、それともキチガイか?
血で血を洗う闘いが、今始まろうとしている・・・。


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今、フランス産ホラーが面白い!
『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャ、『屋敷女』ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロに続いて、オサレの都・フランスから送り込まれた第3の刺客、ザヴィエ・ジャンの長編デビュー作『フロンティア』。
去年一部の劇場でひっそりと公開されたものの、当然のように我が岡山には来なかった本作を、ホラー番長ことwataruさんが快く貸して下さったお陰で鑑賞出来ました。
おありがとうございます~゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚

先ほど述べた2作品に比べると、残酷シーンは前半やや大人しめだった本作ですが、後半は足りなかった赤血球を取り戻すかの様に、血しぶきのオンパレード。
食肉解体用テーブルのこぎりで胴体縦まっぷたつ!
ライフルで頭破壊。

・・・
・・
ん?
そんなもんか?
(400ℓはもっぱらのこぎりシーンで使用と思われ。)

しかし、その他にもちょいちょい挟まれる拷問シーンの痛そうな事と言ったら・・・!
アキレス腱をちょっきんとか、喉元噛み千切るとか、フックで足首貫通とか、全く爽快さのない表現はさすがはおフランスざますねぇと言ったトコロでしょうか。

冒頭のフランス移民チームによる暴動シーン(ニュース映像)のお陰で、なんだか社会派っぽい雰囲気を醸し出していましたが、要はバカな若者が田舎の怖い家に迷い込んでどんじゃらホイという単純極まりないサバイバル・ホラーですので、構える事なく気軽にご覧頂ければよろしいかと思われます。
極右政党が政権を奪いそうなフランスから逃げたマイノリティの若者たちは、逃げたつもりがもっと手加減の無いナチの生き残りに捕まってしまう。
何事からも、逃げるんじゃなく、立ち向かわないといけないんだ!というメッセージを感じなくもない事もない。 てことは無いって事か。
暴動騒ぎに乗じて強盗を働いた若者が、撃たれて瀕死の仲間の分け前を巡ってリーダー争いをした構図が、後半のナチの巣窟で再び似たようなリーダー争いとして繰り広げられたり、ホント人間ってヤツはしょうがない生き物ですね。

で、どいつもこいつも無残に殺されて行き、最後に残るのが妊婦2人だけだったと言うラストが実に希望に溢れていて素晴らしい。
結局未来を握っているのは女なんですよね。
そうだよ!そうなんだよ! 男は黙ってついて来りゃあいいんだよ!! 
(何か違う様な気もするが、そういうホラーが一番面白いんですものねぇ。)

しかし、その過激な生き残り戦や、ダークで美しい映像や、陰惨な雰囲気の素晴らしさとは裏腹に、ところどころに物足りなさを感じ無くも無い。
最初に襲われた若者から、意味ありげに回収された携帯電話・・・。 でも特に物語に絡んでこないのはアレか? ザヴィエ忘れちゃったのか?
狭い横穴を這って逃げる若者の後ろから意味ありげに追いすがってくる不気味な人影・・・。 でもその後大して出てこないのはアレか? 『ディセント』がやりたかっただけか?
納屋の入り口に意味ありげに置かれた粉砕用トラック・・・。 これもてっきりラストで大ミンチ大会が開かれる用なんだと思っていたけど、結局出てこなかったのはアレか? ベッソン野郎(※本作プロデュースの元祖・金髪豚野郎)に「ミンチより爆破!」って吹き込まれたか?
黒髪が気に入らないからってヒロインの長い黒髪をバッサリカットさせたナチのじじいだけれど、肝心のその家族の女性はほとんど黒髪なんじゃん、と言うのはアレか? 『ハイテンション』がやりたかっただけか?

伏線のように思えた小道具や設定の数々が、なんとなくお座なりにされていた様な印象が残るのが残念極まりないですね。 それ以外が素晴らしかっただけにね。

さて。 本作でアガサの胸を最も鷲づかみにしたのは、キチガイ一家に子供の頃浚われ、子を産む機械として育てられた少女。
キチガイたちから「オレたちの言うことを黙ってきいてりゃ、そのうち親が迎えに来るだろう」と嘯かれ、しかもその嘘八百を信じるしかなかった少女。
近親相姦の種を植えられたせいで、生まれてくる子供は奇形児ばかり。
同じ妊婦同士ということでヒロインに並々ならぬ感情移入をし、時にはママ友、時には年の離れた姉妹、また時には生き別れた母親に向けるような眼差しでヒロインに接する少女は、そのヒロインの脱出を助けたのち「一緒に逃げよう」と諭されますが、頑としてそれを拒みます。
キチガイの種から生まれたモンスターの様な子供でも、彼女にとっては大事な我が子。
その子供たちを捨てて逃げる事なんて、彼女には出来なかったのです・・・。
唐辛子を飲ませて幼子を殺す様なヤツには、彼女のつめの垢を400ℓくらい飲ませてやりたいものですね。

ヒロインの豹変&頑張りも素晴らしいですが、この少女(今は大人?)のシークエンスがあったからこそ、本作は「一見の価値アリ」と呼ぶに相応しい作品になったのではないでしょうか。
何も判らないままに監禁され、大きく狂わされた人生を全うするしか出来なくなってしまった一人の少女の姿が、憐れで哀しくて胸を締め付けます。


で、ここまで書いておいてなんですが、今回アガサはフランス語版英語字幕つきで鑑賞しましたので、実は内容が上記の通りだったのかどうか正直自信がありません。(えー)
と言う訳で、2月にリリース予定の国内版は、確認の為にも是非再鑑賞してみたいと思います。

そうそう、そんなボンジュールなフランス語ですが、英語で言う「STOP!」という台詞が、そのまんま「ヤメテー!(Arrêtez!)」だったトコロが非常にアンニュイかつシルブプレな感じで勉強になりました。
いつかフランスでキチガイに襲われたら、迷わず「ヤメテー!!」と叫んでおこうと思います。

皆さんも是非お試しあれ!

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『ハプニング』

2009年01月25日
ハプ
「ありがとう」は大事。



あらすじ・・・
始まりは突然。
アメリカの多くの州でミツバチが姿を消した。
その解明もなされぬうちに、事態は次のステップに移っていた。
セントラルパークで、マンハッタンの路地裏で、一斉に人間が自殺し始めたのだ。
政府はテロ攻撃がなされたと発表し、テレビからは役に立たないニュースの洪水。
NYにほど近いフィラデルフィアでも、テロの危険性から一斉疎開が始まる。
科学教師のエリオットと妻のアルマは、親友の数学教師ジュリアン一家と共に、彼の実家に避難しようとしていたが、避難の途中で列車が緊急停止。
別の場所に向かっている妻を迎えに行く為、ジュリアンは一人娘ジェスをエリオットたちに託す。
行き先すらもわからないまま、エリオットたちはひたすらに安全な土地を目指して走り続けるが、謎の自殺現象は容赦なく彼らに忍び寄り、牧歌的な風景は地獄の様な死体の山へと一変するのだった。

果たしてアメリカで何が起こっているのか・・・?
エリオットたちを待ち受けているのは、残酷な結末でしかないのだろうか・・・?


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↓↓シャマラン監督の過去の作品群オチに言及しておりますので、未見の方はご注意下さい。↓↓


公園の緑の木々を見ていると何故だか心が落ち着く。
頬をかすめるそよ風に穏やかな春の訪れを感じる。
自然はいつだって人を癒し、浄化してくれる、頼れる相棒の様な存在なのだ。

・・・なんて、勝手に思ってやしないだろうか?

都会に点在する緑のオアシスが、人間どもの思い込みとは裏腹に、募り募った積年の恨みを晴らすべく一斉蜂起した。
オレたちの天然毒素攻撃を受けてみよ!
おいアイツら 「テロ攻撃に違いない」 とか言ってやがんぜ! ざまぁねぇな!( ゚∀゚)ヒャッヒャッヒャ

モノ言わぬ植物たちが放った天然由来の成分は、人間の自殺抑制神経をマヒさせ、まっしぐらに自己の破壊へと突き動かす。
そこに髪留めがあれば喉元に突き刺し、そこに銃があれば額を打ち抜き、そこが屋上だったなら地上めがけてダイビング。

人間に何の罪があるなんて聞かないでくれ。
強いて言うなら、この世に存在している事そのものが既に許されざる種族なのだ。
恐るべし! 植物の本気(マヂ)力!!Σ( ゚Д゚;)

はな  
と言う事で、とりあえずこいつらもブラックマンバとかに名称変更しとこうか。(※「あらあら♪おやおや♪それからどんどこしょー♪」のみなさん)

閑話休題。

今更言うまでもありませんが、 『シックスセンス』 で全世界の度肝を抜いて魅せたシャマラン監督は、オチだけが売りの監督ではありません。
いえ、オチだけを期待されていた監督ではありましたが、『アンブレイカブル』 以降の作品でその期待を小気味よく裏切り続けてくれたお陰さまで、未だもって「オチがうんぬん」とか言う様なお客さんはもう居ないのではないでしょうか。
シャマラン監督の持ち味はオチなんかじゃなく、自由な発想とどこか垢抜けないB級臭さ。そして、観客を置いてけぼりにしちゃっても気にしない大らかな心。
そのゆとりの精神があったからこそ、世紀の大傑作 『サイン』 や 『レディ・イン・ザ・ウォーター』 の様な愉快な作品が生み出せたのです。
これ褒め言葉ですからね。(念の為)

さて、ではそんな映画界のあばれはっちゃくことシャマランは、最新作でどんな奇想天外な物語を紡ぎだしていたのでしょうか。

キーワードはズバリ、エコ。

アメリカ北部の都市に吹き渡る一陣の風。
その風に当たった者は、次々と思考能力を破壊され、自ら積極的に死に臨む。
主人公のエリオットは、得意の分析能力を活かしてひたすら原因を追究します。
ま、追求つったってああだこうだ考えるだけなのですが。
人口の集中している都会を狙ったテロなのかなぁ?
でも田舎でも死人が出始めてるし。
最初に犠牲者が出たのは公園だった。ってことは、木がなんか関係あるとか・・?
それだ!それだよ!! 植物が放出した化学物質なんだよ!
人間があんまりにも環境破壊するから怒ったんだよ! きっとそうだ!
やべえ! 木こえー!!

という結論に割とサックリと至ったエリオットは、植物が狙うのは群れた人間だ。とさらに大胆な推測をして、少人数での逃亡を続けます。
相手は植物。 つまり自然、またの名をネイチャー。オーイエー☆(←意味不明)

どこに逃げようと、目に見えない自然の力は着実に人間どもを追い詰めます。
その上、助け合うべき存在の人間自体も未知の現象でパニックになり、我が身可愛さでよそ者を排除しようと銃を向ける。

いい感じに世紀末じゃないすか。 ロメロっぽくてハートにグイグイ来るでやんすね大将!( ´艸`)
で、原因はおぼろげに断定出来たものの、対処法は皆無。
他人はみんな敵。
ヒタヒタと忍び寄る死の恐怖。
なんでしょうこの絶望感!
主人公は、私たち人間は、どうすればいいのでしょうか?
助かる道は残されているのでしょうか?

余りに強大な敵(と言っていいか判りませんが)を前に、シャマランは一体どんな収束方法を用意しているのか・・・?
本編を観ていても予想のヨの字も出てこなかったアガサは、
まさかとは思うけど、水に弱い宇宙人が裏で植物を操っていたんだったりして・・・とか、
最後の最後にでっかい鷲が飛んできて主人公を乗せて飛んでいってくれたりして・・・とか、
実は斜めアフロのサミュエル兄貴が仕組んだバイオテロだったんだったりして・・・とか、
NYとかフィラデルフィアとかウソウソ!ホントはそこいら辺一帯オレの村なの!と言いながらウィリアム・ハートが出て来たりして・・・とか、
いやもしかしたら既に主人公一家も皆死んでいて、それに気づいていないだけなんだったりして・・・とか、今までのシャマラン作品が走馬灯のようにリスペクトされたオチを思い浮かべてしまったりなんかして。

どうだい、この一斉ネタバレ。(←迷惑です)

植物が分泌する化学物質を風が運び、人類に復讐する。 というネタを早めにばらしてから、後はその迫り来る脅威だけで息もつかせぬ物語を展開させてみせたシャマランは、やはり才能溢れるステキな監督さんなのだと思います。
特に、殺し合いではなく自殺という方法を使った点は、アイデア王シャマランの面目躍如と言えるでしょう。
自らの意思とは関係なく、淡々と死を選んでしまう恐怖。
そのきっかけになるのは、多分ササーっと吹き渡る突風なんじゃね?と言うザックリ感。
所詮人間は自然に太刀打ち出来やしない、とても果敢なく無力な存在である。という圧倒的な絶望感は、原因を宇宙人やウィルスやゾンビにするよりもずっと救いようが無く、ずっとリアルに感じられます。(なぜなら自然の全てが解明されている訳ではないから)

突然降り始めた豪雨がパタっと止むように、植物が原因と思われた自殺現象もほぼ一日でピッタリと終わってしまいます。
作中ではその終結の理由も明らかにはならず、自殺現象の原因が実際のトコロなんだったのかも結局説明されません。
後に残ったのは無数の死体の山と、幾つかの希望と、それを嘲笑うかのような新たな絶望の始まりだけ。
その投げっぱなしのオチを、アガサはありだと思います。
実生活の問題だって、何から何までハッキリスッキリ解決しやしない。
無理やりくっつけたオチより、謎を謎のまま残した終わりの方が問題提議にも繋がっていい。
ここに描いた物語は確かに荒唐無稽な部分もあるけれど、本当に私たちの生活はこのままでいいのだろうか? 自然に対するリスペクトっつーの?そういうの必要なんじゃね?などと考えるきっかけになれば、シャマラン捨て身のR指定も少しは浮かばれる事でしょうとも。

さて、そんな映画界のエコ大使 『ハプニング』 ですが、いくつかの点が引っ掛かって仕方なかった事も書き残しておかない訳には参らすまい。


科学教師エリオットは誠実で堅実な好青年(青年でもないか)。
その妻アルマは、夫に言えない秘密を抱えている為、夫婦仲は微妙な空気に。
さぞかし盛大に、浮気のひとつもしているのだろうと思いますよね? 普通ね?
で、自分たちに迫った死の影を前に、アルマは意を決して夫に秘密を打ち明けます。
「ゴメンね・・、あたしこないだ、同僚のイケメンとデザート食べに行ったの・・・」

・ ・ ・ は ぁ ?( ゚д゚)

だから? と聞きたくなる様な不貞の事実に、「おまw たかがデザートくらいで本気で怒る旦那なんている訳ないだろww」とかなんとか思ってたら旦那さんがマジギレしていました。

みなさん、マークはどうやら無類の甘党らしいです。(マーク・ウォルバーグ=旦那役)

・・うん・・、あのさぁ・・、今度ケーキ買って帰ってあげるから許してやってよ・・。ていうか中学生レベルかよ。(今日びの中学生はもっと進んでるのか)

もうこの時点で“観客の共感をかうべき主人公カポーに共感出来ない”臭はしていたのですが、さらにその後の逃亡途中で、行き詰った彼らを匿ってくれた老婆に対する態度がヒドイ。
テレビや電話を引かず、一切の情報をシャットアウトして自給自足の生活をしていた老婆。
明らかに困っていた風の主人公たちに食事をふるまい、フカフカのベッドも与えてくれたと言うのに、こいつらはお礼の言葉のひとつもありません。
それどころか、連れていた少女がものも言わずに皿からクッキーを取ろうとした無作法に対し、大人らしい戒めを与えた老婆を評して「なんかあのババア感じ悪くない?」だなどと言う有様。

感じ悪いのはお前だよ! 
「田舎に泊まろう」を100万回見て勉強し直してこい!


そして翌日、“感じ悪い”老婆の部屋のベッドに、古びた少女の人形が寝かせてあるのを見つけた主人公は、事もあろうに「ヤバイ・・・ この老婆キチガイだ・・・」と暴言を吐くのですが、人の寝室に勝手に入り込んでプライバシーにガッツンガッツン侵入しておいてその暴言は何事ですか?!
キミはあれか? 
もしかしてこの老婆には幼い頃病気かなんかで亡くした娘がいて、それ以来、娘によく似たこの人形を大切にしていたのかも
みたいな泣ける話は浮かばなかったか?
なんや、閉鎖的な田舎の人間はみんなキチガイか?
『悪魔のいけにえ』が心のバイブルか?

最後の仕上げは、「植物は少人数を襲う」定義にも関わらず、一人っきりだったのに風を浴びてしまった老婆に対し、まさかのバケモノ扱いですよ。

一宿一飯の恩義を受けた上で、よくもここまで非情な仕打ちが出来たのものですね。
都会人こえぇ。


他にも、通信手段が無くなったからって電車が緊急停止していたけど、テレビもラジオも携帯も生きている状態なんだから、連絡方法くらいなんとかなるんじゃね? とか、極限状態の表現に若干の甘さも感じてしまいましたが、この老婆の一件にくらべればかわいいものです。
長い目で見れる範疇です。

と言う訳で、「みんなもっと、ありがとうの精神を大切にしなきゃダメだよ!」と言うメッセージに溢れた本作は、いろんな意味で普段の生活を省みるきっかけになる秀作なのではないでしょうか。
あと、「自然に敬意を!」とかね。

シャマラン監督にはこれからも外野の声に惑わされず、我が道を行く作品を作り続けて頂きたいものです。

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