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『マンディ・レイン 血まみれ金髪女子高生』

2010年05月16日
all_the_boys_love_mandy_lane.jpg
オーバー出来ません。

あらすじ・・・
マンディ・レインは学園一の美少女。
廊下を歩けば誰もが振り返り、その唇を味わいたいと願う男は星の数ほどに。


・・はい! と、いう事で、そんなイケイケのパツキンJKマンディ・レインが血まみれになると評判の、『マンディ・レイン 血まみれ金髪女子高生』 を鑑賞してみますよ! ってそのまんま!タイトルそのまんま!

とかなんとか言ってる傍から出てきましたよマンディ・レイン。
すごいパツキンです。
全盛期のダイアン・レインを髣髴とさせる悩ましき豊満バディ。 “レイン”だから“レイン”。安直!
なにしろ学園一の美少女仮面な訳ですので、今日も今日とてスポーツ万能でお金持ちのディランからホームパーティのお誘いを受けるマンディ・レイン。
一度は難色を示すものの、親友のエメットも一緒なら、という条件つきで了承した模様です。
パーティかぁ・・・ クセぇクセぇ!こいつぁ事件の臭いがしやがるぜ!

そして、その予感は見事に的中。
合意の上でパーティに来たのに、あからさまに退屈そうにしているマンディ・レインを遠くに眺め、「彼女の気を惹きたいんなら空飛べよ!」と嘯いたエメットの挑発にまんまと乗ってしまったディランが、お屋敷の屋根から空中ダイブしたのです。
鈍い音を響かせつつ、プールの水面に飲み込まれるディランの体。 見る間に広がってゆく赤い波。
いいですね! この迷いの無い出だし!
もっと行こう!どんどん血飛沫舞わせて行こう!
これはきっと、この事件をベースにした復讐劇とかに雪崩れ込んで行くに違いないですよ。
多少マンディ・レインの顔のアップやらお着替えシーンやらに時間を割きすぎな感はありますが、こっからグイグイ行ってくれる方に期待!

さて9ヵ月後。
相変わらず男子の熱視線でこんがりキツネ色になりそうなマンディ・レインとは裏腹に、完全にハブられているエメット。
親友だった時期もあったものの、すっかりガン無視をきめ込むマンディ・レインに物言いたげな表情のエメット。
校庭を走るマンディ。
追うエメット。
揺れるマンディのちち。
すがるエメット。
ちち、エメット、ちち。(≠ラン・ローラ・ラン)
若干ランニングシーンに時間をこってり使い過ぎな感もありますが、きっとこのシーンはのちのちへの伏線となっているのでしょう。そうに違いない。違ったら泣く。

さて、姉さん、事件です。
なんと、ちょっとしたサービスシーンの後に、ロッカールームに入ったマンディ・レインのお着替えシーンが待っていました。
サービスシーンのちサービスシーン。 まさにサービスシーンのミルフィーユ状態です。
ロッカールームと言えば殺人鬼のアタックシーン、という下世話な推考を嘲笑うかのようなこれらのシーン、無論ポロリ無し。
姉さん、これが生殺しというやつですか。 都会は恐ろしいところですね。
そんな都会っ子のマンディ・レインは、またもやお金持ちの男子学生から別荘でのパーティに誘われました。
今回はエメット無しで快諾した模様です。
パーティかぁ・・・ クセぇクセぇ!今度こそ本格的な事件の臭いがしやがるぜ!

車2台で別荘があるという田舎へ向かうマンディ・レインと無軌道な若者たち。
途中で立ち寄ったガソリンスタンドでは、彼女を除く若者たちがヤクをキメたり万引きしたりする悪い様が、尻を基調にした青春群像劇として描かれています。
“尻を基調”って何だ? と思われるでしょうが、その言葉のままです。 画面いっぱいの尻です。
ガソリンスタンドに付きものの“間違った道を教える怪しい店主”は登場しませんので、心置きなくギャルの尻をご堪能下さい。

その後、もう少しで別荘に着くという細道で、予想外の出来事が起こりました。
なんと、車の持ち主のうちの一人が、高級車であるという事を理由に細道への進入を拒絶し、それを聞いたマンディ・レインが「じゃ、ここから先は降りて歩く」と断言したのです。
当然、急遽降って湧いたパツキンJKとのお散歩タイムにどよめく男子学生たちなのですが、車と徒歩とマンディとを天秤にかけた結果、たった一枠しかない“お散歩相手”に名乗りを上げたのは一人だけだったのでした。
マンディ・レイン神話、ここに崩壊す。

でもね、いよいよ物語が大きく動き出しますよね、これね。
二人っきりになったマンディ・レインと黒人の若者。 はい、わかりますね。ホラー(サスペンス)映画の中の黒人ですね。
そう思いながら、固唾を呑んで見守っていても、生ぬるい擬似恋愛シーンが続くのですが、ここは我慢。我慢なのですよ。
きっとこの後、2人の背後から忍び寄る何かが・・・ ってほらね!やっぱり来ました。世にも怪しいジープですよ!
先ほどの若者たちとは明らかに毛色の違うアラフォー男性に声を掛けられるマンディ・レイン。
その時歴史は動いた・・・!

・・・と思ったのですが、結局アラフォーはただの別荘の管理人だった様です。
ま、人生そういう事もある! 次行ってみよう!

別荘に着くなり、「湖に泳ぎに行こう」と言い始める金持ち男子。
一斉に車に乗り込む学生たちを尻目に、「私は走って行くから」とまたぞろランニングを始めるマンディ・レイン。
走るマンディ。
乗る学生。
走るマンディのちち。
早々と湖にダイブする学生たち。
ちち、マンディ、ちち。  ・・・って、あれ? オレもしかして、借りてくる映画間違えた? これランニングの映画だった?ひょっとしてスポーツもの?
なあんてご心配はご無用!
きっとこの後、身の毛のよだつ襲撃があるに違いありません!
とかなんとか言ってる間に、マンディ・レインが湖に到着。 そうです。 もちろんここでも生着替えです。
何は無くともサービスシーン。 やったね!今夜はホームランだ!(←特に意味は無い)
白い水着があらわになるのを、舐め回すようなカメラワークでとらえるスタッフさん。
演技なのか素なのか、それをうっとりと眺める学生たち。
「ああ! オレもう我慢出来ねえ!」と叫びだす男子。 何を我慢出来ないのかはさておき、それを今ここでカミングアウトして、お前はどうやって湖から上がるつもりなのか。 小一時間問いただしたいオレ。

しかしその時、先ほど恐れていた襲撃が現実のものに!
なんと、湖をスイスイーっと泳ぐマンディ・レインに、一匹のヘビが近寄って行くではありませんか!

満を持してヘビか!
殺人鬼とか、もう諦めよっか!

で、そのヘビはさっきの管理人が(どこからともなく現われて)銃でバンって撃って、みんなで別荘に帰って、酒のんで、ドラッグして、ナニが大きいの小さいのってしょうもない与太話に花を咲かせて、その後やっと、今度は本当に事態が急展開しました。
ナニの大きさを馬鹿にされた男子のひとりが、怒って別荘を飛び出したのです。
慌てて追いかける女子。
そのまま2人で納屋に雪崩れ込み、始まったのはお馴染みのエロティックシーン。
殺戮の予兆はいまだ無し。
機長、こちら管制塔。 ここまでノーポロリ&ノーサスペンスの様ですが、そのまま鑑賞を続けても大丈夫でしょうか?オーバー?
はい、もうここまで来たのでなんとか踏ん張ってみます、オーバー。
了解、オーバー。


オーバーじゃねえよ!!ウラァー!!(ノ゚Д)ノ:・'∵:.┻┻

機長とか管制塔の人とかって、「オーバー」って言わないのかなぁ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  ま、なんでもいっか!


と言うわけで、もうこれイメージビデオですよね。
ホラーかな~、サスペンスかな~、なんだかな~(阿藤快)と思っていたら、なんとイメージビデオだったという、ぶらりレンタル途中下車の旅。いかがだったでしょうか。 

“ポロリが無い”と文中で書きましたが、正確に言うと“マンディ・レインのは無い”ですので、他の脱ぎ要員の方が孤軍奮闘して下さっています。
そして、イメージビデオではないかもしれない要素として、後半の血まみれ合戦があるのですが、まぁこれも言ってみればいわゆるひとつのイメージ映像ですよね。
彼女、でらべっぴんだけど、こんな猟奇的な作品でも映えるんですよ。 という、腕利きエージェントが仕込んだ罠。
どうだろう、この際みんなで乗っかってみないか。その罠に。
了解、オーバー。

だからオーバーじゃないんだってば。


ミュージックビデオ出身の監督さんなのか、やたらとスタイリッシュな映像が垣間見えたり、本編に関係ないトリップシーンに妙に気合が入っていたり、伏線がほったらかしになってたり、と、若さゆえの“やったった感”が無くもないのですが、タイトルロールのマンディ・レインは確かに魅力的でした(スカーレット・ヨハンソンと藤原紀香を足して2で割った様)し、理由なき殺害というオチも、通用する場合もあると思うのです。時と場合によったらね。

ただ、中途半端なイメージビデオみたいな主旨不明のフェティッシュ映像に時間を割きすぎて、肝心な“殺人鬼の襲撃シーン”がダラダラ~っとしてしまっているせいで、致命的な程に緊張感が足りていないのですよね。

中盤でさっさと犯人の正体をバラした時点で、その裏で糸を引いているヒトの正体もわかってしまっているようなものじゃないですか。
犯人を知らせた上で緊張感を持たせるのは至難の業。
意表をつくどんでん返しの為に選んだ展開(早々に犯人バレ)のせいで、逆に自らのハードルを上げてしまい、まんまとそれに引っかかってすっ転んでしまったように感じて仕方ありませんでした。
せっかく、“よくあるスラッシャー”に“説明不可能な残酷衝動”と“青春”をミックスした意欲作だったのに・・・ 勿体無いなぁ。

もうさぁ!ソフトレズ描写とかマジいらないから! いや、需要はあるのかもしれないけどさ!(しかも、それもまた結局中途半端だったりする)


で、他の伏線未回収は最悪「しょうがないなぁ・・」で片付けてあげなくもないのですが、冒頭の空中ダイブ事件と後半の事件が全く繋がってこない点だけは、どうにもこうにも見逃す訳には参りませんね。
その一件で彼女が猟奇な趣味に目覚めたとか、何らかの人間関係があったとか、そういうのが皆無だなんて「謎を謎のまま終わらせる」と言うより「投げっぱなし」にしか思えないのですが。
ベタですが、例えばそこを
“空中ダイブの男子とマンディ・レインは付き合ってて、後半の学生たちは実はその事件に関わっていた加害者だった云々”
で繋いで、冷静そうなマンディ・レインの底で燃え上がっていた憎悪の炎を見せてくれていたりしたら、それで一本筋が通ると思うのですが。 ベタすぎですか。 あいすみません。ナマ言ってすみません。

なんでもかんでも説明すればいい、という訳ではないのですが、最低限説明すべき所は曖昧にしてはいけないのではないか、と思いつつ、静かに停止ボタンを押したアガサだったのでした。
あと、タイトルにもでかでかと書いてあった“女子高生”という設定が、一番納得できなかった点も書き添えておきたいと思います。
いやぁ、あちらの女の子は発育がよろしいですなぁ! JK(女子高生)っていうかJD(女子大生)だもんね! ヘタしたらJJ(熟女)?みたいな。 ってそれは言い過ぎですか。 あいすみません。ナマ言ってすみません。



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『チェンジリング』

2010年04月27日
changeling.jpg
希望と言う名の牢獄。


あらすじ・・・
我らがフェロモン核弾頭ことアンジェリーナ・ジョリーが、ある日忽然と姿を消してしまった我が子を探す為、

一人でゴロツキが闊歩する下町で聞き込みをしたり、
捜査の怠慢が目立つ警察署内で、署員15人を相手に大立ち回りをしたり、
やっと「見つかりました」と連れて来られた少年を瞬時に別人と見抜いたり、
本物の息子を探すよう、待ち伏せした警部の喉元にナイフを突きつけて脅したり、
警官に対する行き過ぎた行為のせいで、精神病院送りになったり、
病院内の情報屋から、「カルフォルニア南部の養鶏場で息子さんらしき少年が監禁されていたらしい」というタレコミを受け、脱獄脱走を決意したり、
昼間に医者の部屋からくすねておいたペンの先を使って手錠を外し、天井のダクトから屋上へと上がり、そこからシーツを使った簡易パラグライダーで塀の外に飛び降りたり、
通りかかった車を奪い、追ってきた病院の警備員の車とカーチェイスを繰り広げたり、
やっとの思いで養鶏場に辿り着くものの、そこは既にもぬけの殻で、少年の物とみられる複数の靴や衣服のみが散乱しており、呆然と立ち尽くしているトコロに、冒頭の一件で「姉貴」と慕ってきていたゴロツキが駆けつけ、丁度時を同じくして犯人が捕まった事を教えてくれたり、
怒り心頭で犯人が収監されている警察署に戻ると、「いや、これには訳が・・」と口ごもる警部の鼻を折り、署長室に乱入するや否や署長の銃を奪い取って「頼む!命だけは」とすがる署長の股間スレスレの所を撃ち抜き失禁させたり、
その後別室で取調べを受けていた容疑者のもとへ駆けつけ、彼女の鬼の形相に恐れをなして泣き叫び、命乞いをする容疑者の襟ぐりをつかんで「did you kill my son! you're mother(※)ucker!!」と締め上げたり、
冷静さを取り戻し、容疑者を放して「頼むから・・あいつら(警察)に本当の事を言うのよ・・」と言い残して部屋を出ようとしたものの、「なんだかんだ言って、最後に泣くのはお前なんだよ、この淫売ババア! そう、お前の息子みたいにな!」と逆ギレされた為、窓にかけたあったブラインドを容疑者の首に巻きつけ、「地獄に堕ちろ!」と叫びながら吊るし首にしたりしないお話。


こういうお話だったらスカッとするのになぁ・・・と。 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 勿論子供も最後に保護される感じで。  



以前、ちびっこが居なくなってしまった事がありました。

“近所のお友達の家に遊びに行く”と元気に家を飛び出して1時間後、そろそろ日も暮れかけてきたので、家に入るよう声を掛けようと、そのお友達のおうちに行ってみたのですが、そこにはちびっこの姿がありませんでした。
うちからそのおうちまでは、僅か500メートル程の距離。
間には数本の路地。
いつもはバタバタと賑やかに走り回っているちびっこの姿は、どこにもありません。
声を限りに名前を叫びましたが、応える可愛い声もありません。

瞬間、胃がぐるりと一回転した様な不快感に襲われ、指先が痺れ、頭の中に一滴、とてつもなく冷たい水を垂らされた様な、そんな感覚に見舞われました。

そんなはずはない。
いなくなるはずはない。
絶対この近くにいるに違いない。

そんな言葉がグルグル頭を駆け回るものの、口の中は異様に乾き、なんどもつばを飲み込もうとするのですが、蛇口をピッタリと止められたみたいに、何の水分も出てきません。

だからあれだけ、遠くには行っちゃダメって言ったのに。
うちの近くだけよ、って言ったのに。

一人、誰に言うでも無くつぶやいた怒りは、それ以上に湧き上がる不安を認めたくなかったから。
でも、その怒りもすぐ、後悔のつぶやきに取って代わられました。

ごめんね、やっぱりうちの庭だけって言っておけばよかった。
ごめんね、もっと早く迎えに来てあげてればよかった。

どうしよう。
どうしよう。
ほんとに何かあったんだったらどうしよう。

不安が恐怖へと変わりそうになったその時、かすかにちびっこの笑い声が聞こえました。

「・・ギャハ・・ハ・・  お・・え・・ちゃん・・ う・・こ・・  ・・うんこー!・・」



いつもは行かない反対側の路地裏からげらげら笑いながら現われたちびっこたちが、この後かあちゃんにこってりと叱られたのは言うまでもないのですが、この時見舞われた感覚は一生忘れる事が出来ません。

子供を失ってしまった親の気持ち。
恐ろしすぎで想像もしたく無い気持ち。
その入り口(ごくごく手前の、ですが)を覗いてしまった事があるアガサは、とてもじゃないですが、本作を平静に鑑賞することなど出来ませんでした。
本作は、どんなホラー映画よりも怖ろしく、どんなモンスター映画よりも破壊力があり、どんなサスペンスよりも心臓を痛めつける、近年稀に見る傑作であり、一生観直したくないトラウマムービーだと思います。


■ 今も昔も変わらない

本作の舞台となっているのは、1920年代のアメリカ。
LAコンフィデンシャルよりもブラックダリアよりもさらに昔、アンタッチャブルの時代です。
国家権力の横暴さや一般市民の無力さが、イヤと言うほど克明に描かれており、それを前に成す術の無いアンジェリーナ・ジョリーの姿が涙と憤りを誘うのですが、実は今もそんなに変わっていないと思うのですよね。
冤罪が未だになくならない様に、なんの権力も持たない一市民の声なんてほんとにちいさな存在で、いくら声を上げようと、掬い取られるものなどほんの一部。
真実は時に、えらい人がそうであれと願う真実なのだ、という恐ろしい現実は、昔も今もそのままなのかもしれません。
なので、アンジェリーナ・ジョリーが叩き込まれた地獄の日々は、今、あなたの傍でもパックリとその口をあけて待ち構えているのかもしれないのです。

こわい話ですね。
こうなったらとりあえず、警察の偉いさんと身内になるっきゃないか!(もしくは弱みを握るか)(←握れません)


■ 正気と狂気

私はどこもおかしくありません。 だからここから出してください。
そう、もしも精神病院の中の人に言われたら、自分はそれを信じられるだろうか?
その相手が自分の身内だったら信じるかもしれないけれど、知らない人だったら到底信じられない。
専門家だったら正しく判別できる、と言われても、その専門家が実は心の病だったらどうするのか、とこれまた信じられない。
そもそも、こんな善悪すらもあやふやな世の中で、誰が正気で、誰がそうでないかなんて、どうやって判断するのか?
判断する権利が誰にあるというのか?

みたいなね。
そういう事をずっと考えていたら、なんかもう思考回路がおかしくなってしまうので、考えないんですよ。
なのでたぶん、考えない人が正気。(←投げやり)


■ 希望という名の牢獄

異常者によってさらわれた我が子を、“死体が見つかっていない”という一点から“まだ生きているかもしれない”と信じ、探し続ける母。
真犯人が捕まっても、共犯者の証言を聞いても、同時期にさらわれ、殺された多くの子供の骨が掘り起こされても、頑なに“死の可能性”を受け入れない母。
それは、受け入れない事だけが彼女の生きるよすがであり、受け入れた瞬間、彼女の人生は終わってしまうから。
何の確証も無いまま、生きる為だけに“死”を受け入れなかった彼女に、クライマックスでもたらされる一筋の希望の光。
でも、結局その希望は、彼女を一生抜け出せない牢獄に閉じ込める決定打となっただけなのではないかと思いました。
もちろん、その牢獄には“希望”があるので、彼女なりの充実感や生きる力は得られるかもしれない。
でも、その影にはいつも“後悔”や“罪悪感”が潜んでおり、ふとした隙に彼女の心を責め立てる。

生きているかもしれない、と信じて待つ事と、
天国で心安らかに過ごしているんだ、と諦めてきちんと弔ってあげる事は、一体どちらの方が苦しいのだろうか。
目に見えぬ檻で暮らす事でしか、子を守れなかった自分を赦す手立てはないのだろうか。


まぁ、でもきっと自分が同じ立場だったら、探し続けるのでしょうけどね。
可能性が0で無い限り、探さずにはいられないのでしょうけどね。


■ そして女は強い

一言でくくるのもどうかと思うのですけどね。
じゃあ、男は強くないのかよ! っていうとそんな事はもちろん無く、子を思う気持ちも、逆境に立たされた時の馬鹿力も、同じくらい強いと思うのですけどね。
ただ、本作で描かれている時代は、問答無用に“女の方が弱い”時代なのですよ。
今どころではないくらい、「女は黙ってろ」っていうのが当たり前の時代。
でしゃばってたらあっという間に叩かれるような時代。
そんな時代の中で、最初こそ威圧的な警察に涙するしかなかったアンジェリーナ・ジョリーが、我が子への思いだけを支えに立ち上がり、真っ向から闘う姿勢になっていくトコロが、とても素晴らしかったのです。

拳の堅さだけが強さの表れなんじゃない。
アクション映画での彼女とは、強さの種類は全く異なるものの、同じくらい逞しく、鋼の様に堅い精神力を身につけたアンジェリーナ・ジョリーの凛とした美しさに、自分もかくありたいものだ、心から思ったアガサだったのでした。
やっぱ女は強くないとダメ!


もう観直したくは無い作品ですが、沢山の方に観て頂きたい作品でもあります。
未見の方は是非。


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『エスター』

2010年03月30日
orphan-poster_convert_.jpg
真の“愛されガール”の姿を見よ! そして跪け!!

エスター、なんと甘美な響き。
北欧に咲く一輪の薔薇。
その棘は心を刺し、その香りは心を癒し、その眼差しは心を惑わす。
エスター、ひたすらに無上の愛を渇望し続けた少女。
エスター、ああ、エスター。

養親になってくれたのが、モーガン・フリーマンさんだったらよかったのにな!マジで!(もしくはウディ・アレンさん)

衝撃の朗報? 72歳のモーガン・フリーマン、45歳年下の孫娘と結婚!? - MovieWalker


(↑ガセだという節もあるそうです)
(↑ウディの方はガチ)


と言うわけで、去年観た方の間で話題騒然だった 『エスター』 を、遅ればせながら鑑賞しました。

エスターなんだこれ超SUGEEEEE!!
最近怖い映画が少なくなったとお嘆きの自分に、心ばかりの増強剤とばかりに借りてみたのですが、滋養がつくどころか超劇薬だったのでした。 バンザーイ!どうせ盛られるんならやっぱ劇薬だよね!

待望の赤ちゃんを死産という形で亡くし、失意のどん底だった夫婦が迎え入れた新たな家族。
それは、どこか寂しげで、でも芯が強そうで、不思議な魅力にあふれる少女・エスターだった・・・!

そんな彼女が家に到着してから去ってゆくまでの数週間を、くしゃみするもの躊躇われる様な緊張感でもって描いてゆく本作。
エスターが魅せる、他人を疑心暗鬼にさせる巧みな会話テクや、絶妙な間合いの自虐ネタ、心の中の触れられたくないトコロを的確に突いてくる心理攻撃がまぁ、見事な事と言ったら。
で、それらが功を奏し、災いが雪だるま式に膨れ上がってゴロゴロを悲鳴を上げながら暴走し、そして行き着くところまでノンストップで行き着いて爆発してしまう様は圧巻の一言です。

外見は幼い少女なのですが、劇中で披露するあーんな駆け引きやこーんな嫌がらせの数々は、手練手管に長けた女(メス)のまさにそれ。
いやー、勉強になりますなぁ! (するな)

異質な訪問者と家族の崩壊、という古今東西お馴染みな内容ではあるのですが、不穏な空気に満ちた導入部から、ひたすら続く悪夢のような中盤、そして斬新過ぎる真相が待ち構えるクライマックスまでが、非常にテンポよく、リズミカルに紡ぎだされる為、中だるみとは全く無縁な傑作ミステリーとなっております。
ほんとこれ、去年観ていたら間違いなく09年代ベストに入れてたのになぁ。
ちくそう! これだからかっぺ地域は! (※岡山では公開されませんでした)

まだご覧になっていない方は1食抜いてでも鑑賞されるコトをおすすめします。
衝撃真相なのに、オチがわかってからももう一度観直したくなること請け合いですよ!
あと、絶対鑑賞前にネタバレブログとか読まないようにして下さいね! 人生損してしまいますよ!(そこまで言うか)




では、以下ネタバレ。 (※未見の方は読まないで下さい)




そりゃ、うっぷんも溜まりますよねー!

愛を求め、愛に流離い、愛に弄ばれた33年間。
成長ホルモンの異常により、自らの意思とは裏腹に、ジュニアサイズで生きることを運命付けられたエスター。
愛撫に焦がれ、夜毎疼く発展途上ボディ。
でも、その外見が災いし、彼女の欲望は決して満たされることは無い。

33年間ノータッチ・ノーベッドインて! これを悲劇と言わずして何を悲劇というのか!
らめえ!もうエスター、魔法使いにらっひゃうお!(※一説によると、手付かずのまま30歳を過ぎると魔法使いになれるそうです)

「愛が欲しい」だの「愛されたい」だのと無いものねだりも甚だしい“自称・愛されガール”どもは、膝を屈してよく見ておくがいいですよ。
こうなる前に、愛を欲する側から与える側にシフトしなきゃダメだかんね!
愛されるよりも、愛したい本気(マジ)で!みたいな!
でないと、エスターみたいな不毛な“愛され地獄”に陥っちゃうよ!

で、そんな不毛なエスターですが、劇中の設定では、もともと精神を病んでおり、暴力性もあったとされているのですが、ホントにそうなのかなぁ、と思えてなりませんでした。
ホルモン異常は彼女のせいではないのに。 
周りの女子と同じように発育していかないのは彼女のせいではないのに。
心はどんどん大人になり、肌つやも無くなり、ほうれい線まで出始めたというのに。
なのに「子供にしか見えない」という理由で、性的アピールをスルーされてしまうなんて。
そりゃ歪むんじゃないですか? 心のひとつも歪んでしまいまさあ・・ねえ、旦那・・・。

もしエスターが、出生と同時にキチンとした医療を受けており、理解ある人々に出会えていたなら、こんな悲劇は生まれなかったかもしれないのになぁ。
形振り構わず、養父にお色気攻撃をしかけ、案の定拒絶されて怒りに燃えるエスターの姿を見ていたら、彼女の人生の裏側でこれまで流されてきたであろう数多の黒い涙が目に浮かび、思わず目頭が熱くなってしまいました。
ほんと、ウディ・アレンくらい男気のある養父に出会えたらよかったのにな!


で、ここまでエスターに感情移入してしまうのは、彼女を迎え入れる一家に対する違和感にも原因がありまして。
赤ちゃんを死産で亡くし、その代わりに養子を・・・という事なのですが、既に2人の子供に恵まれているのに、なぜそこまでして兄弟を増やしたかったの? 平成の大家族を目指してるの? 改編期に特番するの?
それに、その実子のうちの一人は聴力に障害を持っていて、手も目も人一倍かけてあげるべき存在。
なのに養子をとる意味が、どうしても理解出来ない。
なんなの? もしかしてそのお世話係にでもしようと思ってたとか?みたいな意地悪い感情まで首をもたげてくる始末。

死産の悪夢から立ち直れない母の気持ちはわかりますが、子供は何かの代わりじゃないんだかんね。
ま、そもそも旦那さんとは破綻してしまってた(旦那さんに対する信頼が無くなっている事は、冒頭の悪夢のシーンを見ても明々白々)みたいですので、あの離別は仕方ないのかなぁと思いますし、喪った赤ちゃんへの想いに関しても、エスターのお陰で見事に決別出来たようですので、終わりよければ全てよし、みたいな感じなのかもしれませんね!

よし、とりあえずエスターさんに感謝の意!


全ての女が持つ二面性を余す事無く表現した、エスター役のイザベル・ファーマン・齢13歳がとにかく素晴らしかったです。
あまりにエスターが憑依していた為、今後のキャリアに差し支えるのではないか(※リンダ・ブレアみたいに)と心配でたまりませんが、是非これに懲りずに色々な役にチャレンジしてもらいたいものです。
アガサとしては、ファーマン女史とエレン・ペイジ師匠とのがっぷり四つが、今一番見てみたい取り組みですね!

いやぁ、やっぱ男がまるで役に立たなくて女がめっぽう強い映画はおもしろいなぁ!
最高でした!

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『パラサイト・バイティング 食人草』

2010年03月03日
the20ruins.jpg
浜辺で乳繰り合うようなヤングは、みんな草に食べられちゃえばいいんだよ!


あらすじ・・・
・ 異国の地でアハハウフフなアメリカン。
・ 同じく旅行中のドイツ人から、「マヤ遺跡行ってみぃひん?」と誘われるアメリカン。
・ 思い出作りの為に、獣道に分け入るアメリカン。
・ ジャングルのど真ん中で遺跡を見つけるアメリカン。
・ 原住民に囲まれるアメリカン。
・ 「WAO! 土人デスネー!」と写真を撮りまくるアメリカン。
・ 原住民に怒られるアメリカン。
・ とはいえ、言葉が通じていないので知らぬ顔の半兵衛のアメリカン。
・ 遺跡の上に追いやられ、周りをグルリと包囲されるアメリカン。
・ 逃げようとして撃ち殺されるギリシアン。
・ 遺跡上で、やんわりとした監禁状態のアメリカン。
・ 姉さん事件です。フラワーがトーキングしています。
・ 実は、この遺跡には食人草が巣食っていたのだ。
・ 果たしてアメリカンな若者たちに、ワールドポリスたるアメリカ合衆国からの救助の手は差し伸べられるのであろうか!



「ギリシア人」は「ギリシアン」じゃないですよね! にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  わかってる! いや、わかってるんだけどさ!


2008年版の“この蔦がすごい!”大賞(通称「このツタ」)・廃墟部門に、見事ランクインしたハイパー蔦アクション小説「ルインズ ―廃墟の奥へ」が映画化されたと言うので、早速レンタルしてきましたよ!


うそですよ! (観たのは本当です)


それはとてもとても救いがなく、人間不信に拍車がかかるような快作だった原作。
必然的に、映画版にも幾許彼の期待を抱いていたのですが、結論から言うと、なんともかんとも惜しい作品だったのでした。
脚本を書いたの、原作者なのにな。 どうしてこうなった!どうしてこうなった!

実は、そもそも原作自体も、設定だけみるとかなり際どい作品ではあるのですよね。
なにせ、相手は“草”ですし、舞台となるのも“こんもりとした丘の上”と、非常に限られた空間。
そんな中で、“植物が形態模写する”という、一歩間違ったらコントか「おかあさんといっしょ」の1コーナーに成りかねないシーンがお目見えしちゃいますからね!
もうこっちとしては、危なっかしくて見てられないって話ですよ。
「怖くなるの? ならないの? お花さんが喋っちゃうの? それ大丈夫なの?」
無理めな設定に翻弄されながら、恐怖と失笑の狭間を行ったりきたり。
もういい。 それ以上無理しなくてもいいんだよ。 
君の笑顔は、いつだって泣いてるように見える・・・だから僕は君を別の涙で濡らしてしまおう・・そう・・喜びの涙で・・・。


だから「観たらすぐ書け」と、あれほど言っておいたのに!(※『ドゥームズデイ』の項参照)


という事で、今回も鑑賞してからかなり間が開いてしまった為、放っておくとハーレクインbotみたいな事ばかり書いてしまいそうですので、ちょこっとだけ、記憶を掘り返せた分だけ書いておきます。

怖いというか怖くないというか、なんとも微妙な存在だった“蔦描写”よりも、極限状況下における人間性の崩壊に重きを置く事で、見事読者に、じっとりとした汗をかかせる事に成功していた原作。
では、映画版はどうだったかというと、もう、とにかく圧倒的に尺が足りていない訳ですよ。
足りないから、全てのエピソードの間合いを詰めて、濃度を薄くして、わずか2日の出来事に圧縮してしまった。
結果、奇怪な“蔦”はちょいちょいフレームインする程度、
人間は大した過程も描かれないまま、いつの間にか狂気へと陥ってしまい、
不信感を払拭出来たのか出来ていないのかわからないままに、じゃんじゃん退場(死亡)してしまい、
最後は、一番使えなさそうだった登場人物が、あっけないほど簡単に脱出するしてしまう始末。

全てがあっさり。山もなければ谷もない。
なんや、蔦がメインなだけに、盛り上がりも横ばい状態ってか!(←蔦が這うような)(←なだらかな横線って)(←大してうまくなかった)

監禁されている遺跡の頂上がそんなに居心地悪そうじゃない、という点もいけないのかなぁ、と思います。
容赦なく照りつける日差し、ごくごく僅かな食料、断絶されたライフライン、致命傷を負った仲間。
それらの要素によって人間性を著しく破壊されてゆく若者たちの姿が、この作品のキモであるはずなのに、お水gkgk、サイドイッチmgmg、え?怪我した?じゃ、斬るか!みたいなフットワークの軽さ。
ていうか早くね?
決断はやくね?
そこ、もうちょっと悩もうよ! “青春”から“悩み”を取ったら、もう性欲しか残らないよ!(ですよね?)

一番知性も勇気もありそうな、いかにもヒーロー然とした医大生の男の子が、独断で怪我人の足を切断してしまうと言うこのくだりは、若者たちの集団と“理性”とをなんとか繋ぎとめていた線がブツリと切れた事を実感させる、とても恐ろしいシーンなだけに、もう少し医大生くんの変化過程に時間をさいて欲しかったです。


なんだか貶してばかりのようになってしまいましたので、ここで忘れちゃいけない見所をひとつ。
というか、もう一番の見所と言ってしまってもいいような気もするのですが、本作はとにかく映像が非常に美しいのですよね!
乱痴気騒ぎの夜が明けたその朝の、ぬけるような青空と見渡す限りの砂浜。 そこにポツリと残されたカップルたち。
もしくは、妄想にとりつかれた女の子の虚ろな佇まい。
その画のひとつひとつが、ハっとしてしまう程美しく、だからこそ、そこから尋常でない程の緊張感が伝わってきます。

旅の最中に、誰でも一度は感じた事のある(であろう)、「胃が軽く横転するような」瞬間。
「あれ・・? もしかしてあと一日でおしまい?」みたいな、悪夢のような現実直視タイム。
何よりも恐ろしい、その瞬間。
映画そのものは、バカっぽいありえない設定の奇想天外な物語なのですが、合間に挟み込まれた美しくも緊張感溢れる画のおかげで、ちょっぴりリアルな恐怖を味わう事が出来たアガサだったのでした。


全体的にグロい内容ではないものの、予想を裏切るナイスなタイミングで脳髄を撒き散らされるギリシャ人や、蔦に蝕まれて自らを切り刻むギャル、麻酔無しで両足をギコギコされてしまうドイツ人など、ちょいちょい楽しい良シーンも出てきますので、耐性の無い方にはちょっとキツいかもしれません。
逆に、耐性のある方にとっては血の量が物足りないかもしれませんが、そこはほら、どっちでもない丁度いい配分という事で。
“惜しい作品”だとか色々言いましたが、「今日はちょっとデンジャラスな気分」というような欲張りOLの皆さんには、充分ご満足頂けるサバイバル映画なのではないかと思いますよ。

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『ブラックサイト』

2009年12月07日
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★★☆
ほうれいせん! ほうれいせん!(って指差してるみたいなポスター)

あらすじ・・・
俺はグリフィン。職業はFBIのサイバー捜査官。 この職業、マジでやばすぎる。

ある日の出来事。
いつものようにネット詐欺犯のパソコンをハッキングしたり、ネカマのフリをして変態じじいとエロチャットしたりしていた俺に、新たな捜査依頼がきた。
「グリフィン、ちょっとこのサイト見てみて」
「あ、はい」
先輩捜査官のジェニファーさんだ。 
どうみても熟女だ。
ジェニファーさんが見せてくれたのは、“killwithme.com”という個人サイト。
どうやらどっかのアホが、ライブ中継で子猫の虐待映像を流して、ネットユーザーの反応を楽しんでいるらしい。
全くもって最低のヤツがいるもんだ。
ジェニファーさんはシングルマザーな為、夜だけの勤務になっており、俺に引き続きサイトをチェックしておくよう言い残して日の出と共に帰っていった。
俺は今日も貫徹だ。 そして、それが俺の日常だ。

数日後、サイトを巡回してみると子猫は死んでいた。
ジェニファーさんは上司にサイトの閉鎖のことで掛け合っていたみたいだったけど、本気で取り合ってもらえなかったみたいだ。
「たかがネコ1匹だろ」
それでおしまい。
ダメだ。 この上司なんとかしないと。

しかし、当然のごとく、話は“ネコ一匹”で終わらなかった。
中年男性が浚われ、ネコの時と同じ地下室に監禁されている姿が、またもやネット中継され始めたのだ。
しかも今回は用意周到に仕掛けられた装置で、このサイトへのアクセス数が男性の命綱と直結している。
つまり、サイトを見るヤツが多ければ多いほど、この男性は早く死ぬって訳。
今回はさすがに、警察との合同調査になったのだが、上司はこの事件の責任者にジェニファーさんを名指しした。
夜勤担当なんだから無理だろ。
ていうか、俺でいいじゃん。
結構頑張ってるつもりなんだが報われない。 つくづくこの職場がイヤになる。
そう言えば明日は、ジェニファーさんちの娘さんの誕生日会だ。
俺は全員分のピザを用意しないといけない。 もちろんプレゼントもだ。
公私共に付き合いがあるとはいえ、最近だんだんその垣根が低くなっているような気がしてならない。
公休日なんてあって無きが如し。
それがこの仕事なんだ。

結局監禁されていた男性は死に、件の誕生日会の最中、またもや新たなターゲットが明らかになった。
サイトが更新され、また別の中年男性が手足をコンクリートで固められ、四方から熱線で炙られている姿が中継されたんだ。
俺たちは急遽職場に戻った。
振り替え休日・・・は・・無いよな・・。

被害者もついに2人目。って事で、上司は記者会見を開こうとした。
これにはジェニファーさんも俺もビックリだ。
だって、会見でサイトの存在を公表したりしたら、全米中のネットユーザーが見に行くじゃないか。あっという間に炎上だろ。
うちの上司は前からバカだバカだと思っていたけど、ホンマもんの低脳だったらしい。
ま、IPアドレスの意味もサーバの意味も判ってないくらいだからな。
何でこの部署のトップがこいつなのか、未だにわからない謎のひとつである。

で、ジェニファーさんと
「国家安全保障局のスーパーコンピューターを使わせてもらえれば一発でサイトを閉鎖させられます」
って言ってみたけど、まぁ案の定却下だよな。
全米のマスコミで宣伝(会見放送)されたサイトは、驚異的なアクセス数を叩き出し、男性は僅か6時間で死に至った。
俺のせいではないけれど、こんな後味の悪い仕事は初めてだ。

とにかく一旦サイトはお休みモードに入ったようなので、久しぶりに家に帰ろうと思ったんだけど、目の前には山と積まれた書類とDVDが。
例のサイトと関わりがあると思しき人物が、以前管理していた動画まとめサイトの一覧表だ。
最初はみんなでチェックしようって言ってたんだけど、ジェニファーさんちが犯人に個人的に狙われたせいで、今後は俺一人の仕事と認定されたらしい。
マジかよ・・・ これ照らし合わせるとか何日かかるんだ・・・完全にデスマじゃねーかよ・・・

でもさ、俺はやり遂げたんだ。
何故なら、どんなに劣悪な環境でも、どんなに過酷な労働時間でも、これが俺の仕事だから。
昔の俺だったら、もしかしたら途中で投げ出していたかもしれない。逃げていたかもしれない。
だけど俺はそうしなかったんだ。
色んな人との出会い、そして別れ。そうした中で、もう少しだけ頑張ってみようと心に決めたから・・・。
で、そう思って仕事を続けていたらなんと、犯人の重大な手がかりを発見してしまった。
頑張ってよかった・・・。
ジェニファーさんに連絡したら、早速職場で落ち合おうって事になった。 教えてあげるのが楽しみだ。

・・・
・・とかなんとか浮かれていたら、よくわからないうちに俺自身が犯人に監禁されて、硫酸入りのプールに浸けられていた。
サイトは既に再開され、アクセスが爆発するのは時間の問題。



なんなんだよこれ。
やっぱ逃げときゃよかったな、あんな職場。

と言う訳で、ブラックサイトを摘発するブラックな職場に勤めてたんだが、もう俺は限界かもしれない。ていうか誰かたちけて。



どうでもいいですが、 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ アガサが昔勤めていたのもブラック会社だったように思います。(ま、ほとんどそうなのかもネ!)


■ FBIはブラック企業だ。

そうそう、FBIがね。
ホント過酷な職業だなぁと思うのですよ。
ま、リアルにお目にかかった事も無いですし、生の現場の声を聞いた事がある訳でも無いのですけどね。

映画でしか知らない職種・FBIではありますが、その映画の中ではとにかくサービス残業も休日出勤も当たり前、その上死傷率が異常に高いのがウリとなっております。
またそれが、主人公の同僚なんぞであろうものなら、もうほぼ間違いなく死ぬと言って過言ではない。
フラグをガシガシ立てては、華々しく散ってゆく。
それがFBI捜査官なのです。

と言う訳で、本作の主人公であるジェニファー捜査官(ダイアン・レイン)を、陰日向から支え続けた縁の下の力持ちな同僚・グリフィンくん(コリン・ハンクス)も、ご多分に漏れず無情な公開殺人の被害者となってしまいます。
オスカー俳優であるお父さんの名に恥じないように、舞台もいっちょド派手に、と思われたのか、「硫酸が注入されるジェットバスでブクブクされる」というまことにバブリーな刑です。
オー!モウレツ!

よし。 将来うちの子がFBIになりたいって言ったら、全力で阻止しよう。今決めた。


■ ロシアの鯖は強かった。

本作でレインさんやその他の皆さんを恐怖のずんどこに叩き落す犯人は、インターネットに滅法強いのですよね。
アクセス数が死に直結する装置をなんとか止めようと、腕利き捜査官のレインさんがパソコン相手に奮闘するのですが、なんでも犯人が使用しているサイトはロシアの不正サーバを使っているので追跡できない(←かなりかいつまんで書きました)とかなんとか。
天下のFBIサイバー捜査官が手も足も出ないなんて・・・ ていうかそれ普通にあかんやろ。(国として)

しかもこのサーバー、全米はもとより世界中からアクセスが殺到して1時間足らずのうちに1800万ヒットを記録し、書き込まれたコメントも3万と、天文学的な数だったにも関わらずビクともしないという、脅威の強さを見せ付けます。

こりゃ「バルス!」程度で落ちてる場合じゃないな! がんばれ!日本の某巨大掲示板!!


■ ほうれい線があってもいいじゃないダイアン・レインだもの。

よくね、「キミをいつも笑顔でいさせて、いつか皺くちゃのおばあちゃんになっても、ずっとずっと愛し続けるよ」みたいな事を言うじゃないですか、J-POPで。 「笑い皺でいっぱいにしたいんだ」とかなんとかね。
かく言う私も数年前までは思っていました。
女性だろうと男性だろうと、歳を取ったら皺が出来るのは当たり前。沢山笑って、沢山泣いて、そんな数え切れない人生の経験が、顔に刻まれるのが皺ならば、その皺にいちいちジタバタするんじゃないよ、と。
が、しかし!
この歳になってリアルに皺の存在を感じ始めたら、わかりましたね。 皺はあかん。 あれはへこむ。
アンチエイジングだコラーゲンだともがくつもりも無いのですけど、正直皺はキツい。まじブルー入る。
ったく!誰だよ! 「笑い皺でいっぱいにしたい」とか言ってたヤツ! 不吉な事言いやがって!!
ええいハゲろ! J-POPシンガーなんて全員ハゲてしまえ!!


ま、ただそれはあくまでモンゴロイド的遺伝子情報丸出しのアガサの場合であって、ダイアン・レインさんレベルになると、ほうれい線が出ていようが、ほうれい線が目立っていようが、ほうれい線を実感しようがそんな事は関係なく犯人に浚われますよ。 だってダイアン・レインだもの。
まぁもう当然のごとく浚われます。
犯人が潜んでいそうな不審車だって、ほぼノーチェックで乗り込みますから、ダイアンさんは。
ここまで来ると、「浚われてなんぼ」みたいなトコロもありますからね。
このストーリー展開で浚われなかったら、ほんとダイアンさん、出てきてモニターの前でわーわー言ってただけですから。
主役の意味ないっちゅうねん。
ていうか他のやつら(FBI)もうちょっと仕事しろ。


■ 全国総やじ馬化計画。

結局本作が言わんとすることは、「我が身に降りかからない火の粉を見るのって、楽しいんだよ」という事なのですよね。
テレビの中で、新聞の中で、パソコンのモニターの中で、自分の手の届かないトコロで流される血や、上げられる叫びや、消え行く命なんて、一瞬胸が痛んでそれでおしまい。
もしそれが自分の家族の命だったら。 もしそれが自分の友人の涙だったら。
そう想像してみれば、とてもつらく、許しがたい映像だけれども、実際問題、画面の中の出来事は自分自身の出来事ではないので、許してしまう。つい消費してしまう。
悲しいほどにドライな感情で片付けられる、この私たちのやじ馬根性を最高に皮肉った形のラストシーンは、なかなか耳が痛くてよろしいのではないかと思います。(※大音量だったとかそういう意味じゃなくて)

それにしても、アクセスを阻止しないといけない立場の捜査員たちが、モニターの前に大集合して、超盛り上がってるとか・・・さっきも言ったけど、もうちょっと仕事しようよ!
犯人が新たに選んだターゲットが、浚われたダイアンさんだと判った瞬間の捜査ルーム・・・

「ヒュ~!」って。

お前ら喜びすぎだろ!

肝心のダイアンさんも、犯人を倒した後ライブカメラにご丁寧にFBIバッヂを映す有様で、もう完全にカメラの向こうのお客さん意識しちゃってますからねー。 
瞬間最高視聴率ポイント狙っていってますもん。 こわいわー。 プロやわー。



・・・という訳で。
物語自体は、ありがちなご都合主義サスペンスなのですが、パンチの効いたラストや、ダイアンさんの無駄なシャワーシーン、ハンクスさんの息子さんの熱演や、『SAW』系の拷問装置などのお陰でとても面白い作品に仕上がっていたのではないでしょうか。

みなさんも、ブラックな社会に揉まれて疲れた時、ちょっと一休みしてこの様な映画を楽しんでみてはいかがでしょうか。
と、無理やりなまとめも決まったトコロで、今回の感想はおしまいに。




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