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『トールマン』

2013年09月11日
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あらすじ・・・
出来る限り前情報がない状態でご覧頂く方が良いと思いますので、あらすじは省略します。


『マーターズ』で世界中のお客さんにイヤ~~な気分の限界を味合わせた鬼才パスカル・ロジェ監督の新作(と言っても公開は去年の11月でしたが)、『トールマン』を観ましたよ。
頭の中で浮かんでは消える、「この先こうなるだろう」という予想はことごとく外れ、闇の中を蝋燭のあかりだけで進んでいるような不安な思いに胸をかき乱される1時間46分。
誰が善人で、誰が悪人なのか。
オカルトなのか、異常犯罪なのか。
集団なのか、単独なのか。
どのようにでも解釈可能な台詞や目配せに戸惑い、必死で自分の納得がいくような真相を期待しては裏切られる。
この、監督の思うがままにコロコロと転がされることの心地よさといったら。
 
おっかあ・・・パスカル・ロジェ監督のてのひら・・すごくあったけえよ・・・

『マーターズ』のビジュアル的なエグさを期待して観ると肩すかしをくらうでしょうが、精神的なエグさは今回も折り紙つき。
ホラー映画のような怖さあり、ミステリー映画のような謎解きあり、社会派ドラマのようなメンタル攻撃あり、と、様々な味が堪能できる重箱弁当のような作品ですので、みなさま是非一度ご賞味ください。

・・胃もたれ覚悟で。(いい意味で)(どういう意味なんだ)







(※ 以下ネタバレを含みます)



監督が本作の着想を得たのは、世界中の国々で見かける「行方不明者のポスター」だったそうです。
どこの国、ということはなく、どこででも毎日のように起きている、子どもの失踪事件。
中でもアメリカでは、年間80万もの子どもたちの行方がわからなくなり、そのうちの1000人は何の痕跡もなく完全に消えてしまっているとのこと。
1000人もの子どもたちは、一体どこに行ってしまったのか。
こういうニュースを目にした時にパっと思いつくのは、「殺人」や「人身売買」などのネガティブな行く末であることが多いはず。
しかしもしも、子どもたちの行く末が地獄ではなく、幸せな未来だったとしたら・・?
本作で描かれるのは、そんな有り得なさそうで有り得なくなさそうな、とてもかなしい誘拐事件の顛末です。

いや違う。 
その未来は第三者が考えた「幸せ」であって、子どもたちにとっての「幸せ」なのかどうかはわかりません。
でも、じゃあ、そもそも本当の「幸せ」とは何なのでしょうか?

実の親と一緒にさえ居れば、子どもは幸せなのか。
血は繋がっていなくとも、お金と教養のある大人と一緒に暮らせば、子どもは幸せになれるのか。
たとえロクデナシでとんでもないクズでも、愛情さえあればそれでいいのか。
品行方正な生活を提供できるのであれば、愛情が感じられなくてもいいのか。

また、子どもが持つ「才能」に、生まれた環境は関係しないけれど、それを伸ばす過程においては、少なからず家庭環境が関わってくるのではないか。
実際、子どもの進路に親の学歴や年収など影響していることは、様々な調査の中で明らかとなっています。
学力は「親の収入」に左右されるだけなのか【Benesse(ベネッセ)教育情報サイト】

「才能さえあれば」? 「努力さえすれば」? 「なんとか工夫すれば」? 
それももちろんそうだと思います。
しかし、経済的な格差と子どもの将来とは無関係、と切り捨ててしまえないのもまた、悲しいかなひとつの現実なのではないか。

本編の主人公ジュリアと彼女の夫は、世界中の貧しい国を周り、アメリカ各地を巡り、そこに暮らす子どもたちを救うべく尽力してきました。
しかし、貧困は親の精神力を蝕み、子どもたちの可能性をひたすらに潰してゆくばかり。
行政は門前払い。
政治家は玉虫色のスピーチばかり。
失望と諦めから、惰性で生きているだけの親たちを前に、ジュリアたちはひとつの決断を下します。
「子どもたちの人生をリセットする」という決断を。

ジュリアたちによって誘拐され、地下に潜り、真っ暗な洞窟を通って生まれ変わる子どもたち、いや、生まれ変わらされる子どもたち。
経済的に裕福で学歴もしっかりしていれば、子どもはきっと幸せになれる、とばかりに「よかれと思って」法を犯し、自分たちには認めることのできない「わるい親」の子どもとして一度死なせ、認められる「いい親」の子どもとして新たな命を与えるジュリアたちは、「人助け」をしているつもりなのでしょう。
どうにもならない現実を打破するために。
彼女曰く、「ダメ親が子供たちを、自分たちと同じような壊れた大人へ育ててゆく」という悪循環に、終止符を打つために。

しかし、その行為は結局、状況の違いこそあれ実の親たちと同じで、「子どもの選択肢を大人が勝手に決めてしまっている」ことにほかならず、「寂れた田舎町のトレーラーハウスはダメ」で「都会のペントハウスはオッケー」という独善的な考えの押し付けといい、子どもを愛する親の気持ちを自分たちの理念のために無視するやり方といい、どこからどうみても間違っています。
絶対に間違っているのですよ。
間違っているはずなのですよ。
でも、でも、どこかで「ホントに?」と疑問符をあたまの上に漂わせてしまっているわたしがいるのです。

なぜなら、わたしには、子どもにとっての「幸せ」はコレ!と、はっきりと答えることができないから。
今、自分が我が子にかけている言葉が、善悪の判断が、将来についてのアドバイスが、習い事や学校の勉強についてのあれこれが正しいのかどうか。
どうすれば、何をすれば、自分たちが先立った後も子どもが幸せな人生を歩んで行けるのか。
そこにあるのは疑問と漠然として不安だけで、自信なんてまるでないのです。
もしもうちにもっとお金があって、子どもにありとあらゆる経験をさせてあげることができたなら、この子が持っているかもしれない才能を、もっと引き出してあげることができたのではないか・・・なんて思ってしまうことも、決して少なくはないのです。
だから、ジュリアたちの行為は間違いだとわかっていても、「バカ!アホ!ひとでなし!」と一方的に責め立てることが、どうしてもできなかった。

そんなこんなでモヤモヤし続ける中、訪れたクライマックス。
他の誘拐された子どもたちとは違い、唯一「もう幼くはない」年齢だった少女ジェニーが、絵に描いたようなクズ親のもとから、自らの意志で抜け出させてもらうことを決意します。
一人で自分を育ててくれた母のことは愛しているけれど、もっとマシな人生を送りたい。
強制的にリセットされるのではなく、自分で自分の未来を選択したジェニーが、裕福そうな養母のもと、充分な教育を受け、失語症も克服できている姿を見て、少しだけ「つらい選択だっただろうけど、よかったね・・」とマシな気持ちになれたわたしだったのですが、ホッとしたのも束の間、そんな自分の選択に対する疑念をぬぐい去ることができず、カメラのこちら側の「大人」に答えを求めるかのように「これでよかったんですよね・・?ね・・?」と瞳を潤ませるジェニーが画面いっぱいに映し出され、映画は終わってしまったのでした。

20050516034409.jpg

ということで、鑑賞後の気分は『マーターズ』ほどではないものの相変わらず安定のどんより具合で、ロジェ監督はホントにすごいなぁ、テクニシャンだなぁ、と思いました。
その豪腕から放たれる「問題提議」という球は、今後も確実に観た者の心のストライクゾーンへとめり込んでゆくことでしょう。
考えよう。
考え続けるしかない。
いつの日か、自分にとっての答えが出るまで。
ああ・・・クライヴ・バーカーさんも太鼓判を押した(ものの結局スタジオにボツにされたという)ロジェ監督版『ヘルレイザー』、観たかったなぁ!



-おまけ-

・ おかあさん「うちの子をどこにやったの?」
  ジュリア 「体制はとうに破綻しているわ・・・どこでも同じよ・・子供たちは可能性に満ちていて、わたしたちはそれを伸ばしてあげなければならないのに限界を感じている・・・そして敗北と痛みだけが循環しているの・・ 何度でも・・何度でも・・・何度でも!!」
おまえ
(※ こういう目をしていたおかあさん)

・ と、全く会話のキャッチボールが成り立っておらず、観ているこちらも困惑しきりだったジュリアさんの独白シーンが、本編を全て観終わった後もう一度観直すと、ものすごくグっとくるシーンになっているという。 「真相は明かせないけど、察してつかあさい!」という精一杯の誠意・・オレはしっかり受け取ったぜよ! (ま、許せはしないけども)

・ 生まれたての赤ちゃんを、いきなり(寝そべった姿勢のまま)高い高いするシーンがあって仰天しました。 外国では首がすわっていない状態でも遠慮しないのか・・・

・ と思ったのですが、きっとあれは、周りに子育てについてアドバイスしてくれる大人もおらず、充分な教育も受けていない子どもたち、というあの町の現状を表していたのでしょうね。 そもそも赤ちゃんの父親っていうのが実母の内縁の夫ですし、ソーシャルワーカーもいないんだろうなぁ。

・ ヒロインがとある「崇高な目的」に捧げられる、という結末が『マーターズ』と共通していますね。 監督、そういうのすきなのかな・・。 よっ!ロジェこのやろ!どちらかというとMっぽいのがすきか!

・ 一度観終わったあと、二度、三度と観直したくなり、またその度に新たな楽しみ方が出来ますので、ついDVDを買いたくなってしまいますよね! よっ!ロジェこのやろ!商売上手!

 



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『アリス・クリードの失踪』

2012年10月26日
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きみーと好きーなーひーとがー百年続きますよおにー

あらすじ・・・
黙々と作業を続ける男がふたり。
マンションの一室を改造し、ベッドを床に固定し、壁には防音シートを貼り付ける。
白いバンの荷物室にもブルーシートを張り巡らせ、鞄に手錠や荷紐に目出し帽、そして拳銃を詰め込んだ彼らは、道端にバンを停め、目当ての人物が通るのをじっと待つ。
ナーバスになるな。 
すべては計画通りだ。 
冷静に。
落ち着いて。

そう、彼らは誘拐犯だったのだ。

数分後、バンの後部ドアが開けられ、必死にもがくひとりの女性が放り込まれる。
よどみのない作業は続き、用意されていたベッドの上で拘束される女性。
屈辱の末に撮影した数枚の写真を持ち、男のうちのひとりは身代金の要求に向かう。
ナーバスになるな。
たった2日間で終わる仕事だ。
落ち着いて。
ただそれぞれの役割を果たせばいいだけ。

しかし、残された男はうっかり油断した隙をつかれ、女性に銃を奪いとられてしまう。
形勢逆転したふたり。 
もうひとりの男は、まだ帰ってこない。
女性は目出し帽を被ったままの男に銃口を向けた。
その時、男は信じられない言葉を口にする。
「やめろ!撃つな!オレだよ、オレオレ!君の恋人のダニーだよ!」と・・。



(※ 以下ネタバレしていますが、バレた状態で鑑賞してしまうと楽しさがほとんど損なわれてしまいますので、未見の方は是非鑑賞後にご覧ください。)



【今日の皆まで言うなスレはここですか?!】
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(※ わかった!わかったから皆まで言うな! の図) (※ わからない人はその筋の人に聞いてみよう!)


いやあ、久しぶりに「ものすごく考えさせられる」映画でした!

観終わった後めまぐるしく活動する、アガサの脳細胞。
ええとええと、要するに誘拐計画の主導権をとってダニーにあれこれ指図していたヴィックは、高圧的だし、冷静沈着だし、一見攻めのように見えるけど、実はダニーと四六時中イチャイチャしていたくって、体の隅から隅まで愛されたくって、つまり誘い受けな訳ですね! ごちそうさまです!
これは別に珍しい事ではなく、むしろ、上司と部下、先輩と後輩、家庭教師と教え子みたいなね、精神的な上下関係の枠にはめられている間柄ではよくある事なんだと思うのですよね、支配しているようでホントは甘えたい、みたいな・・・ ・・あ、違いますよ、はめられるってそういうコトじゃなくて、大体はめられているのかはめているのかなんて主観の問題ですし!ぼくはそう思うなあ!
で、ダニーとヴィックのそういう関係はいつからなのだおるか・・という点がね! もっとも考えさせられるポイントですよね!
刑務所に入れられたダニーを待ち受けていた先輩囚人たちの手荒い歓迎。
万事休す! しかしその時、ダニーの前に颯爽と現れたヴィック。
息巻く先輩囚人のパンチをかわすと瞬時に右手でフック。
左手でダニーの胸を庇いつつ、足元に倒れた先輩囚人を見下ろしたヴィックは「これ以上やるなら・・・わかってんだろうな?」と低い声で呟く。
唾を吐きつつ立ち去る先輩囚人。
下ろしたままの左手に温かいものを感じ振り返ると、ダニーの手のひらがそこに押し付けられていた。
「ありが・・とう・・。 ぼくはダニー・・ ・・君は・・?」
「・・ヴィック・・  ヴィックだよ・・」
やっばい!考えさせられすぎて頭がパンクしそうだよ! 
オレの妄想の翼よ!今おおきくその羽を広げ虚空にフライアウェイ!


【すみません。以降心を入れ替えてがんばります】

大金持ちの一人娘を誘拐した中年男と若い男。
実は腹に色んなものを抱えていた三人が、彼女の父親からせしめた身代金200万ポンド(約2億5000万円)を巡って騙し合いの街角なのかと思いきや、そこに三者三様の愛憎劇が絡み合い・・・という、ひねりの効いたストーリー。
上質なミステリーでありながら恋愛ドラマの側面をも兼ね備えている、とてもおもしろい作品でした。
登場するのは3人のみで、舞台もほぼ一箇所(マンション)だけ。 
かわされる言葉もごく僅か。
とはいえ、説明不足な部分や伏線が丸投げになっている部分などは無く、視線の配り方やちょっとした会話の間合い、そして何度も繰り返される「I love you too , babe」が全てを物語っているという。
つまり、ヴィックが尽くすタイプであることや、ダニーがとんでもないヤリチ○であることがね! バカヤロー!ダニーコノヤロー!

お金は人を狂わせると言いますが、それよりなにより人の心を疑心暗鬼にさせる最たるものは、やはり「人を恋うる気持ち」な訳で。
恋人だと思っていたダニーに、手足を縛られ辱めを受けナイフで脅されたアリス。
「ふたりで金持になる為の偽装だったんだ」という彼の言葉を、どこまで信じる事が出来るというのか。
人質の部屋から出てくるなり、トイレに閉じこもってしまったダニーに必死に呼びかけるヴィック。
あからさまな嘘を吐き、なにやら心ここにあらずな様子のダニーを、どこまで信じる事が出来るというのか。
アリスの誘拐後は、マンションにこもって見張りに専念していた為、何度も屋外に出てゆくヴィックの行動を確認する事が出来なかったダニーもまた然り。
彼女の父親との交渉はすべて順調だ、と言い切るヴィックの言葉は、どこまで信用に足るものなのか。

愛だの恋だのが入り込む余地の無いビジネスライクな関係ならば、さっさと相手の裏をかき、自分の得になる事だけを選択していただろうに、「愛」ゆえに彼らは盲信し、思考を惑わせる。
そして、掻き乱されるのは彼らだけではなく、画面のこちら側に居る観客もまた、三人の口から漏れる「愛している」の言葉に見事に振り回され、その先に起こりうる事に対する予想が困難になってしまいます。
この緊張感の、なんと心地よいことか。

クライマックス、互いを信じ抜く事ができなかった哀れな男たちの屍を越え、憎たらしい父親の大金をガッポリ手にしたアリス。
自ら選んだ新たな「道」に、車を滑らせるその姿に被さるように、初めて『アリス・クリードの失踪』というタイトルが映し出された瞬間に感じたいじわるな爽快さは、まさに“至福”の一言でした。

監督・脚本を手がけたのは、ドキ!女だらけのケイビング大会!の続編『ディセント2』の脚本でメジャーデビューを果たした英国気鋭の新人J・ブレイクソンさん。
本作のあまりにシャープな出来映えを観ると、まさかあのへっぽこ映画と同じ人が脚本を書いたとは思えません。
汚名返上、おめでとうございます!
『シャロウ・グレイヴ』のダニー・ボイルさんと印象が被るトコロがありますが、願わくば、かの先輩のように息の長い制作活動を続けられますように。 アガサは非常に期待しております!


いやぁ・・それにしても、ヴィックとアリスのふたりを手玉にとっていたダニーの事を考えると、時間が悪戯に過ぎてゆくばかりですなぁ。
結局ダニーはどちらの事をほんとうに愛していたのか。
スタンプを押すように、あちらこちらで軽々しく、中身のない愛の言葉を振りまいていたダニー。
なんというビッチっぷり。
しかし、アガサの脳裏からは、ダニーがヴィックに最後にとった行動が、どうしても焼き付いていて離れないのですよね。
裏切られたから裏切ったのか。 最初から裏切るつもりだったのか。 ふたりで夢見た未来は、ほんとうに存在しなかったのか。
きみと好きなひとが百年続いて欲しい、と願った事は、ほんとうに嘘だったのか。
愛おしそうに、ヴィックの額に自分の頬を寄せるダニーの複雑な眼差しは、永遠に手に入れることの出来なくなった楽園をどこか悲しんでいるように見え、胸が締めつけられてしまいました。

ホントにね! 完全にビジネスライクな関係だったなら、こんな苦しい思いをしなくてもよかったのにね!
いや、ビジネスは確かにライクだったのかもしれないけど、プライベートがラブだったからアカンかったのか!
いっそ体だけの関係なら楽だったの(ry

【今日の教訓・誘拐事件は二股を掛けていない時に実行しよう】



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『パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会』

2012年07月12日
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あらすじ・・・
今日は(見えない)お友達を呼んでパーティするよ!カモンジョイナス!



(※以下ネタバレしていますが、予備知識なしで観るほうがぜったいに面白いので、未見の方や観る予定がある方は鑑賞後に読んでいただく事をおすすめします)

・ なまいき盛りのジョンが銀行を襲いました。怪我しました。逃げました。すぐに身元が割れて指名手配されました。その辺にあった車をパクって郊外の閑静な住宅街にやってきました。

・ ジョンは怪我した足をなんとかしたいのと、ちょっくら休憩したくてたまりません。だって朝から重労働して疲れたから。 そんな時、たまたま目の前にあったおうちのガラス窓に「うちはエホバの証人に入ってますよ!」というシールを見かけたジョンは、ためらうことなく「こんちはーオレもエホバの証人に入ってるんスけど、仲間ってことでちょっと休ませてもらます?」とピンポン攻撃。

・ でも、「あら?クロスをつけてないわね?」「あーえーっと、そ、そうなんスよーちょっと盗られちゃって」「ダウト!エホバの証人は偶像崇拝を禁じています!」とあっさり嘘を見破られてしまいます。

・ 甘ぇー。 ジョン詰めが甘ぇー。

・ そして、そんなジョンの甘さがとんでもないスリリングな経験をもたらす事に・・・。

・ (その後、またもや浅はかな嘘をついてよそのおうちに上がり込む)ジョンの事はさておき、本作の主役はあくまで、愚かなジョンをもてなす豪邸の主・ウォーウィックさんに尽きるのであります。

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( え え か お ! )

・ ちりひとつ落ちていないしょうしゃな室内。こだわりの詰まった装飾品。オーブンから漂ってくる、アヒルの丸焼きの香ばしい匂い。 「ぼくね、あなたのおうちの“ジェーン”さんと友達なんですけどね、ちょっとお邪魔してもいいですか?」といういかにも嘘くさいジョンの小芝居にも嫌な顔ひとつせず丁重に接客するウォーウィックさん。 ちょっとあなた、いいひと過ぎやしないですか?! 騙されてますよ! そいつ危険なやつですよ!

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(ほらほら、言わんこっちゃない!)

・ ウォーウォックさんの懇切丁寧なもてなしに調子こいたジョンは、赤ワインをかぶ飲みし、「このあと友達がきてディナーパーティするんだけど、なんだったら一緒にどうですか?」というお誘いまで「じゃ、お言葉に甘えて・・」と乗り気になるものの、そのお友達の中に現役検事さんがいる事を知ると「万事休す!」とばかりに豹変。 台所にあった包丁を片手に「今すぐパーティを中止しろ!」とウォーウィックさんを恫喝します。 かわいそうなウォーウィックさん!

・ 「オレはよー!ムショ帰りなんだよ!ちょうえきだって怖くねえんだよ!」と威張り散らし、ピッカピカに磨き上げられたウォーウォックさんちのダイニング床にタバコの灰や(怪我している足から)血をこぼしまくる無法者のジョン。 か弱い中年のウォーウォックさんに打つ手はあるのか?!

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(ふえっ・・・ふええっ・・  って泣くと思った? 残念!全部“おもてなし”の一環でした!)

・ 浴びるように飲んでいた赤ワインの中に一服盛られていた、ということにジョンが気づいた頃、パーティは既に最高潮を迎えていました。 「どうだいルパート、このアヒルは?」「・・・」「そうだろそうだろ、ああ、モニカ、ワインのおかわりは?」「・・・」「オーケイ、ちょっとまってつかあさい!」 楽しそうに食卓を囲むウォーウォックさんと愉快な仲間達・・・ ま、ジョンには見えないんだけどな!

・ 実はウォーウォックさんには、ウォーウォックさんの世界にだけ存在するお友達がいるのです。ひとはそれを、「心の病」と呼びます。 でも、ウォーウォックさんは信頼出来る友達に囲まれしあわせそうです。 ということで、ジョンが手足を拘束されてからは、ずっとウォーウォックさんのターン!

・ どんどん盛り上がるパーティ。 4人だったゲストは徐々に増え、深夜を迎えることには数十人ものお友達がダンスを踊っておおはしゃぎ。 今夜パーティを計画してよかった・・・みんなが楽しんでくれたみたいでよかった・・・ホントよかったね、ウォーウォックさん・・・ま、ジョンには見えないんだけどな!

・ ジョンがウォーウォックさんのおうちを訪ねるきっかけとなったのは、家の前のポストから拝借したポストカード。そこに書かれていた「オーストラリアに滞在中のジェーン」の名前を勝手に使う事で、家主(ウォーウォックさん)を騙せた気まんまんでいた訳なのですが、実はそのジェーンも、ウォーウォックさんの脳内家族なのでありまして。 つまり、ジョンは「存在しない人」の友人を語ってお宅訪問していた、と。最初から勝ち目のない戦いだったのじゃよ・・・

・ しかし、ウォーウォックさんにとっては、ジェーンも「存在する人」なのです。ウォーウォックさんはジョンの嘘を見破っていたのではなく、ジェーンの友達として正式にもてなす気だったのですよね。 この辺の、「本人はしごく真面目にやっている」感じが、観ている私の心を強く揺り動かしました。 「みんなーパーティにきてくれてありがとう!」と脳内友達のわき腹をツンツンしてキャハハウフフすればするほど、ウォーウォックさんの孤独がバシバシ伝わってくるのです。 「この世界」が無くては、ウォーウォックさんは生きてゆけない人なのだろう。いや、ウォーウォックさんにとっては、「この世界」こそが本物なのかもしれない。 こっそり脳内友達を従えて現実世界を闊歩するウォーウォックさんの姿に、なんだか心がシクシク痛みました。 

・ そして、そんな安っぽい同情を寄せ付けないほど弾けまくっているウォーウォックさんの完璧なホストっぷり! とにかくウォーウォックさんが嬉しそうならそれでいい! 「金が無いなら強盗すればいい」みたいな安直な生き方のジョンなんて、もうこの際どうでもいい! ウォーウォックさんの未来に幸あれ!!

・ 舞台劇みたいな「ウォーウォック邸での一夜」を経て、物語は外の世界へと続きます。 この「延々続くおまけ」みたいな終盤のくだりは、そこに至るまでのじっとりとした不安な感じが消え、よくあるクライムサスペンスに落ち着いてしまっていて、なんだかもったいないなぁ・・と思いました。 おうちの中だけで終わらせられると、もっと面白かったのではないでしょうか。

・ 心は病んでいるけど、一本筋の通ったウォーウォックさんの七変化が楽しい一品でしたよ。 借りようか借りまいか迷っていたんだけど、丁度WOWOWでやってくれてよかった!ありがとう和崎社長!(WOWOWの社長) あと、余談だけど、3チャンネル製になってからのWOWOWはホントいい仕事っぷりだと思います!

・ ウォーウォックさんはハイター博士(ムカデ人間)といい友だちになれるんじゃないかなぁ・・と思いました。 ほら、どっちもお世話好きだし!

・ ローラちゃん一家(ラブド・ワンズ)とも仲良くなれそうな予感・・・。 ほら、どっちも「想い出アルバム」作るの好きだし!



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『バイオレンス・レイク』

2012年03月23日
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【バイオレンスな危機に対する回避度テスト 】式あらすじ・・・
次の質問に YES か NO でお答えください。
1・婚約者からキャンプに誘われました。 

けんもほろろにお断りしますか?  [YES/NO]

2・連れて行かれた場所はキャンプ場などではなく、建設中で立ち入りが禁止されている採石場でした。
きちんと整備されたキャンプ場に移動する事を提案してみますか?  [YES/NO]

3・フェンスの切れ目から無理やり侵入し、木の生い茂るけもの道を走っていると、大きな湖に到着しました。 そしてあなたの鞄には水着が入っています。
念のため普段着のままでいますか? [YES/NO]

4・開放的な装いで水辺でイチャイチャしていると、地元の不良少年たちが釣竿を片手にやってきました。
閉鎖的な装いに着替えますか? [YES/NO]

5・少年たちは大音量でスピーカーを鳴らし、湖に唾を吐き、獰猛そうな犬をけしかけて来ます。
注意したい気持ちをグっと抑え、スルーの方向でがんばりますか?  [YES/NO]

6・婚約者がやんわりと注意すると、少年たちは一向に反省する素振りもなく逆に罵声を浴びせてきましたが、そのまま放っておくと威嚇するように練り歩きながらどこかへ移動して行きました。
予定を切り上げて帰宅しますか?  [YES/NO]

7・朝起きて車を見てみると、タイヤがパンクさせられていました。 きっと昨日の少年たちの仕業です。
予定を切り上げて帰宅しますか?  [YES/NO]

8・スペアタイヤに付け替え、街に戻っている途中、一軒の家の庭に少年たちのものと思しき自転車が転がっているのを発見しました。
親にチクリたい気持ちをグっと抑え、そのまま予定を切り上げ帰宅しますか? [YES/NO]

9・勝手口から声をかけましたが、誰も居なかったのでそのまま家の中をウロウロしていると、ものごっそ粗忽そうな家主が帰ってきてしまいました。 慌てて物陰に隠れ様子を伺ってみたトコロ、どうやら少年たちの保護者はガチのウルトラDQNだったようです。
予定を切り上げて帰宅しますか?  [YES/NO]

10・再び湖に戻りくつろいでいた婚約者とあなた。 しかし、少し目を離した隙に貴重品が入った鞄を盗まれてしまいます。 しかも車も乗り逃げされていました。
徒歩でなんとか街まで戻り、予定を切り上げて帰宅しますか?  [YES/NO]

11・少年たちを探し、湖のそばの森を散策していると、件の不良どもが焚き火をしながら談笑している場所に遭遇しました。
いきなり突撃せず、様子を伺ってみますか?  [YES/NO]

12・大人の苦情に全く動じない少年たちは、再び犬をけしかけたり、ナイフを取り出して脅してきたりします。 
そのまま踵をかえし、帰宅する方向で検討してみますか?  [YES/NO]

13・ナイフを取り上げようと揉み合ってる最中、ついうっかり犬を刺してしまいました。
車の鍵を返してもらい、動物病院に連れて行きますか?  [YES/NO]

14・激高した少年が追いかけてきたので、奪還した車に飛び乗り逃げ出しましたが、慌てていたせいで巨木に激突してしまいました。 ケガをして動けない婚約者は、あなたにGPSナビを渡し「街まで逃げて助けを呼んでくれ」と懇願しています。
逃げ出しますか?  [YES/NO]

15・一度はその場を離れたものの、婚約者の事が気になったので現場に戻ってみると、愛する人は少年たちから酷い拷問を受けていました。
全力で逃げ出しますか?  [YES/NO]

16・物陰から盗み見していたあなたに気づいた少年たちが、えらい剣幕で追いかけてきました。 途中で見かけた作業小屋の屋根に登り、なんとか少年たちの追求をかわしたあなたの目の前には作業員用の無線機が転がっています。
とりあえず誰かに助けを求めますか?  [YES/NO]

17・辛くも拷問から抜け出した婚約者と奇跡的に合流出来たあなたは、森の中を闇雲に逃げ続けます。 そんな時、ボロボロの小屋が目にとまりました。
入らずに逃げ続けますか?  [YES/NO]

18・瀕死の婚約者をその場に残し、街を目指して疾走を再開しますが、運悪くゴツい釘を踏んづけてしまいました。 すると、脚を負傷し途方に暮れていたあなたの前に、真面目そうな一人の少年が通りかかります。
取るものも取り敢えず、携帯電話の所有を確認しますか?  [YES/NO]

19・真面目そうな少年にハメられたあなたは、不良少年たちに捕まってしまいます。 証拠隠滅をはかる少年により、焼却処分されそうになる婚約者とあなた。 しかし、首謀者の少年以外の子どもたちは、あまりに陰惨な展開にショックを受け、戸惑っている様子です。
「首謀者に反旗を翻してくれれば、裁判で有利な証言をしてあげる」とかなんとか甘言を弄し、自分たちに寝返るよう説得してみますか?  [YES/NO]

20・既に事切れていた婚約者は火に包まれてしまったものの、なんとか縄を切って逃げ出す事に成功したあなた。 遊歩道を見つけ、森の地図をゲットしたトコロで、ふと、この1日半で浴びせられた苦痛や屈辱の記憶に襲われてしまい、呆然と立ち尽くしてしまいます。 その時背後から、不良少年グループの中でも特に気弱そうな少年がおずおずと近づいてきました。 あなたの手には、護身の為に用意したガラスの破片が握られています。
ガラスを捨て、少年を説得して街まで案内してもらいますか?  [YES/NO]

【すべて YES だったあなた・バイオレンス回避度100%】
石橋を叩き割ったのちに外出そのものを取りやめるタイプのあなたは、まさに慎重界のカリスマ。あなたにとって、ヒッチカイカーを拾う事はもとより、初めて訪れたガソリンスタンドで道を聞くなんて行為は愚の骨頂なのでしょうね。すばらしいです。 ただ、慎重な事はよいのですが、婚約者が誘ってきたキャンプぐらいはつきあってあげないと、のちのちめんどくさいですよ。
【YES の数が17~19個だったあなた・バイオレンス回避度90%】
いい塩梅に慎重ですね。これからもその姿勢を貫いてください。 あと、誰になんと言われようと、人気の無い湖畔では水着にならないようくれぐれも気をつけましょう。
【YES の数が10~16個だったあなた・バイオレンス回避度60%】
若干チャレンジャーな所もありますが、引き際を心得ているようですので今後もなんとか危険を回避しながら暮らして行けるでしょう。どどんまい。
【YES の数が9個以下だったあなた・バイオレンス回避度10%】
おおよそ慎重には程遠いですね。 運がよければギリギリ回避出来るかもしれませんが、限りなくアウトに近いセーフだと言う事を肝に銘じましょう。
【すべて NO だったあなた・バイオレンス回避度0%】
安全厨、と言われても何の申し開きも出来ない程のていたらくっぷり。今一度、これまでの人生を振り返り慎重さを取り戻す事が肝要です。でないと、あなたを待ち受けているのは破滅だけですよ。


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(※ 残念ながら安全厨判定されてしまった水辺のふたり)

なぜ西洋のカップルはどこの湖でもすぐ泳ぎたがるのか?!
西洋の方が「日本人といえばサムライ・ニンジャ」と思っているように、アガサも思っています。「西洋といえば、どこでもスイミング」である、と。
実際のところは違うのかもしれません。(外国の山奥の湖など行った事ありませんし)
しかし、映画の中、特に血の気の多いジャンルの映画において、西洋のカップルはたいがい水を見ると服を脱ぎ捨て「ヒョッフー!」と叫びながら飛び込んで行く。 
先に入ったのが男性の場合、「ウブッ・・ゴファッ・・な、なんなんだ!」と言いながら溺れたふりをして「ビックリしたじゃないの!もう知らない!」と怒った彼女とイチャイチャし、女性の場合は「ヘ~イ こっちこないの~」と言いながら脱衣した下着を水面にちらつかせそれを見て発情した彼氏とイチャイチャする。 要するにイチャイチャする。
なぜ彼らは水を見るとイチャイ・・ ・・ええと飛び込みたがるのか。
大して綺麗そうな水でなくても、躊躇なく半裸(もしくは全裸)で泳ぎ始めるのはなぜなのか。
ボウフラだの雑菌だのどじょっこだのふなっこだのは気にならないのか。 
そもそも私有地でもないそれらの水辺に、よその人が来たらどうするつもりなのか。
びそぬれの服のまま車に乗ったら超気持ち悪いのだという事に、気づいた時にはもう手遅れだのに。

てな事をまたしても思ってしまった『バイオレンス・レイク』。 
レイクはレイクでも、ほのぼの成分皆無の猛毒レイクです。 まぁ、ほのぼのな方のレイクもある意味猛毒ですけども。

結婚をひかえた幸せいっぱい夢いっぱいなカップルが、たまたま人生の選択を連続ミスしてしまったが為に破滅へとひた走ることになる本作。
彼らに引導を渡すのは、何を考えているのかわからない「おそろしい少年」たち。
しかし、ありがちな「子ども怖い」映画で終わるのではなく、もっとおぞましく、もっと無間地獄的な恐怖が用意されており、鑑賞後は精神的に疲労困憊してしまったのでした。
ヒロインが必死に繰り出す反撃のパンチがことごとく無に終わる様を、ただ眺めているしかない自分。
物語と観客という、至極当たり前な関係すら受け入れたくなくなるほどの、猛烈なもどかしさと虚しさ。
それはきっと、ここに描かれた無間地獄がごくありふれているものだから。

教育者(小学校教員)であるヒロインと、良識ある社会人である婚約者は、旅先で「親にどつかれている子ども」や「夜中だというのに平気で徘徊しまくっている少年少女」や「社会常識を身につけていない荒ぶる青少年」などをたびたび目にするのですが、積極的にそれらに介入しようとはしません。
親を制止するでもなく、少年少女に「はよ家帰りんさいよ」と注意するでもなく、「人と話す時は相手の目を見て話しましょうね」と諭すでもなく、ただただ「いやはや参ったね」という曖昧な表情で目と目を合わせるのみ。
しかしそれは、彼らが特別卑怯だからという訳ではないと思うのですよね。

実際のところ、「超チンピラっぽい親に堂々と物申せる」人がどれだけ存在するのか。
隣の家から聞こえてくるどつきあいの音に、ピンポーンとチャイムを鳴らす事が出来る人がどれだけ存在するのか。
もちろん、勇気を出さなければ何も変えられない事はわかっています。
でもね、やっぱりね、こわいのですよ。 
間違いを指摘した時、もしもその攻撃性がこちらに向かってきたら・・・と思うと二の足を踏んでしまうのです。

私がヒロインと同じ状況だったとしても、きっと彼女がしたように「どついている親の顔をモノ言いたげにじっと見て、プレッシャーを与える」くらいが精一杯だろうと思います。
相手が男親だった場合はさらに困難になりますので、こっそり警察に通報する作戦に切り替えるでしょうし。
自分がランボーばりの格闘スキルを持っていたならば躊躇しないかもしれません。
しかし、そうではない。
無関心でいるつもりなんて全くないけれど、力のない自分に出来る事はあまりに小さい。

そして、周囲によってこれといった軌道修正がなされないまま、DQNな保護者は少年少女に歪んだ価値観を植え付け、成長した彼らがまた自分の子どもたちに誤った「しつけ」をくりかえしてしまう・・・。
登場人物たちは、ヒロインも少年少女もその保護者もみな最悪の結末を迎えてしまいます。(罰を受けない、という一見加害者にとって都合のいい結果も、彼らの人生にとって決してよくない事だと思うので)
しかし、その悲劇は「よその家に無関心」だったことに対する報いではなく、負のスパイラルを断ち切る効果的な解決策を未だに見いだせない私たちにとって、いつ起こらないとも限らない非常に身近な悲劇なのではないでしょうか。

『イングロリアス・バスターズ』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のミヒャエル・ファスベンダーさんがとことん痛い目に遭ったり、『シャーロック・ホームズ』のワトソン夫人ことケリー・ライリーさんが汚物にまみれて奮闘したり、とキャスト陣が何気に豪華な本作。
一難去ってまた一難どころか五難も六難も訪れる展開や、「同調圧力」という絶対的なパワーに、心臓がキュウウっとなる事必至の心底おそろしい映画でした。
ケッチャム作品級のどんより感を味わいたい方は、是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
(味わいたくない方は観ちゃダメ!ぜったい!)

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『ホステル3』

2012年03月07日
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「あれ・・・? こんなんだっけ・・・」 と、必ずあなたに思わせます!

いままでの流れ
パート1・・・ヨーロッパ旅行中のアメリカ人のアホ2人とアイスランド人のアホ1人がスロバキアのホステルでひどい目に遭います。(感想)
パート2・・・ヨーロッパ留学中のアメリカ人女子大生3人がスロバキアのホステルでひどい目に遭います。(感想)


今回の流れ・・・
結婚式を一週間後に控えたアメリカ人が、バチェラー・パーティーのつもりで友人たち3人と訪れたラスベガスのホステルでひどい目に遭います。

おまっとさん!
みんな大好きイーライ・ロス兄貴の出世作『ホステル』が、生みの親の手を離れ独り立ちを果たし、しかも劇場まで足を運ばずともいきなりご家庭で鑑賞出来るフットワークの軽さを身に着け戻ってきましたよ! ま、要するにDVDスルー扱いでリリースされましたよ! 誰だよ待ってたの!そうだよオレだよ!
「地球儀上を指差してみてください」と言われたら困る国ベスト3に入るであろう、ふんわりとした認知度でお馴染みスロバキアを舞台にしてきた本シリーズも、イーライ兄貴の手を離れた途端アメリカへと活躍の場を移動。
まあね、ぼくなんかはもう5年前の時点で「アメリカ本土決戦」を予言していましたけどね。 1作目を観た時点でね。 感想にもばっちし書き残しちゃってますけどね、ホントにね、ホントたいがいの人が薄っすら予想していたコトなんだけどでもなんでオレこんなに悲しいんだろう。


ま、それはさておき。
全く過去の作品に触れた事がなく、いきなりパート3からご覧になる方もそうそういらっしゃらないとは思いますが一応説明しておきますと、このシリーズには“エリート・ハンティング・クラブ”なるフリーメイソンも真っ青な世界規模の秘密組織が登場しまして、そこに登録したお金持ちのみなさんが「わいはともかく生きた人間をいじくり倒したいんや!」という野蛮な欲望を大枚と引き換えに果たしているというおっかない世界が描かれているわけですな。
で、過去の作品に登場したスロバキア本部では完全個室専門制となっていた「いじくりルーム」が、今回は舞台であるラスベガスの特性に合わせたのか劇場鑑賞型となっておりまして、そこに連れてこられた一般市民がルーレットでお金を賭けられながらあーんな事やこーんな事をされる羽目になってしまうというのがおおまかな内容となっている次第でございます。

このイベント、果たしてどのくらいの頻度で開催されているのでしょうね・・。
仮に週4回開催として、一晩3人で毎週ざっと12人の犠牲者が必要になりますよね。
確保する場所は指定ホテルの一室が改造済みなのでそこを使うとして、クラブのマニュアルに従い「近親者の居ない者」をピックアップしようとすると、まず宿泊客の中からざっくり目星をつけて、さらにパスポートか免許書から個人情報にアクセスして、捜索依頼が出されにくい外国人旅行客がいれば御の字だけどもし居ない場合はなるべく独り身のバックパッカー的な若者に絞って・・ ・・って手間かかり過ぎるだろ!! 今までもちょいちょいおかしなトコあったけど、今回のエリハンはなんかもう「突っ込み待ち」な姿勢が色濃すぎて鼻につくよ!そんな再々つっこんで貰えると思ったら大間違いだかんね!

一緒_convert_20120227005336
主人公の婚約者とラスベガスで出会う娼婦・・・ ざっくり似すぎだろ!!

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最初にエリハンにハンティングされコンテナに閉じ込められたはいいものの、結局最後までお声が掛からなかったヴィクトールさん・・・ 無駄にハンティングしすぎだろ!! 

hostel-part-3-ジョジョ_convert_20120305154600
劇場型拷問ショーを執行する為に出てきたなんかすごく雰囲気が独特の人・・・ なんだろうか、もうすごい既視感なんですけど、何者が足りないのですよね・・ 何かしらの・・フォント的なモノが・・


ドドド_convert_20120229230418
は い は い は い !(←すごくシックリきた)

てな具合に、ついいつもの習慣でつっこんでしまった訳ですが、こんなシックリくる井出達の処刑人が意気揚々とやってきて何をするかというと、おもむろにボーガンでシュポンシュポン矢を射り始めたりするトコロこそ、最もつっこまなければならないのかもしれませんね。
そう、素直に告白しますが、アガサがっかりしちゃったのですよ。
イーライ兄貴の手を離れようとも、なんとかあの路線で頑張ってくれるのかと思いきや、まんまと「なんてこたぁないトーチャーサスペンス(※但しトーチャーなし)」に仕上がってしまった事にがっかりしちゃったのですよ。

過去2作に感じた不気味さや陰湿さは取り払われ、「つっこみ所は多いのに、なんだかゾワっとなってしまう謎組織」だったエリハンは「つっこみ所が多いだけの謎組織」になり下がってしまった。
上得意さまからのご依頼だからと言って、いつもは慎重に「足がつかないような被害者選び」をしている筈がノープランで拉致監禁しまくるなんて、そんなのオレの知ってるエリハンじゃないやい!

『ホステル』シリーズがおもしろかったのは、得体の知れない欲望が人を狂わせる様がエグくコミカルに描かれていたからなのですよ。
そこにプラスして、気合の入った拷問シーンのねちっこさ(とオカシサ)と無駄なエロね!ココとても重要ヨ!
それなのに、主人公の友人は「金持ちのオレよりもモテるなんて許せない」というかなり小規模なルサンチマン全開でエリハンに「普通の人殺し」を依頼するわ、エリハンはエリハンで「依頼されていないけど成り行きで色々さらってしまいましたメンゴメンゴ」みたいな軽いノリだわ、と、なんかもう壮絶などっちもどっち感が漂ってくるという。
挙句の果てに、先ほども書いた「ボーガンでシュポン」ですよ! なにボーガンて!やっとこだのドリルだの抜いたり刺したりするような道具だの色々見せといてボーガンて!もうキミとはやっとれんわ!!
ガツンと言っておきますけどね、痛そうな拷問シーンがないホステルなんて、ケツ出しシーンのないケヴィン・ベーコン映画みたいなもんだかんね!

唯一の見所は、エリハンの事務局員の休憩所でお酌を担当していたチェンネーの格好が超エロくてしかもチャンネー自体のクオリティも超高かった、という点なのですが、その娘も1シーンしか登場しませんでしたので、正直後半はかったるくて寝ぼけ眼をこすりつつの鑑賞となりました。
あと、やたらと「しり」に重点を置いたカメラワークから監督の尋常でないこだわりが伝わってきましたが、力入れるのソコじゃないと思うよ、ぼくは。

というわけで、過去2作の輝かしい思い出を引き摺ったまま鑑賞すると大やけどを負う「しょんぼりサスペンス」だった本作ですが、「オレは『ホステル』にはこだわらないよー」という方ならそこそこ楽しめるかもしれませんので、旧作になった頃合を見計らってご覧になってみてはいかがでしょうか。



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絶対に手放したくない婚約者がいるにも関わらず、バチェラー・パーティーで呑む打つ買うの三拍子を目論むバカカルテット・・・ あまりにも華は無いわ、松葉杖の設定は活かされないわ、ホントもうイイトコなし! どうせだからイーライの兄貴ひとりくらい混ぜとけばよかったのにな!

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