『アナと雪の女王』
2014年03月20日

特別企画 『オラフママの子育て放談「子どもは褒めてのばしまショ!」』
・ というわけで、今回は自称愛の伝道師・オラママさんに、アレンデール王家の子育て法をご覧いただいたわけですが。 まずはざっくばらんなご感想をお願いできますでしょうか。

・ 王家の第一王位継承者として生まれたエルサさんは、そのずばぬけて個性的な特徴ゆえに数奇な運命を歩むこととなりましたが。

・ しかし、両親である国王と女王の考えはそうではなかったようですが。

・ 結局エルサさんは力をどう扱えばいいか判らないまま成長していたように見えました。

・ オラママさんでしたら、アレンデール国王にどのようなアドバイスを贈られますか?

・ 褒めることで、もっと強大な力になってしまったらどうすればいいのでしょうか。

・ アナさんについてはいかがでしょうか。

・ 少し惚れやすいですよね。

・ 最後に何か一言お願いします。

・ 記憶を消す行為は、頭にかかった魔法を解くために必要だったのでは・・。

(※ 個人的な感想です)(※ 文中の子育て観はオラママの見解です)(※ 子育て観には諸説あります)(※ 自論の押し売り等の意思はありません)
(以下ネタバレしています)
・ ご多分に漏れず、テレビスポットで大量に流されている「レリゴー!レリゴー!」という歌声にまんまとはまってしまったちびっこと共に鑑賞してきました。
・ アンデルセンの童話「雪の女王」をもとに作られたお話だと聞いていたのですが、わたしの記憶にあるそれとは大きく異なった(もちろんいい意味で)、壮大で純粋な愛情の物語となっていて、とても感動しました。 王子様との運命的な出会いや人生を変える一大接吻イベントといった古典的なプリンセスフラグを、全力で粉砕してゆくというアグレッシブな内容だったところも良かったと思います。
・ 一方、ストーリーこそ別物ではあるものの、昔からわたしが漠然と抱いていた「雪の女王っていい人なの?悪い人なの?」という疑問への答えになりそうな人物描写もあったりなんかして、鑑賞後は、雪の女王のみならず、さまざまな御伽噺の中で忌み嫌われてきた「悪役」たちが、その特徴ゆえ選択するしかなかった「孤独」という生き方に思いを馳せながら、ぼんやりと佇むこととなったのでした。
・ 「冬をあやつる」能力に恵まれたものの、そのすばらしさや力の加減を充分に理解する前に「危険なもの」というイメージだけを植えつけられてしまったエルサと、そんな姉の苦しい胸のうちを知らされずただ距離を置かれてしまったアナ。 13年と言う長い青春時代を幽閉状態のまま送ったのちに、諸事情から城内外のみなさんにお披露目されてしまったため、案の定、世間を知らないアナが出会って楽曲一本で即婚約したり、ペース配分を考えられないエルサが冷気を大放出して国中を凍らせたりしてどんどこしょという展開となるわけですが、ホント、先に書いたように、ご両親のやりようがもうちょっと他になかったのかなぁ、と思えてならなかったですね。
・ 愛する妹に魔法をかけてしまった時、誰よりも一番傷付いたのはエルサ自身だったろうに、だれも「きみはわるくないんだよ」と言ってあげられなかったのかなぁ・・。 なんかもう無性に心が締め付けられるようでした。
・ 「コントロールしなさい」とお題目のように唱えるだけでは、何も変わらないもの当たり前で。 だって要するに「否定」されているだけじゃないですか。 不毛な13年を経たエルサが、自分の力は「よくない」もの。周りのみんなに気付かれてはいけないもの。絶対に出してはいけないもの。 と、負のイメージにより一層縛られるようになったのも無理はありませんよね。
・ で、戴冠式当日に派手な氷結パフォーマンスを繰り広げてしまった挙句、「もうあかん」とばかりにお城を飛び出したエルサが「ありのままのわたしでいいんだよね」と滔滔と歌い上げるのが、オスカー歌曲賞に輝いた『レット・イット・ゴー』だったのですが、過去を捨てて前向きに生きようという自己肯定ソングかと思いきや、いや、たしかにそうなのですが、歌い終わったエルサは再び扉をかたく閉ざしてしまいまして。 ああ、やっぱりまだ、エルサは孤独なままなんだ。 お城の中よりは自由だけれど、心は縛られたままなんだな、と思って、またもや涙がジワジワっとこみ上げました。
・ だってね、ホントにね、アナがエルサを探して雪深い山奥まで訪ねて来た時もね、お姉ちゃん全然幸せそうじゃなかったんですもん! めっちゃ暗い顔してましたもん! ぜんぜん「レット・イット・ゴー」出来てませんもん!
・ きっとこの時点での「レット・イット・ゴー」は、本心からきた言葉ではなく、自分自身に言い聞かせていたんでしょうね。 もう誰にも迷惑をかけない。大事な妹も傷つけない。もう泣かない。過去には戻らない。 一生ひとりで過ごしますよ、と。
・ 「一生孤独」宣言て・・・。 そんな悲しい決断がありますか? そんなつらい選択を、愛する人にさせられますか?
・ もちろん、させられないですよ。 だからこそ、アナはお姉ちゃんを呼び戻すため命の危険を顧みず駆けつけたんですよ。 ええ子やで! アナはほんまにええ子やで!!
・ 感情がコントロール出来なくなってしまったエルサは、再びアナに魔法をかけてしまいます。 今度は頭ではなく、生命の源である心臓に。 その魔法を解くことができるのは、「真実の愛」だけ。 そして、「真実の愛」の正体は、アナが自分の命ではなくエルサの命を救おうとした時に明らかとなる・・。
・ この映画をご覧になったみなさんとは解釈が異なるのかもしれませんが、わたしは、アナの魔法を解いた「真実の愛」とは、アナ自身の愛だと思ったのですよね。 何を犠牲にしようとも、ただひたすら、大切なお姉ちゃんを救いたいんだという愛情が、凍った心臓を溶かしたのではないか。
・ で、そんな妹の愛で、エルサの心にはじめて平穏が訪れたのではないかと。
・ 一度ならずニ度までも、妹を傷つけてしまった。 とげとげしい氷の刃で怯えさせてしまった。 モンスターのようなおぞましい姿を見せてしまった。 そんな、嫌われて当然な自分、見捨てられてもしょうがない自分を、アナは命懸けで救ってくれた。 どんな力を持っていても、どれだけ周りと違っていても、全てを受け入れ愛してくれる人が、ここにいた。 ああ、わたしはわたしのままでいいんだ。 ありのままでもいいんだ。
・ エルサはこの時初めて、そんな風に思うことが出来たのではないでしょうか。 そして、その瞬間、本当の意味でエルサの魂は自由になったのですよね、きっと。
・ もうね、泣くしかないですよね。
・ 周りが個性を認めることで、自分自身を愛することもできるようになる。 色んな自分とつきあっていける自信が芽生える。 ね! だから褒めてのばそうってね! あれだけ口をすっぱくしt(略
・ アナの頭に魔法をかけてしまうまでのエルサは、自分の能力を嫌っていなかったと思います。 むしろ、自信を持っていた。喜んでくれる妹を見て、誇りのようなものも感じていたのではないか、と。 やっと最初の頃の純粋な思いを取り戻せたエルサを観て、本当によかったなぁと思いました。 いやぁ、まったくもっていい映画でした。
・ あと、雪だるまのオラフがかわいすぎて悶絶しましたね。 絶妙にかわいくないビジュアルなのに、観ているうちにどんどん愛おしさが増してくるというディズニー・マジック・・! 夏に憧れるオラフに、山男クリストフが「誰か(暑いと溶けちゃうよって)教えてあげないと・・」と同情の眼差しを向けるシーンがたまりませんでした。 オラフのやろうバカかわいいなまったくもう!
・ 色々男連中は出てきましたが、結局アナを一番心から愛していたのはオラフだったと思うので、ひょっとしたら心臓の氷はオラフの熱いベーゼでも溶けたのかもしれませんよ! ためしてガッテン!!

