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『ベジャール、バレエ、リュミエール』

2006年09月19日
20060919212236.jpg 2002年 作品


秋でございます。

芸術の秋でございます。

窓の外からは鈴虫のささやきが聴こえ、スっと流れ込む風の心地よさと思わぬ冷たさに、暖かいコーヒーを入れたくなる、秋でございます。

こんな夜に、画面に映し出したくなるのは、やはり美しきものでしょう。

と言う訳で、私の大好きなモノの一つ、バレエでございます。

この作品は、現代バレエ界の天才振付師 モーリス・ベジャール が、新作バレエ『リュミエール』を完成させるまでの舞台裏に密着したドキュメンタリーです。
ベジャールの名前は知らなくても、彼が振り付けした作品を観た事ある人は少なくない筈。
かく言う私も、決してバレエ通な訳ではありませんが、彼の代表作『ボレロ』は観た事があります。
丸い台の上で踊る一人のダンサーと、その台の周りを取り囲む大勢のダンサーによる、妖艶かつ鬼気迫るような一糸乱れぬ群舞が、名曲ボレロに合わせて繰り広げられる、素晴らしいバレエ作品でした。

その、『ボレロ』を振付けたベジャールが次の作品を生み出す裏側が、惜しみなく映し出される『ベジャール、バレエ、リュミエール』。
リュミエールとは、フランス語で“光”。
この作品の中に登場する、ベジャール・バレエ団のダンサー達は、まさに舞台の上でキラキラと光輝いています。
しかし、その一方でまた、厳しいレッスンで極限まで追い込まれるダンサー達。
一流ダンサーの中での、さらにトップを極めるダンサー。
その場所をひたすらに目指すダンサー達。
何と険しく、何と容赦の無い、ストイックな世界なのでしょう。
そして、彼らを芸術品に仕立て上げるベジャールもまた、様々な問題に対処しながら、自分の作品を作り上げていきます。
一見テキトーに振付けているようなモダンバレエ。(ベジャールさん、ごめんなさい)
当たり前ですが、その一つ一つはベジャールの中で計算し尽くされた、完璧な動きなんですね。

ダンサー達の磨き上げられた肉体に、ベジャールの作り出した動きが宿った時、作品はこれ以上ないほどの美しさを放ち、私たちは息を潜めてそれに見入る事しか出来なくなるのです。

ダンサー達が、レッスンの合間に見せるふとした表情がとても新鮮で、「みんな普通の若者なんだなぁ・・・」と一気に親近感が沸きます。
日本人ダンサーの姿もポロポロ観られ、意味なく得意げになってしまったりもします。

自分の体の全て、細胞の一つ一つまでもコントロールしようとしているような、若きバレエダンサー達の姿に圧倒され、その上に君臨するベジャールもまた、苦悩の上に作品を作り出している様は興味深く、画面に惹き付けられたままの1時間30分でした。

クラシックバレエの、華やかな舞台美術と華麗な衣装に包まれた、優美な踊りも好きですが、体そのものの美しさを最大の衣装にした、ベジャールのモダンバレエもまた、素晴らしい芸術品ですね。

うっとりとした気持ちで過ごした、秋の一夜でした。
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