『パシフィック・リム』
2013年09月04日

あらすじ・・・
赤い靴はいてた女の子が、異人さんに連れられ行っちゃったのちにロボの操縦士になって怪獣をしばき倒します。
・ ずっと観たかった『パシフィック・リム』を、かなり遅ればせながら映画館の大きなスクリーンで観ることが出来て、本当にしあわせです!
・ デルトロ監督「ここに怪獣映画とロボットアニメと特撮魂があるじゃろ?」
・ 何かのインタビューでどなたかも仰っておられたのですが、幼い頃、超合金のロボットとソフビの怪獣を両手に握り締め、「ヒュー・・・ドーン!ドガーン!ガシャーン!」と夢中になって脳内大決戦を繰り広げていた時の興奮や情熱が、そのままフィルムに焼き付けられたような、非常にあつくるしい映画だったと思いました。
・ 念のために書いておきますが、「あつくるしい」はわたしの中で最上級の褒め言葉です。 だってね、すきなことやモノを語る時、熱くならない方がおかしいじゃないですか。 あつくて、キモくて、なんだったら若干鬱陶しい。そういうものですよ。 わかる、わかるよ!デルトロさん!
・ デルトロさんの脳内というか、自宅にこさえられた趣味部屋を覗かせてもらったような、そんな体験でした。 部屋中に所狭しと飾られたフィギュアや、ギッシリ並べられたビデオにコミック! 娯楽の殿堂! もうね、図々しいの承知で言わせてもらいますけどね、一週間か一ヶ月ぐらい泊まらせてもらいたいですよこの部屋に!勝手に掃除しないから!ね、ね!
・ 無骨さ全開のチェルノ・アルファ、スタイリッシュなストライカー・エウレカ、冷静になって考えると「その三本目の腕・・使いにくいんじゃ・・・」と心配にならずにはいられないクリムゾン・タイフーン、「これってガンキャノn・・」と思わず世帯主さまがつぶやいた郷愁溢れるデザインのコヨーテ・タンゴ、そして胸の真ん中がメラメラ燃えてる感じがいかにも主役っぽいジプシー・デンジャー・・・。 どのロボも身震いするほどかっこいい! 欲を言えば、クリムゾン氏にもっときちんとした見せ場が欲しかったですね。 ていうかね、どのロボも、もっとずっと見ていたかった。 美しすぎて。
・ 一方、対する怪獣軍団はというと、これがまた揃いも揃って名キャラの宝庫でして。
・ サメみたいなやつが超硬いはずのロボの装甲を突き破って見せれば、ゴリラみたいなやつは水中からジャンプしつつ「動けるデブ」さ加減をアピール。 かたつむりのようにツノやヤリを出しているやつなんかに至っては、突然コウモリのような翼をはためかせてジプシー氏を鷲掴んだまま空高く舞い上がるという荒業を披露しますからね! さすがにその瞬間は「うげげっ!」と声が出てしまいましたよね! そっち(空中戦)まで抑えてたかー!
・ そんないかついのやえげつないのが、「出会い頭に殴る蹴る!!」「回り込んでの殴る蹴る!」を繰り返すものですから、ホントもうたまんないですよ。 そして時々「持ち上げて投げる!」なんかも挟んで小休止。 あのね、ロボね、怪獣を海に向かって投げつけてもアカンよ!もっと堅いトコに投げんと! もしくは尖ってるトコか!
・ 車や漁船、人やヘリコプターなどが効果的に使われることで、怪獣の絶望的なまでの大きさやロボの重々しさがこれまでにないほど生々しく描かれており、それはもう、肉弾戦によって傷つき合った双方の傷口から漏れ出す体液や燃料の匂いすら感じさせるほどでしたよ。 とにかくすごい闘いでした。
・ きっと誰でも一度は、物語の主人公になってみたい、と願ったことがあるのではないでしょうか。 いや、「自分の人生の主人公は自分じゃないか」とかそういう意味ではなく、「特別な人」という意味でね。 たとえそれが、命を懸けなければならないような危険な物語であったとしても、どこかそういう「大抜擢」に憧れてしまうトコって、ありませんか。 けれども、わたしたち「その他大勢」にはヒーローになれるような能力など何もない。 ビックリするほど頭がいいわけではないし、運動能力がめちゃくちゃ優れているわけでもない。 出生の秘密に名前を出してはいけない魔法使いが関わっているわけではないし、友人の中に灰色の魔法使いもいない。 他人に負けないような特技も特徴もないわたしたちに、主人公の座は回ってこない。くるわけがない。
・ 本作の主人公・ローリーさんもまた、高学歴でもなくアメフトの代表選手だったわけでもない、「普通」の一般男性でした。 ただ、世界を救うロボットの、非常に独特な操縦方法に対しての適応力があった、それだけ。(あとは、喧嘩じゃ負け知らずだったぐらい) この、「目に見えるようなものではないし、平時なら開花しなかったであろうはずの能力が、実は自分には備わっていた・・!」という、スポットライトの当たり方に、もうとてもとてもグっときてしまったのですよね。
・ 「誰だって主人公になれる。 誰にだって、秘められた力がある。」という大いなる可能性を見せてくれてありがとう、と思ってしまったのですよ。 それはもしかしたら、日常生活で日の目を見ることはないかもしれないけれど、でも、わたしにだって、また気づいていないだけで人に誇れる何かがあるのかもしれない。 そう思うだけでたのしいし、また夢を見ることだって出来るじゃないですか。
・ わたしは、そういう「力」をこの作品から貰いました。 そして、それって映画を観る最高の醍醐味でもあるのではないかと思うのです。 というわけで、わたしは『パシフィック・リム』のことを、一生愛し続けてしまうことでしょう。 いや、もちろんロボとか怪獣とかの造型がたまらん!とかそういうのもありますけどね。
・ ほんとうに、ほんとうにありがとう。 こんなに素敵な映画を作ってくれて、世に送り出してくれてありがとう。 オレもうデルトロさんにとことんついてくよ! (まぁ今までもついてきてたんだけども)
-追記-
・ 先にも書きましたが、ロボの活躍に物足りなさを感じてしまったところや、「地球が滅びるか否かという有事に、世界政府はなにやっとんじゃーい!」という疑問、主人公とストライカーを操縦する鼻っ柱の強い青年とが似た感じのイケメンすぎて紛らわしいところや、「アレ・・?パシフィックってことは大西洋側は意外と大丈夫だったりする・・の・・?」と欧州連合の現状について気になったりもしましたが、その辺りは必ずや制作されるであろう第2作に期待することにします。 お願いだから、デルトロさんを外すようなことだけはしないで・・おねがい・・・
・ 芦田プロすげえよ!!
・ 芦田プロのおびえ泣きが真に迫りすぎて、ホントにカニが食べられなくなっちゃいそうですよ!ま、食べるんだけどね!
・ 正直、芦田プロの印象が強すぎて、大人バージョンを演じていた菊地凛子さんの影が薄く感じてしまいました。
・ とはいえ、アクション映画のヒロインにありがちな「ツンデレ」「男勝り」なキャラクターではなく、闘う時は勇敢に、大人数の前ではおしとやかに、という大和撫子なヒロイン像だった点は新鮮でしたし、脳筋一直線な主人公とのバランスがよくとれていたのではないかと思います。 覗き穴から殿方の裸体を眺めてポっと顔を赤らめる辺りも控えめでよかったですよね。 決して「グヘヘ・・・こいつはたまんねえな・・・」とは言わない!それが乙女というものなのれす!敬礼!
・ 怪獣だいすき博士と数学だいすき博士のコンビかわいすぎだろ!
・ 怪獣だいすき博士が触手にイタズラされなくてよかったです!
・ 怪獣の脳とドリフトした博士の中で過去の記憶がフラッシュバックした際、地球防衛軍のヘルメットみたいなのをかぶった少年たちの姿があったような気がするのですが、あれは博士が幼少期ウルトラマンにはまってたってことなのでしょうか。 てことは、『パシフィック・リム』の世界には円谷プロが存在していたのか?!
・ 冒頭、画面いっぱいに宇宙が広がったと思いきや、その星のまたたきが深海でゆらめくマリンスノーだったことがわかる瞬間、もう既にこの映画と恋に落ちてしまっていたわたしですよ。 宇宙と深海って、どこか似ているのですよね。 未知の領域すぎるところも、生命にとって過酷すぎる環境であるところも。 だからどっちもすきだし、そのふたつが「ドリフト」しちゃう展開とかホントもうたまらんすわ!
・ あと、ネジとか金属部品とかも大好物なので、ロボがセッティングされる時の「ウイーン・・ガシャーン」とか、スーツの背中にボルトを「キュルルル」と留めるくだりだけでもう白飯三杯いけそうでしたよね。 メカたまらん!分解してみたい!!(「たまらん」ばっか言ってるなぁ)
・ もしもこの先、重い荷物を運ぶときや困難なことに直面した時、ロボの中で手足を重そうな金具に装着して「えんやこらー!」と一歩踏み出すイェーガーパイロットさんたちの姿を思い浮かべれば、がんばれそうな気がします。 『パシフィック・リム』よ!沢山の勇気や夢をありがとう!

