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『ベルヴィル・ランデブー』

2006年09月12日
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あらすじ・・・
小さな家に2人きりで住む、内気な孫とおばあちゃんがおりました。
孫の喜ぶ姿が見たくて、色々なプレゼントを送るおばあちゃんですが、孫のシャンピオンは反応しません。
そんなある日、シャンピオンが自転車にだけは並々ならぬ興味を抱いている事を知ったおばあちゃん。
早速自転車を買い与えると、初めて目を輝かせるシャンピオン。

十数年が経ち、自転車に全てを捧げる人生を歩んで来た2人。
ツール・ド・フランスだけに焦点を絞った、過酷なまでにストイックな生活を送っています。
そして、大会当日。
シャンピオンは、練習の甲斐も無くかなり出遅れていました。
そんな孫の後をピッタリとマークするおばあちゃん。
レースは、最大の難所である急勾配の山道に差し掛かり、次々と脱落者が出始めます。
そんな中を、黙々と進むシャンピオン。
しかし、そんな選手達を怪しい目線で見ている、黒服の男がいました。

男は、おばあちゃんが同乗していた救護車をパンクさせ、偽の救護車で脱落した選手達を回収してゆきます。
何とその中には、力及ばずリタイアしたシャンピオンまでもが・・・。

愛する孫が、謎の男達に拉致された事に気付いたおばあちゃんは、シャンピオンが乗せられた船を追って、愛犬ブルーノと共に、小さなボートでどこまでも進みます。
高波の中も。
嵐の中も。

そして、彼らが辿り着いた場所、それはベルヴィル。
活気に溢れ、高いビルが立ち並ぶ都会・ベルヴィルには、その昔おばあちゃんが幼いシャンピオンと一緒に楽しみにしていたテレビ・ショー 『ベルヴィルの三姉妹』のステージがありました。
しかしそのステージも、今ではすっかりマフィアの隠れた楽しみの場に成り代わっていたのでした。

大都会で孫を見失ってしまったおばあちゃんは、お金も無く、途方に暮れていた時、ある3人の女性と知り合います。
その3人組こそ、あの『ベルヴィルの三姉妹』。
今ではすっかり年老いて、貧乏な生活を送っている三姉妹でしたが、素晴らしい歌声は今でも健在。
意外にも音楽の才能に恵まれていたおばあちゃんと、すっかり意気投合した三姉妹。

そんな三姉妹と共に、バーのステージに立っていたおばあちゃんは、ある日ついに、シャンピオンの居場所を知る事になるのですが・・・。
おばあちゃんは無事に、シャンピオンを取り戻すことが出来るのでしょうか?



正直言って、このアニメに出てくる登場人物は、余り愛嬌がありません。
それは特に、孫のシャンピオンなのですが、彼が持っているのは過剰にデフォルメされた顔の異様に尖った鼻や、くぼんだ目や、鶏がらのような体と、それに不釣合いな発達した太ももなどなど、可愛くも無ければハンサムでもない、きわめてグロテスクな風貌なのですよね。
その上無表情で無感情。 目に浮かぶのは生気の無い死んだ魚のような虚ろな色。
感情移入されることを拒んでいるかのようなシャンピオンのキャラクターは余りに不気味で、その点だけでもこの作品から脱落する方がいるかもしれません。

物語はというと、これまたなかなか予想外で、映画の冒頭ジャジーな主題歌をクールに歌って踊っていた「三姉妹」のシーンが、実はテレビの中の映像だったことが伝えられると、次に続くのは、余りにもトーンの違う「おばあちゃんと孫の現実世界」。
陰気で惨めで明るさの欠片も無い2人の暮らしは、観ていて決して気分が晴れるような物ではありません。
見るからに貧しい生活を送る、年寄りと無表情な青年。
それにブサイクな犬。
主役の2人のセリフは全く無く、ゆったりとした物語が静かに静かに進みますので、おそらくはここで脱落する方もいるかもしれません。

舞台がベルヴィルに移ってからは、若干テンポが変わりますが、かつて華やかなステージを踏んでいた三姉妹はオンボロアパートで貧しい暮らしを送っていますし、シャンピオンは相変わらず無表情。
物語が劇的な展開を迎えることを期待しても、それが訪れるのは最後の最後になってからです。

しかし、愛する孫を取り戻す、おばあちゃんの大冒険的なノリを期待していたらかなり手痛い仕打ちにあう今作ですが、何故か私は、その仕打ちすらいとおしく思えたのですよね。
所々に現れる、素晴らしい音楽もその理由ですが、やはり一番の要因はおばあちゃん!!
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(まるっこい!ちびっこい!メガネの度がすごい!) 


愛想の無い孫を、一途に想い、守り続けるおばあちゃん。
その愛らしい姿や、思いがけず見せる抜群の音楽センス。
何もかも最高です!
おばあちゃんとカルテットを組む事になる、ベルヴィルの三姉妹もクールなのですが、やはり一番クールなのはおばあちゃんなのではないでしょうかね。
おばあちゃんの無上の愛情が観客にしっかり伝わって来るお陰で、シャンピオンの無表情さの下に隠れるおばあちゃんへの信頼や愛を読み取る事が出来る。

押し付けがましい感動は、そこにはありません。
しかし、確かな家族の絆が、そこらじゅうに溢れている事を、見逃さないで欲しいのです。

あ! それと、観終った後にはサントラが欲しくなる事請け合いですよ!


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