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『キャビン』

2013年03月18日
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(※さっそくですが、以下ネタバレ感想です。予備知識の無い状態でご覧いただくのがいちばんたのしいタイプの映画ですので、出来れば鑑賞後にお読みいただければ、と思います。)


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(※ 人には本来グラン・ギニョール的なモノに惹かれる性質が・・ っていうかストレスや鬱憤の解消・・ っていうか業界人のメシのタネ・・ っていうか、まぁ、ようするに「やあねー」って言われる類のアレですよ!オレらがだいすきなアレ!)

あらすじ・・・
真面目なデイナ、即席ブロンドのジュールス、脳筋アメフト部のカート、知的アメフト部のホールデン、そして共通の友人マーティの大学生5人組は、週末を開放的な気分で過ごすため、カートのいとこが保有しているという山荘へと向かう。 
道中、怪しいヒッチハイカーに呼び止め・・・ られはしなかったものの、胡散臭そうなガソリンスタンドで教えられた道はなんと間違い・・・ ってコトもなく、無事目的地へと到着した5人。
早速山荘に入ってみると、そこには謎の模様が刻印された立方体・・・ はなく、見知らぬ若者二人組が卵を借りに・・・ 来ることもなかったので、安心した一行は水着に着替え湖へ。
しかし、湖に飛び込んだ瞬間、おそろしい形状をした藻の塊のようなものがこちらへ・・・こなかったかわりに、水中からヒレのついた手が・・・ 伸びてくることもなく、楽しいひとときを満喫したのであった。
夜になり、山荘の中でおいしいお酒の時間をたのしむ一行。 
そんな彼らの姿を、暗闇の中から醜く歪んだミュータントの瞳があやしく見つめ・・・ ない。
マスクをつけた殺人鬼の魔の手がのび・・・ ない。
満月の光を浴びたカートの身体から獣の毛がのびはじめ・・・ ない。
まったりとした空気が流れたその時、突如地下室への扉が大きな音と共に跳ね上がる。
恐る恐る階段をおりたデイナの目に飛び込んできたのは、埃をかぶった一冊の本。
そう・・・!それこそは死者の書ことネクロノミコンだったので・・・ はなかったんだけど・・・ なんというか・・ある意味ネクロノミコンっていうか・・・ ・・ええと・・・まぁ、ぶっちゃけ女の子の日記だったんだけど・・ いちおう禍々しさではまけないっていうか・・ ・・・ラテン語も書いてあったし・・・ ・・うん・・
・・ おい! 本題はよ!



・ あとは延々本題です。

・ 上記にあるように、定石通りのストーリーがわかりやすくキャラ設定されたメンツと共に繰り広げられますが、一方その裏では「えー だってさー、ひとがやる事なのにどうしていっつもこっつも予定調和な世界なのー?ひゃくにんいればひゃくとおりになるんじゃないのー?おかしくね?」と冷静につっこんじゃうタイプの人も思わず心のガッテンボタンを連打したくなるような、「斬新な言い訳」が同時進行で描かれており、実はそちらが真のあらすじである、というからくりな訳で。

・ とは言っても、「実はすべては謎の組織が死後の世界の様子を知るためにセッティングした生き地獄だった」とか「実はリアリティ・ショーだった」とか「お金持ちクラブの賭けの対象だった」とか、そういう既視感あふれるアレではなく、もっと新鮮かつもっと大きな風呂敷が部屋いっぱいに広げられます。 

・ そう、実は「この『キャビン』という物語の世界には、人類を滅ぼすほどの巨大な力を持つかいぶつ(通称・古きものども)が存在しており、ソレを鎮めさせておく為、若者たちは定期的にホラー映画的なシチュエーション下で殺されてゆくなければならなかった」のです。

・ ね! でっかいでしょ!

・ ではここで、渦中のひと・【古きものども】さんのお話を伺ってみましょう。 
「うーん、そうねぇ、自分で殺したいってわけでもないんだよね。見せてくれさえすれば、もうそれだけでいいよ!って。オレはそう言ったんだ。」 「ただね、見せるならキチンとしたものを見せてくださいよ、って。 処女ばかりでもダメ、リア充ばかりでもダメ、邪悪な霊を成仏させちゃダメ、わるものを退治するのもダメ。 例外なく死ななきゃダメですよって。処女以外は。」  「でもさぁ、最近ちょっと死ににくくなったよね。知恵がついたっていうか慣れちゃったっていうか。ホント、オレはもうおかんむりなわけよ!」 「なんか意味のない拷問トラップとかさぁ!さあ・・ゲームをはじめよう・・!みたいなのとか・・・飽き飽きだよ!」 「ということで、今度希望が感じられる終わり方したら、もうゆるさないからね。全力で行くんでそこんトコよろしく!」

・ 「見るだけでオッケー!」って言っときながら「しくじったら人類皆殺しな!」とかさぁ! おおらかなのかせっかちなのかどっちかにしてよね!マジで! このお客さんはなかなかどうしてワガママな御仁やで!

・ という事で、世界を救うべく設立された秘密組織の職員さんたちは、日夜【古きものども】さんの逆鱗に触れないよう気をつけながら「人殺し」の仕事をセッティングし、世界各国で最高のショーを製作しているのでした。

・ 若者たちを定番ストーリーへと導くため、監視カメラで動向を注視する職員さん。 彼らがからくりに気づきそうになればクスリで朦朧とさせ、おっぱいを出すことを躊躇いそうならフェロモンを散布し、無事惨殺されれば歓喜の声をあげる。 人の死は彼らにとってメシのタネ。 日々の幸せを支える大事なお仕事。

・ で、まぁ、もう見たまんまなのですが、劇中の役割はそのまま現実にも当てはめることができまして、要するに職員さんは「映画製作者」で、その上にデデーンと存在しているおそろしい怪物の名は「おきゃくさま」なわけですよね。


・ ホラーすきなあなたにお尋ねしますが、「人が死ぬ映画を観て喜ぶなんて、わたしはどこかおかしいのではないだろうか」と思ったことはありませんか? 私は数え切れないほどあります。 

・ とにかく物心ついた頃からホラー映画がすきでした。 両親もきょうだいもホラー映画に関心はありません。 きっと、いえ、確実に、わたしはどこかがヘンなのでしょう。 「臓物がズロローン!ウェーイ!」なんていうわたしはおかしいのです。 「作り物だからいいんだよ」とか「だってホラー嫌いな人だってニュース番組で猟奇殺人扱ってたらつい関心もっちゃうでしょ。人間ってもともとそういうものなんだよ」とか色々取り繕ったトコロで、「臓物ウェーイ!」の言い訳にはならない。 だけど、うまく説明出来ないけれど、おかしくてもいいよね、と思うのですよ。

・ 倫理的にダメだし、すきで観ている割には不快な気持ちになることもあるし、時々真人間に戻ってハっとなることもあるけれど、やっぱりやめられない。 私にとってホラーは、ファンタジーを好む気持ちに近い「ここではない世界」という感覚で摂取してしまうものなのです。 あと、もしかしたら心のどこかで「いびつなホラーキャラクター」に共感してしまっている瞬間もあるもかもしれませんね。 彼らが持つ劣等感や孤独に惹かれ、気づいたら応援してしまっている・・・なんてことも多々ありますし。

・ ちょっと話が逸れましたが、ともかく『キャビン』の世界と同じように、この世の中には「なにはともあれ血飛沫とおっぱいがすき!」という私たちがいて、その欲求に応えるべく試行錯誤してくれる映画製作者の皆さんがいます。 彼らは私たちの「もっと!もっと!」という声や「ちょっと最近のホラーは違うんだよね・・なんかこう・・・ゲーム感覚でさぁ・・」という批判をドンと受け止め、さらに斜め上をゆく奇想天外なアイデアを生み出してくれます。 需要に応え続けなくてはならないという一念で。 「この世界」を守らないといけないという一心で。 

・ で、皮肉なことに、そこまでして必死に作り上げ守ってきた「(ホラー愛好者の)世界」なんて、しょせんこの大きな現実世界ではほんの一部にすぎなくて、しかもけっこうな確率で眉をひそめられるような存在だということなのですよね。 ホント、ちっちゃいもんですよ。 気になる方は一度レンタル屋さんのホラーコーナーを覗いてみてくださいよ。 日に日にスペース減少してますから。 

・ 『キャビン』の世界の秘密組織職員さんたちが世界の崩壊を阻止しようとふんばる姿を観れば観るほど、なんだかせつない気持ちになってしまいました。 あのね、その「世界」なんて、無くなったトコロでわたしたち以外のみんなはさほど困らないんだよ、と。 【古きものども】さんは困るだろうけど、それ以外のひとたちは困らないの。 もしかしたら、健全になってよかったね!って喜ばれるかもしれないぐらいで。

・ でも、だからこそ、わたしは踏みこたえたい。 このちっぽけな「世界」を愛したい。 いいじゃない、それっぽっちのたのしみぐらい。 「嬉々として作ってる製作者のモラルが問われる」? いいじゃない、虚構の世界なんだから。 オレたちの世界ぐらい、オレたちのすきなようにみせてくれよ!たのむから!

・ あのラストシーンは、そんな我々の心の叫びを代弁していたのではないか。(だから【古きものども】なのにタコでも鉤爪でもなかったのではないか) そんな気がして、ちょっと胸が熱くなってしまったアガサなのでした。 見よ!空高く突き上げられたあの拳は、オレたちの拳だ!

・ なにはともあれ、前半の定番ホラーシチュエーションから後半の大虐殺までさいこうに次ぐさいこうの連続でしたよ。 入れ子式な構造も、ド頭から打ち明けてしまっているにも関わらず、全く物語の緊張感を削ぐことなどなく、むしろ期待感を増加させる役割を果たしていたと思います。 クライマックスの「ワクワクいきもの図鑑」的な展開に於きましては、たのしすぎてあのエレベーターの「チン」という音をメールの着信音にしたいぐらいの気持ちになりました。 ありがとう・・・いい・・薬です・・・!(←特に意味はない)

・ あのセノバイトっぽいおっちゃんかっこよすぎだよ! ハリウッドのえらいひとはつぶれ甘食みたいだった『ヘルレイザー:レベレーション』なんかさっさとリブートしちゃえばいいと思うよ・・・ このおっちゃんを主役にしてさ!
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(※ ちょっと3作目に出てきたCDの人と被っちゃってるケド・・・ ま、問題ないか!)

・ 「いきもの地球紀行」(←名前にこだわりはない)の他のメンバーも、どこかでお会いしたことがあるような方ばかり・・・。 アガサが気づいたトコロでは、『死霊のはらわた』の木さんとか『it』のペニーワイズさんとか『シャイニング』の双子ちゃんとかアナコンダとか『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』のお面の人とか、あとは古き良きモンスターとか狼男とかゴブリンとかゾンビとか・・・。 嗚呼・・これはぜひ、DVDでコマ送りしながらひとりずつチェックしてみたいトコロですね。

・ あとね、これちょっと気になったのですけども、そもそも「『キャビン』の世界」にホラー映画は存在していたのでしょうかねぇ。 秘密組織がお膳立てしていた「いかにも」なシチュエーションは、【古きものども】さんから直々のお達しがあって練り上げられた内容なのか、それとも秘密組織のみんなのアイディアの賜物なのか、はたまた「ホラー映画」というものがあって、その設定を模倣して作られたのか・・・。 もしそうなのだったとしたら、「マリファナでいい気分な登場人物」に関する調査が全然足りてないよね! あいつらホラー映画で定番じゃん! マリファナの効果と薬に対する作用ぐらい確認しとこうよ!

・ いやね、あきらかに「二番煎じ」みたいなモンスターばかりでしたから、きっと「ホラー映画が存在する世界」なのだろうなぁ・・とは思うのですよ。 でも、でも、てことは【古きものども】さん用のなまいたショーは「虚構」の模倣なのか。 どっちが先なの? ホラーなの? 現実なの? モンスターは天然モノなの?養殖モノなの?現実にも存在するの?(という設定の世界なの?)

・ まぁ、ココはこだわらなくていいトコなんでしょうけどね。 ホントのトコロは、あの「『キャビン』の世界」では、どちらが先かはさておき常に「現実」と「虚構」が追いかけっこをしているような状態なのかもしれません。 「私たちの現実」がそうであるように。

・ あ、それと、日本の職員たちが仕組んだ「定番ホラー」がなんだかよくわからない少女の霊だった点もね、ぼくは声を大にして異議を唱えたいですね! ビジュアル的にはハリウッド版貞子(サマラちゃん)っぽかったので、『リング』をイメージしていたのかもしれませんが、そこはね、できれば『呪怨』で行って頂きたかったです!

・ 『呪怨』ならさー、家一軒セッティングすればいいだけだしさー、若者だって誘い放題だしさー、伽椰子たん、なかなか成仏しないタイプだしさー、絶対いいと思うんだよねー。秘密組織の側で考えたら。

・ 「どんぐりコロコロどんぶりこー」 で成仏しちゃったら、織田無道はおまんまの食い上げだよ~!(もうとっくに食い上げてるのか)

・ 以上、色々書きましたが 「映画製作者のみなさん、とてもおもしろい映画を作ってくれてありがとう!」とお礼の気持ちを記して感想を終わりにしたいと思います。 そしてこれからもよろしくおねがいします!



・ うっかり書き忘れてましたが、シガニー・ウィーバーさんはやっぱええ人やで!!(※ あの役はジェイミー・リー・カーティスさんでもおもしろかっただろうな・・)

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