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『ムカデ人間2』

2013年02月13日
ムカデ
(これだけ釘を刺されても尚観ようだなんて、あなたよっぽどですよね!)(※と言われているような気持ちになれます)(※レジで)


(※ 以下盛大にネタバレしています)


あらすじ・・・
【ムカデ人間2】あらため【第2回雑仕上げ王選手権】まとめ

雑ポイント・その1「暮らしぶりが雑」・・・主人公の青年がベッドの上で寝便!
もよおしたら、迷わずおべんじょへ! そりゃおかあさんもがっかりするわ!

雑ポイント・その2「計画が雑」・・・だいすきな『ムカデ人間』を再現したい!よし、どうせだから12人つなげよう!
雑! 多けりゃいいっていう考え方がとても雑!

雑ポイント・その3「チョイスが雑」・・・勤め先の駐車場内で手当たりしだいさくさく捕獲!男も女も妊婦さんもなんでもアリ!
あとあとつながないといけないってこと、少しは考えてますか・・・妊婦さんが産気づくと結構大変なんやで・・・

雑ポイント・その4「さらい方が雑」・・・銃で足を撃つ事で行動を制限させたら、いっきにバールのようなもので頭部を殴打!噴き出す血!消えゆく意識!
そのまま命まで消えゆく可能性大!

雑ポイント・その5「お片づけが雑」・・・気絶したムカデ候補生を自家用車に積み込んで作業終了!
駐車場に残したまんまの血痕とか被害者の車とか、そういう関連のやつはもう気にしない!

雑ポイント・その6「作業場の契約方法が雑」・・・大勢の人を連れ込んで外科的な処置を行なってもご近所さんに通報されない場所、ということで小汚い倉庫を契約。ていうか家主さんを殺すことで(脳内で)契約完了。
割とすぐ捜索願いとか出される感じの人じゃないですか。「あれ?家主さんどこいった?」「あーそういえば賃借人と倉庫の下見に行くっていってたよ」「なに!」みたいな。あと、家主さんの車置きっぱなしなのも雑ポイント高し。

雑ポイント・その7「繋ぎ方が雑」・・・覚えるほど観た『ムカデ人間』のハイター博士の施術を見よう見まねで再現してみるも、外科的なさじ加減が全くわからずムカデ候補生は死亡。しょうがないので残りの候補生の口とおしりをホッチキスでくっつけて、あとはもうビニールテープでぐるぐる巻きだ!とにかく固定さえしとけばなんとかなるさ!
ビニールテープってさぁ・・・水分つくと剥がれるよね・・・うん・・・・固定・・ホントにできますか・・?

雑ポイント・その8「術後のフォロ-が雑」・・・麻酔薬の代わりにバールのようなもので一撃とか、膝にカッターナイフで切り込みを入れてそこから神経みたいなの引っ張り出してハサミでぶったぎるとか、かなり大胆な外傷を与えてきたのに、抗生物質の類は一切なし。 食事はドックフード的な缶詰。 それが拒否されるっていうんなら、ホースのついた漏斗を口からグイグイ押し込んでスープでも流し込んどけ!
ハイター博士と違って、医術のイロハも知らない素人さんな訳ですから。ある程度の雑仕上げは覚悟しておりましたが。 もはや雑の範疇を越えたよね。ただのヤケクソだよね。排便プレイにご執心なだけにね。クソだよね。

雑ポイント・その9「後始末が雑」・・・行き当たりばったりにも程があるムカデ人間プロジェクトは、予想通りわずか1日足らずで頓挫。 雑につっくけた繋ぎ目もちぎれ、逃げ場を探してさ迷い始めるムカデ人間たち。 どうする、マーティンくん!元気そうな人だけ残して、もっかいつないでみるか?!
思い通りにならないパーツなんて、自分をがっかりさせるだけのパーツなんて、もういらない! とばかりに全員殺処分。 おまえはホントさいごまで雑な男だな!

雑ポイント・その10「夢の叶え方が雑」・・・クソみたいな毎日を忘れさせてくれた名作『ムカデ人間』。 知性、男前な容姿、決断力、実行力の全てを兼ね備えた、人生の師とも言えるハイター博士。 自分も、彼のように人々を支配したい。 そして、でっかいムカデ人間を作りたい。 それはしょせん、儚い夢なのか・・・。 いや、夢ではない。 夢を夢で終わらせはしない。 なぜなら、夢は、心の底からねがえば、必ず叶うのだから・・・!
・・・って思ってたらホントに夢だった! おい!シックス!あとで職員室こい!

【結論・今回の雑仕上げ王 トム・シックス監督】


はい、というわけで世紀の不謹慎映画『ムカデ人間』の続編、『ムカデ人間2』を観ましたよ。
血糊も排泄物も前作を遥かに上回る量となっており、シックスさんのあまりの熱意に、心の奥底にあるはずの「正気」が焼き尽くされ灰になるような、そんな魂の1本となっておりました。 まぁもちろん、良識ある人は絶対観ちゃダメなタイプのアレですけどね!

今回の見所はなんといっても主人公マーティンさんを演じるローレンス・R・ハーヴィーさん。
画面に登場した瞬間、「woo...」と重々しいため息を漏らさずにはいられない濃密フェイス。
くまのプーさんを思わせるような、丸みを帯びたボディ。
かろうじて臀部にひっかかっているだけのパンツと、そこから顔をのぞかせた割れ目で観る者を(いろんな意味で)ノックアウト。

マーチンくん_convert_20130212230725 プーさん_convert_20130212230758
(うまれてはじめて、「ああ・・プーさんってホントに居たらちょっと引くかも・・・」と思いました。)


夢を叶えようとがんばったけど、現実は意外ときびしくて、マーティンくんの計画は脆くも崩れ去ってしまった・・・ ・・と思ったらまさかの夢オチでした。 ビックリしたなあ、もう!
しかし、全てが夢だったのだ、と思えば、全編通して感じられた不自然さもしっくり来る。というか収まる場所にパチっと収まるのが憎いトコロ。

あまりに無鉄砲な捕獲大作戦。
ターゲットになりそうな人間は次から次へとやってくるものの、彼らを探そうとする人間(警察や管理会社を含め)が一切現れない駐車場。
床に飛び散った血飛沫も、車の中に残した幼い子どもも完全放置だけれど、誰にも見つからないし、誰にも咎められない。なぜなら、そこは夢の中だから。

この「夢の中」には、マーティンくんが現実世界で目にし、さまざまな感情を掻き立てられてきたであろう人々が次々と登場するのですが、そこには「ただ無残に命を奪われる人」と「ムカデ人間のパーツとしてハントされる人」という線引きがありまして。
無計画に見えたムカデ大作戦ですが、闇雲につなげようとしていた訳ではなかったように感じたのですよね。
では、彼らを分けていた違いとは一体何だったのか。
アガサは、「パーツにされた人々のキャラクターはそのままマーティンくんの心の中を象徴していた」のではないかと思いました。
男の性欲を満たしてくれる便利な女は、マーティンくんが欲しているもの。 
暴力的なマッチョ男は、マーティンくんがなりたくてなれないもの。
カップルは、マーティンくんの妬みの対象。
お高くとまったモデル体型の女性は、マーティンくんを嘲笑う(とマーティンくんが思い込んでいる)憎しみの対象。
『ムカデ人間』出演女優は、マーティンくんの憧れ。
お腹に赤ちゃんを宿す母親は、マーティンくんが実母へ抱く「こんな風ならいいのに」という希望と「どうせこんなもんなんだろ」という軽蔑。
色々な感情は入り混じっていますが、根底にあるのは「ほしい」「こうなりたい」という欲求だったのではないでしょうか。
ムカデ人間は、文字通りマーティンくんの「夢」だったのです。


物語終盤、妊婦さんに関して、とても酷くて、正視に耐えないようなシーンがありました。
アガサは、子どもや赤ちゃんが殺される姿をそのまま描く、という事が、たとえ映画という作り物の世界であってもどうしても受け入れられない性格なので、このシーンは本当にショックで、「こんな展開があるって知ってたら観なかったのに・・」とさえ思ってしまいました。
しかし、直接描写は依然受け入れられないものの、そのシーンが伝えようとしているものは、「すべてが夢」とわかった瞬間受け入れられたような気がしたのです。
「車に閉じこもって手出しができない母親」は「自分を拒絶する母親」。
「産まれ出た事を祝福されなかった赤ちゃん」は「愛情を注がれなかった自分」。
「無残に踏みつけられた赤ちゃん」は「実の父親からの性的虐待を母親に見てみぬふりされ、あまつさえ刺し殺されそうになった自分」。
死んでしまった赤ちゃんは、誰にも救ってもらえず心を殺されたままで生きてきたマーティンくんの絶望、そのものだったのではないでしょうか。
そう考えると、あれは残酷であればあるほどマーティンくんの痛ましさを引き立てる、という非常に秀逸な表現方法だったのかもしれません。
ま、だからといって、やはりそれを「直接描く」という必要は感じられませんでしたけどね。そこはね、間接表現でも充分伝わると思うんだ。ぼくはね。

マーティンくんが現実の生活の中でストレスに感じているものと、思うままに行動できる無敵のパワーが混在する夢の世界。
その中でマーティンくんは、壊しに壊し、繋げるだけ繋ぎ、「子ども」だけは慈しみ、人生を支配しようとしました。 自分自身の人生を。
夢から醒めた時、マーティンくんの脳裏に浮かんだのは、安堵だったのでしょうか?それとも失望だったのでしょうか?

彼の耳の奥では、今もなお赤ちゃんの泣き声が響いています。
赤ちゃんを、自分自身を救うため。
立ち上がったマーティンくんは再びムカデの夢を見るのか、それとも夢のような現実を完成させるのか。 
そのつづきは、私の夢の中で繰り広げられるのかもしれません。
ていうか、夢に出るわ!今晩オレは悪夢にうなされる自信があるよ! よいこのみんなは観ちゃダメ、ぜったい!


― 追記 ―

・ 聞くところによると、次回第3弾は1作目のハイター博士と本作のマーティンくん(の中の人)が再登板して、ムカデのパーツ数も500人を超える予定なんだとか。 ま た も や 雑 な 仕 上 げ に な り そ う な 予 感 ・ ・ ・ !!

・ マーティンくんは出オチみたいな顔をしているのに、初見の印象が薄れる事無く最後まで新鮮な気持ちで「うへえ」と感じられたのがすごいと思います。 おなかが出っ張りすぎて、パンツを穿いているのか脱いでいるのかパッと見判断つかない辺りも謎めいてグー! 途中なんかずっと裸に白衣なんだと思ってましたからね。どこのオンデマンドやねん。

・ 紙ヤスリを使った自慰行為、通称ヤスニー誕生。 人の探究心に限界はないのか・・・神よ・・・!

・ そんなんやってるから血尿が出るんだよ!ばーか!おまえばーか!

・ マーティンにバールのようなものでフルボッコにされ、頭がへしゃげてしまったおかあさん。 ぐっしゃりと潰れた頭蓋骨の隙間から向こうの景色が見える粋なカットに心震えました。これ!この作り物感ですよ! トム・サビーニ精神を感じたね!ぼかあ!

・ 「喋ることができないのではなく喋らない」という主人公の心象を、「ウーウー」「ダアダア」「ブrrrrr」という喃語(なんご)だけで表現しきったローレンス・R・ハーヴィーさんは、すごく演技力の高い役者さんなのではないか、と思います。 

・ 喃語に地団駄ふみに癇癪に寝便。 そう、マーティンくんはやはり赤ちゃんだったのだ。 幼い頃に負った心の傷によって、成長を止めてしまった赤ちゃんだったのだ。 そっかー、そうですよねー、伊達にオムツ姿が超似合いそうなビジュアルをしてるわけじゃないや!

・ それにしても、マーティンくんの雑仕上げっぷりを観ていると、前作のハイターさんがスーパードクターみたいに見えてくるんだから、にんげんのはんだんりょくってもろいものですよね! あたまのおかしいおいしゃさんにしか見えなかったはずなのに! 今や「神の手」!



前作の感想・・・『ムカデ人間』(1作目)

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