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『この子の七つのお祝いに』

2012年11月26日
この子の七つの

あらすじ・・・
マンションの一室で、ひとりの女性の惨殺死体が発見される。
彼女は、次期首相候補と噂される大物議員の私設秘書・秦一毅の邸宅で家政婦をしていたものの、つい先日解雇されたばかりだった。
ルポライターの母田耕一は、政界を影で操っていると評判の女占い師・青蛾がこの事件に一枚噛んでいると推理。
後輩の雑誌記者・須藤と共に青蛾の正体を追うのだが・・・。



(※ 以下ネタバレです)

・ 「トラウマ映画」として名高い増村保造監督の傑作『この子の七つのお祝いに』を観ました。何を隠そう初見です。(別に隠してないけど)

・ 代名詞の如くつきまとう「岩下志麻のセーラー服姿」もさることながら、本作の見所はなんといっても岸田今日子。 岸田今日子先生渾身のジト目なのであります。 

・ 家族で渡った北京で両親を亡くし、一人ぼっちだった岸田今日子先生。 そんな最中、上海の軍事工場に勤めていたものの終戦で職を失い、さらに戦犯者として追われる身であった高橋佳哉(芦田伸介さん)と出会い、強制収容所送りにならない為結婚。 日本へ送還されたのち女児を出産。親子三人幸せな生活を送っていたのですが、ある日愛する愛娘がネズミに齧られて死んでしまいます

・ ネズミに齧られて死んでしまいます。 

うわあ

・ 哀しみの余り精神を病んでしまう岸田今日子先生。 一方、酒に溺れていた夫は、民家の軒下で元嫁に再会。実は彼は上海に行く直前、別の女性と婚姻関係を結んでいたのです。 こわれゆく妻を見捨て、元嫁のおうちに転がり込んだ芦田伸介さんは、彼女との間にちゃっかり子どもまでもうけ、巨額な手切れ金と共に先生に離別を宣言。 奥さん、この人鬼でっせ!

・ 何もかもをうしなった岸田今日子先生は、鬼の居ぬ間に赤ちゃんを誘拐。 ネズミ用語でいう所のチュウされた娘の名前をつけ、我が子として育てることを決意するのでした。 ネズミ用語のくだりについてはあまり気にしないでください。

・ そしてここから怒涛の「岸田今日子式英才教育熟」がスタート!

・ 手切れ金があったのでお金には苦労していなかったはずなのに、食費を切り詰めては「うちがこんなにまずしいのはおとうさんが私たちを捨てたからなのよ~」と貧乏アピールする今日子先生。 恨みつらみの一歩は食い物から、ですよね先生!

・ ひもじさで子どもの思考力を低下させたら、次は「おかあさんは体が超弱いんだけどそんなかわいそうなおかあさんを捨てて出て行ったおとうさんの事をアナタどう思いますか~」と病弱アピール。 ホントに病気なのはあなたの心、ですよね先生!ホントは毎食どんぶりめし3杯いけるクチですよね!

・ そして毎晩就寝前になると、一枚の布団に親子でぎっちり入り込む今日子先生。 齢6歳の少女相手に、鼻息のかかる距離での「この子の七つのお祝いに」独唱です!
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( ※ イ メ ー ジ 図 )

・ 本作で娘役を演じていた子役さん、正直演技の面では「おかあさーん、おかあさーん、うえーんうえーん」レベルでからきしでしたが、あの至近距離で今日子先生に「いきはよいよいかえりはこわい~」とウタわれて、よくぞ正気を保てたな、と。 なかなかどうして、相当肝の据わったお子様だと思いますよ!

・ 最後の仕上げとして、娘が7歳の誕生日を迎えた朝、手首と喉元を掻っ切って自害する今日子先生。 朝起きたらおふとんが(粗相以外の意味で)びちょびちょだった時の子どもの気持ち、わかりますか?  しかも子どもにはとっておきの振袖を着せておくという念の入よう。 「おまえは二度と振袖を着て何かを祝うような気持ちにはなれないでしょう・・それもこれもぜんぶおとうさんが私たちを捨てたから~」と一生消えないトラウマを植え付けてフィニッシュです。 

・ かくして立派なPTSD患者となった娘は、おとうさんの身元に繋がる唯一の物証である「手形」を徹底的に研究。 類まれなる手相鑑定のスキルを駆使し、復讐という名の代理戦争へとその身を投ずるのでありました。 嗚呼、居た堪れない。 しかも本当の親子ならまだしも、今日子先生は憎い相手の子をさらい、その子を洗脳して実父を殺させるのですから、なんというか、二度手間なわけですよ! もうさー!直接やりゃいいじゃん! しかし「親子共々地獄へ一直線」がモットーなのだからしょうがありませんね。 いいかよく聞け!今日子先生の辞書に「ほどほど」という四文字は無いぞ! 

・ 『キャリー』の母親よりもおっかなく、『ブラック・スワン』の母親よりも哀しい、岸田今日子演じる「母・真弓」。 彼女をそこまで追い詰めてしまったのは自分だ、と、ものすごくあっけなく告白してうなだれる父・高橋佳哉の姿が無性に虚しく、その場に居ない母に尚すがるしかない娘(岩下志麻)が不憫でなりませんでした。 いや、不憫なんて言葉じゃ片付けられない。 今日子先生の亡霊に取り憑かれ、愛する人まで手にかけてしまった娘は、この先一体どうやって生きてゆけばいいのか。 母が残した「業」の呪縛はあまりに深い・・・。

・ 早い段階で「岩下志麻意外に犯人が考えられない」状態になる(というか出てきた瞬間「あー」ってなる)為、ハラハラドキドキ感はあまり無いものの、圧倒的オーラを放つ志麻姐さんのドスの効いた「おがあざん・・おがあざん・・ぐら゛いよ゛・・・ごわ゛いよ゛・・・」という叫びに震え、岸田今日子さんのじっとりとした眼差しに射抜かれるという、とても心地よい2時間弱でした。 豪華俳優陣の色気ある演技も素晴らしかったですよ!


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