『パラノーマル・アクティビティ4』
2012年11月01日

パラノーマル姉妹を知っていますか?
姉のケイティと妹クリスティで構成されたこの姉妹ユニットは、幼い頃から山羊爪系悪魔と縁深い人生を送る、ホームビデオ界のスーパーアイドルです。
そんな彼女たちの活躍が始まったのは、今を遡ること4年前。
たった1万5千ドルで産声をあげたシリーズは、本数を重ねるごとに制作費も跳ね上がり、近作では500万ドルにまで達しているといいます。 どうですか。 こういう豆知識どうですか。 いらないですか。そうでしょうね。じゃあ本題に入ります。(※早くも投げやり)
【シリーズおさらい】
『パラノーマル・アクティビティ』(第1作目)
・・・ケイティと恋人ミカの家に山羊爪系悪魔が参上します。
『パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT』(第2作目)
・・・アメリカ旅行中、うっかりケイティを轢いてしまった日本人女性・春花が、どうやら連れて帰ってしまったらしき山羊爪系悪魔に迷惑行為を繰り返された挙句、弟・幸一ともども呪い殺されてしまいます。
『パラノーマル・アクティビティ2』(第3作目)
・・・ケイティとミカの家に山羊爪悪魔が参上していた同時期、実はケイティの妹クリスティの家でも怪奇現象が多発しており、地味な悪魔的嫌がらせの末、豹変したケイティの襲撃に遭い一家総倒れ。1歳になる赤ちゃんのハンターくんを連れ去られてしまいます。
『パラノーマル・アクティビティ3』(第4作)
・・・ケイティとクリスティ姉妹の幼少期まで遡り、山羊爪系悪魔とのなれそめが描かれます。
はい、というわけで、前作のラスト、謎の組織に取り込まれたパラノーマル姉妹がその後一体どうなってしまったのかを気にしつつ、シリーズ最新作の感想ドーン!
(※ 早速ですが、以下「空気が読めない人か!」というくらいネタバレしておりますので、はなから鑑賞するつもりのない方や、むしろネタバレが知りたいんだ、という方のみそのままご覧ください。)
あらすじ・・・
2006年9月某日。 妹クリスティの家を訪問し、甥っ子のハンターを猫可愛がりするケイティ。
2006年10月某日。 妹クリスティの家を深夜に訪問し、一家を惨殺したのち甥っ子のハンターを略取し、そのまま消息を絶つケイティ。
2011年11月某日。 ボーイフレンドのベンと深夜のビデオチャットに耽る15歳の少女・アレックスは、向いの家に救急車が駆けつけるのを見かける。
2011年11月某日。 病院に運ばれたらしい向いの家の主・ケイティに代わり、彼女の息子・ロビーを数日間預かる事になる。
2011年11月某日。 弟のワイアットとロビーが親密になる。
2011年11月某日。 ベンとのチャットが終わり、そのまま寝落ちしてしまったアレックスのベッドに、ロビーがシレっと忍び込んで添い寝をかましていた事が、チャットをこっそり録画していたベンの手柄により発覚。 キモい。どちらかというと、アレックスの寝顔動画をオカズに何らかのアクションをキメていたであろうベンがキモい。
2011年11月某日。 ベンはさておき、ひとつ屋根の下にいるロビーの方も要注意という事で、ワイアットと母・ホリーと自分のノートパソコンのカメラ機能をオンにし続け、一部始終を録画しておく作戦を開始する。
2011年11月某日。 夜毎の怪奇音とロビーによる深夜徘徊に疲労困憊のアレックス。
2011年11月某日。 2、3日の約束だったはずが、1週間を過ぎても家に居座り続けるロビー。 しかし母・ホリーも父・ダグも一向に気にしていないご様子。
2011年11月某日。 ロビーがワイアットの体に妙なマークを描き込む。 三角形の中に○が描かれたそれは、同居を始める以前から、ロビーがたびたび落書きしていたマークだった。 不審に思ったアレックスとベンがグーグル先生にお伺いをたてた所、「悪魔に男の子を捧げるぞー」という意気込みを表すシンボルである事が判明。
2011年11月某日。 深夜の物音で目覚めたアレックスが窓の外を眺めると、主が不在のはずのお向かいさんちの駐車場に車が大集合していた。 スマホのカメラで撮影しつつ不法侵入を試みるものの、いかにもオカルトルッキンなBBAに遭遇し、慌てて自宅へ駆け戻るアレックス。
2011年11月某日。 アレックスの真横にシャンデリアが落下する。即座に上を見上げると、階段の踊り場で佇むロビーの姿が。 父・ダグに相談するも、まったくとりあって貰えず落胆するアレックス。
2011年11月某日。 ワイアットを連れ立ったロビーが自宅に向かっている現場を押さえたアレックス。 慌ててワイアットを連れ戻そうとすると、目の前に入院していたはずのケイティが現れる。 いつの間に退院していたのか・・と訝るアレックスに「お母さんによろしく」と怪しく微笑みかけるケイティ。
2011年11月某日。 無事ロビーがケイティの元に戻り、安穏な生活を取り戻すと思いきや、全く収まる気配のない怪奇現象。 ワイアットはお風呂に引き摺り込まれ、アレックスは母・ホリーに一服盛られ昏睡している間に、見えない手によって宙高く浮かび上げられる。
2011年11月某日。 さんざん奇妙な現象が起こり続けているにも関わらず、15歳の娘と6歳の息子を残し夜遊びに出かけるダグ&ホリー夫妻。 大人のクセしてバカ。 / 深夜1時近くになっても帰宅しない両親の居ぬ間に、ベンとのビデオチャットに勤しむアレックス。 チャットを終えたその時怪奇音が聞こえた為、発生元を辿って車庫に向かうと、突然すべてのドアがロックされる。 / 密閉された空間の中、カギも無い状態でなぜか車のエンジンがかかり排気ガスに包まれるアレックス。
2011年11月某日。 昨晩の出来事を聞いたダグが色々反省し、アレックスを伴いランチに出かける。 問題山積みのポルターガイストハウスなのに。 ランチに行っちゃうの。 お〜ま〜え〜は〜ア〜ホ〜か〜(※横山ホットブラザース) / 白昼堂々ケイティがワイアットを迎えに来る。 怯え泣きしてバスルームに隠れるワイアット。 / 家の掃除をしていたホリーの耳が怪奇音をとらえる。 その時、ホリーの体が宙を舞い天井まで飛ばされたかと思うと、激しく床に叩きつけられる。 / アレックスを心配したベンが勝手に家に上がり込む。 / 自分ちの如くアレックスの部屋に侵入したベン。録画されていた監視映像をチェックしようとした瞬間、背後に立っていたケイティに頚椎を粉砕される。 / 夜が更けて帰宅したアレックスとダグ。 ケイティに連れられ向いの家に歩いてゆくワイアットを見つけ、ダグがその後を追う。 / 自宅に戻ったアレックスが、自室で事切れた状態のベンを発見。 / 錯乱状態で向かいの家に駆け込んだアレックス。 邸内引き回しの刑に処されている父・ダグを目の当たりにする。
2011年11月某日。 ワイアットを探すアレックスの前に、ずいぶんと面持ちの変わったケイティが立ちはだかる・・・。
【『パラノーマル・アクティビティ4』で忘れてはならない事】
・ 魔女コミュが総若返り
・ 未だ男児ゲットならず
・ 悪魔の威厳は風前の灯
・ というかもはやベビーシッター扱い
・ Xbox 360のキネクトというゲームシステムを作動させたまま室内の電気を消し暗視モードのカメラ越しに見たら、部屋がめっちゃキレイ
・ 次までにスペイン語を勉強しておく方がいいのかもしれない
前回の続きかと思いきや、シリーズ2作目の後日談としてスタートした今回のパラアク。
後日談というか、5年後ですけどね。
ケイティが悪魔的な何かに憑依され、ハンターくんを略取した5年前のあの日。
その足で魔女コミュに行くと思うじゃないですか。
幼少期、ばあさんによからぬ事を吹き込まれたものの、嫌な記憶として封印してすくすくと成長し、でも再び家に現れた山羊爪系悪魔によって覚醒させられたケイティだもんで、いっぱしの魔女気取りなんだと思うじゃないですか。
エロイムエッサイムとか言っちゃう系なのだろうと、雰囲気にのまれちゃう系なのだろうと、そう思うじゃないですか。
嗚呼それなのに、魔女っ子ケイティは折角連れ去ったハンターくんを見知らぬ夫婦に託し(養子にし)、5年もの間別の子どもと共にあちこち放浪していたのですよお客さん。

アレックスの母・ホリーは、もしや魔女コミュの一員なのでは?
と、思わせるような不自然な言動がありました。 たとえば、いくらお隣さんが急病で入院し、他に身寄りが無かったとしても、見ず知らずの子どもを自分ちに住まわせるか?とか。(※しかもママ友だった訳でもない) 娘が一生懸命不審な出来事について相談しているにも関わらず、全く聞く耳を持とうとしないのは何故か?とか。
しかし、それも終盤、一切関係無かった事が明らかとなります。
そう、ホリーはケイティによって盛大にブン投げられるからです。
思わせぶりな展開はそのままスルーされ、過去の作品からの不都合な謎もそのまま放置され、魔女コミュだけが若返り、ケイティが無双っぷりを発揮する。
一体なぜ、こんな事になってしまったのか。
わしが愛したパラアクは、もう戻ってこないのか。(愛してたのか!)
大体ねぇ、今に始まったこっちゃないんですけど、悪魔が何をどうしたいのかがさっぱり判らないのですよね!
三角形に○のシンボルってなんやねん! どっかで見たよ!ぜったいそれどっかで見た事あるよ!

と思ったらこれですよ! 透明マントと蘇りの石とニワトコの杖! はいガッツリ死の秘宝!
今オレはパラノーマル・アクティビティに、ハリポタ絡みでやっかいな訴訟に巻き込まれるという呪いをかけた!
このシンボルをどこかに描いたら男児をゲット出来るのか、はたまたただの気合入れなのか、「男児はここですよー」の合図なのかが、前作以降謎のまま。
今回さらに「男児をゲット出来る3つの方法」という、ゆるふわ恋愛映画の邦題みたいな文言も飛び出し、「その1、シンボルを描く」「その2、めいっぱい描きまくる」「その3、処女の血を捧げる」なんつって言い始める始末。あれ?じゃやっぱり気合い入れなのか。
ていうかもうさぁ、普通に子作りに励むか養子をもらうほうが早くね? そうじゃね?
あと、前回からの引き続きなのですけど、男児ゲット出来た暁に彼らは何を行おうと考えているのか。
悪魔的教育を施して、悪魔界のプリンスにでもするってか?
そうそう、念力集中ピーキピッキドカーン!てアホか!!
ま、いちばんアホなのは、そんなパラアクの初日の初回上映にいそいそと駆けつける私なのかもしれませんけどね! ごめん、なんだかんだ言ったけどパラアク嫌いじゃないんだ、オレ。
矛盾だけを詰め込んだようなストーリーにニヤニヤしながら横槍を入れるのも楽しいですし、なにより「今回はどんなびっくらかしを用意しているのだろう」と予想するのがたまらない。
そして予想通りぶん投げられる豊満バディ。
エンドクレジットを眺めていると、沢山のスタントマンの名前が連ねられている事に気づく。
まさか・・・まさかあのぶん投げはワイヤーアクション・・・? オーレン・ペリ・・こわいこ・・!(※調べてみましたが真偽のほどはわかりませんでした。すまんかった)
毎回毎回ホームビデオを回し続けていた不自然さも、今回は「ノートパソコンのチャット機能」を使用させる事で「あー現代っ子だもんねーやるよねーそういう事ねー」と腑に落ちさせる事に成功。 ・・成功、してましたよね。
結果的にはいつもと同じ事なのですけれど、最近のツールを取り入れて飽きさせないように頑張る姿勢って、それってステキやん。
正直なところ、さすがにもうこのホームビデオ姉妹物語に終止符を打たせてやりたい。と思っていた私なのですが、「これはマジもんの流出ビデオです」という建て前をとっぱらい、ポルターガイスト方面から魔女コミュ方面にシフトチェンジしてきた今回の最新作を観ると、この調子で、なんだったらもういっそのこと定点カメラさえも排除して、限界まで突っ走って貰いたいなぁ・・・という願望が芽生えてしまったのでした。
そうさ。オレが愛したパラアクは今もここにある。 彼らの行く末を、最後まで見届けようではないか。
クライマックスの魔女大集合シーン、オレはすごく怖かったよ! これからも、がんばれパラアク!
― 追 記 ―
・ エンドクレジットが終わってから、衝撃のおまけ映像が始まるのですが、これがすごい! 「スペイン語でまくしたてる男性(キリスト教ショップ?みたいな所でカメラを回している)が、店の奥にある秘密の教壇を映そうとした瞬間、オカルトルッキンなBBAに立ちはだかられて退散。」という中途半端にもほどがあるおまけ映像がノー字幕で垂れ流されるよ! 何言ってるのかさっぱりわかんないよ! 誰に対する挑戦なんだよ!
・ その直前、魔女コミュの館でアレックスが探索していた部屋の窓一面に新聞が貼られている光景が映るのですが、それがどうもメキシコの物っぽかったのですよね。 なので、魔女コミュとメキシコになんらかの関係があるという、『パラアク5』への前振りではないかと思うのですが、それにしてもこのおまけは酷い。 せめて字幕をおくれよ!わしらスペイン語わからないよ!
・ キネクトを持っている人は暗視モードのネタやってみるといいよ! すごくキラキラするよ! ためしてガッテン!
・ 相変わらず、ポルターガイスト開始の合図とばかりにヴゥー・・ンという重低音が鳴り響く場内。 もう慣れたよ・・・と思っていても、やっぱり大音量で「バン!」って物が動いたらビックリするんだよ。しょうがないよ、人間だもの。 体は正直なんスよ。 ビックリと恐怖は違うと言われるかもしれないけれど、幽霊の何が怖いって、こちらの予想しないタイミングでヌっと出てくるから怖いんじゃないでしょうかねぇ。 それって、結局ビックリなんですよね。 大音量だからズルいとか、ヌルっと出てくるから正攻法とか、自分の中のハードルなだけのような気がします。
・ で、私はどちらもオッケーです。 ドキドキしたりうははって笑ったり、今日も楽しい映画館でした。

