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『アリス・クリードの失踪』

2012年10月26日
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きみーと好きーなーひーとがー百年続きますよおにー

あらすじ・・・
黙々と作業を続ける男がふたり。
マンションの一室を改造し、ベッドを床に固定し、壁には防音シートを貼り付ける。
白いバンの荷物室にもブルーシートを張り巡らせ、鞄に手錠や荷紐に目出し帽、そして拳銃を詰め込んだ彼らは、道端にバンを停め、目当ての人物が通るのをじっと待つ。
ナーバスになるな。 
すべては計画通りだ。 
冷静に。
落ち着いて。

そう、彼らは誘拐犯だったのだ。

数分後、バンの後部ドアが開けられ、必死にもがくひとりの女性が放り込まれる。
よどみのない作業は続き、用意されていたベッドの上で拘束される女性。
屈辱の末に撮影した数枚の写真を持ち、男のうちのひとりは身代金の要求に向かう。
ナーバスになるな。
たった2日間で終わる仕事だ。
落ち着いて。
ただそれぞれの役割を果たせばいいだけ。

しかし、残された男はうっかり油断した隙をつかれ、女性に銃を奪いとられてしまう。
形勢逆転したふたり。 
もうひとりの男は、まだ帰ってこない。
女性は目出し帽を被ったままの男に銃口を向けた。
その時、男は信じられない言葉を口にする。
「やめろ!撃つな!オレだよ、オレオレ!君の恋人のダニーだよ!」と・・。



(※ 以下ネタバレしていますが、バレた状態で鑑賞してしまうと楽しさがほとんど損なわれてしまいますので、未見の方は是非鑑賞後にご覧ください。)



【今日の皆まで言うなスレはここですか?!】
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(※ わかった!わかったから皆まで言うな! の図) (※ わからない人はその筋の人に聞いてみよう!)


いやあ、久しぶりに「ものすごく考えさせられる」映画でした!

観終わった後めまぐるしく活動する、アガサの脳細胞。
ええとええと、要するに誘拐計画の主導権をとってダニーにあれこれ指図していたヴィックは、高圧的だし、冷静沈着だし、一見攻めのように見えるけど、実はダニーと四六時中イチャイチャしていたくって、体の隅から隅まで愛されたくって、つまり誘い受けな訳ですね! ごちそうさまです!
これは別に珍しい事ではなく、むしろ、上司と部下、先輩と後輩、家庭教師と教え子みたいなね、精神的な上下関係の枠にはめられている間柄ではよくある事なんだと思うのですよね、支配しているようでホントは甘えたい、みたいな・・・ ・・あ、違いますよ、はめられるってそういうコトじゃなくて、大体はめられているのかはめているのかなんて主観の問題ですし!ぼくはそう思うなあ!
で、ダニーとヴィックのそういう関係はいつからなのだおるか・・という点がね! もっとも考えさせられるポイントですよね!
刑務所に入れられたダニーを待ち受けていた先輩囚人たちの手荒い歓迎。
万事休す! しかしその時、ダニーの前に颯爽と現れたヴィック。
息巻く先輩囚人のパンチをかわすと瞬時に右手でフック。
左手でダニーの胸を庇いつつ、足元に倒れた先輩囚人を見下ろしたヴィックは「これ以上やるなら・・・わかってんだろうな?」と低い声で呟く。
唾を吐きつつ立ち去る先輩囚人。
下ろしたままの左手に温かいものを感じ振り返ると、ダニーの手のひらがそこに押し付けられていた。
「ありが・・とう・・。 ぼくはダニー・・ ・・君は・・?」
「・・ヴィック・・  ヴィックだよ・・」
やっばい!考えさせられすぎて頭がパンクしそうだよ! 
オレの妄想の翼よ!今おおきくその羽を広げ虚空にフライアウェイ!


【すみません。以降心を入れ替えてがんばります】

大金持ちの一人娘を誘拐した中年男と若い男。
実は腹に色んなものを抱えていた三人が、彼女の父親からせしめた身代金200万ポンド(約2億5000万円)を巡って騙し合いの街角なのかと思いきや、そこに三者三様の愛憎劇が絡み合い・・・という、ひねりの効いたストーリー。
上質なミステリーでありながら恋愛ドラマの側面をも兼ね備えている、とてもおもしろい作品でした。
登場するのは3人のみで、舞台もほぼ一箇所(マンション)だけ。 
かわされる言葉もごく僅か。
とはいえ、説明不足な部分や伏線が丸投げになっている部分などは無く、視線の配り方やちょっとした会話の間合い、そして何度も繰り返される「I love you too , babe」が全てを物語っているという。
つまり、ヴィックが尽くすタイプであることや、ダニーがとんでもないヤリチ○であることがね! バカヤロー!ダニーコノヤロー!

お金は人を狂わせると言いますが、それよりなにより人の心を疑心暗鬼にさせる最たるものは、やはり「人を恋うる気持ち」な訳で。
恋人だと思っていたダニーに、手足を縛られ辱めを受けナイフで脅されたアリス。
「ふたりで金持になる為の偽装だったんだ」という彼の言葉を、どこまで信じる事が出来るというのか。
人質の部屋から出てくるなり、トイレに閉じこもってしまったダニーに必死に呼びかけるヴィック。
あからさまな嘘を吐き、なにやら心ここにあらずな様子のダニーを、どこまで信じる事が出来るというのか。
アリスの誘拐後は、マンションにこもって見張りに専念していた為、何度も屋外に出てゆくヴィックの行動を確認する事が出来なかったダニーもまた然り。
彼女の父親との交渉はすべて順調だ、と言い切るヴィックの言葉は、どこまで信用に足るものなのか。

愛だの恋だのが入り込む余地の無いビジネスライクな関係ならば、さっさと相手の裏をかき、自分の得になる事だけを選択していただろうに、「愛」ゆえに彼らは盲信し、思考を惑わせる。
そして、掻き乱されるのは彼らだけではなく、画面のこちら側に居る観客もまた、三人の口から漏れる「愛している」の言葉に見事に振り回され、その先に起こりうる事に対する予想が困難になってしまいます。
この緊張感の、なんと心地よいことか。

クライマックス、互いを信じ抜く事ができなかった哀れな男たちの屍を越え、憎たらしい父親の大金をガッポリ手にしたアリス。
自ら選んだ新たな「道」に、車を滑らせるその姿に被さるように、初めて『アリス・クリードの失踪』というタイトルが映し出された瞬間に感じたいじわるな爽快さは、まさに“至福”の一言でした。

監督・脚本を手がけたのは、ドキ!女だらけのケイビング大会!の続編『ディセント2』の脚本でメジャーデビューを果たした英国気鋭の新人J・ブレイクソンさん。
本作のあまりにシャープな出来映えを観ると、まさかあのへっぽこ映画と同じ人が脚本を書いたとは思えません。
汚名返上、おめでとうございます!
『シャロウ・グレイヴ』のダニー・ボイルさんと印象が被るトコロがありますが、願わくば、かの先輩のように息の長い制作活動を続けられますように。 アガサは非常に期待しております!


いやぁ・・それにしても、ヴィックとアリスのふたりを手玉にとっていたダニーの事を考えると、時間が悪戯に過ぎてゆくばかりですなぁ。
結局ダニーはどちらの事をほんとうに愛していたのか。
スタンプを押すように、あちらこちらで軽々しく、中身のない愛の言葉を振りまいていたダニー。
なんというビッチっぷり。
しかし、アガサの脳裏からは、ダニーがヴィックに最後にとった行動が、どうしても焼き付いていて離れないのですよね。
裏切られたから裏切ったのか。 最初から裏切るつもりだったのか。 ふたりで夢見た未来は、ほんとうに存在しなかったのか。
きみと好きなひとが百年続いて欲しい、と願った事は、ほんとうに嘘だったのか。
愛おしそうに、ヴィックの額に自分の頬を寄せるダニーの複雑な眼差しは、永遠に手に入れることの出来なくなった楽園をどこか悲しんでいるように見え、胸が締めつけられてしまいました。

ホントにね! 完全にビジネスライクな関係だったなら、こんな苦しい思いをしなくてもよかったのにね!
いや、ビジネスは確かにライクだったのかもしれないけど、プライベートがラブだったからアカンかったのか!
いっそ体だけの関係なら楽だったの(ry

【今日の教訓・誘拐事件は二股を掛けていない時に実行しよう】



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