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『アウトレイジ ビヨンド』

2012年10月11日
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ああ、極道なんかになりたくないな。

もともと、「大きな声」や「乱暴な立ち振る舞い」や「眉間に寄せた皺の深さを測る大会」の如き睨視が心の底から大嫌いなので、暴力(肉体的なものも精神的なものも含め)による支配には何の憧れもないのだけれど、本作を観終え、改めて強くそう思った。
だいたい、極道になりたい、チンピラ人生を貫きたい、などという思考に、人は何故陥るのか。 
私にはその部分が不思議でならない。
勉強しなくてもいいからなのか? でも、最近の極道は頭も使うと聞くぞ。
腕っ節にだけは自身があるからなのか? でも、もっと強い人間なんてザラだと思うぞ。
誰かを怯えさせるのが快感なのか? でも、自分は自分で組織のもっと上にいるでっかい親分の存在に怯えなければならないんだぞ。
力だけでのし上がれるのが魅力なのか? でも、のし上がれない事の方が多いぞきっと。
わざわざ危険な世界に身を置き、恫喝したりされたり、暴力を振るわれたり振るわれたり、搾取したりされたり、裏切ったり裏切られたり。 
常に心休まる暇がない極道の世界の何が、彼らを惹きつけてやまないのか。

前作『アウトレイジ』でも、ひたすら「過酷な世界」だったヤクザ稼業。
続編である本作では、さらに「夢も希望も信頼もなにも無い世界」として描かれている。
その世界に居るのは「謀をする者」と「使い捨てされる者」のみ。
沢山のものを犠牲にして権力の頂点に立ったはずの人間すら、いとも簡単に踊らされ、引き落とされ、ゴミのように放置される。
彼らの姿は全くかっこよくないし、シビレないし、思わず真似したくならないし、ただただ無様で滑稽でみっともないばかり。

ああ、極道なんかになりたくないな。 なるもんじゃないな。

しかし、「ヤクザ」という設定を取り払った時、このしょうもない縦割り社会は私たちが「普通」に暮らす生活のあちこちにも存在している事に気づいてしまう。
一見特殊な「ヤクザ社会」の中に、とても見慣れた「不条理さ」が色濃く漂っているのだ。
そして、そんなコインの裏表のような世界で、クズな極道たちが潰し合うさまを観て、胸のつかえを取り除かれたような気持ちになってしまう。
いいぞ、もっとやれ。
どうせクズ同士だ、クズがどうなろうと知ったこっちゃない。
スクリーンを埋め尽くす「人の死」を悼むより先に心を満たす、残酷な高揚感。

ラスト、主人公・大友の拳銃から放たれた弾丸は、そんな感覚を撃ち抜くかのように轟音を響かせ空を裂く。
私はポスターに書かれた“一番悪い奴は誰だ!”という毒々しいピンク色の文字の答えを突きつけられたような気がして、ウっと言葉に詰まり、でもまぁ、極道だし、死ぬために生きてるみたいなトコ、あるし。と、誰に言い訳するでもなくひとりごちた。

ああ、ホント、極道なんかになりたくないな。






以下、面白かったところ。(※ネタバレ含む)

・ カ ━ ツ ━ ノ ━ リ ━ !!

・ ひとことも発さないヒットマンを演じた高橋克典の男前な事といったらもうね! ぼく極道きらいだけど、カツノリは別だね! 襟立ててるトコロもすてきだね!はい、けっこんしてくれ!

・ ヤクザの人たちが、どいつもこいつも仁義のへったくれもないサバサバしたヤクザばかりで、今まで培ってきた信頼とか恩義とか一切気にかけないのですよね。 そんな中で唯一、昔気質なケジメを取ろうとするのがチョロ(中野英雄さん)と大友で、「子分の仇とったるで!」という熱い感情が見えるだけに、どうしてもいい人っぽく思えちゃう。しょせん極道なのに。 ヒトの心のなんとあやふやなことか。

・ チョロが子分として養ってやっているチンピラの嶋と小野は、彼らの父親もまた元ヤクザであることから、「なぜ極道なんかになるのか」という問いの答えのひとつの形なのだろうな、と思いました。 生まれた環境から、選択の余地が限りなくゼロに等しかった憐れな子どもたち。 

・ とても痛ましい人生ですが、新井浩文さんと桐谷健太さんの勢いのある演技のおかげで「全身全霊で極道やってます!」という、どこかしら誇りすら感じさせるような生き様となっていました。 ほんでまた、こういうチンピラいるもんねー「そのまっすぐさをもっと別の所へ向けてみてはどうか?」みたいなチンピラがねー。 いい塩梅にクズい!

・ そういえば、チョロって大友のちょっと前に刑務所に服役して、しかもお務めの真っ最中に障害沙汰を起こしてるのに出所早くね? 大友より早いってどゆこと?

・ いくらなんでも、本作に出てくるヤクザの人は他人を信じすぎだと思う。 そうだよ!トモトモ(三浦友和さん)、おまえの事だよ!

・ 自分の親分(大友)を裏切ってまで配下に入ってくれた加瀬きゅん(加瀬亮さん)を、大して仲良くもないライバルヤクザからの言葉ひとつで疑うとか、マジありえないからね! 百恵!おたくの旦那さんのうっかり度合いはデンジャーゾーンですよ百恵!

・ 汚れ仕事も一緒にこなし、血に濡れた運命を共にしてきたミントの香りの加瀬きゅんと、盆暮れの挨拶ぐらいしかしてこなかった西田敏行さんと、どっちの言葉を信じるのさ! ふたりの関係ってそんなものだったの?! あんなに愛し合っていたのに!(←たぶん)

・ いい年した大人が、ほとんど見知らぬ他人の言葉に振り回され、疑心暗鬼になってわいのわいの揉め合っている姿は本当に幼稚で、なんだか、砂場でスコップやらショベルカーのおもちゃやらバケツやらを奪い合い、一生懸命おしろを作って競い合っている園児みたいだなーと思いました。 そしてそれをにやにやと見ている小日向先生。 

・ きっと作られるであろうアウトレイジ3は、関西ヤクザと韓国マフィアと関東ヤクザががっぷりよつで一大抗争を巻き起こすのでしょうが、その際は是非、佐野史郎さんをインテリヤクザ役か何かで起用してもらいたいものですな・・・『その男、凶暴につき』以来の出演、なんとか・・・そこんとこ・・お願いします・・・!



関連感想:『アウトレイジ』





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