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『ダーウィンの悪夢』

2006年08月22日
affiche_darwin.jpg   『ダーウィンの悪夢』ポスター


その豊かな生態系から、ダーウィンの箱庭と呼ばれていた、タンザニアのビクトリア湖。
しかし、1960年代そこに巨大な外来種・ナイルパーチが放たれたことから状況は一変します。
湖にいた在来種たちは、巨大な外来種に貪り食われて姿を消し、増殖を続けるナイルパーチを加工輸出する工場が次々に作られ、あたりの住民の生活は崩壊します。
アルコールに浸る男たち、広がる売春とエイズ、食べる物も無く粗悪なドラッグによって道に眠る子どもたち。
からっぽでやって来ると言われる、ロシアの運搬用飛行機。
しかし本当に機体には何も積まれていないのか・・・?
工場の国際競争力を称賛するEUのミッション。
なすすべもないタンザニア政府…。
グローバリゼーションの奈落を深海の悪夢のように描くドキュメンタリー。


今年のオスカーで、長編ドキュメンタリー部門にノミネートされていた 『ダーウィンの悪夢』 を、やっと観る事が出来ました。

ゾンビもエイリアンも鉄の爪の男も・・ この映画に勝る恐怖は存在し得ないでしょう。
何故なら、ここに映し出された光景は、紛れも無い現実だからです。

おぞましく醜悪な姿をした巨大魚。
それが加工された後に残った残骸。
ウジが湧いたその残骸を、拾い上げて天日干しするという仕事。
腐乱する過程で発生するアンモニアガスに生命の危険すら脅かされながらも、「仕事があるだけマシ」と言う女性。
天日干しされた骨を、油で揚げたモノを食料にする人々。
それすらも買う事が出来ず、ゴミを燃やした時に出る煙をドラッグ替わりにして、一時の現実逃避に耽る子供達。

悪夢、地獄、言い方は何でもいいのです。
全てが現実なのだから。

それは私達が暮す現実とは、あまりにかけ離れた現実です。
戦争も、紛争も、貧困も、亡命も、遠い国の出来事で、自分達には直接関係が無い。
そう思いがちな日本と言う国もまた、ナイルパーチの輸出先。
給食やレストランで使われている白身魚が、このナイルパーチなのだそうです。(全部かどうかは判りませんが)
それでも、関係ないと言い切れるのでしょうか?

加工工場の夜間警備員のオジサンが、雇用条件の悪さを嘆いてこう言います。
「戦争になればいくらでも雇って貰えるのに」

そんな恐ろしい言葉を、キラキラと目を輝かせながら言うオジサンは、狂気に取り憑かれているのでしょうか?
仕事が無く、娼婦をするしかない女達を見て、
「何でもいいから、何か他の仕事をすればいいのに」
と思うのは、
「パンが無ければケーキを食べればいいのに」
と言うのと何が違うのでしょうか。

私達は、世界を知らなすぎます。
私達は、世界から目を逸らしたがります。

タンザニアで死に行く人々を見て、じゃあ日本から一体何が出来るのか?
何も出来ないから、見ない・知らない ・・・?
何も出来ない(かもしれない)けど、私は見なければいけないと思うのです。
知ることが、誰にでも出来る第一歩だと思うからです。
知る手段として存在するのが、映画の持つ大きな力だと思うから。

確かにドキュメンタリーは、作り手の編集一つで意味合いが大きく変わる可能性があるでしょう。
この作品も、フランスやオーストリアのスタッフによって作られていますから、タンザニアの人から見れば事実と言えない部分もあるかもしれません。
そう言う可能性も含めて、一見の価値がある作品だと思いました。

よその国の話ではないのです。
同じ星の上で起きている事なのですから。
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