ブログパーツ

『ラブド・ワンズ』

2012年05月31日
The-Loved-Ones-Poster.jpg

あらすじ・・・
こんにちは!ぼくブレントです!オーストラリアに住んでます!高校3年生です!もうすぐ卒業です!
半年前に、ドライブ中の事故でおとうさんを喪って以来哀しみと共に過ごしてきたぼくですが、時は待ってくれません!否応なしに卒業です!
ぼくがあの時よそ見なんてしなければ・・・ 
道路の真ん中でボケーっとしていた不審者にもっと早く気づいていれば・・・ 
超絶ドライブテクニックで華麗に回避していれば・・・  
そんな自責の念で、なんども自傷行為を繰り返してきたぼくが、心の傷も癒えないまま社会の荒波に放り出されるシーズン、それが卒業なんです!

で、卒業といえばプロムじゃないですか! 
高校生活最後のお楽しみであり、チラリズム全開のドレスに身を包んだかわいいジョノカーをエスコートして、ダンスフロアで体と体を密着させながら乳繰り合って、飲んで食ってハッパ吸っていい気持ちになって、なんかもうなんやかんやで超最高なイベント、プロムな訳じゃないですか! 
そりゃぼくもね、おとうさんの事で時々アンニュイな気持ちになっちゃいますけどね、それはそれ、これはこれ。 行かない理由が見つからない!

・・・ただね、いざ行くとなると、これがまたね・・「ホントにオレはそんな能天気な事をしていていいのか・・」とかね・・ 考えちゃうんですよね・・・ おかあさんもぼくに気を使ってか奥歯にものの挟まったような言い方しかしませんけどね・・ きっとおとうさんは「チャラついてんじゃねえよ」みたいに草葉の陰から思ってるじゃなかろうかとか、ね・・・
そこでぼくは、恋人のホリーが迎えに来てくれるまでの間、行きつけのフリークライミングスポットで一汗かく事にしました。
なぜかというとね、切り立った崖を登っていると、常に「死」というものを間近に感じ、自分が生きている事を実感出来るんですよね。
とうさん、こんなオレだけど、生きていていいのかな・・・ 
そんな風にハッパを吸いながら暮れなずんでいたぼく。
そんな夕暮れ。
一体誰が想像など出来たでしょうか。
まさか背後からクロロフォルムの染み込んだ布を持った怪しい影が、ぼくに忍び寄っていただなんて事を・・・!

で、目が覚めたら
ラブ2
こんなおじさんがいて

ラブ3
こんな同級生がいて

ラブ4
万事休す! と。


完全にアカン領域の色をしていますよね! 同級生の目も注射器の中身も!


ラブ
(※ とても他人とは思えない「もっさい」ビジュアルに好感度が上げ止まらない女子高生・ローラちゃん)

ということで、東京の超絶イケメンメガネ男子・ナマニクさんのご厚意により、今話題のマジキチ・ラブファンタジー『ラブド・ワンズ』を鑑賞させて頂きました! ナマニクさんありがとうございました! 毎日25通づつDMを送った甲斐が(ry

いやもう本当に素晴らしい作品でした!
「もしもジョン・ヒューズがアニー(『ミザリー』のヒロイン)を主役に『キャリー』を撮ったらどうなる?」と聞かれたならば、迷わず「その答えは『ラブド・ワンズ』に!」って答えるね! 聞かれたコトないけど!


ローラちゃんはごくごく目立たないタイプのJKなのですが、積極性だけは人一倍あるので、学園のキングをプロムに誘うという暴挙にでます。
で、当然の事ながらキングには既にクイーンがいて、あっさり断られてしまう。
ところが、どっこいくじけないタイプのアレだったローラちゃんは、おとうさんに頼んでキングを家にお持ち帰りしてもらうのでした~!ウフフ✩オッケー!
で、あとはもう刺したり削ったり逃げたり追ったりの大騒動なわけですが。

とにかくこのローラちゃん、ひたすらまっすぐな女の子だと思うのですよね!
世界は全部わしのものじゃい! みたいな真摯な想いが伝わってくる眼差しに、色んな意味でドキドキがとまりません!

ラブ7
(※ ただ牛乳を飲むだけのシーンでここまで「ヤバいモノを観ている」感を醸し出せるのはローラちゃんだけ!)


(※ 以下、内容に触れる記述あり)(オチバレはしていません)








まっすぐなゆえに、ゴチャゴチャと喚かれないよう薬品を喉に注射して声帯をやっつけちゃったり、隙をついて逃げようとしたブレントくんの足を床にナイフで打ち付けるローラちゃん。
「わたしのモノ」という事実を揺るぎないものにする為、ブレントくんの胸にフォークでグリグリとローラ印を刻み込むのもまっすぐさが成せるわざ。
おとなしくさせる為、脳天にドリルで穴をあけちゃうのも、勿論まっすぐだから。
その穴に熱湯を注ぎ込む事にしたのは、・・ええと、なんかおもしろそうだから。 自由と書いてフリーダム!

そんな、歪みない性格のローラちゃんを全力でサポートするおとうさんがまた、超憎めない顔のステキ中年でして。

ラブ5
(※ ムスメと彼氏(暫定)が揉めるたびにこんな切羽詰まった顔でトンカチ構えるんだからたまんないッスよね!)

「うちのムスメこんなにかわいいのになんで全然モテないの?!なんで?!」
という、純粋な疑問に悩まされているおとうさんは、自分以上に悩み続けているであろうムスメの為、一線も二線も超えて暴虐の限りを尽くします。
一見ヒドい、というかどう見てもヒドいおとうさんなのですが、ブレントくんがローラちゃんにそっけない態度を取るのをハラハラしながら見守っていたり、ローラちゃんが不手際でおとうさんに熱湯をぶっかけてもジっと我慢しれくれたり、上手にドリルが使いこなせなくても穏やかに使い方を説明してあげたりと、一挙手一投足から「子を想う」気持ちがひしひしと伝わってくるのですよ。
フリーダムなムスメが目の前で生着替えを始めた時、そっと瞳を伏せる仕草のなんとグっとくることか!
「あんな小さかったローラがこんな豊満バディに・・・」とか「今度こそなんとかしあわせになってほしい・・・オネガイダカラ・・」とか「あわよくば婿に入ってもらいたい・・」なんて具合に父の胸にこみ上げる万感の思い。

マジキチにはマジキチなりの愛情があるのだと、強く心に訴えかけられた気がしました。
いや、訴えかけられてもどうにも出来ないのですけどね。

ラブ6
(※ パ ー テ ィ せ な あ か ん ね ん !!)


メガフォンを執ったショーン・バイルンさんは本作が商業長編映画デビューなのだそうですが、ちょうどいい塩梅の緊張感といい、濃いキャラクターにバチーンとはまる個性的なキャスティングといい、緩急のつけ方といい、非凡な才能を感じる監督さんだなぁ、と思いました。
その時々のキャラクターの心境が一目で(というかひと聴きで)わかるような音楽の使い方もたのしかったです。
アガサは音楽について(ジャンルも曲名も)全く詳しくないのですが、「ワイルドな女の子が登場したらスローモーション&ギョーン!みたいなワイルドな音楽」とか「主人公が自己嫌悪でイジイジしている時はデケデケデケみたいなハードな音楽」といった感じで流れ始めるので、いちいちしっくりきてしまいました。
勿論、オリジナルサウンドトラックの方も実にいい仕事をしていましたので、ハラハラドキドキグチャグチャドロドロ関連の風味付けも万全ですよ!


憧れの同級生を自分だけの王子さまに仕立て上げたい、という一転勝負モノ。 と 思 い き や ・ ・ ・  みたいな中盤からの怒涛の展開もおもしろかったですし、底なしの狂気の中にもキラリと光る親子愛には不覚にも胸が熱くなりました。いや、マジキチなことには変わりないんですけどね。
非モテをこじらせた結果、バービー人形を使って卑猥なポージングを取らせたり、スクラップブック上にオレ流「モテキ」を連載する事でしか満足できなくなってしまったローラちゃん。
彼女なりにひたむきに父を愛し、自分を愛す姿を眺めながら、「マジキチなんだけどただのマジキチじゃなかった!」っつうか「夢だけど夢じゃなかった!」っつうか、とにかく思わず拳を握って応援したくなるようなそんな不思議な呪い魔法にかかってしまったアガサだったのでした。

the_loved_ones_2009_11_convert_20120529115335.jpg
(※ ラン!ローラ、ラン!)

ピンクのドレス、リボンのついたパンプス、ハートのペンダント、ローズのイヤリング、真っ白なお城にステキな王子様・・・というドリーミングな世界に憧れるスイートな女の子も、略奪、監禁、拷問、支配、バイオレンス・・・という荒々しい世界に魅了されるスキモノな男の子も、きっとお気に召すのではないでしょうか。
各所に散りばめられたホラー映画へのオマージュも最高ですよ!
残念ながら、現時点では東京のシアターNと大阪の第七藝術劇場の2箇所だけの上映となっているようですが・・ もしもお近くで上映される機会がありましたら、是非!


ナマニクさん、本当にありがとうございました!

関連記事・The Loved Ones | ナマニクさんの暇潰し The Loved Ones | ナマニクさんの暇潰し



     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ


※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。