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『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』

2012年03月13日
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こんなホームズ作品を待っていた・・・! 色んな意味でだ!!


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外人
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・・・な? あとはもう言わなくてもわ か る な ?


あらすじ・・・
今まさに、世にも恐ろしい悪魔の手のうちに落ちんばかりの状態だったヨーロッパ。
誰一人としてその正体に気付かない中、たったひとりの天才だけが悪魔を追い詰めようとしていた。
天才の名はシャーロック・ホームズ。
悪魔の名はジェームズ・モリアーティ教授。
そして、ふたつの頭脳がぶつかりあった時、史上最も過酷なゲームの幕があがる。
炎と銃弾に彩られた命懸けのゲームが・・・!


もうね、最高でしたよ! 言う事なんもないよ!今年ナンバー1ですよ!
前作のキャスト&スタッフが揃って再登板ということで、もうみなさんすっかり意気投合。
「すきだよ」といえば「知ってたよ」と答える阿吽の呼吸で、超極上のエンターテインメントを作り出してしまいました。 言ってないか。そんなの言ってなかったか。 まあいいじゃないか細かいことは!

石畳の上を軽やかに踏み鳴らす馬車の蹄。
ガス灯のあかりが霧に滲んで溶けてゆくベーカー街。
そんな情緒あふれる光景を縦横無尽に駆け巡る、艶っぽいワトソンくんと破天荒なホームズ先生の姿は、多くの映画ファンに新鮮な驚きをもたらすと共に、「でもよく考えたらこんな感じだったよねー原作もねー」となんとなく納得させてしまったものでしたが、第2弾となる今回は舞台をヨーロッパ全域に移し、対するは「天下の大悪党・モリアーティ教授」と敵に不足なしの全員野球体制でお届けされます!オーライオーライしまっていこう!!(←なんかもう興奮でおかしくなっている)

実を言うと、アガサは前作の「造船所での闘い」や「建設途中のロンドンブリッヂ対決」は、スペクタクルすぎてどうもしっくり来なかったのですよね。
「謎の組織」や「謎の毒薬」はいつものホームズ先生っぽいんだけど、ここまでドッカンドッカン破壊してくれなくてもいいんだよね・・ 映画的に派手にしたいのはわかるんだケド・・  と思っていた部分がね、あったのですよ。 なんというか、派手すぎて冷めてしまうような部分が。
しかし今回は、スケールの大きい爆破シーンがありながらも、その合間を天才二人によるめまぐるしい頭脳戦や狭い建物内を効果的に使った肉弾戦で埋め尽くし、ひと時たりともお客さんを「冷め」させません。
なかでも、森の中を疾走するホームズ一派とそれを追う悪漢のチェイスシーンは白眉の仕上がりで、超スローモーションとパキっとした映像を駆使し、ギャザーのように寄せて縮められた時間の流れを演出。 今までに観た事のないおそろしいほどにかっこいい名シーンだったと思います。
前作から続いて登場する、ホームズ先生のあたまの回転の速さを視覚的に表した
「敵との格闘を一度脳内でシミュレートし、その後実行に移す」
というシーンも、シミュレート部分と実践部分が同じだった為「ただの繰り返し」に感じられて(※特に二度目以降)しまっていた前作とは違い、変化球が加えられたおかげでユーモア倍増・迫力も倍増というステキ描写となっていました。
ヨーローッパ全土を股にかけた活躍については、もしかすると「大風呂敷を広げすぎ」と思われるかもしれませんが、そもそも原作におけるホームズ先生の活躍の場もロンドンに限られていた訳ではなく、国際的な重大事件をも数多く解決してきた事は、折に触れ語れていたのですよね。

三国同盟に関するイギリスの条約文書を取り戻した事や、(※『海軍条約事件』)
ヨーロッパ全土を戦火の渦に落とす引き金になりかねない、とあるヨーロッパ君主からの私信を取り戻した事もありますし、(※『第二の血痕』)
1895年には、トスカ枢機卿の急死に関する捜査をローマ法王から依頼されていますし(※『ブラック・ピーター』)
スカンジナビア国王からやんごとない依頼を受けた事が言及されていたり、(※『独身の貴族』)
第一次大戦前夜にドイツ人スパイを罠に嵌め、お縄にした事件の際には、昔ドイツでかなりの量の仕事をしていた事も明かされます。(※『最後のあいさつ』)
とにかく、ホームズ先生はヨーロッパ中から頼りにされていたスーパー諮問探偵であり、今回の活躍はアガサにとってみればまさに「まってました!」だった訳なのでした。
前作のおもしろい所はそのままに、ホームズ作品が抱え持つ風呂敷の無限の可能性を上手に活かし、物語のスケールを軽々とアップさせた本作。
すばらしい! 続編の鑑みたいな作品じゃないかね! とわしは思うね!


それと、前作あまりにも「ダウニーさんとM字ハゲ」コンビのキャハハウフフに一発入魂感情移入しすぎてしまったみなさんにおかれましては、危うくホームズ作品の本質(※いちおう推理小説)から逸脱してしまいそうになった方もいらっしゃると思うのですが、今回そんな心配はご無用!
オープニング当初こそ「ああ・・そんなに顔が近づいちゃったら・・近づ・・グフォッ」とハートキャッチされそうになるものの、物語のあまりの面白さにみるみる引き込まれてしまう事請け合いです。
正直そっち方面どころじゃなくなると思いますよ。
まあね、原作からして既に
「ホームズ先生が結婚を控えたワトソンくんにイジイジ」
とか
「あーあ。もう同居してないもんなーどうせオレのことなんかどうでもいいんだもんなー  みたいにスネスネ」
とかはね、行間からふんぷんと漂っていましたからね。
「でもそんな事言いながらもお互い信頼しあってて、なんだったら奥さんおいてけぼりで調査にGO!」
とかも日常茶飯事でしたし。
だからホントもうね、今更ホームズ先生とワトソンくんが裸で床に転がっていようが、二人きりの車中という聖域から結婚式という非日常へと向かう最後の瞬間にホームズ先生が差し伸べた手をワトソンくんが応えるようにぎゅっと握り締めようが、「きみはそれで・・しあわせなのかい・・」「ホームズ・・・」って見つめ合おうが、「やけにダンスがうまいじゃないか」「おまえのおかげでな」「クスッ」とかホントもうキュン死させるつもりかー! アホー!!

ごめん!気にならないとかウソ!
物語のおもしろさに引き込まれたのは事実だけど、そっち方面もさいこうでした!素直にあやまる!すまんかった!
出来ることならオレは、1924年頃ストランド・マガジンを愛読していたご婦人方に本作をお観せしたい。
『ガリデブが三人』を読みながら
「キター!!」「キタね!」「見た?あのホームズ先生の狼狽ぶり!」「やっちゃったね!」「やっちゃいましたね!」
と興奮のあまり紅茶をひっくり返していたご婦人方に、きっと独自のコミュニティを作って“わたしがかんがえたホームズ夫妻ちなみにワトソンは嫁”なる薄い本をタイプライターでしたためていたであろう19世紀末から20世紀初頭のご婦人方にご覧に入れたかった! 貴女方の想いはこんな様式で結実しましたよ、と・・・!


と、いうわけで、今回も色々すきなことだけを書き綴ってしまいましたが、そっち方面に興味が無い方も、アガサのような(めんどくさいタイプの)原作厨では無い方も、つつがなくお楽しみ頂けるであろう爽快な映画でしたので、是非劇場でむせ返らんばかりの人間関係に酔いしれて頂ければと思います。 
あくまで人間関係だよ!
いやらしい意味じゃないよ! ホントだよ!



(※ 以下ネタバレしています)

― 余 談 ―

・ 本シリーズには、原作ファンがグっときてしまうポイントがいくつかあり、それらをいちいちニヤニヤしながら眺めるのも楽しみのひとつだったりします。
 
・ 今回も、序盤でホームズ先生を襲う暴漢としてボクサー兼用心棒のスティーブ・ディクシー(※『三破風館』)っぽい黒人男性が登場したり、暗殺に使われる毒薬がクラーレ(※『サセックスの吸血鬼』)だったりと、心をくすぐるキーワードが散見されとても楽しかったですよ!

・ しかし今回の目玉は何といってもモリアーティ教授! アーサー・コナン・ドイルが記し、それをもとにシドニー・パジェットが描いた「背が高く痩せぎすで眼光鋭い猫背の老人」とは全く印象の異なる、温和そうな中肉中背の中年男性として登場するも、瞬時に「ああ・・これはモリアーティだわ・・」と有無を言わさず納得させてしまうその迫力ときたら! なんと言ったらよいものか・・ めちゃくちゃデキる顔をしているのですよね・・ あと気品すら感じるその物腰ね・・ さすがは犯罪界のナポレオンやで!

・ モリアーティ教授に関しては、きちんとお供に「ロンドン第二の危険人物」セバスチャン・モラン大佐を連れていたり、著書の「小惑星の力学」が出てきたり、ホームズ先生との会話が原作にかなり忠実だったり(直接対話の時間も「5分」だったり)と、かなり慎重に描かれていたのが印象深かったです。 そりゃまあ、モリアーティ教授を出すからには中途半端な描写など出来ませんよねぇ。

・ あと、予備知識無しで鑑賞した為嬉しい驚きだったのは、ホームズ先生の兄・マイクロフト氏までもが登場した事です! しかもこちらはシドニー・パジェットの挿絵にそっくり!
f-mycroft_convert_20120313012202.jpg  マイク
(※ ざ っ く り 一 致 !)

・ マイクロフト氏が通う「ディオゲネス・クラブ」(※『ギリシャ語通訳』)の名前も飛び出して、アガサのニヤニヤは最高潮に・・! もう・・兄さんさいこうっス・・!

・ 原作の名台詞である「都合がよければ来て。悪くても来て。」(※『這う男』)も登場するのですが、このおねだりメモを書くのはホームズ先生が(流れ上仕方なく)ワトソンくんの新婚旅行をぶちこわした後で「あのさ・・きみはしあわせなのかい・・?」と聞くという、悶絶必至の名シーンの直後だったりしますので感慨もひとしおでごわす!!(←色々壊れていますが大目にみてください)

・ 激しい逃走劇を経て瀕死の探偵を前に、ワトソンくんが必死で心臓マッサージを施すシーン。 「目を醒ませ!自分勝手な馬鹿野郎!!なにやってんだよ!起きろよ・・!!」となりふり構わずホームズ先生の胸を押すその姿だけで、正直白飯10杯くらい軽くいけそうな気がしたのですが、そのまま「蘇生術といえばお分かりですね。そう、マウスとマウスのアレですね」とばかりにダイレクトプラグインしそうな勢いを敢えて寸前で止めるという高度なおあずけプレイとはおぬしやるな!!(※おぬし=ガイ・リッチー監督)

・ ヴィクトリア朝時代然とした様式美から、近代的な背景に変わりつつあるベーカー街の姿も魅力的でした。 ロンドンに地下鉄が開通したのは1863年。未開通の箇所も多く利便性の悪かったそれは、20世紀初頭にかけ次第に整備が進められ、本作中にも221bの前の道路が掘り返されている様子が登場していました。(ちなみに、ホームズ先生も『赤毛連盟』の中で地下鉄を利用しています。 さすがに本編に登場する「自動馬車(自動車)」は、ホームズ先生が現役で活躍していた頃はまだまだ一般的ではなく、原作にベンツ自動車が登場するのは『最後のあいさつ』中だけでした。)

・ 唯一不満だったのは、前作同様アイリーネ・アドラーの扱いですね。 もうね、ホント酷い! モリアーティ教授の手先のちんけな女泥棒役だった前作も酷かったけれど、ほんのちょっと顔を見せた後、おやびん(モリアーティ教授)に即刻始末されるとかガッカリどころの騒ぎじゃないですよ! ホームズ作品において特別な存在であるアイリーネ・アドラーをこんな風にぞんざいに扱うだなんて・・・。こんなだったら登場しない方がまだマシでしたよ。 

・ いちおう含みを持たせて「息絶えるシーン」は映されませんでしたが、あの「彼の掟には刑罰はひとつしかない・・死だ」と評されるモリアーティ教授がアイリーネだけを生かしておく理由などありませんので、きっと結論はひとつだと思います。 ていうか、これで第3弾でどっこい生きてたアイリーネ状態などになったら、オレはきっと暴動を起こす。

・ 本編のクライマックス。 「犯罪史上最高峰に位する“悪”」であるモリアーティ教授との最後の対決を迎えたホームズ先生に、モリアーティ教授は「きみの敵は私ではない」と語りかけます。 なぜなら、教授ですら「大きな歯車の中のひとつ」にすぎなかったからです。 本当の敵は「世の中すべてに存在する“悪意”」。 現に、本作の舞台となった1891年当時、既にヨーロッパ各国の関係は燻っており、1914年には第一次世界大戦が勃発しています。 

・ 自分が所有する武器や包帯の需要を爆上げする為、各国の要人を暗殺し一気にヨーロッパ全土に火種をばらまこうと目論んでいたモリアーティ教授の野望は阻止したものの、結局もっと底知れない「悪」を前にホームズ先生の頑張りは無に帰してしまったという事なのかもしれない。 そう考えると、とてもしょんぼりしてしまいますね。 敵はあまりに大きい・・・。

・ しかし、そんな落ち込んだ心を笑い飛ばすかのように、スクリーンには「ライヘンバッハの滝」からカワユサ爆発で復活を果たしたホームズ先生の姿がありました。 ホームズ先生の「正義」は、まだまだ燃え尽きていない。 それは、私たちに贈られたエールのようでもありました。 あきらめるな。 どんなに困難でも、自分の中の「正義」を失うな。 と。

・ ということで、滝が出てきた瞬間てっきり次回作は『空家事件』なのだろうと思ったのですが、ホームズ先生の帰還までばっちり描かれ、ワトソンくんはもとより嫁のモースタン嬢までホームズを受け入れる気満々なように見受けられましたので、第3弾は作らずに、このまま3人末永く幸せに暮らして貰いたいなぁ・・と思ったアガサだったのでした。 本当にいい映画だったなぁ!!


関連記事・・・『シャーロック・ホームズ』(前作の感想)


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もはや推理というか、超能力。       シャーロック・ホームズ シャドウゲーム(2011年 アメリカ映画)   75/100点  原作は小学校の時にちらちらと読んだ

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