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『オルランド』

2006年08月13日
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↑今回はホラーではありません。 念の為。


オルランドは黒目が大きい。

オルランドの黒目はこちらの心を見透かしているようだ。

オルランドの黒目を見つめていると、その世界に吸い込まれてゆく。


・・・正確に言うと、黒目じゃなくて青い瞳なんですが。


英文学の代表的女性作家、バージニア・ウルフの長編小説を、『耳に残るは君の歌声』のサリー・ポッターが映像化。
タイトルロールであるオルランドを演じるのは、 『ナルニア国物語』 の白い魔女で名を馳せたティルダ・スウィントンです。

私の中でティルダ・スウィントンと言えば、『コンスタンティン』の大天使ガブリエル。
両性具有がこんなにしっくり来る人を、私は他に知りません。
美しく、暴力的な天使の光臨を目撃出来ただけで、『コンスタンティン』を観たかいがあったと言うものでした。

そんな『コンスタンチン』以前に作られた今作でも、ティルダ・スウィントンの役どころは男であり、女。
やっぱりしっくり来ていたのでした。


裕福な貴族家庭の跡取りとして、気ままな生活を送っていたオルランド(男)
エリザベス女王からの厚い寵愛を受けていたオルランドは、“彼の領地(邸宅)が永遠に彼の物である”というお墨付きを女王から頂戴するが、その条件が
一生美しいままで。決して老いてはならない。
というものだった。
その言葉の通り、何十年経っても美しい青年であり続けるオルランド。
彼は激しい恋に落ち、その恋に破れ、心の傷を紛らわす為に辺境の地に赴き、戦争という厳しい現実を体験する。
100年が過ぎ、目覚めたオルランドは女性になっていた。
美しい女性となったオルランドは、女性であるが為に相続権を失い、また恋に落ち、恋を諦め、世界大戦を生き延び、子供をもうけ、現代を颯爽と生きてゆく。
美しいままで。


決してSFじゃありません。
ファンタジーと言った方がいいのかもしれませんが。

オルランドが、自由に地位や性別や時代を越えてゆくさまは、観ていて気持ちがいいです。
400年にも渡る、オルランドの旅。

男という性であった時、一目ぼれした女性に
「あなたは私のものだ。なぜなら私はあなたが好きだから」
と、ジャイアニズム全開の口説き文句を吐いていたオルランドが、女という性になった時、タイプじゃない男性から
「私と結婚してください。なぜなら私はあなたが好きだから」
といつかの自分と同じ口説き文句を吐かれ、速攻でお断りしていたシーンは思わず笑ってしまいました。
男という性であった時は、恋に破れたら旅に出たり、失恋の詩を書いたりと、やたらとジメジメした性格だったオルランド。
しかし、女と言う性になった後の彼女は、好きになった男性にはひるむ事無くアタック。
行きたくない土地に「自分と一緒に来てくれ」と誘われた時は、好きな相手でもハッキリ断る。
子供が出来たら一人で守る。

これは、ヴァージニア・ウルフが一番強く、作品に込めた思いだったのでしょうか。
それとも彼女の性格だっただけなのか・・・。
いずれにせよ、人の本質と言うものには、時代背景も性別も関係ないというメッセージが、作中からグイグイ伝わってきます。

「前と同じ人間。
 何も変わらない。
 性が変わっただけ。」


オルランドが目覚めて、自分が女性に変わっていた事に気付いて口にする言葉です。

ステキな言葉ですね。

そんなオルランドですが、心のどこかでは生き続ける自分に苦しい思いも抱いていたはず。
物語のラストでは、オルランドの頭上に天使が現れて彼女(彼)に救いの詩を奏でます。

・・激しくとっちゃん坊やのような天使なんですが・・・。
・・・ハッキリ言うとムサいオヤジなんですが・・・。

外見はともかく、そんな天使の祝福を受け、愛娘にも恵まれて、オルランドの瞳からは一筋の涙がこぼれます。

これからもオルランドは生き続けるのでしょうか?

美しいままで。

画面のこちら側に、まっすぐと向けられたオルランドの瞳は、私に問いかけてくるようでした。

「で?
 あなたの人生は・・・?」
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