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『ドラゴン・タトゥーの女』

2012年02月20日
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最高にインパクトの強い予告編で耳にして以来、なにかにつけてアガサの脳裏で鳴り響きまくっていた「移民の歌」をバックに、真っ暗闇の中ひとりの女性が真っ黒な液体を身にまとっているオープニング・シークエンスで、まず胸を鷲づかまれました。
その液体はコールタールのようにドロドロとしていて、女性の体の表面は黒いスチールでコーティングされたかのように硬い。
一瞬、いのちを持たないマネキンなのかと思いきや、彼女のまぶたが時折微かに震える。
不快で、おどろおどろしくて、苦しみに満ち満ちたような真っ暗な世界。
キーボード、ワイヤー、コード、火のついたマッチといったキーワードが現れては消え、男性の体と溶け合っては引き裂かれ、押さえつけられては這い出し、そして、真っ赤に燃え盛る不死鳥が翼を大きく広げ、混乱の中から蕾が開くように一人の女性が生まれ出るトコロで終わるこのタイトルバックに、背筋がぞくぞくしてしまいました。
一体これから何が始まるのだろうか。
このおぞましい世界から生まれでたヒロインは、どんな女性なのだろうか。
そして、その想像は期待は予想を上回る勢いで現実のものとなりました。
史上もっとも脆く、もっとも強靭なヒロイン・リスベットの誕生です。

しかし、リスベットはヒロインと呼ぶにはあまりに「かわいそう」な女性で、背中に刻んだドラゴンのタトゥーでは弾き飛ばしきれない程の「災い」が、常に彼女の上に降り注ぎます。
もっと活躍してほしい! 
もっと男どもをズタボロに引き裂いてほしい!
そう願うものの、リスベットの怒りの原動力となっているのは“「男」に対する復讐心”だということがビシビシと伝わってくるだけに、心のもやがスカっと晴れる事はないのです。
リスベットをここまで「強く」してしまった過去が、どれほど過酷だったかを思うと。

スウェーデンの大富豪一族の過去に関して調査以来を受けたジャーナリスト・ミカエルを、ハード面からもソフト面からもサポートする事となったスーパーハカー・リスベットの活躍を描いた本作は、世界中で大ベストセラーとなったミステリー小説3部作の第1作目。
40年前に起こった少女失踪事件を洗いなおすことにより、一族の忌むべき黒歴史が明らかとなってゆく・・・!のですが、一番肝心なリスベットの過去や、今回芽生えて潰えた想いのその先という、非常に気になる箇所は残されたままなのですよね。 いや、3部作なのでしょうがないのですけどね。 正直わしゃ黒歴史のことよりもリスベットのことの方が気がかりなんスよね。 
いやだって、犯人探しだー!なんつって言ってるそばからステラン・スカルスガルドさんが出てきた日にはねぇ。 「あー・・・アハハ・・」って思っちゃいますって。
スカルスさんが最後までいい人で終わる訳がない!!
(※ネタバレなので反転しています)

本国スウェ-デンでは既にトリロジーとして映画化されていますので、是非今回のリメイク版の方も、同じキャスト&スタッフで引き続き製作して頂きたいものです。
アガサはこれ、大傑作だと思います。


- 追記 -(※ 以下ネタバレ含む)

・ スウェーデンといえばリンドグレーン。 『長くつ下のピッピ』『やかまし村の子どもたち』といった児童文学の傑作を数多く送り出した偉人で、アガサなんかはもうセリフの中に「クローネ」が出てくるだけで「よし!」と意味も無く興奮してしまう訳なのですが、なんと今回はもうひとつ気になるセリフが!
主人公のジャーナリスト、ミカエルの名前が「ブルムクヴィスト」になっているではないですか! なんということでしょう!

・ スウェーデンでブルムクヴィストといえば『名探偵カッレくん』じゃないですか。 アガサの小学校時代のバイブルですよ!カッレ、アンデス、エーヴァ・ロッタですよ! (←かなり興奮している) 

・ で、鑑賞後ネットで本作について色々見ていると、どうも本当にミカエルのモデルはカッレくんだったようで、原作にはそのようなくだりもあるそうなのですね。 マジかー!やっぱリンドグレンさんは偉大なんだなぁ!!(リスベットのモデルはピッピなのだそうです)

・ なるほど、確かに推察力が鋭くて正義感が強くて女性に対しても尊大な態度をとることなく「紳士」であるミカエルは、ホームズ先生に憧れるカッレくんの成長版と思えなくも無い事もないんだけど、自分の娘ほどの歳の仕事仲間とねんごろになったり既婚女性と大人な関係を続けたりしているトコロが若干生臭いから却下だコンニャロー!

・ 「いなくなった少女・ハリエット」とリスベットには、いくつかの共通点があると思いました。 ええとね、ます顔が似ていますよね!予告編を観た時、てっきり「実はリスベットがハリエットなのでしたー」という時間軸お構いなしのオチなのかと思いましたもん! すまんのう!頭の仕組みが単純ですまんかったのう!

・ 「実の父親による性的虐待」。 リスベットに関してははっきりは明言されませんでしたが、その事実があったことは想像に難くないと思います。 そしてハリエットとリスベットは、その父親を自らの手で葬り去る事で地獄から抜け出そうとした。 しかし双方とも、ひとつの地獄の後に待ち受けていたのはさらなる無限地獄だった。

・ ハリエットは二つ目の地獄から逃げ去る事で自由を手に入れました。 きっと、いまだに悪夢を見ない日はないでしょうが、名前と身分を捨て新たな人生を自分自身の足で歩んできた(しかも社会的に成功した)ハリエットは、とても強い女性だと思いました。

・ リスベットはというと、二つ目の地獄からはまだ抜け出せていません。 「父親に火をつける」という反社会的な行為の代償として被後見人となり(昔でいう所の禁治産者でしょうか)、見下され、虐げられ、尊厳を踏みにじられる日々です。 しかし、そんなリスベットもまた持って生まれた才能で世間と闘ってきた。 どこまでいっても「成功」とは程遠い人生かもしれない。 けれど、リスベットもまたとても強い女性なのですよね。

・ ハリエット事件の真相を日の下に曝し出すことは、リスベット自身の闘いでもあったのだろうなぁ、と思いました。 だから、その闘いに終止符を打つのはミカエルであってはならなかったのではないかでしょうか。

・ それにしても、ハリエットの父親(と兄)にせよリスベットの父親や後見人にせよ、ゲス野郎の存在が非常に胸くそ悪い映画でしたねぇ。 特にハリエットの肉親はホントにゲスい! 真性のSってこういうのを言うんだろうなぁ。 邪悪だ!邪悪すぎる!

・ 拷問時のBGMにエンヤを使うのもあくど過ぎるだろ! フィンチャーさんも相当なドSであるとオレはみた!

・ リスベットは、理不尽な苦痛を強いられるたび、自らの意思で新たな苦痛を自身に与えてきたのでしょうね。 そうする事で、痛みを支配しようとしてきたのではないでしょうか。 彼女の体に刻まれたタトゥーは、邪悪なものと闘ってきた彼女の歴史でもあるのかなぁ・・と思いました。  

・ という事は、これからもリスベットの闘いが続く限りタトゥーは増えてゆくという事なのだろうか。

・ とりあえず今回も大きな精神的痛手を被ってしまいましたし。

・ このペースで行くと、どんどん増えてっちゃいますよね・・・どんどん増えて・・ ・・どんどん・・ ・・・ドンドン・・・ 

ネコ
(※ どんどん増えたパターン)

・・・ダ メ !  ぜ っ た い !!

・ リスベットさんがこうならない為にも、続く第2部、第3部で少しでも心休まる日々が彼女に訪れる事を願いつつ、フィンチャーさん御一行の続投に期待したいと思います!

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