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『ピラニア 3D』

2011年09月14日
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抜けるような青空。 照りつける太陽。 ありあまる程のビール。 爆音で鳴り響くチャラいダンスミュージック。 ベンチの上で舌を絡ませあう恋人たち。 必要最小限の布切れだけを身にまとい、腰をくねらせる女の子。 ボートの上からそれを眺めて喝采をおくる男の子。 
ラブ。 
セックス。 
セックス。 
ラブ。

なんだよなんだよ!楽しそうにしやがってよ!オレはおっぱいねえちゃんなんて全然羨ましくないんだからな!そんなビッチには興味ないね!だいたいこの手のヤツらって、知能指数が低そうでヤだよね!なんつうの?バカ丸出しっつうの? 聴いてる音楽もさー、ドンツクドンツクうるせえんだよなー!ったくよー! なーにが春休みだよ!なーにが水着パーティだよ!こんなチャラついた連中は死ねばいいんだ!くそう!リア充は全員死ね!!
と思ったいたらホントに全員おっかない魚に食べられちゃって、楽しげな水辺は血の池地獄ですよ! というお話。 最高ですね!

ビックゲストをお招きしてのサプライズな殺生シーンで幕を開け、その後は間髪居れずにおおよそ思いつく限りの「リアルに充実している人たち」の姿をこれでもかとばかりにスクリーンに焼き付け、観る者のルサンチマン・カウンターの針を一気に跳ね上げるというスピーディな展開。
チャラい同級生にバカにされている非モテの主人公までもが、偶然の成り行きから「有名なポルノ監督の助手に任命される」というアメリカンドリームを手にし、片思い中の彼女やナイスバディな女優さんと女体酒盛りに勤しんでしまうという、隙の無さが素晴らしく、「主人公だろうがなんだろうが、もういいから全員もげてしまえ!」と心置きなく叫べるシステムとなっております。 ホント最高ですね!

と言う訳で、アガサの心のベスト10に入る名作『ハイテンション』と『ヒルズ・ハブ・アイズ』を世に送り出した総責任者・アレクサンドル・アジャさんの最新作『ピラニア3D』を、飛び出すメガネ持参で鑑賞してきたのですが、スクリーンというリングの上からリズミカルに繰り出される「エロ」と「グロ」のコンビネーションが小気味よく脇腹をくすぐる、とても素晴らしいバカ映画で、ぼくにはもう何も言う事はないですね。
アジャはあれですよね、ホントもう何回も書いてますけど、無駄に男前だわ作る映画はおもしろいわグロ方面に手加減しないわで、「地上に舞い降りた鮮血の貴公子」とかなんとかあだ名をつけちゃいたいくらい最高の監督さんですよね。 いっそひとおもいにけっこんしてくれ!

アガサ思うんですけどね、人間なんてものはね、どれだけキレイ事を言っていても、その心の奥底にはどろどろじめじめした本性が眠っているものだと思うんですよね、いや、アガサの性根が腐ってるだけだとかそういうんじゃなくてね。
所構わず乳繰り合っているカップルを見れば、
「ヒューヒュー!おしあわせに!」
ではなく
「チッッ!!!」
と舌打ちをしたくなるのが世の常ですし、超スタイルのいい美女を連れて高そうな車に乗って首からジャラジャラと貴金属をぶらさけて腰パンで闊歩しているイケメンを見れば、
「いやぁ、あやかりたいものですなぁ!」
ではなく
「しね!しね!いますぐ壮絶にしね!!」
と毒を吐きたくなるモノじゃないですか。たとえ自分がそこそこ幸せな人生を歩んでいたとしても。 
自分には甘く、他人には厳しい。 そういうものじゃないですか、人間なんて。
ただ、そういう本音を曝け出して生きていると、顰蹙もかうし猛烈に嫌われる。
だから、人の営みに寄り添うように、ずっとずっと昔から、「ほおら!たんと溜飲をお下げなさーい!」という映画が作られてきたのではないかと思うのですよ。 
思う存分「いやー、けしからんですな!もっとやれ!」と野次を飛ばす事の出来る、不謹慎極まりない映画が。

そして本作もまた、過去に作られてきた諸先輩方に負けじとばかりに、薄さの限界に挑戦したかのような薄っぺらいストーリーを、くどい程に繰り返される「パイ!オツ!パイ!オツ!」のコールアンドレスポンスと、えげつない程に食い散らかされた肉片で彩り、登場人物がいまわの際に漏らすのも「ぬ・・濡れ濡れTシャ・・ツが・・見・・たい・・(ガクッ)」という最高にくだらない言葉という、どこを切り取っても上品さの欠片も見当たらないような、超最低な映画に仕上がっておりまして、良識ある大人のみなさんから浴びせられるであろう罵倒がすべて賛辞に変わるという、奇跡のような逸品だったと思うのです。
つまり、「酷い」、「人間性を疑う」、「下品」、「3D映画の質を下げる低俗ムービー」という言葉が「バッキャロー!おまえさいこうだぜ!!」の一言に変わるというね。
それでいいと思うのですよ。 
思う存分眉をひそめられればいいのですよ。 だって、そういう映画なのだから。
目指しているのは「品行方正」とは無縁な、不真面目でお下劣な感情の捌け口なのだから。

それにしても、今までは(特に日本では)日陰の存在だったこの手の罪深き映画が、こうしてお天道様の下堂々と鑑賞出来る日が来ようとは・・・ 本当にありがたい事ですね。
これからももっともっと、えらい人から非難されるようなバカ映画が公開されるといいなぁ、と思います。
そして、もっともっと沢山の人たちが勇気を出してそれを観て、たまには自分の心の裏側に隠しているジメっとした感情を、スクリーンから射す光に当てて日向干しすればいいのになぁ、と。
きっとそれは、健全なことなんだと思うよ!

と言う訳で、未見の方は是非一度ご鑑賞ください!
そんで、「ちくしょう!リア充はしね!! ・・・あ・・いや・・ そこまでしなくても・・うん・・しねは言い過ぎた・・ごめん・・・」と思えたら、真人間まであと一歩ですよ! 
わたしですか? 
わたしはまだまだ遠い道のりになりそうです!ヒャッハー!!


― 追 記 ―

・ 『JAWS/ジョーズ』のリチャード・ドレイファスが『ジョーズ』と全く同じ役で登場。超ヘボいCG処理の上ミンチにされるという胸アツな役柄を嬉々として演じていました。 いいひとだなー。

・ 「スプラット・パック」仲間のイーライ・ロスことユダヤの熊が、“濡れ濡れTシャツコンテスト”の司会者として登場。 ノリノリでチャンネーのシャツに水をぶっかけるユダヤの熊。 大量発生したピラニア軍団から逃げる最中、ボートに挟まれて頭を飛ばされるユダヤの熊。 ピラニアの映画なのに、喰っても貰えなかったユダヤの熊。 扱いがおいしすぎだろ! どんだけ愛されてるんだよ!

・ 主人公のぼんくら青年の母を演じていたのはエリザベス・シュー。 そして、熱帯魚ショップのオーナー役を演じていたのはクリストファー・ロイド。 なんと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のジェニファー(2代目)とドクが奇跡の再会! もーホントにアジャは粋な事するよなぁ! け っ こ ん し て く れ !!

・ 水中人魚のシーンは最高でしたよね! 無駄に尺を使ってるのがまた最高! 超必要ないシーンじゃん! あと、このシーンがぼかし無しだったのも最高! あ、そうか、ヘアーが無いから規制にひっかからなかtt(モゴモゴ)

・ アジャは『ハイテンション』『ヒルハブ』『P2』(プロデュースのみ)と傑作が続いて、『ミラーズ』でちょっと躓いて、また今回の『ピラニア』でホームランを放った訳ですが、こうして見てみるとおもしろい作品は「は行」ばかりなんですよね。 次回作『コブラ』の成否やいかに。 思い切って『ヒ・コブラ』とかにタイトル変更してみるとか・・今ならまだ間に合うよ!

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Trackback
俺は思った、「ほぼ完璧な映画だ!」と。 オープニングでピラニアの最初の犠牲者となるオッサンが リチャード・ドレイファス(『ジョーズ』でサメ退治する学者役)という所から、 監督がクラシックB級映画へのオマージュを捧げまくるつもり なのがよくわかる。

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