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『THE JOYUREI ~女優霊~』

2011年08月23日
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あらすじ・・・
エキセントリックなひらめきで、処女作をメガヒット作品へと導いた若手映画監督のマーカスは、病に伏す最愛の恋人が気がかりで仕事に身が入らない。
情緒不安定なままメガフォンをとった第2作は見事に失敗。
後がなくなったマーカスは、新たなひらめきを具現化すべく、プロデューサーのジョッシュを説き伏せルーマニアに向かう。
そこで彼が撮影しようとしていたのは、1928年に撮影されるも未完のままに終わった伝説の映画のリメイク版。
しかし、中世のルーマニアで実際に起こった「少女惨殺事件」をもとに製作されたその映画には、恐ろしい呪いがこめられていたのだった・・・。



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(※ エイセントリックな怪電波ひらめきを受信中のマーカスさん。 真性です。)

Jホラーブームの先駆けであり、伝説と呼ばれる最恐ホラー『女優霊』。
いまだに、多くの人の心の中にトラウマムービーとして深く刻み込まれているかの名作を、ハリウッドが満を持してリメイク!  ・・・という話は聞いていたのですが、なんとなく地雷臭がふんぷんと漂っていた為二の足を踏んでいたアガサ。
このたび、WOWOWさんによる「オリジナル版と連続上映」というナイスな抱き合わせ放送のお陰で、無事鑑賞の運びとなった訳なのですが、正直コレ、予想を裏切る出来でしたね! ええとね、ええとね、よくも悪くも予想外!

オリジナルからそのまま頂戴したのは、
・ 撮影中に起こる怪奇現象
・ 撮影済みのフィルムに映りこんだ昔の映像
・ 全力でバンザイしすぎてテンションおかしくなっちゃったみたいな例のポーズ(落下死体)
くらいで、後はほぼオリジナルストーリー。 
いやぁ、リメイクというからには、もうちょっと沿った内容だと思いましたよ。『リング』もそこそこ沿ってましたし。それなのに開始早々ルーマニアに移動するとか!チャレンジャーきたる!!!
ただ、その後の展開はというと、オリジナルと言っても初めて会った気がしない、いわゆる既視感満載のアレなんですけどね。ほら、悪魔が出てきたり悪魔の子が出てきたりって言うよくあるアレ。

冒頭、テロップにて「中世ルーマニア。シャビーという女性が悪魔と取引をして産んだとされるマーティアという少女が、恐怖にかられた村人の手により惨殺され、その後悪霊となった彼女は村に呪いを(ry 」という超ありがちな説明がなされた時点で、既に1本映画を観たような気持ちになってしまったアガサ。
まだだ・・ まだ始まってもいないんだ・・・! と自分に喝をいれ、片足スクワットをしながら鑑賞していたのですが、次から次へと飛び込んでくる情報を整理しきれなくなってしまい、途中からグルーヴ感だけで乗り切る羽目に。

ちなみに、その情報はどんなものなのかというと、
・ 主人公の恋人が不治の病っぽいんだけど、何か重大な秘密を隠しているっぽい
とか
・ 主人公は処女作に続く第2作目の撮影中に大失態をかましたっぽい
とか
・ 1928年にルーマニアで撮影された映画は5人くらいしかスタッフいなかったっぽい。ていうかそれ自主映画なんじゃねえの
とか
・ そもそも中世ルーマニアで血祭りにあげられた少女は濡れ衣ではなくマジモンで悪魔の子だったっぽい
などなど、ぽいぽいだらけの雰囲気番長状態なものですから、これがまた、病気ネタをひっぱりたいのか、主人公の電波っぷりに焦点をあてたいのか、はたまた悪魔方面に舵をきりたいのか、非常に理解し辛いのですよね。

観ている私たちは、一体何を怖がればいいのか。
主人公が災いの渦に巻き込まれていく様に恐怖すればいいのか。
悪魔の存在に恐れおののけばいいのか。
それとも、なんでこんな脚本がまかり通ってしまったのか、と、ハリウッドの常識というものに肌を粟立たせればいいのか。
こわい、こわいよ父さん。ぼくは「大人の事情」が心底こわいよ。


アガサがオリジナル版『女優霊』に感じたのは、「不確かなもの」と「得体の知れないもの」に対する恐怖でした。
自分の中にある「記憶」。 それは実在するものなのか、それとも幼い頃生み出した想像なのか。
オリジナル版『女優霊』の中で、主人公の映画監督は自分が幼少期に観た映画の1シーンの記憶に翻弄されてしまいます。
確かに観たはずなのに、それを証明する手立てがなく困惑する主人公。
実はアガサにも、5~6歳の頃テレビの深夜放送で「観たはず」の映画がありまして、その断片は今でもはっきりと覚えているものの、それが何の映画の1シーンだったのかは未だにわかりません。
その場に一緒にいたはずの母親に聞いても「そうだったかしらねぇ」というぼんやりとした答えしか得られず、思い出そうとすればするほど記憶は濁り、曖昧になるばかり。
そもそも、観たと思っている場所が正しいかもわからず、観たと思っている時期も不確かで、あれらは全て、自分の脳が作り出した想像なのかもしれない・・・と自信をなくした瞬間、では幼少期の自分の記憶はどこまでが事実でどこまでがそうでないのか、と無間地獄に落ちてしまいそうになる。
「記憶」に対する自信が不確かなものになった時に感じる不安。 
そういったものが、とても上手く描かれていたのが、オリジナル版だったと思うのですよね。
ちなみに「得体の知れないもの」は、その名の通り得体の知れない笑い上戸のオバケな! なんなのアレ!ホントこわいから!笑うの禁止にしようよマジで!

このリメイク版には、オリジナル版にあった「不穏な空気」も無く、「得体の知れない存在」も無く、「漠然とした不安」も無く、ただただ派手に飛び交う蝿の群れや死体の山を築く為だけに死んで行く登場人物があるのみなのですよね。
で、その代わりにとばかりに、オリジナル版の「謎を含めた終わり方」だけを再現すべく色々な「っぽい」ことを詰め込んで、「ホラーっぽいのが出来ましたよー」っつってお前はホラーというものが何もわかっちゃいない・・・! 
・・ホントにさぁ・・・なんていうか・・ おまえバカ!!!


と言う訳で、恐さもへったくれもなかった本作ではありましたが、塩コショーで焼いただけのでっかいステーキのような、大雑把だけど満腹感たっぷりな部分もありまして。
特にアガサが好きだったのは、呪いのパワーでパニック状態になった映画クルーが、「こんな仕事やってられっか!!」とばかりに機材を担いで現場から立ち去ろうとするシーン。
伝説の恐怖映画のリメイクを撮る、と海外まで呼び出されたはいいけれど、スタッフは次々死亡&失踪するわ、監督は撮影中にも関わらずエキセントリックに白目を剥くわで心底疲れ果て、ついに職場放棄に踏み切った撮影班一同。
さじを投げるだけならわかるのですが、なんかもう異様にてんてこまいになっておりまして、呆然とする監督を尻目にカメラは放り投げるわ、スタッフ同士で乱闘を始めるわ、刃物を持って監督に襲い掛かるわ、車を強奪すべく窓ガラスはかち割るわ、完全にヒャッハー状態なのですよね。 いや、自分の車に乗り込めばいいじゃん!鍵開けて乗り込めばいいじゃん!
そこに至るまでの雰囲気と全く異なるテンションで繰り広げられる世紀末撮影現場列伝に、思わず前のめりになってしまいました。 こういう予想外は大歓迎ですよ!

長い期間を経た後に、改めてリメイクを作る必要がどこにあったのか・・、と、素朴な疑問は尽きないのですが、オリジナル版にあった丁重さを全て取り除き、全編クライマックスみたいなトンデモホラーもどきに仕立て上げた点は逆に潔いような気もしますし、とにかく、先述のヒャッハー展開とクライマックスの大出産シーンは爆笑間違いなしの名シーンですので、スキモノの皆様は一度お試しになってみてはいかがでしょうか。強くおすすめはしませんが。


― 追 記―

・ 部屋の中に肥だめ!!!

・ この手のホラー(怨霊系)は、「不当な理由で殺された事による報復」なコトが多いのではないかと思うのですが、本作は「悪魔の子と疑われて殺された少女が本当に悪魔の子だった為、悪魔が全力で村に呪いをかける」という、要約すると「ものすごく気の毒な村のお話」なんですよね。 ええと、ええと、色々と不条理!

・ で、「その話をもとに映画を作ろうとするも、現場にも呪いがかかっていて製作が進まない現象」が1928年と今回の2回に渡って起きてしまうのですが、悪魔が実際のトコ何をしたかったのかさっぱりわからないという罠。

・映画に携わる関係者の中から悪魔の里親を選び出し、子を育てて貰うのが目的なんだったら、映画の撮影を邪魔する必要ないですし。  むしろ、悪魔的におもしろい映画に仕上げて、ロケ地めぐりとか活発にさせて、押し寄せた映画のファンの中から里親候補を選ぶ方が楽そうですしおすし。

・ ていうか、フィルムに映りこむの、女優霊じゃないよね。(ダミアン的な霊ですよね)

・ クライマックスに用意された一番のショックシーンは、主人公の前に勢ぞろいした悪魔関係者による里親要請シーン。
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「悪魔の子を肉腫の中で育ててください」

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「いやです」

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「わるいようにはしませんから」

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「ホントにいやです」

・ 『E.T』のヘンリー・トーマスが出ている事に早い段階で気付いていたのですが、心のどこかでそれを認めたくなくて、エンドクレジットまで「いや、でもそっくりさんって可能性もあるから・・」と自分に言い聞かせていた私の気持ち、どうかわかってください。

・ 原題は『Don’T LOOK UP』だったのですが、正直いまだに意味がわかりません。 2階に肥溜めの部屋があったから、そこを「見ちゃダメー」って事だったのか・・・ (でも数百年前に悪魔の子が殺された場所って、屋外だったみたいなんだけど・・) 

・ ガニ股の合間から生まれかけの赤ちゃんをブラブラさせた状態の怨霊が出てきて「ガオー」ってなった瞬間、「まけた・・・」と思いました。 この勝負、わしの完敗じゃ・・・!(何の勝負なんだよ)

・ 日本版のポスターの「それはけっしてみてはならないもの・・」という煽りを鑑賞後に見ると、なんというか、非常に感慨深いですな! なんや!自虐ネタか!!


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