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『ミッドナイト・ミート・トレイン』

2011年07月21日
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あらすじ・・・
真夜中に、肉を、列車で、運ぶんですよ!


“血の本”という、見るからにおっかない名前を冠に掲げた小説シリーズの中の一遍、「ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車」を、『VERSUS ヴァーサス』『あずみ』でお馴染みの日本人監督・北村龍平が華麗に映像化。
目ん玉が飛び出たり、目ん玉がぶっこ抜かれたり、トンカチでポカーンと叩いたら生首が飛んだり、その生首の視点で画面が回転したり、列車の内と外とをカメラがぐるんぐるん回ったり、やたらと反射された世界の中の映像を使ったりと、なんかもう「趣向をこらしてみました!」という意気込みだけでおなかがいっぱいになりそうな、とても楽しい映画でしたよ。

主人公のフリーカメラマン・レオンは、自分が住むニューヨークの“心臓”を撮る事が夢なのですが、なかなか「コレ!」という一瞬を捉える事が出来ず、事故写真などで日銭を稼ぐ日々。
ある日同棲中の恋人が、有名画廊のオーナーとの面接を取り付けてくれて、意気揚々と今までに撮った自信作を携え出かけるレオン。
しかし、オーナーからは「これじゃあ上っ面を撫ぜただけだじゃねえかよこのへっぽこカメラマン!」(※要約)と厳しいダメ出しを食らい、もっと踏み込んだ写真を撮るべく、真夜中のダウンタウンへと繰り出すのであった・・・。
・・・
・・で、まぁ、真夜中の列車で肉と出会うんですけどね。(←雑なまとめ)
ニーチェの有名なアレ(深淵をのぞき込むとき、その深淵もこちらを見つめている)の通りの展開が繰り広げられる原作をそこそこ忠実になぞった本作。  
ただ、それだけだとあっという間に終わってしまう(※原作は短編小説)ので、レオンの恋人がすわファイナルガールか?!というような頑張りをみせたり、精肉工場でかくれんぼしたりといった肉付けがなされています。
他にも、日本人監督だからなのか、事件の発端となる女性が日本人モデルだったり、主人公がベジタリアンで豆腐好きだったり、BGMがちょっと日本チックだったりもしますので、日本のお客さんはプラスアルファの部分でも楽しめるかもしれませんね。

原作同様、物語のクライマックスで、“なぜ・公営の地下鉄で・堂々と・肉を・さばいているの・か”という5W1Hっぽい秘密が明らかとなるのですが、この部分がやや説明不足なので、原作を未読の方にはわかりづらかったのではないかと思います。

(※ 以下ネタバレ)



実はNYの地下には、人類が誕生するずっと前から存在している“父祖”が棲まっていてですね。
クトゥルフ神話でいうトコロの“旧支配者”のようなモノなのかもしれませんが、ニューヨーカーの中の一部の人々は、百年以上に渡ってこの“父祖”のお口に合うようなマイウーなシーメーを用意し続けていたという訳なのです。
なぜそんな田舎の旧家に嫁いだ嫁みたいな事をしなければならないのか。
それが“恐怖”なのか“畏怖”なのか“崇拝”なのかはわかりません。 
もしかしたら、ごはんをあげないと近所じゅうに「うちの嫁は食事の支度も満足に出来ない」と触れ回れられるからなのかも(※要約・NY市民を手当たり次第喰い散らかされるからなのかも)しれませんね。
ともかく、“父祖”の僕となった人間は、夜毎人気の無い地下鉄に乗り込み、乗り過ごした人やたまたま居合わせた人をトンカチでどつき倒し、“父祖”のみなさんが食べ易いよう、服を脱がせて歯を抜き髪を刈り目ん玉をほじくり出し、最後に逆さに吊るした状態にセッティングするという重労働を任される事と相成るのです。 
あのね、たぶんちょいちょいね、人間側にクレームがついてたんだろうと思うのですよね。 
「おまえが持ってくるメシさぁ、髪ついてんじゃん。アレあるとさぁ、飲み込む時ムグってなるから刈っといてよ」
とか
「目ん玉にはDHAが含まれてるってほんまでっかTVで言ってたから別のお皿によけといてよ」
とか
「歯は噛みにくいから予め抜いとくのが気配りってもんでしょ」
とかもうおまえらどんだけグルメやねん! 黙ってもしゃもしゃ食べといたらええねん!

ホント、めんどくさい父祖ですよね! そりゃストレスでイボも出来るわ!(※お食事係のおじさんは、なぜか体にイボイボが出来ていて、それを切り取って壜にコレクションしておくのが日課となっているのです。ま、そのエピソード自体はストーリーに全然絡んでこないんですけどね。)

地下鉄における謎の失踪&殺人事件に引き込まれてしまった主人公は、イボイボのおじさんをストーキングした挙句、この“父祖”の存在を目の当たりにし、恋人の心臓を生きたまま抉り出す程の圧倒的パワーに完全降伏してしまいます。
まあね、“街の心臓”を撮りたいって言ってたらほんまもんの心臓を見せられるとかね。 そりゃ「コレわアカン!」ってなりますよね。
ただ、完全降伏するだけならともかく、そのまま大いなる力の僕となってしまうのが、ちょっと唐突すぎたように感じました。
そこに至るまでに、“父祖その1”にスカウトされるくだりもあるのですが、もうちょっと“なぜ主人公が選ばれたのか”とか“恐怖に屈したのではなく魅入られた”みたいな描写があってもよかったのではないかなぁ・・と。

さて。そんな摩訶不思議な物語の出演キャストですが、『特攻野郎Aチーム』でフェイスマンになる前のブラッドリー・クーパーや、『X-MEN3』でジャガーノートになった後のヴィニー・ジョーンズ、『特攻野郎Aチーム』でコングになる前のランペイジ・ジャクソンや、『青い珊瑚礁』で珊瑚礁になる前のブルック・シールズなど、とても未公開映画とは思えない程の充実っぷり。 す み ま せ ん 、 珊 瑚 礁 は う そ で す 。

いかにも「殺される為だけにやって参りましたー!!」といった面持ちの中年男性が、主人公の知りあいの役で登場するのですが、「どこかで観た事あるなぁ・・」と思っていたら『プロデューサーズ』でゲイの演出家助手を演じていたロジャー・バートさんでした。 
ロジャーさん、たしか『ホステル2』でも散々な目に遭っていたのですよね・・  まぁ・・ね・・そういう日もありますよね!がんばれロジャーさん!
ちなみに、エンドクレジットをぼんやりと眺めていたら、“テッド・ライミ”の文字が流れてきましたので、どうやらサム・ライミさんの弟さんもどこかで殺されていたようですね。 顔と名前が一致していないのでアレなのですが、もしかしたら途中で目ん玉引っ張られてたサラリーマン・・だったのか・・も・・ うん・・マァ・・ね・・ そういう事もありますよね!がんばれライミさん! 

若干、観客を置いてきぼりな部分はあるものの、ザバーと流れる血糊や適度なグロは夏のお供に最適なのではないでしょうか。
ま、ざっくり言うと、カップルとかでイチャイチャしながら観りゃいいんじゃねえの。(←雑なまとめ・2)
“血の本”シリーズは他にも何作品が映像化されているようですので、また機会がありましたら観てみたいと思います。


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