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『ブラック・スワン』

2011年05月12日
ブラックスワン3
粘着質な先輩。

ブラックスワン4
馴染めない職場。

ブラックスワン
頻発する怪現象。

ブラックスワン2
似てない似顔絵。



決 し て 、

ひ と り で は 見 な い で く だ さ い ・・・。


blackswanposter_convert_20110511231843.jpg


あらすじ・・・
ニナは才能と容姿に恵まれた優秀なバレエダンサー。 しかし、真面目すぎる性格が災いし、なかなか大きな役を得られない事から、若干神経が細くなっていた。
ある日、バレエ団のプリマであるベスが、近々引退するのでは、という噂が楽屋を駆け巡る。
ベスに憧れていたニナは、ショックと期待で少し神経をすり減らす。
翌朝、練習場に突如現われた芸術監督のトマスが、次の公演のキャスティングの為のオーディションを開く事を告げた。
演目は、白鳥の湖。 
過去にも踊った経験はあるものの、「コールド・バレエ」以上「四羽の白鳥」以下の役しか貰った事がなく、緊張と不安で神経がアレな感じのニナ。
案の定、オーディションで失態を演じてしまい、益々神経を高ぶらせてみたりする。
しかし、諦めきれないニナは、翌日、勝負メイクを施しトマスのオフィスに突撃。そして玉砕。そして神経をすり減らす。
夢破れたニナは、荷物をまとめて劇場を後にしようとするのだが、意外な事にトマスはニナを新しいプリマに抜擢していた。
神経がアレっぽい感じのニナは驚きと嬉しさで神経を新たにシクシクする。
心配する母を尻目に、激しいトレーニングに励むニナ。
踊りの才能はあるものの、黒鳥に必要とされる「妖艶」「官能」「奔放」といった要素を全く持ち合わせていなかったニナは、なかなかトマスの求める演技に辿り着けず、猛烈な勢いで神経をすり減らして行く。
焦りと苛立ちを隠せず神経が高ぶる一方のニナは、トマスが自分の代役として、最近入団したばかりのリリーを選んだ事を知り、神経が大放出祭りになってしまう。
自分に足りないものを全て兼ね備えているリリー。 観るものの心を惹き付けるステップを魅せつけるリリー。 神経をすり減らしていないリリー。そしてニナは減らす、神経を。
刻々と迫る初演日を前に、のっぴきならない程神経をナニしてアレしてしまったニナは、ついに神経を本格的に病む事になり・・・。


うん・・まぁ・・ほら、アレだ・・メンタル面弱すぎだろ。

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と言う訳で、『ブラック・スワン』を観て来ましたよ。
プリマに選ばれた者が次々に精神のバランスを崩し自滅してゆくという、呪われたバレエ団のお話です。 うそです。
うそなんですけど、世の中に「思わずバレエを習いたくなる映画」と「絶対バレエには手を出さずにおこうと思う映画」があるとすれば、確実に後者に選ばれる映画だと思います。(※前者は『ベジャール、バレエ、リュミエール』とか『エトワール』) 
全国のバレエ教室に通うちびっこ諸君は、有吉京子先生の『SWAN』を読んで中和しようね!



(※以下ネタバレ)





中堅バレリーナのニナは、過保護な母親と二人暮し。
夢半ばで破れた母の想いを背負い、痛々しいほどストイックにプリマへの道を突き進もうとします。
妖艶さが必要だと言われれば芸術監督のキスに応え、色気を出す為と言われれば自慰もいとわない。
悪い遊びにもチャレンジし、行きずりの男の愛撫も受け入れる。
自分を追い込んで追い込んで、でも成果が出せないニナ。
彼女の焦りや不安や緊張が、常に行動を共にしているようなカメラワークによって、ダイレクトに伝わってきて、心底おそろしかったです。

もともとニナは、清廉潔白・無垢な乙女だった訳ではなく、憧れのプリマの楽屋に忍び込んで私物をくすねるようなあざとさや、先輩の失脚を知り、心を痛める一方であわよくば・・と期待に胸を膨らませるようなしたたかさを持ち合わせていた。
ニナの中には、最初から「白鳥」も「黒鳥」も混在していたのですよね。
無いものを無理やり得ようとしたのではなく、奥底にしまい込んでいたものを解き放っただけ。
自分を押さえつけていた、愛情や期待や自制心に打ち勝ち、舞台の上で雄雄しく羽ばたくシーンは圧巻でした。

『白鳥の湖』というバレエ作品が、悲劇的な結末を迎えるのと同じように、自分自身と向きあい本物の表現力を手にしたニナを待ち受けているのもまた、哀しすぎる最期でした。
しかし、絶望感を謳っていた旋律が短調から長調へと変わる中、ついに「完璧」なダンスに辿り着いたニナの表情は満ち足りているように見えました。
死して悪魔ロットバルトの支配から逃れた白鳥のように、自分の全てを捧げ、バレエに添い遂げたニナの最期もまた、もしかしたらひとつのハッピーエンドだったのかもしれませんね。


本作でもうひとつ唸らされたのは、ニナの母親の描き方。
普通、・・といっても映画でよく見かけるパターンではという意味ですが、普通、ステージママというのは我が子が頂点に上り詰める事を期待するものではないかと思います。
ミスコンで優勝、バレエ団のプリンシパル、ブロードウェイのスターに。
とにかく「一番」にならせる事にこだわるステージママが多い中、ニナの母・エリカは「適度なポジション」で満足している。
我が強くないニナは、プリマ・バレリーナの重圧には耐えられないだろう。 だから群舞で充分。パ・ド・トロワなら上等。
そんな娘がプリマに抜擢された事を電話で報告した瞬間、受話器の向こう側のエリカの表情は映りませんが、一瞬の沈黙が彼女の動揺を物語っていると思いました。
群舞で終わった自分のバレエダンサーとしてのキャリア。
娘がそれを越える事を、望んでいなかった訳でなないものの、いざ果たされると複雑な心境になってしまう。
要するにおもしろくないんですよね。 なんて素直なお母さんなんだ!

女同士の共感と反発は、血の繋がった母娘であっても確実に存在する。
女は常に、ライバルを探して闘いを挑もうとしているのかもしれないなぁ・・と思いました。
同じ夢を共有し、一卵性母娘のようにくっつき合って過ごしてきたエリカとニナ。
ニナが精神のバランスを崩せばエリカもおかしくなり、ニナが舞台の上で完璧なダンスを披露していればエリカも観客席で恍惚の表情を浮かべる。
エリカは、ちょっと過保護すぎるトコロもあるものの、娘思いのいいお母さんだったんだろうと思います。(現に、プリマに選ばれるまでの2人の関係はとても良好に見えました)
なんだかんだすったもんだあった後も、疲れて眠ってしまった娘の手にソックスを被せて体を傷つけないよう配慮してあげるエリカの姿に、普通のおかあさんの愛を感じました。これ、子どもが赤ちゃんだった頃にやった事あるお母さん、多いと思うなぁ。
「ステージママ=偏愛」という描き方ではなく、あくまで娘思いで、ちょっぴり正直すぎるお母さんとして描かれていたトコロが素晴らしいと思いました。


映像、キャスト、音楽のどれもが身震いするほど美しく、「表現」という芸術を生業にする者のプロ意識に打ちのめされると共に、恐ろしいまでの迫力でニナというダンサーを完成させた、ナタリー・ポートマンの完璧な演技に感動しました。

傑作です。


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題名ブラック・スワン(Black Swan) 監督ダーレン・アロノフスキー 出演ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)、ヴァンサン・カッセル(トマス、バレエ団の監督)、ウィノナ・ライダー(ベス、往年の名女優)、クセニア・ソロ(ヴェロニカ)、ほか。 公式サイト映画『
2010年 アメリカ 主人公のニナは、気弱で真面目な美少女バレリーナ。 彼女は、次の「白鳥の湖」公演で主役に抜擢される。 この役は、白鳥・黒鳥を一人で二役演じ分けなければ

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