『パラノーマル・アクティビティ2』
2011年02月25日

ハイパー鍋エンターテインメント。
あらすじ・・・
某月某日。 出産を終えたクリスティと生まれたての息子ハンターが、産後の肥立ちもよく産院から帰宅。
一年後。 家族が外出中に、家の中が荒らされるという事件が発生。
某月某日。 世帯主・ダニエルの提案により、空き巣対策として家中に監視カメラが取り付けられる。
某月某日。 鍋が揺れる。
某月某日。 乳母がんばる。
某月某日。 乳母解雇さる。
某月某日。 犬が吠える。
某月某日。 鍋が落ちる。
某月某日。 ハンターが歩く。
某月某日・夜。 犬が失神する。
同日・夜中。 クリスティが転ぶ。
某月某日。 おもちゃの汽車が鳴る。
某月某日。 投げの名人がふたたび現われる。
<おまけ>
上映後。 「待望の第3作は今秋堂々ロードショー」のアナウンスに場内がどよめく。
と言う訳で、上映前に「本編は、エンドクレジット終了後に衝撃の真相が明らかになりますので、本編終了後も席をお立ちにならないようお願いいたします」とのテロップが映し出されるんだけど全然衝撃の真相じゃないので早めにお手洗いに行っても大丈夫ですよ!とばかりにいきなり大ネタバレしてしまいましたが、全然後悔していません。こんにちは、アガサです。
約130万円の元手で90億以上稼いだ、映画界のわらしべ長者こと『パラノーマル・アクティビティ』。
公開当時、かのスピルバーグが「リメイク無理!」と言ったとか言わないとかで話題となっておりましたが、実はその言葉のあと、「でもさー、リメイクが無理なら、続編を作ればいいんじゃねえの?」と付け足したのではなかろうか、そんなロマンティックな夢想な止まらなくなる程、派手に増殖し続ける“パラアク関連作品”のみなさま。
第1作目公開直後から、(大方の予想通り)雨後の筍のように作られてきたそれらの作品の中で、“パラノーマル”の部分だけを頂戴した擬似タイトルの方はさておき、正規の続編の方がいささかわかりづらい展開となっておりましてですね。
・ アメリカ版1作目(事件発生)
↓
・ 日本版2作目(後日談)
↓
・ アメリカ版2作目(前日談)
という具合に、時間枠が前に行ったり後ろに下がったりあっちゃこっちゃしてしまいますので、なんかもうイラっとしますよね! 正直ベースで!
でまぁ、やみくもにイライラしていてもしょうがないので、今回は“現段階で公開済みの3作”を簡潔にまとめてみようと思います。
いいですか。
早口で言いますので聞き漏らさないように気をつけてくださいね。
いきますよ。
【これまでのまとめ】 悪魔が地味な嫌がらせをする。
はい、どうですか!
ここはひとつ、これで刀を納めて頂けないでしょうかね! アガサからのお願い!
ていうか、これだけ押さえておけば大概の事はなんとかなりますよ。だいじょうぶ!いい薬です!
さて、日本版第二章を経て、このアメリカ版パート2まで辿り着かれた方というのは、きっと大前提として第1作目のことがキライじゃない方が殆どだと思いますので、いまさら改めて書く必要もないのですが、(※一応それ以外の「観ようかな~どうしようかな~」という方もいらっしゃるかもしれませんので書いておきますと)本作には、前2作で描かれた以上のことは何も起こりません。
よく言えば“お約束の踏襲”、悪く言えば“勢いだけで作った類似品”。
ですので、“「DA.YO.NE」は好きだったけど「DA.GA.NE」辺りになるともうついて行けない。ギリで「SO.YA.NA」までかなぁ・・”というような方にはあまりお薦め出来ないと思います。
で、第1作目に大いに恐怖し、続く第二章にも好意を抱いたアガサなのですが、今回の第3弾はさすがに「あちゃー・・」と心の中で呟いてしまいました。
劇場をあとにする足取りが重いの重くないのと。
このシリーズを(今度は真面目に)簡潔にまとめると、パート1は
“都合のいい所を映す”
作品だったと思うのですよね。
で、今回のパート2は、
“都合の悪い所は映さない”
作品だったのではないか、と。
結果だけ見ると大差は無いのかもしれませんが、受ける印象は随分違ってくるのですよコレ不思議なことに。
例えばパート1は、固定カメラの前でばかり怪奇現象が起こり、固定カメラめがけてアレが飛んでくる。
対して今回は、
固定カメラに、ベッドの柵を垂直に滑り上がる(眠ったままの)赤ちゃんの姿が映る・・・ んだけど、別視点のカメラに切り替わると既に赤ちゃんはベッドの下を普通に歩いてる。
固定カメラに、フレーム外に向けて激しく吠えまくる犬が映り、犬はそのままフレームアウトして悲痛な叫び声を上げる・・・ んだけど、別視点のカメラに切り替わると怪我もなく「気絶している」とだけ説明される。
固定カメラに、邪悪な存在によって家の外に締め出された長女の姿が映る・・・ んだけど屋外に設置されたカメラは長女のその後を映さない。
固定カメラに、階段から引きずり下ろされる妻の姿が映り、妻はそのまま地下室に引っ張り込まれる。しばらくして、生気の無い顔で地下室から歩き出る妻の姿が再び固定カメラに映し出される・・・ んだけど、別視点のカメラに切り替わらないまま、妻は「様子がおかしくなった」とだけ説明される。
1作目になかった程の、(赤ちゃんや犬を使った)衝撃展開があるにも関わらず、その直後を映さないので観客の頭に中にはショックや恐怖ではなく「?」だけが残ってしまう。
いや、映さないんじゃなくて、映せないのか。
赤ちゃんの例で言うと、「寝たままの赤ちゃんがするすると柵を滑って行く」映像を観たら、当然「柵の頂上からどうやって降りるのか」と思う訳ですよね。もしかしたら「落っこちちゃう?!」んじゃないか、「死んじゃう!!」んじゃないか、と。 はい、恐怖!
しかし、赤ちゃんは元気いっぱいベッドの下を歩きまわる。 階段を器用にトコトコと降り、台所を徘徊して、またベッドの近くまでよちよち歩いて戻る。 はい、すこやか赤ちゃん!ノー恐怖!!
ここで赤ちゃんを死なせる訳にはいかない(展開上)ので、都合の悪い所は映せないんですよね。
都合のいい所が映った映像は、その人のツボにさえ嵌れば充分な恐怖を感じさせてくれます。(あくまでツボにはまった人ですよ。その映像自体がウソ臭いからキライ、という人は別ですよ)
しかし、都合の悪い所を映さない映像は、冷え冷えとした気持ちと微かな失笑しか生み出さない。
何故もっと出来る事を出来る範囲でしなかったのか。
続編だからってカメラを増やせばいいってもんじゃないじゃないか。
日本のオリジナル展開に無い要素・・と 言 え ば ! とばかりに動物と赤ちゃん出すとか安いにも程があるじゃないか。
そんな疑問と憤りが混じりあった、複雑な心境で鑑賞していたアガサ。
ほんとにね。
複雑ですよね。
そんな粗ばっかりな続編なのに、椅子から飛び上がる程怖がってしまった自分を思うとね!
もうね。 なんやねん、と。 脇汗が止まらんわ、と。
オカルト方面一直線、ともならず、相も変わらずゆるーい怪奇現象を繰り広げた結果、新たな謎だけを残して終わってしまった本作。
でもね、やっぱり怖いものは怖いんですよね。 急に大きい音を出されるとね!(そういうトコが前回嫌われた原因なんだろうけども) 少しだけ開いたドアの隙間から、何が出るかな出ないかな?とか、 真っ暗な部屋をハンディカメラのナイトショット機能だけを頼りに進む時の不安感とか、 なんというか、お化け屋敷感覚で観るとやっぱり怖かったです。 すみません、心のハードル低くてすみません。
ということで、今回もまた賛否を醸し出しそうな内容だった訳ですが、きっと前作に失望した方は観ないでしょうし、前作を気に入った方は今回も「はい!ブン投げキタ━━━━(゚∀゚)━━━━! 」と大らかな気持ちでお約束の数々を楽しまれることでしょうから、誰も傷付かずに済んでいいのではないでしょうか。
ちなみに、「今秋ロードショー!」とアナウンスされた続編についてですが、アガサはまた観に行きますよ。
もちろん行くね。 ていうか、行かないっていう選択肢はないね!
オレは『SAW』も最後まで見届けた女だぜ・・・!(キリッ)
もしも第4弾も劇場で鑑賞されるご予定の方がおられましたら、是非一緒に「ブン投げやっぱりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !」と盛り上がりましょう!
たぶん3Dで飛び出すと思うよ!!
-追記-

(※ 風も吹いていないのに揺れる、鍋のみなさん。 突如落ちる鍋!元の位置に戻される鍋!再び落ちる鍋! もう一時たりとも鍋から目が離せない・・! これはまさに、ハイパー鍋エンターテインメント!!)
(※ って思えば腹も立たないって!どんまいどんまい!)
関連感想・・ 『パラノーマル・アクティビティ』(アメリカ版第1作目)
『パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT』(日本版第2作目)

