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『パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT』

2010年11月25日
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異種格闘ホラー。

※ 以下、あけっぴろげな内容になっております。 要するにネタバレです。


あらすじ・・・
山野幸一の受難は、アメリカ旅行中に両足を複雑骨折してしまった姉・春花が帰国した夜から始まった。
まずは、姉の部屋のベッドサイドに置いていた車椅子が、眠っている間に移動。
すわ幽霊か、とばかりに、部屋の隅に盛り塩をすれば、眠っている間に山が崩され巻き散らかされてしまう。
ビデオカメラに興味があり、何台ものカメラを持っていた幸一は、春花の部屋に監視用のカメラを設置。 猛烈に反対する春花を説得し、もう一晩だけだからとカメラを回すことに。
翌朝、カメラには明らかな不審音が残されていたものの、春花は頑なに撮影続行を拒絶。
決定的な映像を期待し、撮影を希望する幸一と春花が言い争いをしていたその時、テーブルの上のガラスコップが突然激しく砕け散る。
予想を上回る怪奇現象に怯えはじめた春花は態度を軟化させ、幸一は希望通り撮影を続行させるのだが、夜中の怪奇現象は収まるどころかどんどんヒートアップし・・・。


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はい、と言う訳で、先週から公開が始まった新作ホラー『パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT』を観て来ましたよ。
超低予算で作られ、超高収益を叩き出したという話題作『パラノーマル・アクティビティ』の正式な続編であり、なおかつアメリカ製ではなく完全日本製という、ちょっぴり変わった作品です。

登場する男女は、 “恋人同士“ ではなく “姉と弟” と言う、より濃密な関係に変更され、家に閉じ篭らざるを得ない理由づけとしては、 “姉の両足が複雑骨折” という文字通りの足かせを用意。
大学浪人中の弟もまた、単身赴任中の父にかわって姉の面倒を見なければならない為、家に繋がれた状態、と、オバケに襲われる下準備はバッチリ。
その後の展開は、かなりの部分でオリジナルをなぞって作られており、
「ヘンな現象が起こってる」と相談してきたクセに、その原因を突き止める為カメラを設置する事には異様に反対するヒロインや、
回り続けるカメラに収められた「ヴゥーン・・・」というモーター音、
無風なのに舞い上がるカーテン、
何者かにおさわりされるヒロイン、
「ドバーン!!」といきなり開くドア、
顔の部分が割られた写真フレーム、
怖気をなして退散する霊媒師(※本作では霊感少女)などなど、いつか観た光景がアジエンスな登場人物と共に繰り広げられます。

これらの超常現象は、全て姉弟の部屋の入り口のドア(と、その向こうにあることになっている階段)を中心に起こりまして、 “ドアの真向かい” という “うまいこと全てが入り込む位置” に置かれたカメラに余す事無く収められます。 
絶妙です。 まるで “作りこまれた画” のように、まるで “監督が計算した構図が完成するコトを想定して置かれた” かのように置かれたカメラ。 
絶妙です。不自然なくらい絶妙です。 恐怖の根源というのは、 “目に見えないもの” や、 “意図せずに映りこんだもの” に宿ると言われておりますので、100%の力で逆走行しています。 高速道路だったら大事故です。

絶妙なカメラは何気ないシーンでも大活躍。
姉弟が白米をもりもり食べる様ななんてことはない食事の風景も、机の上の丁度2人が収まる位置でキャッチ。 あなたは食事の時にカメラを回しますか? 前の日の煮物が再び食卓に並ぶさまを、自ら後世に残そうと思いますか? このカメラならそれができます、そう、iPhoneな(ry

オリジナルの中盤に、床に巻いた粉についた山羊っぽい足跡から、犯人の正体が “いわゆるひとつのエロイムエッサイム” 系だとわかるシーンがあるのですが、正式な続編である本作でも、その設定はきちんと受け継がれており、というか、姉がアメリカで骨折する原因となったのは、何を隠そうオリジナルのヒロイン・ケイティとの接触事故だったのですよね。
『悪魔を憐れむ歌』方式で春花に乗り移った悪魔が、帰国先の山野家で大暴れしている、というコトに気付いた弟は、錯乱状態の姉の手に十字架を握らせるのですが、ここで悪魔は絶妙なカメラと連携して、抜群のサービス精神を発揮。
弟が部屋を出、姉ひとりになったのを見計らって、部屋の窓ガラスを割りまくり、そのあと十字架を床に滑り落として炎上させる、というド派手なパフォーマンスを、全て1台のカメラのフレームからはみ出さない様やり遂げる悪魔。 よっ!名演出家!

そして、 “どんなことが起きても、決して家から離れない” という一見不自然極まりない不文律が、またぞろ繰り返される様。
まず、序盤の “塩が軽く蹴散らかされる” という段階で「こんな家絶対住みたくない」オーラがビンビンなのですが、「風が吹き飛ばしたんだよ」と気にも留めない姉。 言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信です。
そして、毎夜の怪奇現象に、向こう三軒両隣に響き渡るような叫び声をあげる姉。 なんの嫌がらせですか。 こんな人たちが隣に住んでいたら、布団を叩きながら「ひっこし!ひっこし!」と進言したくなりませんか。 
でもね、なっても出て行かないんですよー。作り手の都合が重視されるこんな世の中じゃ!ポイズン!!

衰弱しきった姉が、ある晩何者かにとり憑かれたようにベランダをうろちょろしていた姿を目の当たりにし、流石の弟も荷物をまとめて出て行く事を決意するのですが、その晩も結局、自宅で睡眠してしまいますしねぇ。 しかも、姉弟別々の部屋で。 うおおい!と。 そこ付き添っとこうよ!と。 彼女いない歴19年はなんの為ですか。 きれいなおねいさんはすきではないのですか。 いやちがう、おまえはすきなはずだ。 解き放て!おまえの煩悩を! そして石原慎太郎に叱られろ!!


そんなこんなで、荷物をまとめるトコまで行ってもなお、引っ越さないという展開まで、オリジナルに沿った内容だった本作は、なんと衝撃のラストまでオリジナルを踏襲。
そうです。 例の「カメラに向かってドガシャーン!!」です。
びっくらかしの技法としては、失笑を招き兼ねない程古臭いやり方を、その後日本版独自の展開を付け加えるとは言え再び繰り返してみせるとは・・・。 
監督の男気に完敗です。

定点カメラに映った映像。 唸りはじめるモーター音。 「ドスン!ドスン!ドスン!」という大音量。 
オーソドックスに進められる物語と、単調なおどろかしの繰り返しは、Jホラーを見慣れていないナイーブな方くらいしか楽しめないと言われてしまうかもしれませんし、お化け屋敷に行く方がよっぽどか恐怖体験できるよ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

ということで、アガサの感想を言うと、むちゃくちゃ怖かったです。 

なんなの?オリジナルとほぼ同じ展開なのに手汗が止まらないとかなんなの?こわいよ!ああそうさ!こわいよこんちきしょう!!!



実は、先に書いた色々な “マイナスと思われる要素” は、とある有名人のポッドキャストで前作『パラノーマル・アクティビティ』について語られた“不満点”なのですが。(性格悪くてすみません)
私はこれらの点を、まったくマイナス要素とは思わなかったのですよね。
カメラの位置が不自然すぎるとか、意味の無いトコロを撮り過ぎとか、なんで寝室のドアが開きっぱなしなの?とか、悪霊がカメラサービスし過ぎとか言われても、いやいや、これ映画でしょ?と。(寝室のドアに関しては、誰でも必ず閉めて寝るものだとも限りませんし)
“ドキュメンタリー”ではなく“モキュメンタリー”なわけじゃないですか。 
驚かす為に作られた映画に対して、“驚かすポイントがカメラにきっちり収まりすぎ”って、なんだかもう「うーん」と唸るしかないと言うか。 逆に、肝心なトコが映ってなかったら、「そこ撮らなくてどうするの」って言うんじゃないのかなぁ、と。(本物っぽさを売りにしているとは言え、映画ですからねぇ。映すべきものは映して当然なんじゃないかと)
もちろん、演出が単調で全く恐怖を煽られない、恐怖のツボを刺激されない、と感じるのは人それぞれだと思いますし、正直、アガサも「ちょっとそれは無理があるだろ・・」(何が起きても一向に家を出ようとしないとか)と思った箇所がありました。
しかし、“都合のいいポイントにカメラを置く”ことは、映画として当然なんじゃないかと思いますし、ラストの“ぶん投げシーン”も古臭いとは思いませんでしたよ。 
悪魔と主人公(カメラ)との戦いだった訳ですから、最後にそのカメラを破壊すべく“ぶん投げ”てくるのは、悪魔の勝利宣言のようで、ゾっとしましたけどね。 「おまえら自慢の文明の利器なんて、何の助けにもならねえぞ」ってね。
ま、感じ方は人それぞれで当然なのですが。

それと、POV方式の映画でしょっちゅう槍玉に挙げられる、”いつでもどこでも撮影しすぎ”という点なのですが、これもアガサは“不自然だから面白くない”とは全く思わなくってですね。
突如街中に現われた怪獣や、全速力で懸けてくる感染者、うじゃうじゃと忍び寄るゾンビ、といった “理解を超えた存在”。
主人公が構える無機質な記録媒体は、それらに対する盾であり、共に立ち向かう仲間であり、自らの正気を証明してくれる証人でもあるのではないかと。
誰だって、最前線に立つのは怖いです。 だから、自分の眼の一歩前にカメラのレンズを置くことで、少しでも恐怖を和らげようとするのではないでしょうか。
POVは、彼らの恐怖や戸惑いを追体験出来る、とても効果的な演出だと思いますし、アガサはPOV映画がだいすきです。 そこにいるのはスーパーマンではなく、自分と同じ臆病な普通の人間だから。


オリジナルを「怖くておもしろい」と感じられた方はきっと、さらに親近感の増した舞台設定に満足されるでしょうし、押入れや遺体安置所を使ったクライマックスの“いかにも日本のホラー”な展開は、オリジナルを超えた恐怖を与えてくれるのではないでしょうか。
オリジナルを「単調でつまらない金返せこんちくしょう」と思われた方は、今回もお気に召さないかもしれませんので。あしからず。
アガサはとっても楽しみました。 


― おまけ ―

・ 悪魔に憑依された姉がギクシャクと立つシーンがコントっぽくてちょとだけフイタ。 立ったよ立った!クララが立った!!

・ 悪魔に憑依された姉がみせるカクカク歩きが面白すぎてかなりの量フイタ。 レッツ・リンボー!(リンボーダンスの一歩手前みたいなポーズでした)

・ 姉の部屋で体調を崩した霊感少女の件に、その後全く触れられなかったのが残念でしたよ。 電話くらいしようよ。 ほんで誰か霊能力が強い人紹介してもらおうよ。

・ アガサは“映画だから映して当然”と思っているのでアレなんですが、弟がいつもカメラを回していて、夜中に姉が悲鳴をあげていても真っ先にカメラを構えてから駆けつけるトコロなんかは、きっと“ほーらねー不自然でしょー”と言われてしまうんだろうなぁ、と思いました。 まぁ、確かに、姉の部屋にも自分の部屋にも定点カメラを設置しているのですから、「何も手持ちカメラまで持って行かなくてもいいだろ」とつっこみたくなりましたケドねw

・ そんなアガサも、お祓いシーンまで固定カメラと手持ちカメラで撮っていた弟には、さすがに「おまえそれ神様に怒られるぞ」と思いました。 片手にカメラを持っているせいで、満足に手を合わせることすら出来ていないじゃないか!やい!真面目にやれ! 

・ そのお祓いシーン。 悪魔VS祝詞という異種格闘戦が非常にすてきです。 その前にやっていた盛り塩もそうなんだけど、山羊アタマの悪魔に和風の魔よけって効くのかなぁ。 オラなんだかわくわくしてきたぞ!!

・ 効きませんでした。(お祓いしていた陰陽師さんは直後に死亡)

・ パンフレットが見づらい件。


とかなんとか書きましたが、さすがにこのやり方はそろそろ潮時なんじゃないかとも思います。
同じ作品で何度繰り返しても尚おもしろい、という表現方法ではないですよね。
『SAW』の轍を踏まないよう、来年日本公開予定のパート2くらいで終わらせて頂きたいものですなあ。



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