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『十三人の刺客』

2010年10月04日
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男の魂に火をつけて燃やして焼き尽くして灰になって土に返ってそこから小さな若葉が芽を出すような映画。


(※本編の終盤部分に言及する箇所が御座いますので、くれぐれも鑑賞前にうっかりご覧になられませんようご注意下さいませ)


あらすじ・・・
まっくん お初にお目にかかりまする。 手前、明石藩御用人千石・鬼頭半兵衛と申す者でござる。
明石藩に忠誠を誓い幾年月。 今は、明石藩の藩主であらせられる、徳川将軍家慶様の弟君・松平斉韶様にお仕えする毎日でござるが、これがなんとも一筋縄ではいかぬお方。 
生来よりの残忍なご性格で、粗相をした家来をお手討ちにされたり、お気に召した女子の四肢を撥ね弄ばれるは日常茶飯事。 先達てなどは、参勤交代中に立ち寄った木曾の陣屋で尾張藩士の嫁を手篭めにし、その様に狼狽していた藩士のご子息の首を掻っ斬るという鬼畜な立ち振る舞い。 
これには、いくら将軍様の腹違いの弟君といえど何らかのお咎めがあるに相違ない、と思われたものの、懐の広い殿は斉韶様の処分を見送り。 それどころか、ゆくゆくは江戸に呼び戻され、老中職をお与えになるとのお考えをお示しになられたのでござる。
この事態を重く見た明石藩江戸家老・間宮図書殿は、老中・土井様の門前で訴状を手に切腹。 この、命を賭した訴えには、さしもの老中の方々も胸を打たれた事と存知ます。
これで、将軍様より斉韶様に何らかのお咎めがある事は確実でござるな!
お、源四郎ではないか。 丁度よい処に、して、将軍様のお沙汰は?
けらい1 お咎め、無しでございます!

マ ジ で ご ざ る か !
あ、いや、失礼。 拙者としたことが、取り乱してしまったでござる。
それにしても、なんたる愚考・・いや、弟君に対する深い思いやり・・・。  将軍様の真意は、我々には図りかねますな。
しかし、このままではあっちもこっちも収まらんでござろう・・ と思っていたら、案の定殿のお部屋から何やら尋常でない悲鳴が・・!  
慌てて駆けつけると、そこでは殿が間宮殿の血筋の者たちを皆殺しにしている真っ只中。 
殿!それはダメでござる! 大人はまだしも、子供はアウトでござる! 好感度的に致命傷でござるよ!!
ゴローちゃん 野猿は死にさらせ! (バシュッ)

マ ジ う つ け で ご ざ る !!
え、なに?! なんなのこの殿! 拙者の言う事なんも聞いてないの?! アナタニホンゴワカリマスカー?!
しかも、さらに信じられない事に、この不祥事に対してもなお、将軍様は完全スルーを決め込んだのでござる。 もうなんも言えねえでござる。 秋のうつけ祭りでござる。
しかし、たとい天下の大うつけであろうと、日本国中を敵に回そうと、拙者には我が主君に仕えるという義務があり、明石藩にお命を捧げた亡き父上との約束を果たす為にも、全身全霊を懸けて殿をお守りするのでござるよ。
それにしても、気になるのは老中の土井様。 公平にして聡明な事で知られるあのお方が、この様な状態をただ手をこまねいて見ているとは思えないのだが・・・。
と思っていたら、やはり土井様は動いていたでござる。 ある人物を屋敷に呼び出し、“斉韶様暗殺”を秘密裏に事を進めようと画策していた事が、拙者の内偵で明らかに。
そしてその人物とは、拙者がかつて同門で腕を競い合った島田新左衛門氏。 なんたる数奇な巡り合わせ・・!
決して剣豪という訳でも、抜きん出た切れ者という訳でもござらんが、どの様な不利な立場になっても決して勝負を諦めないという、芯の強い男。 そして、最後には必ず僅差で勝利するという男、それが島田氏。 
これはかなり厳しい攻防戦になりそうでござるよ・・。
ていうか、なんでよりにもよって島田氏でござるか・・ 明石藩にも尾張藩にも何の縁の無いものを・・・ でしゃばりコージーめ・・・!  
あ、いや、広司ではなく島田氏でござったな、これは失敬。

それはさておき、折も折、斉韶様は参勤交代にて再び江戸明石に戻る事に。
この様な好機を、きゃつが逃す筈はない。 きっと道中で殿に謀反の刃を向ける腹積もりに相違ない。そう確信した拙者は、意を決して敵陣へと乗り込んだでござる。
やいやい!島田氏! 某は一体何人で我が主君をアタックするつもりでござるか?!
コージー 12人しか集まってないよ。

マ ジ 犬 死 じ ゃ ん か ! !
いやいやいや、まさかの12人でござるか! 勝つ気ナッシングでござるなぁ!
・・っていうか、アレ・・?・・もしかして手前ども舐められて・・る・・?
これはさすがの拙者も、殿が可哀想になってきたでござるよ。 なんかもう完全に「なんだかんだつってもー けっこー泰平の世の中だしー 暴君つってもー 戦とかマジ未経験な訳でー 強い者にはー ちょーチキンみたいなー」って思われてるイメージでござるもん。
殿を愚弄されるは明石藩を愚弄されるに等しき事。 ここは侍のプライドにかけて、あの小生意気な鼻っ柱をへし折ってやらねばなるまいぞ! 全力で!200人の家臣を引き連れた総力戦で! たといこの場が血で染まろうと、忠実な部下たちの手足が飛ぼうと、殿を守り、敵の首を一つ残らず掻き切ってやらねば!
そりゃうちの殿にも悪いトコはある。 それは認める。 随分な所業を重ねてきた。 
しかし、我が主君は天下の将軍家の正当なお血筋。 何も暗殺などと乱暴な手を使わずとも、この度の襲撃で多少なりとも痛みを実感なされば、老中という重職に就かれた暁には、きっと心を入れ替え、民の為に善き政を行って下さるに相違な・・
ゴローちゃん なあなあ、半兵衛。 戦の時って、こんな風に血飛沫舞いまくりの臓物こぼれまくりだったの?

ははっ、然様でございます! さすがは我が殿!早速何かを感じ取られたのでございますな! して、どの様なご感想を?!

ゴローちゃん マジでか! 戦ちょーおもしれーじゃん! オレ老中になったらガンガンいくさする!

ば か ! お ま え ば か !

もう嫌でござる。 色々申してはみたけれど実は全部建前でござる。根っこの部分はアンチ斉韶なのでござる。そりゃそうでござろう!女子供を手にかけ、色に溺れ、忠臣たちの想いを蔑ろにする。これのどこをリスペクトすればいいでござるか!いや、無い! そんな余地は無い!
そこで拙者は考えたでござるよ。
もうこうなったら、正しい剣の遣い手になるべく汗を流し合った島田氏と行動を共にし、この愚かなる殿の悪行に終止符を打つ事こそ、明石藩御用人が為すべき究極の御奉公なのではなかろうか・・と。
さよう、今こそ不肖・鬼頭半兵衛が、13人目の刺客になるべき時が来たのではなかろ・・
伊勢谷 こんにちは。 途中の山で島田さんにスカウトされた13人目の刺客・小弥太です。

ば か ! お ま え も ば か !!


そして、何もかも嫌になった鬼頭さんが にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  斬って斬って斬りまくるという映画なのであります。(うそです)
(※あらすじはアガサの妄想6割で、実際の半兵衛はとことん殿に尽くしますので。念の為)



はい、最高の映画出ましたよー!

噴き上がる血飛沫があり、ゴロゴロと転がる生首があり、義があり、小気味いい程の悪があり、と、人の心をたぎらせる、全ての要素が詰まっている本作。
おっぱいこそ殆ど無いものの、目に炎を燃やした男と男が視線を絡ませあったり、腕と腕と(もちろん剣の腕っていう意味ね)を交し合ったり、絶対の信頼を寄せ合ったり、頬を染めあったり、キャハハウフフし合ったりしてくれるのですから、もう他には何も必要ないのではないでしょうか。
帰れ帰れ! 女子供はさっさと帰れ! こっからは大人の時間だぜ!

勿論、気にならない箇所が全く無いと言えば嘘になります。
襲撃に備えるまでの時間経過が長いのか短いのか判りにくく、少し緊張感が緩んでしまうトコロや、各キャラの心の声をじゃんじゃんアテレコしてくるトコロなど、もうちょっとスムーズにして欲しかったなぁ・・と感じる部分も確かにありました。
しかし、クライマックスで待ち受けている圧倒的な戦闘シーンを前にすれば、それらの“ちょっともにゃもにゃ”な気持ちはいとも簡単に吹き飛ばされてしまう運命にあるに違いなく、事実、アガサもまた、たった13人の漢(おとこ)たちが数百人もの兵に立ち向かって行く姿に胸の奥のほうがジンジンと熱くなり、その生き様にひたすら涙したのでありました。 そう、死に様じゃなくて生き様に。

とんでもない迫力に満ちた殺し合いを彩る役者のみなさんがまた、もれなく全員素晴らしい。
13人もいると、中には“明らかに下っ端”臭が漂う役者さんが居てもおかしくないと思うのですが、それぞれに見所が用意されており、各人がそれにきっちり応えていますので、物足りなさは感じません。
そして、そんな中でも特に突出しているのが、“時代劇の大御所”松方弘樹さん。
正直アガサは「遠山の金さん」くらいしか知らなかった(逆に言うと、金さんのコトは知りすぎるくらい知っていた)のですが、もうこの弘樹の立ち振る舞いの安定感といったら奥さん!
 
腰!弘樹の腰を見てやって奥さん! 
堅苦しい侍言葉が飛び交う中で、一人、皆の緊張を解きほぐそうとべらんめえでフランクに語りかける弘樹の口元をみてやって奥さん! 
しかもその語りや助言が恐ろしく的を得ている様を目に焼き付けて奥さん!
戦闘シーンでのキレキレの殺陣を見てやって奥さん!
この勝負、弘樹無しではありえなかったと言っても過言ではない!ていうかもう、弘樹無しでは生きていけないよね! そうだよね奥さん!おくさぁぁぁぁぁぁぁあん!!!(どこの奥さんに訴えたかったのかよくわからなくなってきた)

もちろん、主演の役所広司さんや市村正親さん、尾張藩士役の松本幸四郎さんなど他のおじさま方も、もう渋いわ脂はのってるわ目力半端ないわと存在感をレーザービームの如く放出していたのですが、今回の主役は弘樹だったね。大切なものを容赦なく盗んでいったよね。 そう、あなた(みんな)の心をね!

そして大切なものを盗んでいったと言えば、既にあちこちで絶賛されている稲垣吾郎メンバー。
演技に関して感想をいう時に、“ジャニーズの割には”とか“ジャニーズなのに”という言葉をつけるのは、役者さん(として頑張っているゴローちゃん)に失礼な気もするのですが、それでもやはり、ジャニーズに所属しているタレントさんが演技を披露する時には、その看板なり戦略なりが大きく足を引っ張っているコトは間違いないと思うのですよね。 そもそも、今までのジャニーズの流れから言えば、本格的な汚れ役なんてちょっと有りえないコトだと思いますし。
かくいうゴローちゃん自身も、過去に「踊る大捜査線年末スペシャル」でジャンキーの殺人犯役をしたことがありましたが、狂気も凄みも悲壮感もほとんどなく、“頑張ってるなぁ”という印象は受けたものの、あくまで“悪そうな格好をしたゴローちゃん”でしかありませんでした。(※アガサの主観)

そんな中での“史上最悪の暴君・ゴローちゃん”。
なんということでしょう! この期待の斜め上を行く暴君っぷり!
怯える子供に弓を引く! 目についた女は既婚未婚問わず手篭めにする! ノーマルプレイに飽きたらダルマにして性奴隷にする! 忠実な家臣だろうと反逆者だろうと気分がノリ次第叩き斬る! なんか退屈なので犬食いしてみる!
普通の役者さんでも躊躇しそうな、超バイオレントな暴君を、堂々と演じきっているではありませんか!
“ジャニーズなのに”ここまでやりおったで! と感嘆の溜息をつかずにはいられません。
いや、たとえ“ジャニーズ”じゃなかったとしても、充分賞賛に値する演技だったと思います。
ほんと、よくやったよ! えらいよゴローちゃん! 
あと(蛆がうにょうにょする便器の傍で泥まみれになって転がったり、作り物とは言え、アイドルの生首が便器のふちを転がる事を許したり、なんかもうヤケクソになってるとしか思えない勇断っぷり)のジャニーズ事務所もえらいよ!

本作でゴローちゃんは、きっと誰かの心から何かを奪い、そして他の誰かに何かを植えつけて行くでしょう。
ま、要するに、女性ファンが減って男性ファンが増えると思うね!オレは!

殺伐とした殺し合いの果てに、人生の希望というか救いを感じさせてくれるラストも秀逸で、ホントもう、おなかいっぱいになったアガサだったのでした。
かなりハードな描写もありますので、観る人によっては気分が悪くなるかもしれませんが、自分が決めた道しか歩めない不器用で誠実な男たちの生き様、出来れば目を背けずに見届けて頂きたいものです。そして熱くなれ!



-余談-
本作の岸部一徳は『アウトレイジ』の石橋蓮司に匹敵する美味しい役どころだったと思いました。 「しもざ・・しもざ・・」のいっとく、超かわいい!
出来れば性開発された後のいっとくも観てみたかったです。
 
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