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「ダブル」 男と女たちの挽歌。 

2010年09月28日
ダブル2


あらすじ・・・
刈田誠次は苛立っていた。
幼い頃母親に見捨てられて以来、壮絶な人生を歩んできた誠次と弟の武彦は、マフィア組織の中に入り、すご腕の人殺しとして頭角を現してきたのだが、最近その武彦の様子がおかしいのだ。
マフィアが扱う新型ドラッグにはまっているのではないか・・? 
だが、それは“ドラッグ禁止”を掲げる組織の掟に背く事であり、すなわち処刑の対象となる事を意味していた。
「思い違いであって欲しい・・・」 
そう願いつつ、武彦のマンションを捜索する誠次。

その頃武彦は、限界を感じていた。
自分の命を、人生を救ってくれた兄・誠次に誘われるがまま組織に入ったものの、殺しの仕事は自らの心を蝕んで行くばかり。
何かにすがりたくて、それが自分の死刑宣告に繋がっている事を知りつつ手を出したドラッグも、何の助けにもなってくれなかった。
自分達に殺しのスキルを授けてくれた恩人を、裏切り者として処刑した事が、さらに武彦の精神をボロボロにした。
「もう無理だ・・・」
そう思いつつ、絶望を振り払うかのように、“これで最後”と自分に言い聞かせながらドラッグを飲み干す武彦。

兄弟が苦悩している頃、組織のボス・神宮は高揚していた。
これから起こりうる展開は、自分の命をも脅かす事になるかもしれない。
その事を考えるだけで、興奮に打ち震えそうになる。
人生は最悪なほど素晴らしい。
常に破壊と流血を求めてしまう自分に誇りを持ち、神宮は一本の電話をかける。
「誠次と武彦を連れて来い」
そう口にしながら、唇の端が上がるのを感じる神宮。

血と銃弾に彩られた男たちの戦いが今、始まろうとしている。


「ダブル」おもしろいよ!さいこうだよ! 2バーイ!2バーイだよ!!(何がだよ)

深町秋生先生の最新刊「ダブル」は危険ですよ。
家事をする時間も寝る時間も奪って行きますから。
お陰で我が家はさながらゴミ箱の様相を呈していますが、悪いのはオレじゃない!「ダブル」が悪いんだ! そういうコトでお願いします!!

新型ドラッグを扱う巨大組織の用心棒(武力交渉担当)として存分に実力を発揮していた兄が、うっかりクスリに手を出してしまった弟を始末され、自らも瀕死の重症を負わされて海に落ちてしまうまでの導入部がまず素晴らしく、兄弟の悲惨な生い立ち、それによって兄がどのように精神を病んでいるか、弟がどれだけ兄を慕っているか、兄が弟にどんな複雑な想いを抱いているか、その他、組織のメンバーの人となり等がすんなりと頭に入って行きます。
そしてそこから、警察と協力し合い、容姿も声もガラリと変えて組織にオトシマエをつけに行く兄・誠次の壮絶な復讐劇が始まる・・と思いきや、そんな“ダークヒーロー誕生”的な簡単な話ではないのですよね。
兄は決してスーパーマンなどではなく、血の通った一人の人間。
ゆえに、物凄くうっかりしている。 もう、読んでいて「くおら~!!もっと気をつけなきゃらめれしょ~!!」と萌え妹キャラで責め立てたくなってしまいます。 ゴメン、萌え妹じゃなくてもよかった。以降気をつける。
この脇の甘さが、ハラハラドキドキ感を“これでもか”と煽り、ページをめくる手に加速がかかってしょうがない。

それに、兄はもともと組織に忠誠を誓っていた。 というか、組織での仕事に生きがいを感じていた。 なので、古巣に潜り込んで疑われない様仕事をしているうちに、どんどんその魅力に引き込まれてしまうのですよ。
「弟を殺したヤツを八つ裂きにしたい」という怒りと、「みんなと一緒に行き着くとこまで行ってしまいたい」という破滅願望。
その狭間で揺れ動く兄の姿に、気付くと同調してしまっている自分(読者)。
破壊の美しさに、人の命がいとも簡単に奪われて行くという凄惨な現場に、魅力を感じてしまっている・・・?
ああこわい。 深町先生の筆力がこわい。
ちがうちがう、アガサが暴力だいすきっ子なんじゃなくて、ぜんぶ深町先生の表現力がわるいんですよ。 ホンマ、わるいお人やで~! そういうコトでお願いします!!

まぁでもね。 人間は誰しも、そういう2面性というか、相反した部分を持っているのですよね。
おぞましいと思いながらも、目を背けることが出来ない。
いけない事だと主張しながらも、別の立場になればいとも必要な事だと主張する。
殺し合いはいけないと思うけれど、“復讐”という大義名分をかざされると応援したくなる。
暴力を嫌い、暴力に酔いしれる。
読者のそんなダブルな部分をも曝け出してしまう本書は、とても危険で、とても魅力的で、とても悲惨で、とても甘美な傑作だと思います。

未読の方は書店へ急げ!


-追記-

と、これだけだと、「男臭(おとこしゅう)立ち込めるマッスルヒートなヤクザ小説なのかしら」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本書に登場する女性刑事がこれまた超絶にかっこいいのですよね。
一命を取り留めた兄に接触を図るのですが、彼女が心に宿す憤怒の炎といったら、兄のそれに比べてもまったく引けを取らない程の業火レベルの炎なのです。
自分の命など消しゴムのカスほどの重みも感じていない。 その命は、ただひたすら、大切なひとの仇をとる為だけに存在する。 その為なら、どんな痛みにも耐えてみせる。 
そんな女刑事が、ただの“協力者”という賑やかし要員的な役割ではなく、丁寧に、想いを込めて描かれているトコロが、なんというか、とてもフェアでいいと思いました。 (←自分の気持ちを表すいい言葉が浮かばなくてアレなんですが、とにかく抜群にかっこいいというコトです!)

というわけで、女性の皆さんも是非!


-追記・2-(ネタバレにつき反転)

ちょwwww神宮wwwおまwwwwwwww


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