『バイオハザードIV アフターライフ』
2010年09月11日

第1作 の感想
第2作 の感想
第3作 の感想
※ まことに申し訳ありませんが、ネタバレを回避しようとする姿勢が全く見られない、あらすじのようなあらすじでないようなシロモノが以下始まりますので、未見の方はくれぐれもご注意下さい。
ゴールデン街を腹を減らして歩いていたオレは、人気の少ない脇道に一人の老人が入って行くのを目にした。
いかにも頼りなさ気にゆっくりとした足取りを見せる老人。これなら楽にやれそうだ。
老人の背後にすすと歩み寄り、横をすり抜ける間際に老人の懐を手で掠め取る。
オレの真上にあったビルの谷間の灰色の空と、熱せられたアスファルトの地面がその位置を変えた瞬間と、枯れた木の枝を踏みつけたような寂しい音が鳴り響いのは、同時の事だった。
その刹那、オレの体に、電流のように激しい痛みが駆け抜け、脂汗の隙間から見上げた老人の顔には、完全な無が張り付いていた。
“相手を誤った”。 そう思ったオレだったが、こうなったらもう引くことなど出来ない。ひたすらに、折れたわき腹の痛みをこらえ、恐怖を隠しながら老人を無言で睨みつける。
数秒か数分か数時間か、気が遠くなるような長い間のあと、老人はふと頬を緩め、「儂から盗もうとはいい度胸だな、小童」とささやいた。 オレは「盗もうとしたんじゃねえ。借りようとしただけだ」と答えながらも、老人を見据え続けた。
「おもしろい小童じゃのう」。 黄色く変色した歯を見せる老人。 「名はなんというのじゃ」。
「ウェスカー・・。 アルバート・ウェスカーだ。」
それが、オレと会長との出逢いだった。
・・・あ、ごめんごめん! 社内報に載せる自分史の原稿下書きしてたら夢中になっちゃってた!会長にスカウトされてからアンブレラ社のトップに登りつめるまでを私小説風に書きたかったんだけどなー! やっぱ難しいわ!
てことで、今回の社内報の特集記事はアンブレラ社の物知り議長ことオレ、アルバート・ウェスカーが、みんなの疑問・質問にどんどん答えて行っちゃう『オレっすか?!ウェスカー!』のコーナーに変更しようとお・も・い・ま・す!
じゃ早速ヒーウィーゴー!
・ 「東京の地下に極秘裏に建設されていたアンブレラ社東京本部」って、いつの間にそんなものを掘っていたのですか?
ジャパンのみんなは気づいてなかったと思うけど、結構前から掘ってたよ! 湾岸署の刑事と同じ名前の人が都知事だった頃から掘ってたよ!
・ 地球上がほぼ絶滅状態なのに、アンブレラの社員は何をこそこそ活動していたのですか?
「こそこそ」て!地味に嫌味ワード盛り込んでくるよねー! でもね、コレいい質問! 絶滅状態だからこそ、どうしたら究極の生物を生み出すことが出来るのかを研究してるんだよね。たゆまぬ努力と飽くなき探究心、それがアンブレラ社のモットーです!
・ アリスはなぜアンブレラ社の地下社屋に攻め込んできたのですか?
そもそもね、アリスってうちのラクーンシティ本社に勤めてた派遣社員だったのね。で、まぁ色々あって、自分の人生が狂っちゃったのはアンブレラ社のせいだ!って逆恨みしちゃってさぁ。 それで事あるごとにアンブレラ社を潰そうとちょっかい入れてきてるってわけ。
・ アリスを使って人体実験していたのでは?
人体実験っていうか、おためしプログラム?的な? おかげで予想以上の成果を目にする事が出来たよね!超能力はちょっと行き過ぎだけど!
・ どうしてあんなに沢山アリスのクローンを作ってしまったのですか?
ほんとにね! 誰だよあんなに増やさせたの! あ!オレっすか!ウェスカー!!
・ せっかく生き残っていた社員を皆殺しにされましたが、今後アンブレラ社はどうやって活動して行くのでしょうか?
そうなんだよねー! ジャキーンって日本刀で斬り殺すわ、ババーンって超能力で吹き飛ばすわでさぁ! っていうか、だったら最初から吹き飛ばせばいいじゃん! 大人気ないわ!アリスおまえコノヤロー! で、今後のアンブレラ社なんだけど、まだまだ世界中の地下に支社が沢山あるからドンウォーリー!センスのないふとっちょはドン小西!
・ アンブレラ社の制服が気になったのですが・・
気付いた?!背中に“アンブレラ社”ってニホンゴで書いてあるあのだっさい制服の存在に気付いちゃった?! せめてアルファベットにして欲しかったよね!いちおう外資系なんだし! ちなみにデザインは、そうあの人!ドン小西!
・ 議長は飛行機で東京を脱出していらっしゃいましたが、ついてきたアリスに墜落させられましたよね? あの惨事からどうやって生き延びることが出来たのですか?
実はオレ、ちょっと前に自分自身にTウィルス注射したんだよね! だから、落下する飛行機から飛び降りるなんてお茶の子さいさいな位のスーパーパワーを持ってたわけ!
・ アリスも無事だったようですが、それはなぜなのでしょうか?
あれは不思議だったよね! オレとは逆に、Tウィルスを中和させる薬打ったのに、全然無傷なんだもんあいつ! ビフォーもアフターも劇的にパワフルなんだもん! なんということでしょう! 奥さん、なんということでしょう!
マジレスすると、大人の事情です。
・ アリスはどうしてアラスカを目指したのでしょうか?
ん?前回の3作目観てなかった? アラスカにね、アンデッドに感染していない生存者の為の安息の地があるんじゃねえの的な、そういう思い込みで行動してたみたいだよ! 情弱だよね!
・ アリスは延々自分撮りをしていましたが、アレは何の為だったのでしょうか?
誰かに会ったら脅威の美肌を見せびらかそうと思ってたんじゃねえの! ちなみにこのテープは、その後の展開に全く絡んできません! ポールこの野郎!嫁だいすきっ子!!
・ アリスに襲い掛かっていた北京原人みたいな人影は何者だったのでしょうか?
言っちゃった! Who are you?って言っちゃったよこの人! 前作にも出てたクレア・レッドフィールドさんでしょ!失礼だなぁまったく! って、クレア・レッドフィールドって誰だよバカヤロダンカンこのやろう!
・ クレアさんと一緒に行動していたほかの皆さんはどこに行ってしまったのでしょうか?
船だよね!
・ 結局、アルカディアとは何だったのでしょうか?
船だよね!
・ 頭頂部に毛が2本だけのご主人を持つ奥様の名前は?
フネだよね! っていうか、ふえてるよね!毛が! 2本あるのは海平!ヘイ・ブラザー!
・ 刑務所にいたクレアの兄は、何故牢獄に閉じ込められていたのでしょうか?
プリズンがブレイクするトコロが見たかったから!
・ 刑務所に突如現われた、顔から触手が出るタイプのアンデッドたちは何者だったのでしょうか?
顔から触手が出なさそうで出そうで少し出るアンデッド!
・ アリスたちが刑務所にいる事を、議長はいつごろからご存知だったのですか?
けっこうガチでストーキングしてたからね! 答えは最初からです!東京から逃げた辺りから!
・ きもちわるいですね
お前もアンデッドにしてやろうか!
・ アリスの遺伝子が欲しかったはずなのに、どうして刑務所にサイレントヒルの三角頭を送り込んだのですか?
サンレントヒルじゃないから! 全然パクってないから! アリスなら巨人をも倒せるって、オレ、信じてたから!
・ でも三角頭を倒したのはクレアでしたよね?
うん! あれ見てクレアもストーキングしようって決めたんだ、オレ!
・ きしょくわるいですね
ゾンビ犬のえさにしてやろうか!
・ アルカディアに生存者を集めて、何の実験をしていたのですか?
がんばろうぜーっていう実験!
・ 本当にアリスに中和剤を打っていたのですか?なんだかとても強かったように思えましたが
オレがナイフで刺した時、あいたたー!って顔してたじゃん! 強いからって痛みを感じてないわけじゃないんだよ!心の中はいつだって土砂降りなんだよ! でも、やまない雨は無いんだよ!
・ ・・よくわからないのですが?
最近胸が苦しくて夜寝付けません。
・ ・・・恋ですか?
鮒です!
これは何がおもしろいかっていうと、恋のこいを鯉にかけて鮒で返したって言うこのとんちの鋭さね!
・ 結局今回もアリスにしてやられた訳ですが、今後のアンブレラ社の展望をお聞かせ願えますか?
とんちで世界のてっぺんを取ります!
ね! あらすじのようであらすじじゃなかったでしょ!

と言う事で、久しぶりに3Dで飛び出す映画を観て来ました。
さすがは“飛び出させること”を前提で作られているだけあって、色んなものがちょいちょい飛び出してくる面白おかしい作品だったと思います。
ただ、あらすじはホントに無きが如しですので、文字通り目に飛び込んでくる映像を味わいながら、あとはミラ・ジョヴォヴィッチの美肌効果とか、サムライソード捌きとか、大岡裁きとか、そういうものをつまみに楽しんでいくしかないのかなぁ・・と。
いやもうホントに無いんですよ。内容が。 すっからかんのかんなのです。たぶん、2週間も過ぎると映画の進行表が頭の中から消え去ると思われます。 ちなみにアガサは先行上映を観ていたので、現時点で1週間経過。 ギリギリです。常に綱渡りのブログ更新となっております。
アガサはゲームというものをほとんどやった事が無いのですが、数少ない“クリア経験”のうちのひとつが、何を隠そう「バイオハザード5」でして。 (あとはドラクエが数本とFFが数本のみ)
ですので、過去の映画版『バイオハザード』はさておき、ゲーム版「5」の要素がたっぷりだった今回の映画版は、見覚えのあるキャラやシーンがあちらこちらに出てきて、とても楽しく観る事が出来たのでした。
そっくりさんショーと化した対ウェスカー戦とか、顔から触手が出てくる村民(マジニと言うらしいです)とか、巨大な斧を持った処刑人とか。
この処刑人がめちゃのくちゃに強くてですね・・・撃てども撃てども全く歯が立たず、悪戯にエリア内を逃げ回り、見当違いな場所に手榴弾を投げ、ひたすらにヘリコプターが拾いに来てくれる事を待ち続ける日々・・・嗚呼・・懐かしいなぁ・・。シェバ!「カマーン」じゃねえよ!こっちフォローしに来いよ!シェバ!死んでんじゃねえよ!シェバァァァ・・・
が、故に、もしも自分がゲーム未経験だったなら、どれだけ本作はフラストレーションの溜まる作品であっただろと想像してしまうのですよね。
前作まではかろうじてアンデッド(いわゆるゾンビ)だった人々が、いきなり顔パカーってなってブシュルシュシューってなって、なんなの?進化系なの?ゾロアがゾロアークになっちゃうみたいなものなの? みたいに困惑させれられて。
そもそもウェスカーってなんなん、と。
前作にちょこっと出てきた様な気もするけれど、今までどこの部署で何をしてきた人なん? なんで突然ラスボス扱いなん?と。聞いてへん、うち聞いてへんよ?と、意地悪な小姑を演じる富士真奈美の如き形相で詰め寄りたくなるのではないでしょうか。 もしもゲーム未経験だったなら。
と言う訳で、なんとかストーリーを紡いでいた前作までとは明らかに違い、「かっこいいおれの嫁をフィルムに焼き付けたい」という欲求とか「あの娘ぼくが落ちかけの飛行機ダンクシュート決めるみたいに引っ張り戻したらどんな顔するだろう」という画が撮りたいだけちゃうん?とか、とにかく“まずかっこいいシーンありき”な作品づくりになり過ぎている本作は、映画としてはホントだめな部類なんじゃないかと思いました。
超能力とかクローンとか無かったコトにしようとしても、そうは問屋が下ろさないんだからね!
せっかく、気合の入った3Dで産後の肥立ちがバツグンによい嫁をとっぷり映し出そうというのだから、もうちょっとストーリーも前のめりになれるような起伏のあるモノにして欲しかったです。ほんと勿体無いよポールこの野郎!
自分たちが開発した細菌兵器で、自分たちの会社に大ダメージを与え、その後の危機管理が甘すぎたせいで世界の人口を激減させ、歩く死体だらけの世の中にし、地下に潜ったり船で航行したりしながら、なお究極の生物の開発に余念が無いアンブレラ社。
抑圧させるべき相手も、ものを売りつけるべき相手も、蓄えるべきお金も、何もない世界の頂点に君臨して、一体なにが面白いんだろう・・と思わずにはいられないのですが、きっと世界征服ってそういうものなんでしょうね。
そんで、世界にたった一人残ってしまった時に初めて泣くんだよ。
ウェスカーは、ドン小西の広く温かい背中を思って泣けばいいよ。どんどん防虫すればいいよ。(※何を言いたかったのかわからなくなってきた)
まぁとにかく、さすがのポールも広げすぎた風呂敷を別の方法で有耶無耶にすべく、次回は前日談に戻る算段を始めているようですので、バイオハザード・ファンのみなさんは、気長にシリーズの展開を待ってみられては如何でしょうか。 なんか一説によると、シリーズ12作目か13作目あたりからミラジョボの娘にバトンタッチさせる計画まであるらしいですので・・っていうかそれもうおまえんちのハンディカムでやれよ。
-追記-
・ 渋谷の交差点を舞台にしたオープニングシ-ン。とっても美しくて引き込まれました。
・ タイトル文字に雨粒が落ちて跳ねる演出イイ!
・ 「地面を埋め尽くす程のアンデッドたちを、飛行機でミンチにする」 という痛快なシーンにほくそえんだよ。
・ バスケの選手っていう設定が活かされたのが初登場シーンだけって、ものすごく設計ミスだと思うなぁ。 設定説明があってから、のちに来るべき危機一髪シーンでダンクする方が活きると思うよ。素人考えだけど。(案の定その後大した活躍もない)
・ 処刑人が斧投げるシーンがラストアクションヒーローみたいでかっこよかったよ。 初めて3D映画観てて「うぉい!」って身を捩っちゃったよ。ちょっと照れくさかったよ。
・ クレアの記憶って、結局戻ったの?
・ クレアの兄って、結局何しにきたの?
・ ギロリさんが別人すぎてわからなかったよ。
・ よく考えたら、ギロリさんになんの思い入れもなかったよ、ぼく。
このままアンデッド(ゾンビ)を蔑ろにするようだったら、次からは劇場に行きませんからね!

