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『キングスパイダー』

2010年05月01日
creepies
驚きに満ちた88分間。


あらすじ・・・
アメリカの軍の中の一握りの偉い人が極秘に開発していた生物兵器グモがハリウッドに逃げ出して何の罪も無い一般市民を皆殺しにするの巻。


拝啓 ジェフ・リロイ様。

貴方が監督された『キングスパイダー』、拝見しました。
どうしてもこの気持ちをお伝えしたく、筆を執った次第です。

まず冒頭、新兵が勝手に倉庫に忍び込み、保管されていたクモを逃してしまうシーン。
あの導入部は興味深いですね。 
とてもじゃないですが、初めて観た映画とは思えないくらい、親近感が湧きました。
そして、その新兵が慌ててクモを探すシーン。
隠れていそうな棚をキョロキョロ見てみるのですが、その時、置いてある何かの箱を指で“ちょん”って突付くのが、物凄いリアルでしたね。
世界に誇るアメリカの軍の兵士が、クモを怖がって指で“ちょん”だなんて。 
なんというリアリズムでしょうか。
兵士だって人の子。 じゃあ聞くけど、入隊テストで「虫を触れますか?」って質問あるのか?って話ですよね。 とてもよくわかります。

その後、クモに襲われた新兵が後ずさるシーンで、メガネを落っことし、そのメガネを“ばりん”って踏んづけてしまう所も、とても興味深かったですね。
おおよそ映画に出てくるメガネというものは、誰かに踏まれて割られるものだと、相場が決まっています。
むしろ、ここで踏まれて“ばりん”ってならないのなら、メガネが出てくる必要性など無いと言っても過言ではない。
踏まれないメガネはとっとと帰れ。 郷(くに)に帰って家業を継げ。
そう言われてしまっても仕方ないと思います。

すみません、ついメガネの事になると熱くなってしまうもので。

さて、新兵のミスのせいで、機密ボックスから文字通り蜘蛛の子を散らすように逃げ出したクモたちは、“フットヒル兵器実験センター”という名の雑居ビルを占拠してしまいますが、このシーンも非常に興味深かったですね。
まさかCGが使われるだなんて!
てっきりミニチュアとソフビ人形だけを駆使して製作されたのだろう思っていたものですから、ここでモソモソとCGのクモが這い出る画を見た時の驚きたるや・・・。
『ジュラシックパーク』でブラキオサウルスが草を食むシーンを、初めて観た時の衝撃が蘇りましたね。
もう17年も前の映画なのに。
今高校生の子が、生まれたてほやほやだった頃に作られた映画なのに。 なのにあの完成度。
本物の恐竜だ! と思いましたものね。17年も前ですが。
あ、『キングスパイダー』は何年の製作でしたっけ?  2003年? あ、一応21世紀なんですね。 いやぁ、それにしても『ジュラシックパーク』はすごかったですよね。20世紀に作られた『ジュラシックパーク』は。
いえ、『キングスパイダー』も、CGと実写部分の境目の荒々しさが、カラオケのバックで流されているやっつけアニメーションを思い起こさせてくれて、なんだか感慨深かったですよ。

そして、ここからの展開がまた泣かせてくれるのですよね。
実は、5年前にも同じクモがシール・ビーチにあった基地を全滅させていた、という事実が判明。
その時の責任者が、今回も絡んでいた事が発覚。
さすがに2回目の失態なので、一人だけ出てくる軍部の偉い人はいきり立つものの、事件が起きたのがハリウッドだったので矛を収める、と言う。
開発担当者も、軍の責任者も、部下も、大統領も、みんな「ハリウッドかぁ、じゃ、しょうがないな!」で納得してしまうこの展開は、未だかつて味わった事の無い、特殊な感情を与えてくれました。
クモ退治の為に出動されるのが戦車一台というのも、なかなかどうして特殊でした。
ちなみにこのシーン、日本語字幕で「こちらサンダーバード少佐です・・」という、本編の台詞とは全く関係ない字幕があてられていたのですが、これは完全に日本の配給会社の悪ふざけですね。
いくらミニチュアの背景と紐で引っ張っている様な戦車だからと言って、「サンダーバード」は安直すぎます。
そもそも、サンダーバードに失礼です。
責任者に代わって、ジェリー・アンダーソン氏にお詫び申し上げたいと思います。

ここから怒涛の死闘が始まるのですが、ミニチュアで撮影された破壊シーンと、それに臨む兵士のシーンの質感も大きさの比率も全くバラバラなのが、ホームメイドな感じでアレな感じでしたね。
距離感が掴めないという事が、こんなに脳を刺激するだなんて、30数年間生きてきて初めて知りました。
役者さんを使って撮ったシーンだけではなく、実際に空を(たまたま何かの用事で)飛んでいたヘリコプターを、ハンディカムで撮った映像を間に挟みこむ所も、とても工夫してあるなぁ、と思いましたよ。
なんと言っても、本物のヘリコプターが本当に空を飛んでいる映像ですからね。
そしてそれを撮っているのが、実際に家庭で使われているようなハンディカム、という。
これ以上のリアリティがあるでしょうか。
去年撮ったうちの子供の運動会のムービーに匹敵するような臨場感だったと思います。

そういえば、巨大化したクモと闘うおじさん(あ、軍の責任者でしたね)のシークエンスと同時進行して、貸しスタジオに閉じ込められた若い男女の脱出劇も描かれていましたね。
ストーリーを平坦なものにしない、という貴方のこだわりには、胸が熱くなりました。
軍が開発した最強の生物兵器であるクモを、ナイフとたまたま手元にあった爆竹で退治する若者たち、という熱い展開。
なんか熱いですよね。
イラっとするくらい熱いですよね。
こだわりと言えば、本編のあちらこちらになかなかしっかりとしたゴア描写が挿入されていた所も印象的でした。
飛び散る体液、吹き飛ばされる脳髄、血糊をつけすぎて何がどうなっているのかわからない特殊メイク、どれも無いよりはましですものね。
他の部分はありものの映像を使っても、ゴアだけは出来うる限り手作業で、という貴方の熱い心意気・・・。
野菜炒めを作る時、もやしのヒゲを一本一本取り除くくらいのこだわりだと思いました。
なかなか出来る事じゃありませんよね。
ま、ヒゲがあろうと無かろうと、もやしの味そのものは変わらないのですけどね。

クモが大きくなってヘリコプターに飛び掛ったり、エミネムが爆発したり、スタジオの中から出られなかった筈の若者が終盤ですんなり屋上から脱出していたり、クモが喋ったり、クモ人間になったり、ブリーフケース型のノートパソコンを撃ったら核爆発が起きたり、予想を裏切る怒涛の展開が矢継ぎ早にぼんやりと目に映る88分。
そうですよね。 88分ですものね。
宇宙の歴史を1年としたら、141年続いた鎌倉幕府ですら0.33秒ほどの存在だそうですから、『キングスパイダー』を前に呆然と佇んでいた88分なんて、0.0000・・・・ ま、耳クソみたいなものですよ、耳クソ。
ほんと、宇宙は壮大ですよね。
で、『キングスパイダー』は耳クソ、と。
ほんとにね。

ホント、いっぺん宇宙に飛ばしてやろうか!この耳クソ野郎! ばーか!おまえばーか!!





よいこのみんなは、連休中ヒマでヒマで写経したくなるくらいヒマだったとしても、絶対借りちゃダメ!

アガサとの約束だよ!


参考資料:宇宙の歴史を1年であらわすと | オモコロ特集 ←ちょうおもしろいですよ!



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