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『チェンジリング』

2010年04月27日
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希望と言う名の牢獄。


あらすじ・・・
我らがフェロモン核弾頭ことアンジェリーナ・ジョリーが、ある日忽然と姿を消してしまった我が子を探す為、

一人でゴロツキが闊歩する下町で聞き込みをしたり、
捜査の怠慢が目立つ警察署内で、署員15人を相手に大立ち回りをしたり、
やっと「見つかりました」と連れて来られた少年を瞬時に別人と見抜いたり、
本物の息子を探すよう、待ち伏せした警部の喉元にナイフを突きつけて脅したり、
警官に対する行き過ぎた行為のせいで、精神病院送りになったり、
病院内の情報屋から、「カルフォルニア南部の養鶏場で息子さんらしき少年が監禁されていたらしい」というタレコミを受け、脱獄脱走を決意したり、
昼間に医者の部屋からくすねておいたペンの先を使って手錠を外し、天井のダクトから屋上へと上がり、そこからシーツを使った簡易パラグライダーで塀の外に飛び降りたり、
通りかかった車を奪い、追ってきた病院の警備員の車とカーチェイスを繰り広げたり、
やっとの思いで養鶏場に辿り着くものの、そこは既にもぬけの殻で、少年の物とみられる複数の靴や衣服のみが散乱しており、呆然と立ち尽くしているトコロに、冒頭の一件で「姉貴」と慕ってきていたゴロツキが駆けつけ、丁度時を同じくして犯人が捕まった事を教えてくれたり、
怒り心頭で犯人が収監されている警察署に戻ると、「いや、これには訳が・・」と口ごもる警部の鼻を折り、署長室に乱入するや否や署長の銃を奪い取って「頼む!命だけは」とすがる署長の股間スレスレの所を撃ち抜き失禁させたり、
その後別室で取調べを受けていた容疑者のもとへ駆けつけ、彼女の鬼の形相に恐れをなして泣き叫び、命乞いをする容疑者の襟ぐりをつかんで「did you kill my son! you're mother(※)ucker!!」と締め上げたり、
冷静さを取り戻し、容疑者を放して「頼むから・・あいつら(警察)に本当の事を言うのよ・・」と言い残して部屋を出ようとしたものの、「なんだかんだ言って、最後に泣くのはお前なんだよ、この淫売ババア! そう、お前の息子みたいにな!」と逆ギレされた為、窓にかけたあったブラインドを容疑者の首に巻きつけ、「地獄に堕ちろ!」と叫びながら吊るし首にしたりしないお話。


こういうお話だったらスカッとするのになぁ・・・と。 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 勿論子供も最後に保護される感じで。  



以前、ちびっこが居なくなってしまった事がありました。

“近所のお友達の家に遊びに行く”と元気に家を飛び出して1時間後、そろそろ日も暮れかけてきたので、家に入るよう声を掛けようと、そのお友達のおうちに行ってみたのですが、そこにはちびっこの姿がありませんでした。
うちからそのおうちまでは、僅か500メートル程の距離。
間には数本の路地。
いつもはバタバタと賑やかに走り回っているちびっこの姿は、どこにもありません。
声を限りに名前を叫びましたが、応える可愛い声もありません。

瞬間、胃がぐるりと一回転した様な不快感に襲われ、指先が痺れ、頭の中に一滴、とてつもなく冷たい水を垂らされた様な、そんな感覚に見舞われました。

そんなはずはない。
いなくなるはずはない。
絶対この近くにいるに違いない。

そんな言葉がグルグル頭を駆け回るものの、口の中は異様に乾き、なんどもつばを飲み込もうとするのですが、蛇口をピッタリと止められたみたいに、何の水分も出てきません。

だからあれだけ、遠くには行っちゃダメって言ったのに。
うちの近くだけよ、って言ったのに。

一人、誰に言うでも無くつぶやいた怒りは、それ以上に湧き上がる不安を認めたくなかったから。
でも、その怒りもすぐ、後悔のつぶやきに取って代わられました。

ごめんね、やっぱりうちの庭だけって言っておけばよかった。
ごめんね、もっと早く迎えに来てあげてればよかった。

どうしよう。
どうしよう。
ほんとに何かあったんだったらどうしよう。

不安が恐怖へと変わりそうになったその時、かすかにちびっこの笑い声が聞こえました。

「・・ギャハ・・ハ・・  お・・え・・ちゃん・・ う・・こ・・  ・・うんこー!・・」



いつもは行かない反対側の路地裏からげらげら笑いながら現われたちびっこたちが、この後かあちゃんにこってりと叱られたのは言うまでもないのですが、この時見舞われた感覚は一生忘れる事が出来ません。

子供を失ってしまった親の気持ち。
恐ろしすぎで想像もしたく無い気持ち。
その入り口(ごくごく手前の、ですが)を覗いてしまった事があるアガサは、とてもじゃないですが、本作を平静に鑑賞することなど出来ませんでした。
本作は、どんなホラー映画よりも怖ろしく、どんなモンスター映画よりも破壊力があり、どんなサスペンスよりも心臓を痛めつける、近年稀に見る傑作であり、一生観直したくないトラウマムービーだと思います。


■ 今も昔も変わらない

本作の舞台となっているのは、1920年代のアメリカ。
LAコンフィデンシャルよりもブラックダリアよりもさらに昔、アンタッチャブルの時代です。
国家権力の横暴さや一般市民の無力さが、イヤと言うほど克明に描かれており、それを前に成す術の無いアンジェリーナ・ジョリーの姿が涙と憤りを誘うのですが、実は今もそんなに変わっていないと思うのですよね。
冤罪が未だになくならない様に、なんの権力も持たない一市民の声なんてほんとにちいさな存在で、いくら声を上げようと、掬い取られるものなどほんの一部。
真実は時に、えらい人がそうであれと願う真実なのだ、という恐ろしい現実は、昔も今もそのままなのかもしれません。
なので、アンジェリーナ・ジョリーが叩き込まれた地獄の日々は、今、あなたの傍でもパックリとその口をあけて待ち構えているのかもしれないのです。

こわい話ですね。
こうなったらとりあえず、警察の偉いさんと身内になるっきゃないか!(もしくは弱みを握るか)(←握れません)


■ 正気と狂気

私はどこもおかしくありません。 だからここから出してください。
そう、もしも精神病院の中の人に言われたら、自分はそれを信じられるだろうか?
その相手が自分の身内だったら信じるかもしれないけれど、知らない人だったら到底信じられない。
専門家だったら正しく判別できる、と言われても、その専門家が実は心の病だったらどうするのか、とこれまた信じられない。
そもそも、こんな善悪すらもあやふやな世の中で、誰が正気で、誰がそうでないかなんて、どうやって判断するのか?
判断する権利が誰にあるというのか?

みたいなね。
そういう事をずっと考えていたら、なんかもう思考回路がおかしくなってしまうので、考えないんですよ。
なのでたぶん、考えない人が正気。(←投げやり)


■ 希望という名の牢獄

異常者によってさらわれた我が子を、“死体が見つかっていない”という一点から“まだ生きているかもしれない”と信じ、探し続ける母。
真犯人が捕まっても、共犯者の証言を聞いても、同時期にさらわれ、殺された多くの子供の骨が掘り起こされても、頑なに“死の可能性”を受け入れない母。
それは、受け入れない事だけが彼女の生きるよすがであり、受け入れた瞬間、彼女の人生は終わってしまうから。
何の確証も無いまま、生きる為だけに“死”を受け入れなかった彼女に、クライマックスでもたらされる一筋の希望の光。
でも、結局その希望は、彼女を一生抜け出せない牢獄に閉じ込める決定打となっただけなのではないかと思いました。
もちろん、その牢獄には“希望”があるので、彼女なりの充実感や生きる力は得られるかもしれない。
でも、その影にはいつも“後悔”や“罪悪感”が潜んでおり、ふとした隙に彼女の心を責め立てる。

生きているかもしれない、と信じて待つ事と、
天国で心安らかに過ごしているんだ、と諦めてきちんと弔ってあげる事は、一体どちらの方が苦しいのだろうか。
目に見えぬ檻で暮らす事でしか、子を守れなかった自分を赦す手立てはないのだろうか。


まぁ、でもきっと自分が同じ立場だったら、探し続けるのでしょうけどね。
可能性が0で無い限り、探さずにはいられないのでしょうけどね。


■ そして女は強い

一言でくくるのもどうかと思うのですけどね。
じゃあ、男は強くないのかよ! っていうとそんな事はもちろん無く、子を思う気持ちも、逆境に立たされた時の馬鹿力も、同じくらい強いと思うのですけどね。
ただ、本作で描かれている時代は、問答無用に“女の方が弱い”時代なのですよ。
今どころではないくらい、「女は黙ってろ」っていうのが当たり前の時代。
でしゃばってたらあっという間に叩かれるような時代。
そんな時代の中で、最初こそ威圧的な警察に涙するしかなかったアンジェリーナ・ジョリーが、我が子への思いだけを支えに立ち上がり、真っ向から闘う姿勢になっていくトコロが、とても素晴らしかったのです。

拳の堅さだけが強さの表れなんじゃない。
アクション映画での彼女とは、強さの種類は全く異なるものの、同じくらい逞しく、鋼の様に堅い精神力を身につけたアンジェリーナ・ジョリーの凛とした美しさに、自分もかくありたいものだ、心から思ったアガサだったのでした。
やっぱ女は強くないとダメ!


もう観直したくは無い作品ですが、沢山の方に観て頂きたい作品でもあります。
未見の方は是非。


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