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『シェラ・デ・コブレの幽霊』

2010年02月11日
試写版を見たテレビ局幹部が、あまりの怖さに嘔吐(おうと)した。
怖すぎて本国(アメリカ)ではお蔵入りになった。
多くの映画ファンの間で「生涯のトラウマになった」と語り継がれている。



などなど、
「そんなに自分を追い込まなくてもいいんだよ」と優しく肩を抱きしめてあげたくなるような高いハードル設定で最近話題を集めている、伝説のホラー映画 『シェラ・デ・コブレの幽霊』 を、ご厚意で鑑賞させて頂ける事になり、先日神戸まで日帰り旅行して参りました。


で、実はその前に、ちびっこを預かって貰う為実家に電話したアガサ。
アガサ  「あのねぇ・・・ 申し訳ないんだけど、ちょっと神戸まで映画を観に行きたいので、半日程ちびっこ預かって貰えないかなぁ・・」
アガサ母 「何? 何の映画?」
アガサ  「あの・・・ホラーなんだけど・・(←小声になる)  『シェラ・デ・コブレの幽霊』 って言う・・」
アガサ母 「え?! もしかしてアレ?! 探偵ナイトスクープでやってたやつ?!」


ナイトスクープSUGEEEEE!! 


ホラーをは無縁の、というか、ホラーに難色を示しがちな我が母が、“ナイトスクープ”効果で託児一発OK。(※いや、そうでなくても普段から快く引き受けてくれるのですけどね)
恐るべし、探偵ナイトスクープ。

昨年『マーターズ』を観に東京に行こうとした時なんて、そりゃもう苦労しましたからね!
「あのねぇ・・・ フランスの・・・ゴニョゴニョ・・ 話題の・・・ モゴモゴ」みたいなね!
内容? 言えない言えない! 「拷問&監禁=最終解脱」とか、真人間のママンに言えるかコノヤロー!! 


ま、それはさておき。
そんなこんなでめでたく鑑賞出来た 『シェラ・デ・コブレの幽霊』 。
そもそもは、ジョゼフ・ステファノという脚本家(代表作・『サイコ』)さんがアメリカのテレビ向けに作ったSF&ホラーシリーズのパイロット版でして、前述の通り、試写の段階で怖さのあまり体調を崩す人が続出した為、結局未放送のままお蔵入りになってしまったという、いわくつきの作品なのですね。
でその後、製作した会社は倒産、ジョゼフさんも他界、と、著作権がどこにあるかすらわからない状態のまま、巡り巡って、現在の所有者・添野知生さんのトコロに辿り着いたという訳なのです。
つまり、今回鑑賞させていただけるのは、劇場公開されていない、まっさらな状態のフィルムだと。
(※1967年に一度だけテレ朝系で放送された事があるそうです)

まっさらな状態・・・

劇場公開されていない状態・・・

・・・


ドバーン2 コピー

公開されていないという事は、字幕もまだ無い。
少し考えればすぐわかる、当たり前な結論。
しかし、アガサがそのことに気付いたのは、映画が始まった数秒後の事だったという。

地球のみんな! オラにちょっとだけ語学力をわけてくれ!。・゚・(つД`)・゚・。


という事で、アガサが動揺を隠しつつも、心許ない語学力をなんとか総動員して、
「若く、理想に燃える女教師だった女は、その昔、赴任していたシェラ・デ・コブレという村でなんかの罠にはめられて愛する夫を喪ってしまった。
数十年語、女は成長した娘を憎き敵の家に嫁がせ、仇を討つ事に成功。
ついでに、そいつの息子(娘の夫)にも、毎晩無言電話(ただし泣き声アリ)をかけまくり、精神的なダメージを与えるという地味な嫌がらせを続けていたのだったが、そこにモノホンの幽霊が現われ始めて・・・。」

という、金田一少年も真っ青の因縁話だと解釈していた『シェラ・デ・コブレ』だったのですが、鑑賞後に添野さんから頂いていた解説を拝見してビックリ。

あらすじ、全然違うんでやんの。


これは一本とられましたね!
ほら、アガサもね、長年映画を観てるのから、幾許かのヒアリングは出来るつもりだったんですよね。基本、字幕無しでもなんとかなる、みたいな。ただ、今回の映画は昔の作品だからさぁ、言い回しが聞き慣れないっていうの?日本語で言ったら「超ウケる」が「片腹痛いわ」になってるみたいな感じじゃないですか?若干わかりづらいですよね。いや、そもそもセリフの量も結構多かったってい・・すみません、字幕ナメててすみません。
いやー、字幕って大事だよね! 今日ほどなっちを欲した瞬間は無い!


で、上記のあらすじはホントに笑えるくらいピントのズレた内容(※実際は「女教師」の「お」の字も出てきません)(追記:出てきてたみたいです。やったぜオレ!)でして、本当のあらすじはと言うと
怪奇現象(夜中の無言電話)が頻発する屋敷に呼ばれた心霊研究家・オライオンが、怪しい家政婦の奇行や恐ろしい形相の幽霊などに悩まされながら、事件の真相を解く。
という、とてもシンプルなお話だったのでした。
50分という短い上映時間の中に、パンチの効いた恐怖描写とううむと唸ってしまうような謎解きが詰め込まれており、思わずぐいぐいと惹きこまれてしまいます。(英語が理解しきれなくても、です)
「怖くて吐いた」とか、「途中退場」とか、そんなやたらと扇情的な宣伝文句が“賛辞”というより“褒め殺し”に思えるくらい、その恐怖レベルは至って普通ですなのですが、しかし、その「普通」が40年も前に完成されていたという事実は、何より驚かざるを得ない点ですし、素直に感服すべきなのではないでしょうか。

恐怖の根源って、きっと昔も今も変わらないのですよね。
灯りがあるところには暗闇がある。
文字通りの暗闇から、心の中の暗闇まで。人は常に、その中にいるものに怯え、逃れようとする。
でも、どれだけ灯りをともしても、闇が完全に消えてしまう事などありえない。
鬱々とした地下室の扉の影や、罪悪感の影に潜む“恐怖”は、現代の観客をも充分に震え上がらせてくれるのではないでしょうか。

耳障りな不協和音で観るものの不安を煽ったり、いきなりドアがバチーンと開いたり、不気味な幽霊がじりじりと迫ってくるなど、ストレートな恐怖描写の数々も、決して古臭い事はなく、事実、先日観た『パラノーマル・アクティビティ』も脅かし方自体は本作と同じなのですよね。
結局、基本が一番恐ろしいという事なのだ。
「大きい音で驚かすばっかして卑怯だぞ!」とか、文句言ってごめんね、アジャ。(※『ミラーズ』感想にて)


あと、先ほど「普通」と言ってしまった恐怖レベルなのですが、実は、幽霊のビジュアルだけは全然普通どころじゃなかったのでさあ大変。
この時代にこの顔かよ! と手にイヤな汗を握ってしまうようなエグいビジュアル。
どこかで観たことあるなぁ、と考えた結果、導き出されたのは『死霊のはらわた』のお姉さん・シェリルだったのでした。

evil-dead_convert_20100210014807.jpg
参考資料・シェリル(※怖い顔なので小さいサイズにしています)

なに、このおとなげない怖さ!

もうねぇ、今だからこそ「おぬしやるな!」くらいで済みますけど(済まないか)40年前のみなさんにこの顔見せちゃダメでしょ!
「蓄音機ちょうイカス!」とイケイケゴーゴーになっている皆さんのトコに、「えーなにそのおっきい機械ーマジうけるー」みたいなテンションでiPod nanoを持っていくようなものですよ!

いやいやいや、ちょっと待ってやれよ、と。
これが彼らの精一杯なんだぞ、と。
白い布被ってPeek a boo!て頑張ってた彼らの気持ちも、少しは考えてやれよ、と。
この時代にあって、あまりにハイレベルすぎる幽霊のビジュアルは、今回一番印象深い点だったのでした。
ま、確かに、これみたら嘔吐しちゃうかもね!(40年前の人だと)


本作は、シリーズ化も念頭に於いて作られていた為、ハドソン夫人的ポジションの家政婦さんが登場したり、他の話に繋がりそうな絵画が出てきたりして、なんだかとっても勿体無い気持ちになってしまいましたねぇ。
主演のマーティン・ランドーもとても男前で、いかにも頼りになるオーラがビシビシ漂っていました。
犯人の動きを、俯瞰からカットなしで捉えるといった素敵シーンとかも・・・いやぁ、グっときたなぁ!


今回はかなり限られた上映でしたし、今後の展開がどうなるのかわかりませんが、所有者の添野さんもDVD化を目指していらっしゃるという事ですので、なんとか近いうちに、沢山の方が観る事が出来るようになる事を願ってやみません。
最後になりましたが、貴重な機会を与えてくださったホラー映画向上委員会MebiusRingのみなさま、本当にありがとうございました!



おまけ・・・
今回、特別上映という事で、アメリカのテレビシリーズ「Monsters」(50年代くらいの作品でしょうか・・?)という作品も一緒に観ることの出来たのですが、これがまた非常に面白かったです。
フランケン父さん、ヴァンパイラ(妖怪人間ベラ?)母さん、吸血鬼じいちゃん、怪物くん、親戚の娘(←この辺曖昧)のモンスター一家が織り成すどたばたコメディだったのですが、太りすぎたフランケン父さんが同窓会に行きたいが為にダイエット大作戦を敢行するという、ベッタベタな内容が逆に新鮮で、とってもほんわかした気持ちになりました。
ジェリー・ルイスっぽい笑い(時代的にはまさにその線なんだろうなぁ)は、やはりいつの時代でも変わらず楽しめるのですよね!
これまた貴重なフィルムを鑑賞させて頂く事ができて、本当に幸せなひとときでした!
スタッフの皆様に、重ねて御礼申し上げます。
また機会がありましたら是非!げへへ!


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