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「粘膜蜥蜴」 今度は戦争だ! (読感)

2009年11月23日
本作を読み終わり、感想を書く為表紙の画像を検索しようとしたアガサ。

「・・・とかげ・・・  ん・・? ・・何蜥蜴だったっけ・・?」

さっき読んだタイトルがもう抜けたアガサ。 さっき泣いたカラスがもう笑った、みたいな?そんなライトな感じ?(どんなだよ)

で、確かドロドロした印象の単語だったよなぁ、と思いつつ「溶解蜥蜴」で検索。
が、それらしいものは何も出てこない。
仕方ないので前作のタイトルで検索。

はい、「溶解人間」ドーン!!

「溶解人間」
掃除夫が街の片隅で見つけたボロきれと得体のしれないドロドロの物体、それこそが「溶解人間」スティーブのなれの果ての姿であった。 路上の汚物がすっかり掃き清められた頃、土星に向け新たな探索船が発進したニュースに世界中は歓声につつまれていたの・・・  (きまぐれムービーシアター様より)



違うよね!ていうか、この光景前も見た!!(←前作の時もタイトル失念して溶解で検索した)

もうねぇ、なんというか、自分の記憶力のふがいなさに絶望ですよね。
いや、傍らにおいてる文庫本見ろよ、って話なんですけどね。

ちなみに前作と本作のタイトルはどちらも「粘膜」。
河童が頑張る「粘膜人間」と、爬虫類人間が頑張る「粘膜蜥蜴」になっております。

そもそも“粘膜”がついてる理由がいまいちわからな・・・  いやなんでもないです。


あらすじ・・・
第壱章 「屍体童子」
庶民の真樹夫と大吉は、大金持ちの雪麻呂の家に招待されてウハウハになるが、ちょっとしたアクシデントで大吉が死亡。
慌てた雪麻呂から「この後始末をしなければお前も殺す」と脅された真樹夫は、牛刀を片手に途方に暮れるが、そこに出兵中の兄・美樹夫の幻が現れ・・・。

第弐章 「蜥蜴地獄」
東南アジアのナムールに駐屯中の美樹夫に、ある重大任務が言い渡される。
それは、軍部にとって大事な金づるである下衆野郎・間宮を、チャラン村まで護衛するという危険な仕事だった。
有能な部下2人と共にジャングルの奥地にあるその村へ向かう美樹夫だったが、反日ゲリラや獰猛な動植物に行く手を阻まれ、やっとの事でたどり着いた村もまた既に、住民すべて皆殺しにされており、その死体は一様に陵辱の跡があったのだった。
そして、その犯人たちが現れたとき、美樹夫は想像を絶する恐怖を味わう事に・・・。

第参章 「童帝戦慄」
雪麻呂は従姉の魅和子を熱烈に愛していた。
魅和子は雪麻呂の人生の全てであり、何としてでもモノにしたいと願っていた。
しかし魅和子は、雪麻呂と同じように求婚してきた雪麻呂の従兄・清輔との間で心を決めかねており、悩んだ末、とうとう2人に最後の手段である「ガチンコ対決」を提案してくる。
つまり、雪麻呂と清輔で正々堂々と戦い、勝った方が魅和子と婚約出来るというのだ。
どんな手を使ってでも、魅和子の愛を勝ち取ろうと画策する雪麻呂と清輔の戦いは熾烈を極め、死人を出しながらもついに雪麻呂に軍配が上がるのだが、そこに意外な人物の横槍が入り・・・。



いろいろと、前作と共通した要素が散りばめられている本作。

第2次大戦っぽい戦争真っ只中のパラレル日本。
巨大な力を持つ性悪な少年。
異形のクリーチャー。
男と逃げた母。
怪しげな幻覚剤。

これらの素材を使って、前作同様、読んでいる人の神経を逆撫でするエグいストーリー展開が、テンポよく描かれます。
が、あまりに強烈だった前作(粘膜人間・感想)の印象が強かったせいか、今回は若干物足りなさを感じてしまいました。

圧倒的存在感とパワーを兼ね備えていた主人公・雷太に比べ、今回の主人公である雪麻呂は、少し小粒というか、小物なんですよね。
もちろん、とてつもなくイライラさせられる良キャラである事は間違いないのです。
政治家や軍部までも言いなりにさせられる様な、強大な権力を持つ父の威光を笠に着て、銃は持つわ、大人をグーパンチするわ、煙草は吸うわ、女は抱くわ、もう我儘し放題の雪麻呂。
12歳のガキのくせに、女中相手に性欲処理とか・・・ もしモモ太(※モモ太=前作に出てきた童貞河童)が聞いたら大変な事になりますよ。
たぶんタコ殴りの刑ですよ。 
もしくは羨まし過ぎて泣いちゃうんじゃないの、と。 
女体欲しさにさめざめ泣く童貞河童・・・うへえ!!(←想像しただけで鬱陶しい)

きちんと叱ってくれる大人がいなかったせいで、他人の気持ちを全く思いやる事の出来ない少年に育った雪麻呂と雷太は、生い立ちまでもが似ているものの、なんでも自分の拳で実際に痛みを伴いながら切り開く雷太に対し、雪麻呂が持っているのはあくまで「権力」なので、手下にやらせるとか、軍部の上層部に手回しするとか、恫喝するとか、とにかく卑怯極まりない。
愛する魅和子の為、ついに自身の拳で戦わざるを得なくなった時も、掴み掛かってきた相手に迷う事無く金的攻撃。
反則じゃん。

いや、命がけの勝負ですから、別に金的でもなんでもいいのですけどね。
終始この調子で卑怯な方法ばかり使うので、雷太に感じた様な魅力は感じられませんでした。
「悪いんだけど、なぜか惹かれる」みたいな。 そういう吸引力は。

この悪童・雪麻呂が同級生相手にかっこつけようとしたせいで、死人が出たり、それが生き返ったりと大騒動が繰り広げられるのが第壱章で、続く第弐章では貧乏な真樹夫の兄・美樹夫が未開の地で命がけの大冒険を体験することに。
この第弐章が実に面白く、強引に植民地化したアジアの田舎を舞台に、まじめな日本兵である美樹夫と彼を振り回す民間人・間宮、そして実直な部下たちの人間模様が、息もつかせぬスピードと適度なグロとをもって描かれてゆきます。
この作者さんは、人間のイヤなトコロを膨らませるのが本当にうまいのですよね。
間宮の下衆さ加減がハンパないお陰で、物語にぐいぐい引き込まれてしまいます。
そして、彼らに襲い掛かる反日ゲリラの姿無き攻撃。
もう、完全に気分はランボーです。

なんとかたどり着いた村での、ヘルビノ(爬虫類人間)との摩訶不思議なやりとりも、「食人族」っぽくて面白かったですねぇ。
因果応報なオチは、ちょっと大人しすぎる気がしましたが。

で、最後の第参章で、ここまでの登場人物が一堂に介し、ドロドロの愛憎劇が展開されるのですが、若干話がまとまりないかなぁ、と。
いろいろ広がった話がどう纏まるのかと、残りのページ数を見ながらハラハラしていたのですが、案の定最後がバタバタになってしまい、そこに至るまでの伏線をきちんと回収し、なおかつ溜飲の下がるオチだったかどうかと言うと、ちょっと肩透かしな感じが否めませんでしました。

(※以下盛大にネタバレ)







クライマックス、美樹夫や爬虫類人間の下男・富蔵を引き連れて、ナムールにあるヘルビノの集落にやってきた雪麻呂が知った、衝撃の真実。
それは、男と駆け落ちしたハズだった雪麻呂のお母さんは、実はマッドな外科医である夫(雪麻呂の父)に捕まり、罰として脳を富蔵に移植されていた!という事。
つまり、富蔵の中身はおかあさんだったのです! 
ま、そいつは確かに衝撃展開だけども!!
「おかあさん」として放った最後の一言で、なぜかしんみりしちゃうけども!!


だけれども、それを踏まえると、今まで読んできた雪麻呂と富蔵との珍妙なやりとりがあまりに無茶苦茶になってしまい、素直に「ほほう!そんな新事実が!」と思えないのですよ。
自分の息子がどこぞの女相手に性欲処理しているのを、枕元でデンデン太鼓を叩いて応援とかしちゃってましたからねぇ。
それも、
「フレフレぼっちゃん! ナイスボーイの憎いやつ! イケイケぼっちゃん!モダンボーイの洒落たやつ!」
くらいの声援ならまだしも
「カチカチ (ピー)! ビンビン (ピー)! 雪麻呂ぼっちゃん日本一!」(※自主規制の為ピー音入り)
て。
で、その後も行為を終えた息子に自信を与える為に、言葉を尽くして息子のムスコを褒め称えるという念の入りよう。
「ぼっちゃんの (ピー) は太くて長くて艶があって最高でやんすよ! (ピー) した時の反り立ち具合なんかも (ピー) で (ピー) に・・」
ってねえよ!!(ノ`Д)ノ:・'∵:.┻┻

もうねぇ、ヤダ!
こんなおかあちゃんヤダ!!

 
いくら諸事情の為、自分の正体を隠して接しているとはいえ、12歳の息子に掛ける言葉じゃないですよね。
おまえ・・、もうちょっと・・ほら・・だから、なんか色々さぁ・・・・まぁ、とにかくちゃんとしろよ!! 
ていうかちゃんとしてあげて!お願い!!


最後まで読んだ後で、もういちどザっと読み直す(おかあちゃんと息子の会話として読む)と、また新たな衝撃が走ること請け合いの、ある意味斬新な小説だったのかもしれません。

うそです。


という事で、先にも書いたように若干物足りなさを感じたり、行間に張り詰める緊張感や勢いもやや弱いような気はしますが、思わず胸焼けを起こしてしまいそうなグロシーンや、全く感情移入出来ないいけ好かない登場人物などが、この作家さん独特の表現によって非常に魅力的に描かれていますので、まぁまぁ楽しめるのではないでしょうか。
前作と比べる事自体、間違っていますしね。(←ここまでの文章を全否定)


とりあえず、デビュー以来2作続けて“少年”を主役に持ってくるという、無類の少年好きな作者さんが、次回でどんな物語を紡ぐのか、非常に気になるトコロであります。
ちがうちがう、ヘンな意味でなくて。

あと、次はどんな粘膜になるのかも気になるトコロであります。

思い切って、「胃粘膜」なんかどうでしょうかね。

うそです。


※ちなみに無事探し当てた画像はこちら
ねんまく
「粘膜!粘膜!」と唱えながら、書店へGO!

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