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『スペル』

2009年11月17日
スペル
★★★★☆
ジューシーばばあVS崖っぷちアラフォー女子の仁義なき戦い。


あらすじ・・・
あたし、クリスティン。
田舎の農家で生まれ育ったものの、今は街中の銀行で融資審査を担当してる頑張りやさん。
いいトコの坊ちゃんの彼とは超いいカンジで、結婚の二文字も見え始めた・・・みたいな?
彼のご両親にバカにされない為にも、狡すっからいアジア系同僚との出世争いには絶対負けたくない!と日夜努力を続けるあたしなのれす!
で、今日も元気に融資のご相談・・と思って出社したあたしですが、なんとその同僚が上司にバスケの特等席チケットをプレゼントしているじゃないですか!
てめえアジア人!汚ねえゴマすりやってんじゃねえぞ!
なあんてね! ウソウソ!
でもあたしちょっとピンチ?みたいな?
ここはなんとしても、「あたしも出来る女なんだゾ☆」というのを上司にアピールしなきゃですよね!
と言う訳で、早速目の前にいたおばあちゃんを丁寧応対。

「どうも奥様ご機嫌いかがですか~?
いやぁ、そのお召し物とっても上品でお似合いですわ~。 で、今日は何のご相談で?
・・・あぁ・・・ローンの延長ですか・・・。」
いきなりテンションだだ下がりのあたし。
というのもこのおばあちゃん、もう2回も支払いを延期してあげてるんですよね。
それでも一応上司に確認してあげましたけど、ま、答えは当然“延長不可”になっちゃいますよね~。
ですよね~。
ちょっと良心は咎めたものの、厳しい決断も出来る女だってトコを見せないと出世に響くので、心を鬼にしておばあちゃんに最後通牒を通告したあたし。
ところがなんと、このおばあちゃん、「金は待てねえ」と告げた瞬間態度が一変。
泣いたり賺したり、あの手この手で不可能を可能にすべく奮闘するじゃないですか。
最初は同情心から温厚に対応していたあたしですけど、さすがにちょっとウザいっていうか、我慢の限界っていうか。
おいばばあ!家が無くなるとかユルい事言ってんじゃねえぞ。 借りたものは返す。そんな簡単なことができない人間はクズです!(キリッ
と、「夜逃げ屋本舗」の大竹しのぶばりに啖呵をきってみたのですが、そしたら今度はキレまくるおばあちゃん。
身の危険を感じた為、仕方なく綜合警備保障のみなさんを呼んだところ、
「わしに恥をかかせたな~ このメス豚め~」
と捨て台詞まで吐く始末。
うぜぇんだよばばあ! ていうか、さっき飴ちゃんごっそりくすねてたクセに偉そうな事言ってんじゃねえよ!この貧乏ばばあ! しみったれ!!
て、心にも無いことを言いそうにもなりますよね~。 マジ無いですけどね~。

で、まぁひと悶着あったものの、毅然とした態度が上司にも高評価を得ましたし、これで昇進は頂いたも同然!同然!
なあんて気楽に構えつつ残業を済ませ、意気揚々と地下駐車場に向かったあたしは、そこで信じられない仕打ちを受ける羽目に。
なんと、どっから侵入したのやら、車の後部座席に鎮座増しましていた昼間のおばあちゃんが、容赦ないガチンコ攻撃を仕掛けてきて、その上あたしに「地獄に堕ちろ!」と呪いをかけたのれす!

「呪い」て! どんだけスピリチュアルな攻撃やねん!
ていうかちょっと待ったらんかい!
なんでわしが呪われなあかんねん! 呪うんやったらわしちゃうやんけ! 企業全体呪わなあかんのちゃうんけ!
ていうか、そもそもの問題は、銭に対して甲斐性が無さ過ぎるおのれ自身やろが! この業つくばばあ!

みたいなね。
ちょっといきがってみたりなんかしてね。
で、まあ、半信半疑で家に帰ったんですけど、そしたらまぁ出ちゃいましたよねー、悪魔が。モワモワーって出ましたから。
ていうかヤギなんですもん。 形とか完全にヤギなんですもん。
さっきのマジモンの呪いだったんじゃん! マジへこむわー!

いやね、ですからあたしは最初から申し上げているように、奥様のローンに関しては非常に前向きな意見を持っていたのですよ。
それなのに、あのバカ上司が「アウトの方向で」だなんて言いましてね。
もう全然あたしの意見とか、聞く耳持たないみたいな。
「きょう耳日曜~」みたいな感じで。
ホント参っちゃいますよね~。
だから、ここはなんとか呪いを解く方向で・・・ って、いやご婦人! そこの老婦人!!ばばあ!! あーうそうそ!!なあんちゃって!

ああ・・・。
けっこん・・・ したかったなぁ・・・!!。・゚・(ノД`)・゚・。


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結論 : 私も地獄に連れてって!

呪いをかけたら、きっちり3日間は経過観察で勘弁してくれるという、結構マメな性格の悪魔ラミア。
いざその時がくると、割れた地べたの亀裂からワシャワシャと手が出てきて、呪いの対象者を引きずり込むのですよね。
で、その手と一緒に、いかにも煉獄の炎っぽい火が、チロチロはみ出てたりして。
もうね、アガサとしては、これが気になってしょうがない訳ですよ。
そのワシャワシャ&チロチロの下は、一体どんな仕組みになっているんだ、と。
引っ張り込まれた地べたのその先には、どんな魅惑の世界が待ち受けているんだ、と。

ま、地獄なんですけどね。

ていうか、「亀裂」ってなんか卑猥な漢字ですよね。


違うんですよ。 書くこと(ネタ)がないとか、そういうんじゃないんですよ。 だからもうちょっとだけ聞いて。 プリーズ。


あちらこちらのサイト様やブログ様で、大絶賛の嵐を巻き起こしている 『スペル』 。
遅ればせながら、アガサもその輪に参加させて頂きたいと思っているのですが、ホントこれ聞きしに勝る傑作ですよ! 未見のみなさん!
どれくらい傑作かというと、もしこれをピーター・ジャクソンが観たら、羨ましさと悔しさの余りお酒に溺れ、挙句イアン・マッケランと一夜限りの関係を持ってしまうんじゃないかというくらいの傑作具合。 
うそです。(※羨ましがるであろう点はホント)

出世作 『死霊のはらわた』 を思い起こさせるような遊び心の数々(宙ぶらりんになる悪魔やハンカチとの格闘シーンなどww)や、直球勝負のストーリーがとても面白かった本作。
その後の展開の殆どを読み取らせてしまうような、ケレン味たっぷりのオープニングクレジットも心憎い限りだったり。
だいたい、悪魔の所業を現す演出が「窓に映るヤギっぽい影」だとかもう、いつの時代の特撮やねん、と。 
NHK教育で夕方やってた人形劇か、と。(←プリンプリン的なアレ)
そんな風に思わずほっこりとした気分にさせつつ、しっかりえげつないシーンも挟み込んでくる、このバランス感覚の素晴らしさ。
お話自体が淡白ですから、小ネタはクド過ぎるくらいが丁度いいのですよね。
さすがはサム・ライミ、わかってらっしゃる!

で、そのバランス感覚はキャラクターの人物描写でも遺憾なく発揮されています。
コンプレックスを克服し、なんとか成功を手に入れようともがき続けるヒロインに対し、いかにも理不尽なクレームを言いそうな小汚いヴァーさんが登場。
生まれてこの方一度もお手入れした事ないような爪で机をトントンしたり、
「おばあちゃん、お口くしゃい!」と孫が号泣しそうな入れ歯をパカパカ言わせたり、
何かにつけてゲロを撒き散らしたり、と、とにかく好感度最悪のおばあちゃん。
あまりに印象が悪いので、観客は心置きなくヒロインに感情移入できるのですが、このヒロインがまた、呪われた途端あっという間にやりすぎ武闘派に大変身。
小汚いとはいえ圧倒的年齢差のご老体を、ホッチキスで刺すわ、ものさしで刺すわ、スコップで刺すわ、なんぼ程刺すねんと突っ込みたくなるような物理的攻撃。
そして同時に「地獄へ堕ちるのはお前じゃ!このクソビッチ!」「死にぞこない!」「飴ちゃんどろぼう!」とメンタル面への攻撃も怠らない抜かりのなさ。

延々と続く、汁気たっぷりなジューシーばばあとなりふり構わぬアラフォーの戦いは、正直どっちもどっちというか、ホントは仲いいんじゃないの?というか・・。
トムとジェリーみたいな微笑ましさすら感じてしまうのですよね。 
特に駐車場のバトル、納屋でのバトル、墓場でのバトルのえげつなさは最高だと思います。
いいぞ!もっとやれ!ヽ(・∀・)ノ


「天使(いい魔法使い)がみすぼらしい姿になり、一般人の人間性をテストする」
というのは、御伽噺では割とよく耳にするパターンだと思うのですが、本作は相手が悪魔だっただけで、本筋はまさにこの御伽噺そのものだったのではないかと。
おばあちゃんの見た目や老廃物に惑わされ、自身の欲も作用した結果、助けを求める哀れな老人を無慈悲に切り捨ててしまったヒロインが恐ろしい呪いをかけられたのは、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません。

で、そんなヒロインがイビリにイビリぬかれた挙句にやっと自分の非を認め、心から反省したのを見計らってから地獄に引きずり込むラミアは、なんというか、ホントに仕事が細かいというか、念が入っているというか。
ヒロインが用意した目先の生贄に惑わされず、霊媒師に「コラー」とどやされても怯むことなく、「こうと決めたら最後まで徹底して」とばかりに呪いを成し遂げる、一本筋の通ったトコロは、尊敬に値しますね。

ま、その筋では有名な悪魔のクセに、ジプシーの使いっぱしりみたいな仕事をしているのはどうかと思いますが。
ていうかなに? ジプシーってそんなに強いの? なんかマズい事握られてるとか?
“すきなものだけでいいです” は、上級悪魔ラミアがもっと自分自身の意思を尊重出来るよう、心からお祈り申し上げます!
目指せ! 一本立ち!(※ひとりの悪魔としての)

過激な残酷描写こそ無いものの、「コレなら倫理的に大丈夫っしょ!」とばかりに放出される、おびただしい量の吐しゃ物やウジ虫が痛快な事この上ないですし、情け容赦ないラストも実に素晴らしいと思います。
やりすぎでギャグでしかなかった攻防戦も、最後にヒロインの彼氏が流した驚愕と絶望の涙で、教訓としての役割をきちんと取り戻しましたし、とにかくサム・ライミの腕にぶっぷりと酔いしれる事が出来る2時間弱なのではないでしょうか。

アガサは大満足です!
こういう作品に出会えるから、映画はやめられないんだなぁ!!



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