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『オカルト』

2009年09月16日
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★★★
衝撃! 霊体ミミズは実在した!! 
(※霊体ミミズが判らないよい子のみんなは、今すぐ『ノロイ』を借りてこよう!)



あらすじ・・・
男は囁き声を聞いた。 確かに聞いた。
その声は、「妙ヶ崎に行け」と告げていた。
だから男は従った。
そこへ行けば、クソったれな自分の人生が変わると思ったから。

そして、切り立つ断崖を一望出来る観光地・妙ヶ崎を訪れた男が目にしたものは、モノも言わずナイフで切りかかって来る、一人のキチガイの姿だった。
キチガイは、一心不乱に目の前の人間を切りつけていた。
2人の女性の首を斯き切ったキチガイは、次に男の背中にナイフの刃をつき立てた。
その時キチガイはハッキリと囁いた。
「次はお前の番だ」と。

キチガイはそのまま岸壁からその身を投げた。
遺体は、見つからなかった。

3年後、奇跡的に一命を取り留めていた男は、ある使命を胸に秘め、地道な活動を始めていた。
自分の人生の目的とは?
自分の存在理由とは?
全ての疑問に対する答えを手に入れていた男には、もう恐れるべきものは何も無かった。

その使命を果たした時、男の目の前に広がる世界は、天国なのか、はたまた地獄なのだろうか・・・。


ま、地獄な訳なんですけどね! にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  しょっぱなからネタバレかよ!みたいなね! マジすまん。


『ノロイ』 というフェイクドキュメンタリー風ホラーで、世間のいたいけな少年少女の度肝を引っこ抜いた白石晃士監督が、またもやいかにもドキュメンタリーっぽく仕上げたホラー 『オカルト』 を鑑賞しました。

いや、これはホラーじゃないですね。
文字通り“オカルト”映画です。

動機の見えない通り魔殺人。
その被害者に共通する不思議体験。
事件の関係者の周りに出没する未確認飛行物体。
カメラに写りこんだ白い影。
ポルターガイストに予知夢にオーパーツに民俗学。
ありとあらゆる“オカルト要素”を、これでもかとばかりに画面に散りばめ、その中心には生々しいネカフェ難民を配置。

リアルなんだけど非現実的。
非現実的なんだけど超リアル。
そんな相反する要素が紡ぎ出す、不気味で魅力的なパラレルワールドは、一度観始めたが最後、ノンストップで貴方を地獄の一丁目へと連れて行ってくれることでしょう。

とにかく、冒頭の「いかにも偶然その場に居た観光客が撮ってしまったホームビデオ」に映り込んだ、容赦なき殺人事件が怖い。怖すぎる。
というのも、物凄く“ありそう”だから。
のどかな観光地が一転、阿鼻叫喚の地獄絵図に変わるシーンは、作りものの世界(映画という)とは言え半端ないリアリティに満ちている。
遭遇したことは無い(出来ればしたくも無い)ですが、実際の通り魔事件の現場もこんな感じなのではないか、と。
普段と変わらない現実の中に、バシーンと部外者(キチガイ)が放り込まれる瞬間の恐ろしさを感じました。

で、そんな超リアルな衝撃的幕開けの後展開されるのが、なんとも微笑ましい超常現象スペシャルと言うギャップの妙。

カメラが捉えた心霊現象・・・、
フワフワと空に漂うクラゲ型未確認飛行物体・・・、
おまwww いつの時代の特撮だよwwww `;:゙; ・( ゚∀゚)ブッ
と叫びたくなる様な、昭和の香り色濃い合成ショット。
ヘタしたら、日曜朝のスーパーヒーロータイムに完全敗北です。

まぁ、もしかしたらですが、 『ノロイ』 が公開された時その怪奇現象の完成度の高さから、
「あれはモノホンの心霊フィルムだったのではないか」
「オレたちヤバイものを見てしまったのではないか」
なんて、沢山の純真無垢な若者たちが眠れぬ夜を過ごしたと聞きますので、敢えて大雑把に仕上げたのかもしれませんけどね。
なんつーの? 白石くん(※監督)のささやかな気配りっつーの? ニクイよ! この気配リスト!!

で、そんな白石くん(※すっかり「くん」呼ばわり)なのですが、本作に於いてはスクリーミング・クイーンとしても大活躍。
主役であるフリーター男と共に行動するうちに、自らの宿命に気付いてしまい、世にも恐ろしい自爆テロの片棒を担いでしまうヘタレ監督・白石くん。
最初こそ、凶悪な天啓を受けたと嘯くフリーター男をなんとか説得し、その計画を中止させようと試みる白石くんなのですが、なんと彼の人生もまた、その計画の中に微妙に組み込まれている事が発覚。
しかも、その事実を彼自身に知らしめるように、要所要所で白石くんを襲う蛭アタック。

突然足首に走る激痛!
慌ててズボンの裾をあげる白石くん!
そこにはなんと、横一線に並んだ9匹の蛭の姿が!

という展開のたびに、いちいちキャー!o(>ω< )oって可愛らしい叫び声をあげる白石くん。

くそう・・・これが今、巷で噂の“オトメン”ってやつか! (←たぶん違う)


とかなんとか、ちょっと茶化して書いてもみましたが、こういったお笑い要素と同時進行して、きっちり背筋も凍らせてくれるのが、本作の素晴らしいトコロだったりするのですよね。

フリーター男がふとした拍子に見せる空虚な目つき。
「今居る世界はオレの世界じゃない。」
「オレを取り巻く環境は変えられない。だから壊してしまうしかない。」
上手くいかない何もかもを、自分のせいではなく目に見えない何かのせいにして、そこから逃避しようとするフリーター男。
現実でも耳にする“誰でもよかった”という醜悪な常套句の原因が、すべてこう言った思い込み(妄想)にあるとは思いませんが、行き詰った人間の脆さというか身勝手さみたいなものが感じられて、なんだか薄ら寒い気持ちになりました。

それと、もう一つ怖かったのは、どこにでもいそうなアレな人の描写。

きみは、飲食店や役所やどこかしらで、訳のわからない絡み方(噛み付き方)をしているアレな人を見かけ、説明の出来ない恐怖を感じた事が無いだろうか?!
オレはある!(←誰やねん)

その不条理極まりない感情のベクトルが、自分に向けられた時。
完全に別世界の住人と化したアレな人の目つき。
同じ日本人のハズなのに、まったく会話が成り立たないその瞬間。
もしくは、さっきまで普通に話していた人に、いきなり声を荒げられた時などなど。

もうねぇ、色んな意味で心臓のドキドキが止まらないっちゅうねん。
正直、もっと違う事でドキドキしたいっちゅうねん。(←切実な願い)

そういう、「意外と日常に転がっているんだけど絶対に関わり合いになりたくない」アレな人が、ほぼ出ずっぱりの本作なので、その緊張感たるや目のやり場に困る程なのです。
で、困っちゃうんですけど観てしまう。
本作は、それだけの吸引力を持っているのですよねぇ。
派手な霊現象が起きるでもなく、むしろメインは、淡々と描かれるフリーター男の日常や白石くんとのムフフな友情物語であるにも関わらず、グイグイ惹き込まれてしまう。
アガサ断言しちゃいます。
これ、傑作です! 

白石くんって、典型的な娯楽作を撮らせても上手いんだろうなぁ。
ていうか、きっと大好きなんだろうなぁ、エンターテイメントが。


ちなみにフリーター男を演じる宇野祥平さんの、静かな中にもはげしい狂気を秘めたリアルな演技も、本作にはげしい説得力を与えてくれているので、はげしく要チェックだよ!

オカルト1
( 生え際が超現実的な宇野くん(※中央)  まぶしい程にリアル!)



実は本作を鑑賞していて、(昭和な合成を除き)違和感を抱かなくも無かった点に、
「いくらなんでも、白石くんは簡単にテロに共謀しすぎじゃない?」
というのがあったのですが、これも思うに、
「きっと人間なんてモノはちょっと何かに背中を押して貰っただけで、どっち側にでも転がってしまう脆い生き物なのだ」
と言う事なのではないかと。
(※で、白石くんの場合は、その一押しが怪奇現象だった為、更に効果てき面だった訳です)



狂気というものは、寄り添ってしまえば意外と心地よいものなのかもしれない。


そんな恐ろしい考えが過ぎってしまう程に、容易く深淵に落ちていった白石くんの姿。
ぼくらもせいぜい気をつけないと。
その闇への入り口は、いつも周到にこちらを窺っているのかもしれないから。



作中ずっと鳴りを潜めておいて、最後に(文字通り)大爆発する残酷効果団体・西村映造のステキな仕事っぷりや、物凄く神経を逆撫でしてくれる中原昌也さんのサントラや、たった数言葉で説明されてしまう超投げやりな20年後(自爆テロから)の風景も一見の価値あり。

それと余談ですが、先月上京した際にお茶をしたTabelaが作中登場した事が、何よりビックリだったり嬉しかったりしたアガサだったのでした。
カッペ万歳。

また東京行きたいなぁ。
 

と言う訳で、機会があったら是非一度ご賞味下さい。
この地獄は、かなり癖になる地獄ですよ。


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