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『パーフェクト・ストレンジャー』

2009年08月11日
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★★
ただし、美人(イケメン)に限る。


古今東西、沢山の「驚異のどんでん返し映画」が作られてきましたが、どうも 『シックス・センス』 以降は行き詰っている感じがしてなりません。

あれを超える“どんでん返し”をしないと、もはや誰も驚いてくれない・・・!

そんな焦燥感を漂わせながら、多くのビックリ作品が世に送り出されたものの、しかし結局、人々の失笑と突っ込みと「だと思った」という言葉で一刀両断されたのでした。
そしてここにまたひとつ、観客の度肝を抜かんが為に、新たな刺客が登場。

“ラスト7分11秒―「衝撃の事実」に、あなたは絶対騙される”
というキャッチコピーも鮮やかに現れた 『パーフェクト・ストレンジャー』 は、一体どんな「驚異のどんでん返し」を魅せてくれると言うのでしょうか!
期待に胸を膨らませつつ、いざ鑑賞!


あらすじ・・・※ 完全ネタバレです ※

バリバリの有能美人記者・ロウィーナは、今日も元気に上院議員の政治ゴシップを暴くものの、上からの圧力によって記事を握り潰されてしまう。
よし!わかった! その議員にロウィーナが狙われるんだな! 理由はゴシップの証拠隠滅。間違いない。

やさぐれ半分のロウィーナは、帰宅途中で久しぶりに会った幼馴染から、とある大手広告代理店社長と不倫しているとの告白を聞く。
そりゃそうだよ! 議員が絡んでくる訳ないよ! アホか!まだ始まったばっかやっちゅうねん!

しかし、その2週間後、幼馴染は無残な死体となって発見される。
来たね。 死体来た。 真犯人は・・・議員・・じゃない!だから議員は関係ないんだってば! 次行こう!

その幼馴染と社長との関係を立証する鍵は、2人が出会ったきっかけでもあるチャットにあると考えたロウィーナは、同僚で腕利きハッカーのマイルズと共に、社長のハンドルネームである「ADEX」との接触を計る。
なんだこれ!楽勝楽勝! 犯人は社長で決定! だって幼馴染と付き合ってたんでしょ? 超かんたん! プゲラwwwww!

直接社長の動向を探ろうと決めたロウィーナは、偽名を使ってその広告代理店に潜入。
一方、ロウィーナの私生活をこっそり覗き見るマイルズの姿も・・・。
あのねぇ、社長が犯人だなんて誰が言いました? だから最初から、私はマイルズが怪しいって言ってたじゃないですか! 覗きイクナイ!

ところでロウィーナの過去には、ある秘密が隠されており、彼女は夜ごと訪れる悪夢に苦しめられていたのだった。
・・・ははーん・・。 ロウィーナの隠された過去ね・・・。 読めてきた・・読めてきましたよ! いや、まだ言わないけどね!

噂好きのOLから、社長に関する様々なゴシップを入手して行くロウィーナと、意味深な眼差しでそれを見つめる社長の片腕・ジョージー。
だからね、ロウィーナのトラウマなんてのは、いわゆる一つのミスリードなんですってば。 犯人はジョージー! 8割がた間違いないと見た!

会社でのリサーチとは別に、例のチャットルームに潜入するロウィーナ。
その独自のエロ口調で、早速ADEXからチャットに誘われる。
そして、それと並行して、社内でもその抜群のプロポーションと美貌で社長の関心を得る事に成功。
一気に急接近して行く2人。
何が怪しいってね、社長の行動が非常に怪しい訳ですよ。 大企業の社長のクセに、社長室でエロチャットするか普通? 家でやれ! ていうか社長業なんてやめちまえ!

その頃、独自に調査を進めていたマイルズから連絡が入り、幼馴染の死因が明らかになる。
なんと彼女はベラドンナという薬物の点眼や注射によって、毒殺されていたのだった。
毒物と社長との接点に困惑するロウィーナ。
ADEXとエロチャットする事で、なんとか秘密を探ろうとするのだが、なんとADEXの名を騙りチャットでハアハアしていたのは、マイルズなのであった。
ほらね~! だから最初にマイルズが怪しいって言ったじゃないすか! 覗くわ騙るわ、もう最悪ですよコイツ! 

そうとは知らずに、ADEXに取り入る事に成功したと信じきっていたロウィーナ。
会社の方でも順調に社長と親密さを増して行くが、物陰からその光景を見つめる者がいた・・・社長の妻である!
旦那が不倫をしていました。 相手の女性は妊娠までしていました。 さあ、あなたならどうします? 殺しますよね! あったりまえじゃん! バカじゃね? と言う訳で、真犯人は奥さんです。 お疲れ様でした。

社長の寵愛を得るロウィーナでしたが、ある日「ADEX=社長」の確証を得る為社長室に忍び込んでいた際、その現場を社長に押さえられてしまいます。
ロウィーナをライバル社のスパイだと勘違いして、怒り心頭の社長。
絶体絶命のロウィーナだったが、なんとか色仕掛けでその場を収めることに成功する。
2人はオサレなバーで仲直りのキスに没頭するが、ロウィーナの携帯を覗いた社長がマイルズから送られてきたメールを見た事で再び激昂。
結局完全に信頼を失ってしまったロウィーナは、会社を解雇されてしまうのでした。
まあね! さっきは奥さんが犯人だなんて冗談を言ってしまいましたが、やっぱり浮気相手が殺されたとき一番疑われるのは相手の男な訳ですよ。 社長は「裏切り」と言うキーワードに非常に敏感ですから、きっと幼馴染みちゃんが社長を脅迫するような事をしたのが許せなかったんでしょうね。  いやぁ、火遊びするには程ほどにって事ですなぁ! くわばらくわばら!

ロウィーナのミッション失敗の原因が、自分からのメールにあったと知ったマイルズは、なんとか挽回しようと、社長のもとに単身乗り込む。
その頃、マイルズを訪ねて行ったロウィーナは、マイルズの部屋でとんでもない証拠を見つけてしまう。
なんとマイルズは長い間、ロウィーナをストーキングしていたのだ!
そして、その傍ら、殺された幼馴染とも深い関係を持っていたのだった!
だからあれ程マイルズだと!! ね!! 言ってたよね!! だってさぁ、もう見るからに変態じゃん! いかんともしがたい変態じゃん!  奥さんとか社長とか、んな訳ないない! 

誰も信じられなくなったロウィーナは、再びチャットでADEXを誘い出し、高級ホテルの一室で会う約束をとりつける。
そして、そこに現れた社長を駆けつけた警察が逮捕。
その後の捜査によって、あらゆる物的証拠が社長の身辺から発見される。
夫の浮気に気付いていたハズの妻は、法廷で知らぬ存ぜぬの証言をし、哀れ社長は有罪判決を受ける事に。
社長は嵌められてただけなんですよ。 それはもう、最初からわかってたんですよ。 じゃあ、一体誰がそんな罠を仕組んだのか? それはどう考えても奥さんな訳で。 マイルズ?誰それ?  きっとねぇ、奥さんは散々浮気に明け暮れてた夫に対し、堪忍袋の緒が切れちゃったんですね。 ある意味可哀想ちゃあ可哀想な人なんですよ、この嫁は。

全てが終わり、過去に決別をして歩き出すロウィーナと、それを見つめる社長婦人。
早くこの嫁、捕まえた方がいいですよ。 ほら、ロウィーナが狙われる可能性も大じゃないすか。

意味深な表情で佇むマイルズ。
と、みせかけて! 結局マイルズなんですってば! 最初のシーンでわかってましたってば! このド変態が!

洗面所でベラドンナの壜を手に摂り、排水溝に流しはじめる一人の女性。
その女性こそは・・・  ロウィーナだった!!!
奥さんっていうかマイルズっていうか、 ・・・え?! ロ??!!!

幼い頃、性的暴行を行っていた父親を殺害して埋めた、ロウィーナと母。
その姿を目撃した幼馴染は、長年に渡ってロウィーナを脅迫し続けてきたのだった。
我慢の限界を感じたロウィーナは、彼女を殺害しその罪を不倫中だという社長に擦り付ける事を計画。
社長に接近しつつ数々の裏工作を仕込み、見事完全犯罪を成立させたのだった。
そ、そうだと思ったんだぁ! ていうか、開始20秒で判ってましたけどね! なんていうか、初歩的ですよね! 何もかもが! 
初歩的で稚拙で短絡的でていうか無理やりすぎるわ――どアホ―――!! (ノ`Д)ノ:・'∵:.┻┻


踊らされて無いですよ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ  踊らされてないですってば。


この手の「どんでん返し」作品鑑賞後に、あちらこちらで必ず見られる光景に

「オレは(アタシは)すぐ判ったけどね」

という“どんでん返し全否定”な態度の、映画好きな男子や女子の姿があるのですが、なんか大人気ないと思うのですよね。
明らかに「捻りも何にも無い」みたいな雑な作りの映画も多々あるのですが、製作者が無い知恵を絞って二転三転させたストーリーを、時には素直に受け止めようじゃないですか。
そして、「多分コイツが犯人だと思うんだ・・・と思ったんだけど実はコッチだったりして・・・みたいな事を思わせたいんだろうけど実は・・・」と、ああだこうだ踊らされながら観るのも楽しいと思うのですよ。
別にそれは恥でもなんでも無いし、「こんなオチも読めないの?バカじゃね?」なんて言う輩がいるとすれば、そいつの方こそ洒落の通じない野暮天なのではないかと。

ま、オレくらいのレベルになると、大抵のオチは読めちゃうんだけどな!(←まさしく野暮)


そもそも、語り部である主人公が犯人というトリック(?)は、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」(←ネタバレの為反転)とか、おフランス産スプラッター「ハイテンション」(←同じく反転)でもお馴染みなのですが、要はその真実が明らかになった時、どれだけ観客を唸らせられるかなのですよね。
アガサは前者も後者も作品としてだいすきなのですが、さすがに後者の方は辻褄が合わない点が多く、都合の悪いトコロは全て主人公(もしくはアジャ)の妄想てコトにでもしなければ、気になって夜も寝られない程です。

で、本作なのですが、やはり若干無理があったと言わざるを得ない仕上がりに。
幼馴染の殺害ありきで動き始めた主人公は、とにかくやっている事が全て回りくどい。
「社長の奥さんがベラドンナを使った写真撮影をしていると知ったから、幼馴染にベラドンナを盛る」とか、別にそこは盛らなくてもいいじゃない。
っていうか、普通にハドソン川に重石つけて沈めときゃいいじゃない。

なんというかねぇ、すべてにおいて、「ただし美人に限る」が大前提なトコロが、いちいちカチンと来るのですよねぇ。
社長と急接近するとか、
マイルズに自分の言葉を鵜呑みにさせるとか、
顔を伏せたチャットにも関わらず、ADEXをモノにするとか、
絶対普通の記者レベルじゃ成功しないじゃないですか。
でも、何もかも主人公の思惑通りに進む。
何故なら彼女が超エロい体のウルトラ美人だから。

もうねぇ、そんな記者いるかよ、と。
男顔負けで、バリバリと仕事をこなしている記者が、ちょっとドレスに着替えたくらいでフェロモンむんむんのプレイメイトに変身出来んのか、と。
ここは声を大にして叫びたい。
みんな騙されるな! アメリカのベテラン女性記者なんて、概ねこんな感じなんだかんね!

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(※ ホワイトハウスに詰めて48年。代表的女性記者のヘレン・トーマスさん。 まさにもののけ。)


という事で、
「ジャジャーン!真犯人は主人公でしたー! どう?ビックリした?ねえねえ、ビックリしたでしょ?」
というスタッフのハイテンションな製作姿勢だけは、想像すると若干楽しいのですが、なんでも美人なら上手くいくみたいな世の無常も如実に伝わってきて、アガサちょっぴり泣いちゃった。

まぁね・・・、そういうもんさね・・・現実だって似たようなもんさね・・。・゚・(つД`)・゚・。

若い女に目が無い社長を、必要以上にリアルに演じてみせたブルース・ウィリス。
結局ただの女好き、というか、無類の女好き、というか、根っからの女好k(略)
散々おちょくられ、罪を被せられる為だけに登場させられたブルースが、役柄としても個人としても、両方の意味で気の毒に思いました。
次は頑張れ! ええと、確か前に『ダイハード5』やるとかやりたいとか言ってたじゃん!そっちで頑張れ!

そして、もう一人のハゲ被害男性ことマイルズ。
演じていたジョヴァンニ・リビシのお陰で、多面性を持つマイルズのキャラクターがとても魅力的に描かれていた、と思います。(アガサは)
変態性とか、秘密主義とか、誰にでもある一面ですよね。
マイルズはただただ主人公が大好きで、でも高嶺の花で。
誠心誠意尽くせば振り向いて貰えるかもと思って、命令されれば全部従って、でもダメだったマイルズ。
最後のチャンスと思って、ちょっと姑息な手を使おうとしただけなのに・・・。
結局主人公に上手いこと利用されただけのマイルズが不憫でなりません。

もしマイルズが、もう少しほら、アレですよ、イケメン方面だったなら・・・

・・・

・・Σ(・д・)!! 
そうか・・・ただイケって事だったのか・・・



という事で、男女合わせて様々な人生の哀しみを見事に描ききった本作。
今の自分とは違う別の(ちやほやされるような)人格、すなわちパーフェクト・ストレンジャーとして歩んでみたい貴方にお薦めの一品です。

違うか。


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