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『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』

2009年11月12日
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★★★★
所詮は赤の他人。


あらすじ・・・
そこそこの収入もあり、郊外のいい家に住み、子供にも恵まれ、傍目から見たら何の問題も無い幸せな生活を送っているかのようなフランクとエイプリル。
しかし、それぞれの心の中には、常に人生に対する不満の影が巣食い、説明しがたい焦燥感に苛まれていました。
ある日、エイプリルは今の生活を捨て、パリで人生をやりなおす事を提案。
最初は“夢物語”とばかりに一笑していたフランクでしたが、エイプリルの熱心な説得もあり、ついに会社に辞表を叩きつける事を決意するのですが、ちょうどその頃、やっつけで提出したレポートのお陰で昇進のチャンスを得、おまけにエイプリルの妊娠も明らかになり・・・。




どんなに情熱的な恋愛をしていても、その末の結婚だったとしても、ダメになる時はダメになる。というお話。(←乱暴すぎるまとめ)

この作品には、「結婚生活」というものの暗部が全て詰まっているのではないかと思います。
主演の2人(ディカプリオ&ウィンスレット)が同じく恋愛バトルを繰り広げた、世紀の大人災映画『タイタニック』からは想像もつかない程、夢も希望もないハードな現実を突きつけられること請け合いです。

結婚をし、子供を授かっても、「本当の自分」という呪縛から逃れられなかったエイプリル。
変わり映えの無い日常から抜け出す為に、市民劇団に参加し、その看板女優として第2の人生を歩もうとしたものの、結果は惨敗。
そしてズタズタになった自尊心を癒し、再スタートを切る為に、家族総出でパリに移住する事に全てを賭けようとするも、今度は妊娠が発覚。

新しい自分の人生をはじめようとする度に出鼻をくじかれ、ヤケクソになったエイプリル。
不倫してみても、勿論その心の穴は埋まる事などなく、肝心の夫は全く自分を理解してくれようとせず、完全に行き詰ってしまったエイプリルは、あまりに浅はかな決断をしてしまい、その代償はあまりに重かった。

全ての希望を失ってしまったエイプリルが、空虚な表情で自分たちの「幸せの象徴」であったはずの家を眺めるシーンの圧倒的な絶望感。
ケイト・ウィンスレットの演技力のすさまじさに、しばし体が震えてしまった程です。
演技でこういう表情が出来るなんて・・・ メガフォンを執っていた夫のサム・メンデスは、複雑じゃなかったのでしょうかねぇ・・。
私が夫だったら家に帰って家族会議ですよ。
「おまえ、正直に話しておくれ・・何が不満なんだい?」って。
泣きますよ。 
嫁の前で男泣きですよ。


エイプリルの人生に対する希望を完璧に打ち砕き、夫への信頼を完全に失わせてしまったのは、あの市民劇団での屈辱的な一夜だったのではないでしょうか。
誰の目にも明らかだった、学芸会レベルの酷いステージ。
なにより自分自身が一番それをわかったいた。
だからこそ、夫には触れずにいて欲しかった。
しかし夫がエイプリルに掛けたのは、
「大成功とはいえないなww」
の一言。

誰でも何かに責任をなすりつけたい。
人生には、自分ひとりで背負うには重過ぎる責任が多いからだ。
でも度合いと言うものがある。
言ってはならない一言。
踏み越えてはいけない一線。

世の中には聞かないほうが幸せな事実というものが、確かに存在しているのだ。
それが夫婦同士ならなおのこと。
一から百まで正直に打ち明ければいいと、きれいに割り切れる事ばかりではないのだ。


エイプリルの女優としてのキャリアが潰れたのは、夫のせいではありません。
自分の力量が足りなかった、ただそれだけ。
でも、夫の配慮の足りない一言で、エイプリルはその怒りの矛先を夫に定めてしまう。
もっと夫が、エイプリルの自尊心を重んじてくれれば。
もっとエイプリルが、夫のストレスを感じ取ってやれば。

お互いに歩み寄ろうという姿勢が、ほんのちょっと足りなかった、また、微妙にズレていたせいで、修復できないほどの傷を負ってしまったこの夫婦は、哀れとしか言いようが無いですね。

ま、一番可哀想なのは、そんな夫婦に振り回された子供たちだと思いますが。



多少の差はあれ、どこの家庭に於いても起こり得る「夫婦」と言う赤の他人同士の軋轢が描かれている本作は、既婚、未婚関係なく、心の痛いトコロに突き刺さる良作で、だからこそ多くの人に是非とも観て頂きたいと思います。

そして、「結婚する」「親になる」という事に対する覚悟を、胸のどこかに刻んでおくべきなのではないかと。


本編のラスト、下世話で小うるさい妻の戯言からそっとフェイドアウトするご主人(推定70歳)の姿は、そういう覚悟のゴール地点を表していたようで、もしこれが「夫婦」の行き着く場所なのだとしたらそれはちょっと寂しい気がしてしまったものの、やはり取捨選択というか、長く上手くやってゆく為にはこういう方法もありなのかなぁ・・と。 なんだか妙に納得してしまったアガサなのでした。




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