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『モーテル』

2009年07月02日
Vacancy.jpg
★★★☆
内容にピッタリな邦題 『地獄のモーテル』 は、権利の関係上使用出来なかったそうです。 と、思います。 たぶん。 じぇねえの?


あらすじ・・・
えー、客商売というのは、なかなか苦労の尽きないものでして。
「もっと凄いのを」「もっとエゲつないのを」と、日々高まる要望に応えつつ、一定のクオリティを保つのは並大抵の努力ではないのでございます。

かくいう私も、ちょっとした映像業を営んでおりまして、撮影のスムーズな進行の為に様々な創意工夫を凝らしております。
中でも、客室への侵入の為の地下トンネルを掘った時。
アレは本当に大変でしたな。
なにせ、途中にはネズミの巣。
穴を掘り進めるのも一苦労でして、まぁ、ネズミなだけに要チュー意なんてな!
ダメだこりゃ!

では本編行ってみよう!
「もしも田舎のモーテルが、スナッフフィルム製作会社の隠れ蓑だったら」


最近あらすじが短いとお嘆きのあなたもどうぞ一押し! にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ え?嘆いてない?あ、そう。


ホラー映画はですね、怖くないんですよ。
勿論スプラッター映画も怖くなんてない。
何故なら、そこに描かれているのは常に作り物の恐怖であり、ホッケーマスクを被った殺人鬼も、チェーンソーを振り回す豊満バディの童貞男も、実際には存在しないのです。
恐怖と言うのは、何気ない日常の中にこそ宿り、発色のいい血糊や完成度の高い臓物が引き出すのは、恐怖ではなく嫌悪。
すなわち
「やだもう!さいてい!こんなの見せるなんて、純くんのいじわる!(ポカポカ)」
「ハッハッハ! 父さん、れいちゃんは超怖がりな訳で!」
みたいな乳繰り合いへと、ナウでヤングなカップルを発展させるが為に、ホラー映画は存在しているのですていうかなんで『北の国から』やねん。

では、その「日常に宿る恐怖」とは何かというと、言うまでも無いのですが実に単純な事柄なのですよね。
例えば、死角になって見えない、半開きのドアの向こう側。
誰も居ないはずの部屋から聞こえる「ギシッ・・」という物音。
一人で寝ている時に聞こえる、ドアのノック音。
窓に一瞬映りこむ、何者かの影。
“幽霊の正体見たり枯れ尾花” という慣用句もあるように、原因がわかってみればホントにしょうもない事が多いのですが、常に私達の心臓に見えない糸を張り捲らせ、何かの拍子にキュっと絞り上げる、些細な恐怖の数々。

本作が各方面で概ね高評価を得ているのは、そのちっちゃい恐怖の再現に成功しているから。
もうねぇ、ホントに怖いです。
見えそうで見えないドアの向こう。 
その向こうに居そうで居ない覆面男。
割れそうで割れない窓ガラス。
繋がりそうで繋がらない電話。
逃げられそうで逃げられない主人公。
取れそうで取れない拳銃。
怪しそうでやっぱり怪しかったモーテルのオーナー。
って怪しいのかよ! 
でも、そんな素直なお前もキライじゃないぜ!
(←誰なんだよ)

もう少し頑張れば、機転を利かせれば助かりそうな状況で、ホラーにありがちな凡ミスを繰り返す主人公カップル。
携帯を落としたり、車を有効活用しなかったり、目の前にあるライフルをスルーしたり、とどめを刺さなかったり・・・。
そりゃもうイライラします。
たとえそれが、奴らの思う壺だったとしても・・・。
あくまのつぼ。  (※参考画像・おもうつぼ)(※うそです)


そして、お約束の如く、ついたり消えたりする懐中電灯。
もうさぁ、いい加減アメリカのみんなは、日ごろから懐中電灯のケアをしとくべきだよね。
絶対肝心な時に消えかけるんだからさ! 
まったく! 大雑把なアメ公どもだぜ!
なんて思いながら、一応うちの懐中電灯をチェックしてみたら、見事に電池が切れてました。
合衆国在住の皆様には、本当にすまなかったと思ってる。

そんなアガサの地道な裏づけ捜査からも、本作のリアリズムへの真摯な姿勢は明らかな訳ですが、一番リアルさを感じたのは、実は主人公カップル(夫婦)の性格づけだったりします。

不慮の事故から一人息子を亡くし、深く大きな溝が出来てしまった2人。
妻はひたすら、目を離してしまった自分を責め、夫はそんな妻とやり直したいけれど上手に気持ちを伝えることが出来ない。
そんなこんなで離婚秒読み状態な2人が、とんでもないキチガイおやじが待ち受けるモーテルにご宿泊の運びとなってしまうのですが、まずそこに至るまでにも超リアルな丁々発止が繰り広げられる。
眠いのに素直に「眠いんだよね~」と言わない夫。
道も判らないのに「多分こっち」とばかりにわき道に入り込む夫。
車がヤバそうな状態なのに「もしかしたらヤバイかも」とは口が裂けても言わない夫。
そんな夫に対し、「だからアタシは最初からあっちの道の方がいいと思ったのに」
「だからアタシは最初からどこかで休憩すればいいと思ったのに」
「だからアタシは何回も運転変わってあげようと思ったのに」
と、壮絶な“そもそも論”を展開する妻。

もう、見事なほどに、
プライドが高く、常に主導権を握ろうとする男と、
自分は客観的にモノを見ているとばかりに、何かと冷ややかな態度をとる女。
と、言う男と女の習性を表していますよね。
マーク・L・スミス・・・  怖い子・・・!(※脚本家)

そして、こんな2人が地獄のようなモーテルで、恐怖のどん底に叩き込まれた時、果たしてどんなへ変化が生まれるのか・・・。
と思ったら、男は主導権を握り、女は震えて泣き濡れるのである。 
あんま変わんないのかよ。

ホントねぇ、空気なんですよね、嫁が。
メソメソベソベソしてやがんの。
もっぱら旦那さんが「うーやーたー!」って活躍して、その後ろをモタモタしていってるだけでやんの。しかも泣きながら。
ああ、物足りないね!
全く以って物足りない!!

ホラーにおけるヒロインが、こんな不出来な嫁でいいのでしょうか?
むしろ張り切りすぎた旦那が早々に深手を負い、それに変わって一気に表舞台に躍り出るのが、ホラーの嫁たる者の役割なのではないでしょうか?
それがなに? 「あたしを置いていかないで~」?
ヌルい事言ってんじゃねえぞゴルア!!ヾ(*`Д´*)ノ

自分がなんでこんなに怒っているのかよくわかりませんが、とにかく本作の嫁は最後の最後になるまでほぼ空気です。
ようやくクライマックスでやっこらせと立ち上がりますが、それも「やむを得ず」的なニュアンス。
ただ、それこそが究極のリアリズムなのではないでしょうか。
ガチでコアなキチガイに包囲されて、水を得た魚の如く奮い立つ嫁なんて・・・無い無い!そんなの!
ごめん!マジでごめん! じぶんも泣いていいですか?


と言う訳で、心にも無い泣き言をいいながら(無いのかよ)、なんとか上手いこと纏めようと頑張っているのですが、要するにとても心地よい緊張感に溢れた、心臓によくない良作ホラーですので、夫婦生活にマンネリズムを感じ始めたお二人にお薦めの一品なのではないでしょうか。
「あー、おれらも手に手を取り合って頑張らないとなー」、なんて、奥さんとネンゴロになるチャンスですよ! そこのご主人!

え、夫婦じゃない?
じゃカップルでご覧になると言うのもアリかも・・・ え?カップルでもない? マジで?!
でも大丈夫。 アガサも一人ぼっちでクッションを抱えて観ましたから!
むしろ、クッションが相方?みたいな?
ううん、ううん、全然寂しくないし! あー愉快!ヒャッホー!!

・・・

・・

・・・じぶんも泣いていいですか?


あと、これは余談なのですが、実際にありそうな恐怖と小汚いモーテルの部屋を見事に再現してくれた本作を観ていると、アメリカってマジでこんな場所ばっかなんじゃないの?と思わざるを得ませんね。
ヒッチハイカーはキチガイで、田舎のガソリンスタンドの店員もキチガイで、僻地のモーテルの支配人もキチガイ。
旅行者泣かせの国、アメリカ。
こわいよアメリカ。

これはねぇ、そろそろここらで心温まるほのぼのモーテル物語とかを作ってリリースしとかないと。
オスカー5部門制覇!みたいなハッピーなやつを。
でないと、「日本には未だにニンジャがいる」と外国から思われてるみたいに、アメリカも「アメリカの田舎は殺人鬼の巣窟だ」と認識されかねませんよ。
ちなみに、そんな危機感を抱いて我らが日本が海外向けに製作したのが、ジャパニーズなスピリチュアルに溢れた 『GOEMON』 だそうです。 よし!ぶち壊し成功!

(※うそです。GOEMONさいこう。←棒読み)

と言う訳で、機会がありましたら 『GOEMON』 とあわせてご覧頂ければと思います。


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