ブログパーツ

『食人族』

2009年05月06日
しょくじんぞく
★★★★
なんだかんだいって名作。


1983年、1月初旬。
冬休み明けの小学校は、ある2本の映画の話題で持ちきりだった。
1本は 『ET』 。 
そして、もう1本は 『食人族』 。

女子は「ファンタジー大作 『ET』 を観に行って感動した」と告白する事で、ピュアで可愛らしい部分をアピールし、
男子は「みんなが興味はあるもののビビって行けない『食人族』を観に行った」と宣言する事で、オレって度胸あるだろ的ないやらしさをアピールしていた。

そんな中アガサは「どっちでもいいから観に行かせてくれ」 と母におねだりしていたものの、「皺くちゃの宇宙人も人間を食う土人も観なくていい」 と敢え無く却下され失意のどん底にいた。

仕方ないので、女子の机に学校前で貰った『食人族』のチラシを入れてキャーキャー言わせたり、男子に「どのシーンが面白かったんだよ? 串刺しってどんな風に刺さってたんだよ? お前ホントに観に行ったのかよ?」としつこく突っ込んで泣かせたりしていた、小学4年生の冬。

現在で言うトコロのツンデレである。(※違うと思う)

まぁ、とにかく、日本中が 『ET』 と 『食人族』 に夢中になっていた時代が、たしかにそこにあったのだ。
小学生だろうと、ワカッテル親さえ居れば劇場で “巨大亀のナマ解剖”とか“土人陵辱プレイ”とか“女体串刺し”とかが観られた時代。

いくらなんでも大らかすぎるだろ・・・。(※だが、それがいい)

と言う訳で、そんな時代に観られなかったアガサがついに禁断の 『食人族』 鑑賞を決行。
さくさくとレビュー。

あらすじ・・・
どうもこんにちは、ブラット・ピットです。
じゃないですね。 はい、ニューヨーク大学の人類学講座で教鞭を執ってます、教授のモンローです。
アレでしょ、肩書きは結構ちゃんとしてるでしょ?

あのねぇ、今回こうしてアマゾン上流のジャングルにやってきたのには訳があってねぇ、あの~・・・、ちょっと前に行方不明になった連中がいるんですよ。それこそ20年くらい前に。うそなんだけど。
え~と、ホントは何ヶ月前でしたっけ・・・ ま、ぶっちゃけ「いつだっていいよ」って感じですよねぇ。
で、モンローちょっと偉いさんに呼ばれちゃって。
あいつら探して来られるのはえのき茸、いや舞茸、いやシャンピニオン、いやお前だけ だなんて言われたんでねぇ。
いやいやいや~、流石にそこは「やなこったパンナコッタ」なんて答えてたんだけど、ま、モンローの大好きなお金をくれるって言うんでここまで来ちゃったって訳。
お金はいいよね~。 魂だって買えちゃうからね。

という事で、こちらがガイド役のホームレス中学生さんです。
じゃないですね。  ・・アレ?君、チャン・ドンゴンに似てるって言われない? 言われないんだ。 モンローもそうだと思ったよ。
で、この松崎しげると一緒に、連中の足取りを探りながら原住民の秘められた習性なんかも解き明かして行こうかなんてね。 ま、ホントのトコは興味ないんだけど。

ええと、なんだっけ、そうそうその原住民ね。
とりあえずいなくなった連中の事を聞いてみないとね。
大丈夫大丈夫、モンローはほら、現地語ペラペラだから。 意味はわからないけど。
なに? 俺たちの村は東京ドーム5個分の面積だ? 
それはすごいよね~! まぁ東京ドーム行った事ないんだけど!

という訳で、そろそろ帰らせてもらっていいかな?
今日の晩にリア・ディゾンのお産を手伝う約束してるんだよね。 
あ、だいぶ前に生まれてたんだっけ? じゃあそろそろ成人式なのかな?
んな訳ないか! じゃ、また来週!


応援とかお願いしたいんですよね にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ ま、押したらお金がかかるんですけど(←ウソです)


なんのあらすじにもなっていないあらすじで、どうもすみません。
まぁ、本編もそんな大したあらすじとか、ありませんので。(←暴言)

冒頭でも書きましたが、とにかくアガサが小学生の頃は一大センセーションを巻き起こしていた 『食人族』 。
あまりに「えげつない映画」として老若男女問わない知名度を誇っていた為、これを観る事だけは躊躇われていました。
なんと言っても、身内から総スカンを食いそうでしたし。
しかし、切株好きを公言している身でありながらこれを避けて通るなど、有り得ない話。
むしろ「まだ観た事ないとかマジウザい」と、渋谷のJKから鼻で笑われる事必至。
ゴメンなさい。 今すぐ観るから「マジウザい」は勘弁して下さい。

という訳で満を持して借りてきたのですが、なんだこれ。 全然えげつなくないじゃないですか。((´∀`*))ナアンダ



“フェイクドキュメンタリー” とか “モキュメンタリー” とか呼ばれている、いわゆる“ドキュメンタリー風に作られたオリジナル作品”の先駆けとも言える本作。
公開当時は、 
「アレは本物の食人フィルムなんじゃあるまいか! けしからん!実にけしからん!」 
みたいな、ゆとり丸出しのリアクションで受け止められたようですが、雑な臓物取り出しシーンに代表される実にほのぼのとした特殊効果を見ればその真偽の程は一目瞭然。
ていうか、信じた人はなんで本物だなんて思っちゃったの? バカなの? 死ぬの?

最近の進歩したゴア描写を見慣れた若者から見れば、ちゃんちゃらおかしいレベルの特殊メイクによって繰り広げられる残酷物語。
お腹の上にパテを盛られただけの切創痕。
肝心なトコロが映らない解体ショー。
突如切り離される生首。
ブレるカメラに翻弄される食人晩餐会。

何もかもがお粗末。
でも、何もかもが微笑ましい。
やぶ蚊も居ただろう、ヘンな虫も居ただろう、素人臭い(いや、素人なんでしょうけど)原住民との間でトラブルもあっただろう、あられもない格好をさせられた女優さんはさぞかし機嫌が悪かったろう、そんな中で精一杯頑張ったスタッフを思うと、熱いものがこみ上げてきます。

勿論、そんな熱い想いに冷や水(ガソリンかも)をかけるかの如く、ネタ感に溢れた突っ込みどころも満載。

・ 自称ドキュメンタリーのクセに、誰が撮ってんのか判らないアングル頻出
・ 複数いるらしい土人の種類がさっぱり判別出来ない
・ 土人のリーダーが間寛平
・ 土人の来賓用ご馳走は謎の餅(木工用ボンドっぽい)
・ 部族内の儀式なのに、折檻されているのは明らかに白人女性
・ やたらと裸
・ 白人すらも、やたらと裸
・ その残酷性から他の土人にも恐れられている最凶部族が、超弱い
・ 最凶部族のシャーマンが、ラジカセに夢中になる

などなど盛りだくさん。

まぁね、「誰が撮ってんのアングル」なんかはよくある事ですよね。
都合よく地面に横向けに落っこちるカメラとかね。(※撮影者の最期を映し込む為に)
しかし、行方不明になった先発隊を食った張本人であるアマゾン最凶部族が、モンロー教授含む後発隊にはめっぽう温厚だったりとかは流石に無茶すぎる。
いくら後発隊には優秀なガイドがついていたんだとしても、いくら先発隊は傍若無人な振る舞いをしていたんだとしても、全く別の部族なんだとしか思えないくらいの豹変っぷり。
それともこれは、我々の態度如何ではどんなに残忍な種族とも分かり合える、という、監督のナウシカ的メッセージなのでしょうか?
ほら・・・怖くない・・・ガブ! みたいなアレとか?

ジャングルに住んでいるから野蛮で、文明に囲まれて生きているから理性的で、という通念などは、とっくの昔に壊れ去っているのではないかと思いますが、この時代にこういうチャレンジャーな作品で人間性の脆弱さを描こうとした監督の心意気は、しかと受け取るべきなのではないかと思いました。

もしかすると本作は、内容とか有名すぎるタイトルとかで、損をしているかもしれません。


しかし、この時代だからこその受け入れがたい製作面もありまして、人間に関しては“わくわくさん全開”のハンドメイド特殊効果なのに、動物に関しては一切の妥協を知らないリアリズムを追求してくれちゃっているのですよねぇ。してくれなくていいのに。

結構有名な大亀の活け作りシーンくらいしか知らなかったのですが、実際観てみると、他にも小猿の活け作りや、野豚のガチンコ屠殺シーンなど、ちょいちょい殺されて行く小動物たち・・・。
それはないわ~(´д`;)

今やってたら、そりゃもう動物愛護団体のクレームが半端ないでしょうね。
ていうか、ホント勘弁して欲しいのですよ。
そんなトコに本気を求めてないからさぁ、あたいたち。

あと、リアルと言えば、妙に本物っぽい吐瀉物も謎でした。
出演者が 「おぇぇぇぇぇ」 ってやる度、あまりのリアリティに酸っぱい気持ちになったアガサです。


なんだかんだ言いましたが、未だに観た人の心の中では忘れられない一品でしょうし、新規でご覧になった方にも、古臭い画面から漂ってくるのほほんとした空気やユルい土人パーティが、どこか懐かしい気持ちを呼び起こしてくれる事でしょう。
一度観ておいて損はないのではないかと思います。(勿論グロ耐性のある方のみですよ)
アガサも、もっと早く観ておけばよかったです。
ま、早く観てたからっっつっても、何も変わってなかったと思いますが。
アイムソーリー、母ちゃん。


     ♪♪どちらのバナーでもどうぞご遠慮なく♪♪ →   にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

Trackback
『食人族』  CANNIBAL HOLOCAUST 【製作年度】1979年 【製作国】イタリア 【監督】ルッジェロ・デオダード 【出演】ルカ・バーバレス...

※当ブログで使用しているイラスト等の著作権は、全てはアガサにありますので、転載、二次加工、再配布の際は一言ご連絡下さいませ。