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『ウォッチメン』

2009年04月01日
watchmen-poster.jpg
本年度・本編終了後離席率ナンバー1映画。 (アガサ調べ)


以前にも書きましたが、劇場で映画を鑑賞する際一番イライラするのは、本編が終わった瞬間先を争うように席を立つお客さんの存在だと思っています。アガサです。

で、今回 『ウォッチメン』 を観に行ったのですが、今までに無い勢いで席を立つ人続出。
中には信じられない事に、まだ本編そのものが終わっていない時点にも関わらず、退場する人まで。(※一応山場とおぼしきシーンは終わっていましたが)

一体なぜ、この様な事態が発生したのか?

・ 平成生まれのぼくたちなので、「ソ連」と言われてもピンと来なかった
・ 思った以上にストーリーが暗かった
・ キャラクターの名前が覚えきれなかった(旧ヒーローを含めると総勢13名)
・ ニクソンって人の鼻が、必要以上に垂れていて不快だった
・ 青い全裸の人が例のアレをブラブラさせながら出てくる為、目のやり場に困った
・ 原子がどうとか分子がどうとか言う内容が理解できず、劣等感に苛まれた
・ 小腹が空いていた
・ トイレの限界度が生死レベルに達していた(上映時間2時間43分)
・ 思てたんとちゃう

アガサが予想するに、この様な現象が起きていたのではないかと。

という訳で、こういった事態を避ける為にも、 『ウォッチメン』 は
年齢22歳以上で根暗で記憶力の良い鼻フェチで3度の飯よりアレが好きな物理学マニア且つ小食の強靭な膀胱を持つ『ダークナイト』ファン
の方だけご鑑賞頂く方がいいと言う事になりますね。
つまり、童貞の諸君だけ観ても良し、と。

う そ で す 。
(童貞のみなさんどうもすみません)


てな訳であらすじです (※オチばれはしていません)・・・
ロールシャッハ記 1985年10月12日。
今朝路地裏で犬の轢死体を見つけた。 裂けた腹にはタイヤの跡がついていた。この街の通りはドブも同前だ。人の血が流れるドブだ。己の罪に浸かった売春婦や政治家どもは天を見上げて叫ぶだろう・・「助けてくれ!」と。そしたらオレは小声でこう答えるんだ。「イy
・・え?
お前誰だよ? って?
やだなぁ! ウォッチメンの切り込み隊長ことロールシャッハですよ!白黒マスクでお馴染みのロールシャッハ!!
「ああ、万年着たきりコートが臭ってきそうなあのロールシャッハね」ってあっはっは!お客さんキツいなぁ!!
思えばニクソンのアホが“キーン条例”でヒーローの活動を禁止してからはや幾年月。
事業家になったり、引きこもりになったり、精神病院に入れられたり、元ヒーローたちは多種多様な道を歩み始めましたけど、ぼくは違いました。
あのねぇ、悪いヤツは、誰かが何とかしてやらないとダメなんですよ。
警察なんかアテになりませんて。
鬼畜の所業には死を。 コレぼくの持論です。
まぁ、その持論のせいで、あっちこっちに敵を作っちゃいましたけどね!

で、ある日そんな孤独な自警活動の最中、道端で見つけた血塗られたスマイルバッチ。
気になったので、そのバッチの出所を探ってみたら、なんと元ウォッチメンのメンバーで今は政府の特命係長をやっている“コメディアン”の殺害現場に辿り着いたぼく。
明らかな殺意が漂う現場で、ぼくはこれがただの殺人事件ではないと確信しました。
これは間違いなく、元ウォッチメンであるぼくらを狙った“ヒーロー狩り”だと。

と言う訳で、まずはウォッチメン時代にパートナーだった“2代目ナイトオウル”ことダンのトコロへ向かったのですが、もうねぇ、ダメですねコイツ。
なんかもう、空気がダメ。
澱んでるって言うんでしょうか・・・ ガツガツした感じが皆無?みたいな。
ぼくの忠告も「んなアホな」の一笑で終了ですよ。
やる気失せるわぁ。

仕方ないので、次にぼくは、元メンバーで今は政府の研究所で無限エネルギーの開発に勤しんでいる“DR.マンハッタン”ことジョンと、その恋人の“2代目シルク・スペクター”ことローリーのトコロへ向かいました。
この“DR.マンハッタン”って男、実に恐ろしいパワーの持ち主で、元は優秀な物理学者だったんですけど、研究中に核実験に巻き込まれて原子レベルに分解されてしまったんですよね。
で、その後なんと意地と根性で体を再構成。
一回分解されたからか、尋常でない放射線を浴びたからか、自分の体の原子を自由自在にコントロール出来るようになったんです。
さらに、この世に存在する全ての原子も思いのままに操ることが出来るようになった“DR.マンハッタン”。
毛が無いトコロがマンハッタン。
青いよぼくらのマンハッタン。
なんかねぇ、ベトネム戦争に駆り出された時なんか、「ヌッ」って睨んだだけでベトコンどもを粉砕しちゃってたらしいですよ。
で、現地民ももう「神降臨 キタ━(゚∀゚)━!!」って。
あの戦争、1週間で終結させましたからねぇ、結局。

で、この2人に“ヒーロー狩り”について懇々と聞かせてやったんですけど、これまた暖簾に腕押しっていうか、ぬかに釘っていうか。
「悪いけど、帰ってもらえる?」とか言われて、有無を言わさず外に瞬間移動させられて。
えー? なにー? マンハッタンさんってそんな技も持ってたのー? みたいな。
無いわー。 マジへこむわー。

そんなこんなで、仕方なく一人で事件を捜査するぼく。
実はダンはぼくに内緒で、同じく元ウォッチメンで今は大事業家になっている“オジマンディアス”ことヴェイトのトコロに話をしに行ってたらしいんですけど、やっぱり「へー」って言われて終了だったみたいですね。
ていうか、気にしてんじゃん、ダンってば。

そうそう、ダンと言えば、例の青いダイナマイトバディこと“DR.マンハッタン”の恋人・ローリーと同居を始めたらしいですよ。
なんかローリーね、ぼくが訪ねていった後、なんやかんやでマンハッタンさんと揉めたとかで、
「あなたには人間性が無い」
とか
「妙に青い」
とか
「私だけを見て」
とか、典型的なダメ女っぷりを発揮して、家を飛び出したんですって。

一言いいですか?

ローリーUZEEE━━━(´Д`#)━━━EEEE!!

しかも、ぼくが一生懸命捜査してた間に、ダンと急接近してたみたいなんですよ?
こっちは捜査の最中に誰かの罠に嵌められて、刑務所に入れられたってのに、こいつら堂々とコスプレしてパトロールしてたって言うじゃないですか。
“キーン条例”が出た時、あんだけビビってたクセに。
ぼくが一人、自警活動に精を出してたを見て「ロールシャッハ必死ww超笑えるww」とか言ってたクセに。
もうねぇ、泣きますよ。 
いい加減泣きますよ。 大人げない大人の号泣ですよ。

まぁ、なんだかんだ言って、その後刑務所にぼくを助け出しに来てくれたんで、こいつらも多少は見所あるな、と思いましたけどね。

さて、ぼくらが捜査に行き詰ったり、友情を再生したりしていた間に、世界の状況は刻々と変化していました。
ニクソンのアホが、“DR.マンハッタン”の威光を笠に着て強硬外交を行ったせいで、ソ連とキューバの関係は親密さを増し、対アメリカの姿勢は日々強まるばかり。
ソ連は核兵器を最前線へと配置し、もはや世界終末の日は目前まで迫っていると言っても過言ではない状態。

ところが、こんな時こそ“DR.マンハッタン”の出番・・と誰もが思っていた矢先、当の本人は傷心の旅に出てしまったんですよ。
だってね、アホなマスコミどもが、マンハッタンさんの元カノとか元同僚とかが癌に蝕まれているのをスッパ抜いて、こともあろうにその原因がマンハッタンさんに在るって詰め寄りやがったんですもの。
そりゃあねぇ! マンハッタンさんもへこみますよね!
いくら人智を超えた存在だって言っても、まだ中には人間性の欠片が残っているんですから。
「わしか? わしの青さが悪いんか?」って泣きますよ。
違いがわかる男の号泣ですよ。

と言う訳で、世界が破滅の危機に瀕しているというのに、頼みの綱のマンハッタンさんは火星で引きこもり生活に突入。
そんなマンハッタンさんを説得する為に、ローリーが火星に出張。
あそこって酸素が薄いらしいですけど、まぁマンハッタンさんが何とかするんでしょ。
ぼくはダンと一緒に“ヒーロー狩り”の犯人捜しを続行。
すると、ある一つの手がかりに辿り着いたんですけど、この手がかりが指し示していたのはなんと信じられない事に、ぼくらの仲間だった“オジマンディアス”その人!

マジですか?
まさかとは思いますけど、そのまさかですか?
灯台デモクラシーってやつですか?
キツいわー。 ここに来て内輪揉めはキツいわー。
しかもアイツ、何気にぼくらの中で一番腕っ節が強いんですよ。
その上頭もいいし。
ただね、ここだけの話、アイツってエジプトヲタクなんですよね。
もうねぇ、「理想のタイプはネフェルタリ!ヒッタイト正直ウザい!」とか、しょっちゅう言ってたんですよ。 誰だよネフェルタリて!知らねぇよって!

ええと、それでですね、その“エジプトヲタク”が何らかの計画を秘密裏に進めていたらしくて、“コメディアン”はそれに気づいた為に殺されたみたいなんですよ。
なるほど納得ですよね。
そりゃエジプト君には勝てないわ。
しかし、ここまで知ってしまったからには、ぼくらの力でなんとかエジプト君の計画を阻止しないと。
その為には、エジプト君の隠れ家に行かないと。

隠れ家にね。

隠れ家。

隠れ家、南極でやんの。


それは無いわー。  マジへこむわー。



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(※ここから完全ネタバレありです)




12の章から構成された濃密な原作コミックを、頑張りに頑張りぬいて2時間43分に纏めた本作は、たった一度の鑑賞で全て理解する事など不可能だと思います。
何故なら、壁に貼られたポスター、風に舞う新聞紙、通りを行き交う人々の隅々にまで、原作から忠実に移植された情報の数々が込められているとの事だから。
しかし、たった一度の鑑賞でも、大きなメッセージを感じ取る事は可能だと思います。
それは“正義”という言葉が持つ曖昧さ、複雑さ、際どさ。


“正義のヒーロー”と“悪人”の違いとは一体何なのでしょうか。
よかれと思ってやっている事は、自己満足でしかないのでしょうか。
「世界の平和の為に」と、一定の地域に犠牲を強いる行為は、“正義”なのでしょうか、それとも“悪”なのでしょうか。
ある人にとっては“正義”で、別のある人にとっては“悪”ならば、その行為はどちらだと言えばいいのか?
ただ、沢山の人が、死ななくてもよかったかもしれない人が死んでゆく。
不条理な悲しみで胸が張り裂けそうな想いをしている人がいる。
もしも、その「よかれと思った」行為の果てに一時の平和がもたらされたとしても、悲しみは癒える事などないし、死んだ人も帰ってこない。
ならば、その行為は“悪”なのではないか?
悲しみを生むような行為は“悪”と呼ぶべきなのではないか?
しかしまた、一時とは言え確かな平和がそこにあったなら、残された多くの人が喜び、安心して暮らせる世の中になったのなら、それは“正義”と呼んでもいいのかもしれない。

答えなんて出るもんか。
いくら考えたって、白黒なんてつけれる訳ない。

本作のラストで、エジプトヲタクこと“オジマンディアス”が行った事。
核戦争の危機に瀕している世界に、確実な平和をもたらす為に行った事は、全知全能の神(の様な)である“DR.マンハッタン”の力を利用して、アメリカの都市を一つ消し去ると言う鬼畜極まりない所業。
「アメリカ嫌い」「ソ連目障り」と小学生みたいな諍いを続ける馬鹿どもに、巨大な敵(マンハッタンさん)を用意する事で一致団結させる、まさに荒業中の荒業。
これを“正義”ととるか“悪”ととるか、裏事情を知ってしまったウォッチメンのメンバーは大いに心を悩まされます。
しかし、答えなど出ない。

灰色の部分に身を置く事を決意した“ナイトオウル”と“シルク・スペクター”は、平和になった世界でラブラブな生活を送り、白黒ハッキリつける事しか出来なかった“ロールシャッハ”は死を選び、世界の敵にされてしまった“DR.マンハッタン”は無理やりに作られた平和を尊重する為に地球を去り、全ての責任者である“オジマンディアス”は犠牲にしてしまった人々を悼み、罪の意識に苛まれながら生きる事を誓う。
後味の悪い平和ですが、それを作り上げた“オジマンディアス”が心底へこんでいるので、少しばかり救われた思いがします。
小手先ばかりの平和ですが、そんな平和でも無いよりはマシなんじゃね?と潔く罪を被る“DR.マンハッタン”はまさに神の領域に達したような気がします。て言うか、多分神様ってそういう感覚なのではないでしょうか。 「人間って色々考えつくよなぁ・・・でもまぁ、せいぜい頑張って!」って。

自分の信念を曲げる事より、死を選んだ“ロールシャッハ”が男前過ぎてたまりません。
同じく、人間と言う生き物の持つ野蛮さを悟っていた“コメディアン”も男前過ぎてかないません。
とにかく、方向はどうあれ、一本筋の通った生き方をしていたキャラたちが魅力的です。
彼らを好きにならない人とは、友達になれそうにありません。

そんな中で、一本筋どころか迷走を続けて、周りの深刻なムードとは裏腹にバカップルっぷりを見せ付けた“ナイトオウル”“シルク・スペクター”の2代目コンビは、実に役に立たない空気のような存在だったのでした。
どちらも現状に馴染めず、自分の存在が何なのかさえ判らず震えていた2人。
似たもの同士でカップル成立かと思いきや、何かが足りずに一線を越えられない。
何が足りないんだろう?
そうか! ぬるま湯のような生活には、刺激が足りなかったんだ!
という事で、ヒーロー時代のコスプレに身を包み、ちょっとした人助けをして大いなる自己満足に浸った2人は、めでたく結ばれるのでした。

どうみても変態です。 ありがとうございました。

変態プレイはさておき。
この2人の、世界危機後の安穏とした暮らしっぷりは、その他の犠牲を払ったヒーローに比べるとイラつく事必至なのですが、彼らの存在こそ私たちそのものなのではないかと思います。
欺瞞に満ちた平和だとわかっていながら、それを甘んじて受け入れる事しか出来ない2人。
せめてもと、平和になった世界で地道な自警活動に勤しむ2人。
中途半端な正義心に振り回されて、自分の立ち位置が掴めない私たちの姿に似ている様な気がしました。


「原作どおりじゃないと作る意味がない」と言い切ったスナイダー監督が作り上げた世界は、原作を読んだ事が無いアガサでも存分に堪能できる、完璧な映像美で構成されていました。
キメのシーンでは、『300』でも優れた効果を発揮していたスローモーションを多用。
全体的に、本のページをめくるそれに似たテンポで進む物語。
お陰でノワールな世界観をじっくりと味わう事が出来ます。

観る人を選ぶ映画である事は間違いないでしょうが、一度だけではなく繰り返して観て、心の中でしっかりと反芻する事で、きっと色んな感情を生み出す事でしょう。
機会があったら、是非ご覧になるべき作品です。
童貞以外の方も、是非ご覧下さい。

そして、考えるのです。
“正義”って何? と。


アガサはこの作品が大好きです。 『ウォッチメン』最高だこんちくしょう。


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本来なら「感想」カテゴリで長々と書き連ねたいところだが、纏める自信がまったくないので短評で。 ちなみに原作アメコミは未読。アメコミヒーロー達のその後、つまり「現在」を描く物語・・・程度の予備知識で鑑賞。   ともかく、コメディアン*1のキャラクター。これに尽

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