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『ハプニング』

2009年01月25日
ハプ
「ありがとう」は大事。



あらすじ・・・
始まりは突然。
アメリカの多くの州でミツバチが姿を消した。
その解明もなされぬうちに、事態は次のステップに移っていた。
セントラルパークで、マンハッタンの路地裏で、一斉に人間が自殺し始めたのだ。
政府はテロ攻撃がなされたと発表し、テレビからは役に立たないニュースの洪水。
NYにほど近いフィラデルフィアでも、テロの危険性から一斉疎開が始まる。
科学教師のエリオットと妻のアルマは、親友の数学教師ジュリアン一家と共に、彼の実家に避難しようとしていたが、避難の途中で列車が緊急停止。
別の場所に向かっている妻を迎えに行く為、ジュリアンは一人娘ジェスをエリオットたちに託す。
行き先すらもわからないまま、エリオットたちはひたすらに安全な土地を目指して走り続けるが、謎の自殺現象は容赦なく彼らに忍び寄り、牧歌的な風景は地獄の様な死体の山へと一変するのだった。

果たしてアメリカで何が起こっているのか・・・?
エリオットたちを待ち受けているのは、残酷な結末でしかないのだろうか・・・?


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↓↓シャマラン監督の過去の作品群オチに言及しておりますので、未見の方はご注意下さい。↓↓


公園の緑の木々を見ていると何故だか心が落ち着く。
頬をかすめるそよ風に穏やかな春の訪れを感じる。
自然はいつだって人を癒し、浄化してくれる、頼れる相棒の様な存在なのだ。

・・・なんて、勝手に思ってやしないだろうか?

都会に点在する緑のオアシスが、人間どもの思い込みとは裏腹に、募り募った積年の恨みを晴らすべく一斉蜂起した。
オレたちの天然毒素攻撃を受けてみよ!
おいアイツら 「テロ攻撃に違いない」 とか言ってやがんぜ! ざまぁねぇな!( ゚∀゚)ヒャッヒャッヒャ

モノ言わぬ植物たちが放った天然由来の成分は、人間の自殺抑制神経をマヒさせ、まっしぐらに自己の破壊へと突き動かす。
そこに髪留めがあれば喉元に突き刺し、そこに銃があれば額を打ち抜き、そこが屋上だったなら地上めがけてダイビング。

人間に何の罪があるなんて聞かないでくれ。
強いて言うなら、この世に存在している事そのものが既に許されざる種族なのだ。
恐るべし! 植物の本気(マヂ)力!!Σ( ゚Д゚;)

はな  
と言う事で、とりあえずこいつらもブラックマンバとかに名称変更しとこうか。(※「あらあら♪おやおや♪それからどんどこしょー♪」のみなさん)

閑話休題。

今更言うまでもありませんが、 『シックスセンス』 で全世界の度肝を抜いて魅せたシャマラン監督は、オチだけが売りの監督ではありません。
いえ、オチだけを期待されていた監督ではありましたが、『アンブレイカブル』 以降の作品でその期待を小気味よく裏切り続けてくれたお陰さまで、未だもって「オチがうんぬん」とか言う様なお客さんはもう居ないのではないでしょうか。
シャマラン監督の持ち味はオチなんかじゃなく、自由な発想とどこか垢抜けないB級臭さ。そして、観客を置いてけぼりにしちゃっても気にしない大らかな心。
そのゆとりの精神があったからこそ、世紀の大傑作 『サイン』 や 『レディ・イン・ザ・ウォーター』 の様な愉快な作品が生み出せたのです。
これ褒め言葉ですからね。(念の為)

さて、ではそんな映画界のあばれはっちゃくことシャマランは、最新作でどんな奇想天外な物語を紡ぎだしていたのでしょうか。

キーワードはズバリ、エコ。

アメリカ北部の都市に吹き渡る一陣の風。
その風に当たった者は、次々と思考能力を破壊され、自ら積極的に死に臨む。
主人公のエリオットは、得意の分析能力を活かしてひたすら原因を追究します。
ま、追求つったってああだこうだ考えるだけなのですが。
人口の集中している都会を狙ったテロなのかなぁ?
でも田舎でも死人が出始めてるし。
最初に犠牲者が出たのは公園だった。ってことは、木がなんか関係あるとか・・?
それだ!それだよ!! 植物が放出した化学物質なんだよ!
人間があんまりにも環境破壊するから怒ったんだよ! きっとそうだ!
やべえ! 木こえー!!

という結論に割とサックリと至ったエリオットは、植物が狙うのは群れた人間だ。とさらに大胆な推測をして、少人数での逃亡を続けます。
相手は植物。 つまり自然、またの名をネイチャー。オーイエー☆(←意味不明)

どこに逃げようと、目に見えない自然の力は着実に人間どもを追い詰めます。
その上、助け合うべき存在の人間自体も未知の現象でパニックになり、我が身可愛さでよそ者を排除しようと銃を向ける。

いい感じに世紀末じゃないすか。 ロメロっぽくてハートにグイグイ来るでやんすね大将!( ´艸`)
で、原因はおぼろげに断定出来たものの、対処法は皆無。
他人はみんな敵。
ヒタヒタと忍び寄る死の恐怖。
なんでしょうこの絶望感!
主人公は、私たち人間は、どうすればいいのでしょうか?
助かる道は残されているのでしょうか?

余りに強大な敵(と言っていいか判りませんが)を前に、シャマランは一体どんな収束方法を用意しているのか・・・?
本編を観ていても予想のヨの字も出てこなかったアガサは、
まさかとは思うけど、水に弱い宇宙人が裏で植物を操っていたんだったりして・・・とか、
最後の最後にでっかい鷲が飛んできて主人公を乗せて飛んでいってくれたりして・・・とか、
実は斜めアフロのサミュエル兄貴が仕組んだバイオテロだったんだったりして・・・とか、
NYとかフィラデルフィアとかウソウソ!ホントはそこいら辺一帯オレの村なの!と言いながらウィリアム・ハートが出て来たりして・・・とか、
いやもしかしたら既に主人公一家も皆死んでいて、それに気づいていないだけなんだったりして・・・とか、今までのシャマラン作品が走馬灯のようにリスペクトされたオチを思い浮かべてしまったりなんかして。

どうだい、この一斉ネタバレ。(←迷惑です)

植物が分泌する化学物質を風が運び、人類に復讐する。 というネタを早めにばらしてから、後はその迫り来る脅威だけで息もつかせぬ物語を展開させてみせたシャマランは、やはり才能溢れるステキな監督さんなのだと思います。
特に、殺し合いではなく自殺という方法を使った点は、アイデア王シャマランの面目躍如と言えるでしょう。
自らの意思とは関係なく、淡々と死を選んでしまう恐怖。
そのきっかけになるのは、多分ササーっと吹き渡る突風なんじゃね?と言うザックリ感。
所詮人間は自然に太刀打ち出来やしない、とても果敢なく無力な存在である。という圧倒的な絶望感は、原因を宇宙人やウィルスやゾンビにするよりもずっと救いようが無く、ずっとリアルに感じられます。(なぜなら自然の全てが解明されている訳ではないから)

突然降り始めた豪雨がパタっと止むように、植物が原因と思われた自殺現象もほぼ一日でピッタリと終わってしまいます。
作中ではその終結の理由も明らかにはならず、自殺現象の原因が実際のトコロなんだったのかも結局説明されません。
後に残ったのは無数の死体の山と、幾つかの希望と、それを嘲笑うかのような新たな絶望の始まりだけ。
その投げっぱなしのオチを、アガサはありだと思います。
実生活の問題だって、何から何までハッキリスッキリ解決しやしない。
無理やりくっつけたオチより、謎を謎のまま残した終わりの方が問題提議にも繋がっていい。
ここに描いた物語は確かに荒唐無稽な部分もあるけれど、本当に私たちの生活はこのままでいいのだろうか? 自然に対するリスペクトっつーの?そういうの必要なんじゃね?などと考えるきっかけになれば、シャマラン捨て身のR指定も少しは浮かばれる事でしょうとも。

さて、そんな映画界のエコ大使 『ハプニング』 ですが、いくつかの点が引っ掛かって仕方なかった事も書き残しておかない訳には参らすまい。


科学教師エリオットは誠実で堅実な好青年(青年でもないか)。
その妻アルマは、夫に言えない秘密を抱えている為、夫婦仲は微妙な空気に。
さぞかし盛大に、浮気のひとつもしているのだろうと思いますよね? 普通ね?
で、自分たちに迫った死の影を前に、アルマは意を決して夫に秘密を打ち明けます。
「ゴメンね・・、あたしこないだ、同僚のイケメンとデザート食べに行ったの・・・」

・ ・ ・ は ぁ ?( ゚д゚)

だから? と聞きたくなる様な不貞の事実に、「おまw たかがデザートくらいで本気で怒る旦那なんている訳ないだろww」とかなんとか思ってたら旦那さんがマジギレしていました。

みなさん、マークはどうやら無類の甘党らしいです。(マーク・ウォルバーグ=旦那役)

・・うん・・、あのさぁ・・、今度ケーキ買って帰ってあげるから許してやってよ・・。ていうか中学生レベルかよ。(今日びの中学生はもっと進んでるのか)

もうこの時点で“観客の共感をかうべき主人公カポーに共感出来ない”臭はしていたのですが、さらにその後の逃亡途中で、行き詰った彼らを匿ってくれた老婆に対する態度がヒドイ。
テレビや電話を引かず、一切の情報をシャットアウトして自給自足の生活をしていた老婆。
明らかに困っていた風の主人公たちに食事をふるまい、フカフカのベッドも与えてくれたと言うのに、こいつらはお礼の言葉のひとつもありません。
それどころか、連れていた少女がものも言わずに皿からクッキーを取ろうとした無作法に対し、大人らしい戒めを与えた老婆を評して「なんかあのババア感じ悪くない?」だなどと言う有様。

感じ悪いのはお前だよ! 
「田舎に泊まろう」を100万回見て勉強し直してこい!


そして翌日、“感じ悪い”老婆の部屋のベッドに、古びた少女の人形が寝かせてあるのを見つけた主人公は、事もあろうに「ヤバイ・・・ この老婆キチガイだ・・・」と暴言を吐くのですが、人の寝室に勝手に入り込んでプライバシーにガッツンガッツン侵入しておいてその暴言は何事ですか?!
キミはあれか? 
もしかしてこの老婆には幼い頃病気かなんかで亡くした娘がいて、それ以来、娘によく似たこの人形を大切にしていたのかも
みたいな泣ける話は浮かばなかったか?
なんや、閉鎖的な田舎の人間はみんなキチガイか?
『悪魔のいけにえ』が心のバイブルか?

最後の仕上げは、「植物は少人数を襲う」定義にも関わらず、一人っきりだったのに風を浴びてしまった老婆に対し、まさかのバケモノ扱いですよ。

一宿一飯の恩義を受けた上で、よくもここまで非情な仕打ちが出来たのものですね。
都会人こえぇ。


他にも、通信手段が無くなったからって電車が緊急停止していたけど、テレビもラジオも携帯も生きている状態なんだから、連絡方法くらいなんとかなるんじゃね? とか、極限状態の表現に若干の甘さも感じてしまいましたが、この老婆の一件にくらべればかわいいものです。
長い目で見れる範疇です。

と言う訳で、「みんなもっと、ありがとうの精神を大切にしなきゃダメだよ!」と言うメッセージに溢れた本作は、いろんな意味で普段の生活を省みるきっかけになる秀作なのではないでしょうか。
あと、「自然に敬意を!」とかね。

シャマラン監督にはこれからも外野の声に惑わされず、我が道を行く作品を作り続けて頂きたいものです。

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