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『変態“ピ”エロ』

2009年01月10日
へんたい
全キムタクが泣いた! 


という訳で、パソコンも無事世帯主さまにお借り出来ましたので、今年一本目の映画レビューと参りたいと思います。

・・え?
先日 『HERO』 観てただろ! ですって?

やだなぁ、アレは新春特別ドラマでしょ!  (アレで劇場公開作品だなんて!ないない!!ww)


あらすじ・・・
絶望した! ピエールは人生に絶望した!

大好きだったお父さんを訪ねたら孤独死していて絶望した!
大好きだったお母さんが写っているただ一枚の写真がピンボケで絶望した!
夢だった俳優の仕事が全くもってパっとしなくて絶望した!
本来の希望とは程遠いバラエティ番組の前説で、そこそこ人気が出てしまって絶望した!
男前に生まれなかった事に絶望した!
向かいの部屋のおっさんの方が、おっさんのクセしてモテている事に絶望した!
10年前に別れたっきりの彼女の事が忘れられなくて絶望した!
パンツいっちょでうろついていたら思った以上に肌寒くて絶望した!
パンツいっちょでうろついていたら思った以上に小島よしおっぽくて絶望した!色んな意味で寒かった!


すべてに絶望したピエールは、長年憧れていた国民的人気歌手・クロヴィスを誘拐&監禁した。
ピエールの願いはただひとつ。

オレもでっかい舞台で熱唱したい!

ピエールは、一世一代の舞台の幕を無事上げる事が出来るのでしょうか・・・?!


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その昔、『変態』という名の村に入村し、『変人』揃いだという村への訪問も果たしたアガサ。 (変態村訪問記) (変人村訪問記
別に“変”なモノが大好きな訳ではないのですよ。
まぁ世帯主さまからはよく 「お前は変態だ」と言われますが。

で、「この世に存在する変態映画コレクションを網羅すんぜ!」と思った訳でもないのですが、この度とってもソソられるタイトルを発見してしまい、気づいたら小脇に抱えてレジに直行しておったそうな。
母さん・・、こんな娘に生まれてきてどうもすみません。

そもそもこのタイトル、偶然他所様のブログで見かけてちょっと気にはなっていたのです。
世界的大企業amazonコーポレーションさまでも、とっても扇情的なコメントに彩られていましたし。
そのコメントとは
「かつてこれほどまでに理不尽かつ不可解を極め、かつ、人間の生理を容赦なく逆撫でした映画があっただろうか」

ほ ほ う !  逆撫でとな!+(0゚・∀・) + ワクワク

そしてさらにコメントは続き、
・ 名作『変態村』を軽く凌ぐ“EUROスリラー”最新弾
・ 『インランド・エンパイア』へのこの上なく挑発的なアンサー・フィルム
・ 新しい世代のデヴィッド・リンチ
・ “極限の狂気”をスタイリッシュに表現
・ 観る者を恐怖と不快のドン底に叩き落す

などなどコレでもかと不愉快指数をアピール。
締めくくりには
2007年カンヌ国際映画祭“国際批評家週間”でお披露目されたら、そのあまりの衝撃的なオチに観客騒然。 映画そのものに対してどう反応していいのかまったくわからず、ただただ呆然と映画のラストシーン~エンドロールを見送るしかなかった
とまで。

ほ ほ う !  要するに『大日本人』よりは好評価やったって事やな!

あの『変態村』に“名作”との注釈つけてしまっている点についてはちょっと引っ掛かるモノがありますが、をとにかく、ここまで大絶賛されたら観ない訳にはいきませんよね。
ヘタしたらリンチ大先生や皇帝ハネケまでをも超えてしまう、不快界のニューカマー出現なのかもしれませんしね!

しかし、映画界の名だたる変態個性派監督をそう簡単に凌駕出来るものなのか?
聞いた事も見たことも無いない一介の新人監督が?

そんな不安は、いざ鑑賞してみると見事に的中。
というか、amazon持ち上げすぎ。
なんや? 饅頭の箱の底に、素敵なお年玉が隠してあったんか?
ブリュノ・メルル(※監督)のお母ちゃんのフェロモン攻撃にでも遭ったんか?



以下詳しい解説。



主人公のピエールは俳優志望。
一時は舞台で活動していましたがなかなか芽が出ず、声を掛けられて始めたテレビの前説の仕事で一躍時の人に。
今では独自のインタビュー番組まで組まれる程の人気コメディアンになりましたが、本来の理想とはかけ離れた土俵での名声に失望の日々。
その上、トラウマになる程愛していた父親が死亡した事から、ピエールは長年に渡る自らの人生への不満を爆発させ、超有名歌手の誘拐に踏み切ります。
当然金銭を要求するだろうと思われた中、彼が出した条件はなんと
「超有名歌手とステージで競演すること」
のみ。

いきなりのイミフ展開キタ―――!
なんなんすか? 夢は俳優じゃなかったんスか? 歌手なのか俳優なのかどっちなんスか?


で、実はこの超有名歌手自身も、過去の名声に縛られて現在は人生に何の目標も見出せない日々だったりしました。
これはアガサの推測ですが、ヤクなんかもやっちゃってたんじゃないかしら。コイツ *.。゚+(‘∀‘)+..。*
ピエールに浚われた事により、久しぶりのステージを強いられる事となりますが、“歌を歌う”という事に情熱も自信もない超有名歌手はひたすら後ろ向きな発言を繰り返します。
この自信を失った歌手と希望を失ったピエールとの間に、監禁生活を経て芽生え始める友情は、ストックホルム症候群という単語では片付けれない様な不思議な感情であり、事実、歌手はピエールに依存し始める素振りさえ見せ始めます。

アレ? なんかひょっとして面白いんじゃね?コレ。(貶す気満々だったのに。 チェ)

そして、この2人の間にはもう一つの共通点が。
それはどちらも本当の自分と周囲からのイメージとの食い違いに苦しんでいると言う点。

コメディアンの“ピ”として扱われるピエール。
超有名歌手の“クロヴィス”として崇められるジェジェ。
芸名だけが一人歩きして、中の人のアイデンティティなど誰からも必要とされない現実に、2人はひたすらもがき苦しみ、感情を切り捨て惰性で生きてゆくしかない。
全盛期のキムタクが見ていたら、身につまされすぎて泣いちゃうんじゃないでしょうか。
(ちなみに稲垣メンバーは本作を例の映画コーナーで扱き下ろしていたらしいですが。 ま、彼にはピンと来ない話でしょうよ)

とまぁ、この様な感情移入ポイントもあり、加害者と被害者という間柄ながらいつしか惹かれあう2人。(惹かれあうはウソ)

物語のクライマックスは実にあっけなく訪れ、ブチ切れたピエールが包囲していた警官隊によって射殺されるという、実にひねりの無い幕切れとなるのですが、このあとさらに本当のクライマックスとも言える超有名歌手のオンステージが始まります。
会場を埋め尽くすファンの歓声の中、冷酷な誘拐劇から無事生還し一躍ヒーローとなった歌手は、ピエールのデモテープをバックに愛の歌を熱唱。
しかし、世間的には非道なキチガイ犯と思われている今は亡きピエールもまた、歌手にとっては歌への情熱を取り戻させてくれたヒーローなのでした。

何このちょっと「深いい話」。(´・д・;)エー

それもそのはず、『変態ピエロ』だなんて感度良好な邦題をつけてくれていますが、原題は『HEROS』なのですよ。
そうかそうか、なる程納得だ!

・・・ 納得・・ ね・・ (♯´_ゝ`)ドウダカナー

と言う事で、確かに
本筋の合間合間に大音量付のお魚映像が差し込まれたり、
主人公が父ちゃんの遺体と仲良く添い寝してみたり、
気まぐれに画面を2分割してみたり、
映画の世界の主人公が、撮影者(カメラの後ろにいる監督)に向かって話しかけると言うメタフィクションな展開を始めてみたり、と、実験的とも言える変わった手法がちょいちょい顔を出しますので、その辺りが理不尽というか不可解というか、まぁおかしいねと言えなくもないのですが、だからといってamazonさんの仰るような“神経逆撫で”感はどこにも見当たらなかったのでした。

というか、普通に面白かったですよ。 コレ。

思うに、このピエールの様に人生に絶望した人々と言うのはそこらじゅうに居る訳で。
で、たまにそういう中の抜きん出たアホが、「誰でも良かった」と言ってダガーナイフを振り回したり、「お前ら長生き出来ていいよなぁ!」とデストラップを仕掛けたり腹話術の人形のビデオを送りつけてきたりする訳なのですよね。

ホント、絶望するなら一人でしろ!むしろ一人で死ね!  と言いたくなりますが・・・ 。
その絶望は理解できなくもないけれど、だからといって周りを巻き込むのだけはどうにかして欲しい。
もっと他にぶつけようよ、その負のパワーを!

ヤケクソになって始めた誘拐が、自分でも予想しなかった勢いで暴走し、「憧れの歌手と競演したい」 「もっとモテたい」 「楽しかったあの頃に戻りたい」 「と言うか元カノと復縁したい」 「復縁が無理ならせめて二人っきりでおしゃべりしたい」 と際限の無い(思い残しの無い最期を迎えたい)要求にエスカレートする様が迷惑極まりないものの、結果的に一人の歌手の人生を救う事になると言うちょっと変わった人生再生ストーリー。

“変態”なんかつけなくてもそこそこ面白い、でも“変態”がついてなかったら観る事も無かったであろう点がなんだか切ない感動(?)作ですので、もしお時間があったらご覧になってみてはいかがでしょうか。
あ、時間がなかったら全然スルーでオッケーですよ。(←バッサリ)


最後に、
amazonはリンチ先生に「たいそうなコト吹きまくってすみませんでした」と謝るべきだ
と言い残して今回のレビューはお開きに。

あと、何度も言いますが 『変態村』 は名作じゃありませんからね。 クドいようですけど。

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