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『KING KONG』

2006年06月04日
この映画を、もしも小学生の頃にでも観ていたら・・・。

私ももう少し真面目に、映画の道を目指していたのかもしれません。

母さん、 涙で前が見えません。

・・・おしまい。 



これで終わりたいくらい、本当に素晴らしい映画でした。
でもこれで終わるのはもったいないので、 世紀の大傑作 『KING KONG』 について、愛情込めてレビューしてみたいと思います。


大体の人なら知っている、アメリカ映画の古典 『キング・コング』。
チョット知っている人が限定される、76年リメイク版 『キング・コング』。
殆どの人が(多分)知らない、86年版 『キング・コング2』。

題材が題材なだけに、真面目にリメイクするのはさぞ勇気が必要だった事でしょう。
着ぐるみにしたらマヌケになってしまうし、ミニチュアにしたら不自然になってしまいます。
かといってCGにしたら、オリジナルを愛する各方面から非難ごうごうなのは目に見えている。
それに今さら、美女と巨猿の恋物語でもないだろうし・・・。

そんな、普通の人なら避けて通る道を、あえて選んだ男が一人。

各界マニアの頼れる漢、ピーター・ジャクソン(PJ)その人です。

PJの名を世界に知らしめた前作 『ロード・オブ・ザ・リング 3部作』 は、映画史に残る名作だと思います(その辺、おすぎと意見が一致するのはシャクですが)。
そして、そんな世紀の名作が実はドロドログチャグチャの殺略シーンばっかりだったのも、PJの情熱があったからこそ。
この 『KING KONG』 も、そんなPJ流のこだわりが随所に見られます。

主な登場人物からご紹介しますと、
極貧状態と闘う、夢見るボードビルダー アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)
第28回優男NY選手権覇者、夢見る劇作家 ジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)
解雇寸前、キ○ガイ映画監督 カール・デナム(ジャック・ブラック)
密輸のプロ、頼れる海の男 イングルホーン船長(トーマス・クレッチマン)
第29回優男NY選手権準グランプリ、出来無そうで出来る監督補佐 プレストン(コリン・ハンクス)
只今思春期真っ最中、育ちの良さが隠し切れない見習い乗務員 ジミー(ジェイミー・ベル)
ジャガイモに並々ならぬ想いを抱く、海の男の胃袋を支える調理人 ランピー(アンディ・サーキス)
そして、恋に落ちた密林の王者、男の中の男 キング・コング(アンディ・サーキス)

『指輪』組からの続投が、アンディ・サーキス(別名ゴラム)だけだったのがちと寂しい所ではありましたが、まずまず納得の配役でした。
ナオミ・ワッツの美しさは、コングが最初で最後の愛を捧げるに相応しいものでしたし、優男と猛者のバランスもいいくらいだと思います。
ジェイミー・ベル(『リトル・ダンサー』)の役割が、少し中途半端だったくらいでしょうか。

ストーリーは、
お払い箱になる事を知った落ち目の映画監督が、一か八かで冒険活劇を撮ろうと幻の孤島を目指します。
ヒロイン役に抜擢したアンと劇作家ジャックがいちゃつく中、地道に航海を続けていた一行ですが、目指す孤島には中々辿り着きません。
しかし誰もが諦めかけた時、ついに謎の孤島が姿を現します。
おどろおどろしい雰囲気の中、上陸した一行はフィルムを回しますが、そこに現れたのは何かに怯えまくっている原住民達。
たちまち撮影スタッフが血祭りにあげられ、
これじゃあ 『食人族』 になっちゃうよ・・と思っていたら、颯爽と船の乗組員達が助けに来て一安心。
なんとか船に戻り帰り支度を始めた矢先、今度は美しさゆえに原住民から目を付けられたアンが拉致されてしまいます。
船のアイドル、アンを取り戻したい乗組員と、まだまだ撮影を続けたい監督の利害が一致した為、一行は再び島に戻ります。
その頃、原住民により生贄に仕立て上げられたアンは、島の王者キング・コングとご対面。
第一印象は・・・
「でかいサルがデター!!」
何故かあっという間に、もぬけの殻になった生贄儀式の場に駆けつけた一行でしたが、アンは既にコングが連れ去った後でした。
一瞬ですが、生のコングを目撃した監督の情熱は益々燃え上がり、アン救出の名を借りて、撮影続行を促します。
一方、最初は乱暴なだけのコングに悲鳴を上げ続けていたアンでしたが、自分に危害を加える気配の無いコングと、まずは得意のボードビルでコミュニケーション開始。
そこそこの(ネタに対する)手ごたえは感じたものの、コングの容赦ないツッコミに体力の限界を感じてしまいます。
やはり、コングにツッコミは向いていないようです。
一度はコンビ解消を考え、コングの元を抜け出したアンでしたが、島に住む原始の恐竜に襲われた時、そこに颯爽と現れアンを守り続けたコングの勇姿に態度が一変。
「コングの兄貴ぃ~・・・」
まるで 哀川翔の前に立たされた勝俣州和のような腰の低さで、コングの後ろに回るアン。
恐竜をバッタバッタとなぎ倒すコングに、
「どうです、うちの兄貴。強いでしょ~?」というアンの声が聞こえてきそうです。
その後は、移動する時もコングの肩の上にテトのように納まり、コングの住居から眺める美しい夕陽にうっとりしながら、なんだかいい雰囲気になってきました。

心を通じ合わせるのに、言葉はいらないんですね。
ところが、せっかくいい関係を築き始めた二人の所に、ヘナチョコ劇作家のジャックが闖入します。
ヒーローのつもりでしょうが、完全に 間男 です。
兄貴の強さには惹かれたものの、やはりサルよりは人間の方が良かったのか、あっさりジャックと逃げようとしたアン。
しかし、それを黙って見逃すような兄貴じゃありません。
普通の状態ならば、指先一つで間男なんて追い払える兄貴なのですが、満の悪い事にコウモリ軍団が乱入して来て、アンと間男はまんまと逃げてしまいます。
当然激怒するコング。

あんな尻の軽い女、止めておけばいいのに・・・。
そんな私の心の声も虚しく、恋に狂ったコングはアンの後を追いかけます。
実は、それこそが監督(キ○ガイ)の仕掛けた罠で、島で撮影したフィルムが破損してしまい、絶体絶命の監督が思いついた事こそ “コング捕獲大作戦” だったのです。
アンと言う餌にガッチリ食い付いてしまったコングは、大量の睡眠薬を嗅がされNYに連行されてしまうのでした。
一躍時の人となり、名声を勝ち得た監督。
コングに対する後ろめたさから、ジャックとも会わずしがない踊り子に舞い戻るアン。
監督に対する嫌悪感や、コングに対する罪悪感から、アンに会う事を避けていたジャック。
離れていた3人が、コングの暴動により再び引き合わされたとき、運命は一気にクライマックスに突入します。


クライマックスは、誰もが知っていると思います。
アンとつかの間の逢瀬を楽しんだコングですが、軍隊に追われ、逃げ上ったエンパイア・ステートビルの頂上で軍機を追い払うものの、傷付き、疲れ果て、最後はアンから身を引く形でビルから落下し、命が果てます。

映画を観て、嗚咽が漏れるほど泣いたのはいつ振りでしょう
・・・。
本当に切なくて切なくて、テイストのまるで違う映画ではありますが、愛を描いた作品という観点で言えば、 『ブロークバック・マウンテン』 の切なさと何ら変わりはしません。

PJの偉い所は、いくらでも単純化できるキャラクターにそれぞれ深みを持たせた所だと思います。

き○がい監督は、苦楽を共にした仲間を次々と失ってもなお、自分の作品を完成させる(世間を見返す)事を諦めようとはしません。
その態度はつくづく腹の立つものなのですが、ようやく名声を手に入れた時には彼の周りに信頼できる友は無く、偽物ばかりに囲まれた彼の姿は哀れとしか言いようがありません。
劇作家ジャックのヒーローぶりには、疑問も浮かばない訳ではないのですが、クライマックスでコングと対峙した時、アン不在の劇場に向ける絶望の視線は、二人全く同じでした。
コングはジャックであり、ジャックもコングでありえた様な気がします。
だからこそ、ラストでコングが命を絶った後すぐにジャックと抱き合うアンの行動も、“コングに対する裏切り”ではなく“自分の一部を失った者同士”の自然な行動に思えました。

PJがこんなにドラマを描くのが上手いとは思いませんでした。

そしてやっぱり、この作品の一番の魅力はコング

最初に登場した瞬間から、私はすっかりコングのとりこです。
『指輪』で、ゴラムをCGなのにCGキャラに思わせなかった視覚効果スタッフ&アンディ・サーキスが、今作でも見事にCGなのにCGではない、生きた感情を感じられるコングを作り上げています。
やっぱり、デジタル技術は使うべき人が使うと魔法の道具になるのですね。(そうでない人が使うと、ただの便利なおもちゃ)
惚れた女を守る為に、孤独な闘いを繰り広げるコング。
時には虚勢を張り、時には強がり、圧倒的な包容力でアンを包み込むコング。

サムライですね。

山田洋次は、キムタクなんかじゃなくコングの瞳に武士道を嗅ぎ取るべきじゃないでしょうか。

とにかく、3時間があっという間に過ぎてゆく、素晴らしい作品でした。

劇場で観られなかった事は、私の人生で一生悔やまれる事と思います。


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多分世界でもっとも良く知られている映画のひとつである「キング・コング」。ストーリーそのものは広く知れ渡っているこの作品を改めてリメイクするからには、ピーター・ジャクソンがいったいどんなアプローチで映像化するのか大いに興味があったのだけどーーーー。とにかく

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