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『The Lost』 (黒い夏)

2008年09月13日
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鬼畜小説家・ケッチャムの胸くそ悪い傑作 『黒い夏』 を完全映像化した本作は、果たして映画としても虫唾の走る傑作と成り得たのか?



あらすじ・・・
人より優れた容姿に恵まれている(と自負している)ものの、身長に若干恵まれなかった男・レイは、手下どもを引き連れて訪れたキャンプ場で見かけた、2人組の美女を殺す事にした。
何故なら、彼女達は明らかに高そうな物をさり気なく身につけ、明らかにいい大学に通っていそうで、明らかにレイの様な田舎のモーテルの従業員は相手にしてくれなそうだったからだ。
てな事を認めるのは癪なので、一応「こいつらがレズだから」と言う事にしておこう。
レイの犯行は、一人の死と、もう一人の植物状態化によって、完全犯罪として世に葬られたのであった・・・。

4年後、植物状態だった被害者は、結局意識を戻す事のないまま死んだ。
「犯人はレイに違いない」と見切っていたものの、証拠が掴めない為なす術も無かった刑事・チャーリーは、被害者の死がきっかけとなり、眠らせていた刑事魂を再び燃え上がらせる事に。
とは言っても、決め手となるモノは何も無いので、とにかくレイに精神的な圧力をかける事に専念した。
私生活の不充実さ具合も、この際なので全部レイへの圧へと転嫁した。

レイはと言うと、相変わらず4年前と同じ手下を引き連れて、小さな体に宿る大きな虚栄心を満たしていた。
4年前と違う点といったら、つい先日ナンパに成功したキャサリンの存在だろうか。
都会からやってきたキャサリンは、明らかにレイのガールフレンドたちとは比べ物にならないくらい垢抜けていて、聡明で、美人で、ナイスバディで、トンチも鮮やかだよ一級品。
そんな「住む世界の違う」彼女が、レイの誘いに応じてくれた。
レイは、今まで味わった事の無い感情に突き動かされていくのであった・・・。

しかし、そんな「この胸の苦しみは・・・もしかして・・これが恋なの?」状態のレイは、チャーリーの仕掛けた包囲網により、着実に追い詰められていた。
声を掛けた女性にこっぴどくフラれ、ドラッグパーティを開けばガサ入れされ、上物のヤクはトイレに流す羽目になり、入れ込んでいたキャサリンからもコケにされ、挙句には自分の意のままだと思っていた手下どもにも裏切られたレイ。
プライドを完膚なきまでに叩きのめされ、取り繕うモノも何も無くなったレイは、4年前のあの日から大事に隠し持っていたライフルを手に、あるがままの本能に従う事にした。
つまり、邪魔なヤツは殺すだけ殺して、女どもは全員オレのモノにする。

世界はいつだって、レイだけの為に存在していなければならないのだ。


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あらすじ内の薄いブルーな部分は、原作ではみっちり書き込まれているものの、映画版では省かれていた部分です。

よりにもよって、一番肝心な心象部分をなぁ・・・(いや、これ以上は言うまい。)

基本的には、大変原作に忠実に作られていた本作。
中でも、レイの人となりを素晴らしく表している「ブーツの中に潰した空缶をイン☆」のくだりは、冒頭、本編が始まる前にまでテロップで注意書きされる念の入りよう。
勿論本編中にも、「シークレットなブーツが完成するまで」のハウツー描写をねっちりと挿入。
これ、アレですよねぇ・・・。
キャラクター表現うんぬんと言うより、スタッフの悪意の現れの様に感じられるのは何故なんでしょうか。
まぁ、それくらいの嫌われキャラなんですけどね、レイって男は。

その他、いかにも場末チックなレイの(長年連れ添った)恋人や、負け犬臭たっぷりなレイの子分も原作のイメージそのままですし、細かいエピソードの再現率もなかなかのモノです。
しかし、その再現シーンの乱れ撃ちが、逆に本作を散漫な印象に仕上げてしまっているのが、「残念」と言うか「予想通り」と言うか・・。
先程も書きましたが、
レイの捻れた(偏見とコンプレックスに満ちた)性格だとか、
チャーリーが公私をやや混同しつつも、勢いに任せて掛けまくってしまった圧力の数々だとか、
キャサリンと言うキャラクターの特異さ加減だとかが抜けているせいで、レイの辿る破滅への道がなんだか足早すぎる様に感じてしまうのです。
“コロコロと転がっていく” のではなく “ポンポンと跳ねて飛んで行く” という感じに・・。

意外と多い登場人物の説明が最小限な為、感情移入がし難いという点も残念でした。
中でもチャーリーの元相棒・エドや、その超若い恋人サリーなんかは、一番重要なのに一番省略されていた部分で、画面に出てきたと思ったらイチャイチャして、なんか突然ケンカして、あっという間にレイに拉致されてしまうサリーの可哀想な事といったら・・・
しかも、そんな可哀想なのに今ひとつ感情移入も出来ない(されない)ってか。
あまりの仕打ちに全米のサリーファン(と猫ファン)が泣いた・・・!!

まぁ、「これ以上は言うまい」と言いながらも結局色々書いてしまいましたが、一番肝心な“レイ”が見事に役にはまっていましたので、物語にそれなりの説得力はあったと思います。
勿論、「充分な」とは言えませんがね。(←まあまあ上からな目線だな)




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